今回は、高校生の皆さんへ向けておすすめの俳句を紹介していきます。
俳句は『俳諧(はいかい)の句』という言葉だったものが略されて、『俳句』と呼ばれるようになったと言われています。
これだけ聞くと、なんだか難しそうと感じる方もいらっしゃると思います。
学校の授業で俳句やってるんだけど…
俳句って難しいねー(´・ω・`) pic.twitter.com/vnaCXjsYsA— Apple・Rennet (@AppleRennet) October 6, 2020
しかし、そんなことはありません!今回紹介する俳句は、比較的簡単な有名俳句を紹介していきます。
目次
俳句に季節の雰囲気を出す!春・夏・秋・冬の季語を知ろう
俳句とは、5・7・5の3句17音からなる、日本独自の定型詩のことです。
俳句には「季語」と呼ばれる季節を表す言葉を含まなければならないというルールがあります。
それぞれの季節によって、たくさんの種類の季語がありますので、ここではその一部を紹介したいと思います。
春・夏・秋・冬の季語【一覧】
【春の季語】
春、立春(りっしゅん)、雪解(ゆきどけ・ゆきげ)、雪崩(なだれ)、残雪(ざんせつ)、ひなぎく、ほうれん草、水菜、梅、紅梅(こうばい)、鶯(うぐいす)、雛祭り、春雷(しゅんらい)、春めく、田螺(たにし)、蜆(しじみ)、若鮎(わかあゆ)、春の雨、雉(きじ)、燕(つばめ)、卒業、春の野、陽炎(かげろう)、蕨(わらび)、菫(すみれ)、タンポポ、エイプリールフール、のどか、うららか、入学、入社、初桜 など
【夏の季語】
5月、初夏、牡丹(ぼたん)、葉桜、菖蒲(しょうぶ)、鯉幟(こいのぼり)、祭り、新緑、若葉、筍(たけのこ)、薔薇(ばら)、穴子(あなご)、鯖(さば)、飛魚(とびうお)、山女(やまめ)、初鰹(はつがつお)、みかんの花、紫陽花(あじさい)、葵(あおい)、鈴蘭(すずらん)、梅雨、うなぎ、蟹(かに)、雨蛙(あまがえる)、さくらんぼ、田植え、夏休み、避暑、土用、暑中見舞い、トマト、晩夏(ばんか) など
【秋の季語】
9月、八朔(はっさく)、台風、三日月、秋の夜、七草(秋の七草)、桔梗(ききょう)、松虫、鈴虫、きりぎりす、月見、枝豆、芋(いも)、とんぼ、雁(かり)、秋刀魚(さんま)、鰯雲(いわしぐも)、コスモス、生姜(しょうが)、秋晴れ、秋の空、初紅葉(はつもみじ)、松茸(まつたけ)、椎茸(しいたけ)、茸狩(きのこが)り、稲、新米、木の実、桃、林檎(りんご)、梨、柿、無花果(いちじく)、鹿、銀杏 など
【冬の季語】
大晦日(おおみそか)、お正月、雪だるま、大掃除、冬休み、クリスマス、お年玉、除夜の鐘、うさぎ、牡蠣(かき)、鴨(かも)、寒雀(かんすずめ)、鷹(たか)、千鳥(ちどり)、鶴(つる)、白鳥、ふぐ、ふくろう、水鳥、鷲(わし)、落ち葉、枯れ尾花(かれおばな)、枯れ木、枯野(かれの)、枯れ葉(かれは)、寒椿(かんつばき)、さざんか、水仙(すいせん)、大根、人参(にんじん)、ねぎ、白菜、みかん など
今回紹介した季語は、ほんの一部にすぎず、それぞれの季節にまだまだたくさんの季語があります。
高校生向け!! 春・夏・秋・冬の季語を使った俳句集【40選】
ここからは、それぞれの季節の季語を使ったおすすめ有名俳句を紹介していきます。
春の季語を使ったおすすめ俳句【10選】
【No.1】松尾芭蕉
『 梅が香(か)に のつと日の出る 山路かな 』
季語:梅が香(春)
意味:早春の春、山路を歩いていると、どこからか梅の香がしてくる。それに誘われるかのように大きな朝日が突然姿を現した。
【No.2】与謝蕪村
『 春の海 ひねもすのたり のたりかな 』
季語:春の海(春)
意味:うららかな春の日をあびた海面には、白波がゆったりとうねりながら、浜辺によせては返している。
【No.3】与謝野蕪村
『 菜の花や 月は東に 日は西に 』
季語:菜の花(春)
意味:大地には見渡すかぎり、黄色い菜の花畑が広がっている。長い春の一日も暮れようとするとき、東の空には白い月が上り、西の空には赤い夕陽が沈もうとしている。
【No.4】小林一茶
『 雪とけて 村いっぱいの 子どもかな 』
季語:雪どけ(春)
意味:長かった冬も終わりに近づき、雪どけの季節になった。待ちかねていた子どもたちはいっせいに外に飛び出して、春の日を浴びて遊んでいる。村にはこんなにたくさんの子どもがいたのかと驚くばかりだ。
