【3月の有名俳句 30選】すごく上手い!!季語を含んだおすすめ俳句作品集を紹介!

 

江戸時代に成立し現在まで多くの人に楽しまれている「俳句」。

 

日本人にずっと愛されてきた国民的文芸ですが、ここ最近はいっそう俳句に親しむ方が増えている様子も見られます。

 

子どもからお年寄まで、誰にでも簡単に楽しみながら作ることができる点が俳句の大きな魅力と言えます。

 

今回は、「3月」に詠みたいおすすめ有名俳句&一般俳句作品を30句紹介していきます。

 

 

リス先生
それでは、さっそく見ていこう!

 

俳句に3月らしさを出す!3月の季語を知ろう

 

俳句には「季語(きご)」というその時の情景や状況、作者の気持ちをより具体的に読み手へ伝えるため、用いられる言葉があります。

 

例えば、今回のテーマである3月には「桜」「ひなまつり」「ウグイス」「春休み」といった季語があります。

 

季語は一見難しい言葉ばかりかと思われがちですが、馴染み深いものも多く、その季節の特徴…つまり、その季節らしい言葉であれば季語となるのです。

 

リス先生
今回は3月がテーマだから、3月の季語をいくつか紹介していくよ!

 

3月の季語【一覧】

 

三月 弥生 春一番 春の月 雪解け 雛の日 雛祭り ひな人形 桃の節句 桃の酒 白酒 雛あられ 風花 忘れ雪 春の闇 春寒し 春の雪  水温む 春めく 忘れ雪 寒戻る 啓蟄 青麦野遊び 磯遊び 雛菊 紅梅 入学試験 卒業 桜便り 桜 彼岸桜 糸桜 しだれ桜 山桜 夜桜 夕桜 なずな たんぽぽ すみれ 椿 花 霞 黄砂 三月十一日 地震 春の夕 春雨 春時雨 あたたか 春うらら 春光 東風 青菜 青海苔 鰆(さわら)草餅 春の菜 韮 ぜんまい わらび 土筆 伊予柑 レガッタ ボートレース 朧月夜 入り彼岸 彼岸入り 木の芽 木の芽時 山笑う 春景色 春分 春分の日 春休み 鴬(うぐいす) おたまじゃくし つばめ 蜂 蝶 

 

リス先生
上記以外にも色々な季語があるよ!「歳時記」という本にまとめられているからチェックしてみてね!

 

3月の季語を使った有名俳句集【前編10句】

 

それでは早速、3月の季語を使った有名俳句を紹介していきます。

 

【NO.1】夏目漱石

『 鴬や 障子あくれば 東山 』

季語:鴬(春)

意味:うぐいすの声が聞えたので何気なく障子を開けてみると、思いがけなく東山の風景があり、趣を感じました。

俳句仙人
旅先で同じような経験をしたことがあると感じる方も多いはずです。ほんのささやかな春の情景ですが、うぐいすの声に呼ばれた気になって障子を開けると、はっと目を見張る光景に感動した様子が、さわやかに詠まれています。

 

【NO.2】正岡子規

『 薄赤き 顔並びけり 桃の酒 』

季語:桃の酒(春)

意味:3月3日、桃の酒を酌み交わし、皆うっすら赤い顔になっています。

俳句仙人
桃の花を浸したお酒を「桃の酒」といい、桃の節句にこれを供えてから飲むと、万病を除くと言われています。お互いの健康を願ってお酒を酌み交わし、みんな機嫌よくほんのり顔が赤くなっていることでしょう。

 

【NO.3】富安風生

『 三月の 声のかかりし あかるさよ 』

季語:三月(春)

意味:三月の声を聞くと、昨日とはさして変らぬ今日であるのに、なんだか周囲が明るくなったような気がします。

俳句仙人
まだ寒い冬という感覚のある二月から、三月に月が変わったというだけで妙に春めいて、陽射しも明るくなったように感じる一句です。

 

【NO.4】小林一茶

『 夕ざくら けふも昔に 成にけり 』

季語:夕桜(春)

意味:桜の咲く春のうららかな日々だけれど、一日が終わる夕暮れどきは侘しく、ながめていたあの夕ざくらも、もう過去のものとなりました。

俳句仙人
楽しい一日も夕暮れと共にあっという間に過ぎ去っていくという、季節や花の「移ろい」と「はかなさ」を詠った一句です。

 

【NO.5】芥川龍之介

『 三月や 茜さしたる 萱の山 』

季語:三月(春)

意味:三月になった。萱を積んであるところに日が映えて、なんともあたたかく美しいのだろう。

(*茜さす…照映えて美しい様。美しく照り輝くこと *萱…かや ススキ・スゲなど屋根をふくイネ科などの植物の総称)

俳句仙人
作者が湯河原の温泉宿に滞在中、そこの風景を詠んだといわれる句です。さらっとした一句ですが、しみじみとした春の暖かさが感じられます