【No.5】正岡子規
『 野に出(い)でて 写生する春と なりにけり 』
季語:春(春)
意味:野に出て、写生をする暖かい季節になったことだ。
【No.6】高浜虚子
『 春風や 闘志いだきて 丘に立つ 』
季語:春風(春)
意味:丘の上で春のあたたかな風を全身で感じながら、これからまた勇ましく戦おうと決心している。
【No.7】高浜虚子
『 夕東風(ゆうこち)や 海の船ゐる 隅田川 』
季語:夕東風(春)
意味:夕方に吹く東風を感じるなぁ。隅田川には海からやってきた船がいる。
【No.8】石田波郷
『 バスを待ち 大路の春を うたがはず 』
季語:春(春)
意味:バスを待っていると、神田の大通りは春の風や花であふれていて、春が来たんだなぁと確信を持つことだ。
【No.9】松本たかし
『 チチポポと 鼓打たうよ 花月夜 』
季語:花月夜(春)
意味:チチポポと鼓を打って遊ぼうよ、この桜の花と満月の素晴らしい夜に。
【No.10】坪内稔典
『 三月の 甘納豆の うふふふふ 』
季語:三月(春)
意味:寒さの緩む3月に甘い甘納豆を食べると、思わず笑みがこぼれてしまうほど美味しい。
夏の季語を使ったおすすめ俳句【10選】
【No.1】松尾芭蕉
『 五月雨(さみだれ)を あつめてはやし 最上川 』
季語:五月雨(夏)
意味:最上川は降り続く五月雨を集め、水がみなぎり溢れ、矢のような速さで流れていくよ。
【No.2】高浜虚子
『 夏の蝶 日かげ日なたと 飛びにけり 』
季語:夏の蝶(夏)
意味:夏の日に一匹の蝶が、日かげに入ったり、日なたに入ったりしながら、ひらひらと飛んでいる。
【No.3】山口素堂
『 目には青葉 山ほととぎす はつ松魚(かつお) 』
季語:青葉(夏)/ほととぎす(夏)/はつ松魚(夏)
意味:目には青葉がまぶしく、耳には山のほほとぎすの声がし、口には初がつおがおいしい初夏です。
【No.4】松尾芭蕉
『 夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の中 』
季語:夏草(夏)
意味:義経らが功名を、藤原三代が栄華を夢見たこの地も、今は夏草が生い茂っていますよ。
【No.5】小林一茶
『 蟻の道 雲の峰(みね)より つづきけん 』
季語:蟻、雲の峰(夏)
意味:ありの行列が長く続いている。これはきっと、あの空に見える入道雲から続いてきたに違いない。
【No.6】西東三鬼
『 算術(さんじゅつ)の 少年しのび 泣けり夏 』
季語:夏(夏)
意味:暑い夏の日、家の中のどこからか男の子の泣き声がする。夏休みの算数の宿題がわからなくて、隠れて泣いているのだ。
【No.7】小林一茶
『 やれ打つな 蝿が手をすり 足をする 』
季語:蝿(夏)
意味:やあ、そんなに打ってやるな。蝿が命乞いをするように手をすり足をすっているじゃないか。
【No.8】正岡子規
『 夏嵐 机上の白紙 飛び尽す 』
季語:夏嵐(夏)
意味:夏の突風が吹いてきた。机の上に置いてあった白紙が全て飛び散ってしまったよ。
【No.9】水原秋桜子
『 滝落ちて 群青世界 とどろけり 』
季語:滝(夏)
意味:滝から水が落ちて、滝つぼの水と木々によって群青色に染まっていた世界に轟くような音が立った。
【No.10】大高翔
『 何もかも 散らかして発つ 夏の旅 』
季語:夏(夏)
意味:何もかもを散らかして旅立ってしまおう、夏の旅だ。
秋の季語を使ったおすすめ俳句【10選】
【No.1】小林一茶
『 名月(めいげつ)を とってくれろと 泣く子かな 』
季語:名月(秋)
意味:あのお月さまがほしいよ、ねえ、取ってよ、と言いながら子どもが泣いている。
【No.2】正岡子規
『 柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺 』
季語:柿(秋)
意味:柿を食べていたらふいに鐘が鳴りだした。法隆寺の鐘だ。
【No.3】高浜虚子
『 秋の暮れ 道にしゃがんで 子がひとり 』
季語:秋の暮れ(秋)
意味:秋の日は早くも暮れようとしている。しかし、道ばたにひとりしゃがんでいるあの子どもは、まだ帰ろうとしない。
【No.4】飯田蛇笏
『 おりとりて はらりとおもき すすきかな 』
季語:すすき(秋)
意味:このすすきは、折った瞬間、はらりとした感じの重さを手に伝えた。
【No.5】渡辺水巴
『 歯にあてて 雪の香ふかき 林檎(りんご)かな 』
季語:林檎(秋)
意味:さくっとかむと冷たくて雪の香りがすると思いました。そういえばこの林檎の産地は、もう深い雪でしょう。
【No.6】夏目漱石
『 肩に来て 人なつかしや 赤とんぼ 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:肩へ赤とんぼが止まった。横目で見ると、懐かしい人に会ったような感じで、羽を休めている。
【No.7】松尾芭蕉
『 荒海や 佐渡に横たふ 天の川 』
季語:天の川(秋)
意味:日本海の荒波だ。佐渡の島影の上には天の川が横たわるように輝いている。
【No.8】与謝蕪村
『 子狐の かくれ貌なる 野菊哉 』
季語:野菊(秋)
意味:小狐子たちがかくれんぼをしているような気がする野菊の花であることだ。
【No.9】加賀千代女
『 朝顔に 釣瓶とられて もらひ水 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔のツルが釣瓶に巻きついてしまって動かせない。隣の家から水をもらってこよう。
【No.10】中村草田男
『 秋の航 一大紺 円盤の中 』
季語:秋(秋)
意味:秋の航海中だ。周囲は一面紺色の水面で、まるで円盤の中にいるように思える。
冬の季語を使ったおすすめ俳句【10選】
【No.1】与謝野蕪村
『 寒月や 門なき寺の 天高し 』
季語:寒月(冬)
意味:月がさえる寒い夜、門のない寺の上には、澄み切った空が広がっている。
【No.2】小林一茶
『 うまさうな 雪がふうはり ふわりかな 』
季語:雪(冬)
意味:空を見上げれば、うまそうな牡丹雪がふうわりふわりと舞い落ちてきたよ。
【No.3】井原西鶴
『 大晦日(おおみそか) 定めなき世の さだめかな 』
季語:大晦日(暮)
意味:今日は大晦日。何が起こるか決まっていない世の中ですが、一年の終わりの大晦日は、決まりどおりきちんとやってきましたよ。
【No.4】正岡子規
『 いくたびも 雪の深さを 尋ねけり 』
季語:雪(冬)
意味:病床(びょうしょう)でふと気づけば、何度も何度も、どのくらい雪が積もっているのか尋ねてしまっていた。
【No.5】山口誓子
『 海に出て 木枯(こが)らし帰る ところなし 』
季語:木枯らし(冬)
意味:冷たい木枯らしが、山を越え野を越え、街を越えてふきわたっていく。この木枯らしは広い海に出ていき、そのまま帰るところはないのです。
【No.6】高浜虚子
『 遠山に 日の当たりたる 枯野かな 』
季語:枯野(冬)
意味:枯野に立って、ふと遠くの山に目をやると、冬の静かなたたずまいの中にも日が当たっている。
【No.7】松尾芭蕉
『 旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる 』
季語:枯野(冬)
意味:旅の途中で病に倒れたが、夢の中ではなおあの枯野を駆け巡っている。
【No.8】山口誓子
『 学問の さびしさに堪へ 炭をつぐ 』
季語:炭(冬)
意味:1人でする試験勉強の寂しさに堪えながら、白くなった火鉢に炭を継ぎ足す。
【No.9】中村草田男
『 降る雪や 明治は遠く なりにけり 』
季語:雪(冬)
意味: 雪が降ってきたなぁ。昭和の今となっては、明治は遠くなってしまったものだ。
【No.10】久保田万太郎
『 湯豆腐や いのちのはての うすあかり 』
季語:湯豆腐(冬)
意味:湯豆腐が湯気を立てているなぁ。命の果ての薄明かりとはこのような色をしているのだろうか。
さいごに
今回は、高校生の皆さんへ向けておすすめの俳句を紹介しました。
俳句は「春夏秋冬、それぞれの季節の良いところを表現してくれる」。これが俳句の良さだと思います。
そして、そんな俳句がたくさん詠まれているのも、豊かな四季の自然がある日本だからこそかもしれません。
みんなは、どの季節が好きでしたか?苦手な季節はありますか?
好きな俳句が見つかることで、「苦手だな」と思っている季節のいいところを見つけるきっかけになるかもしれません。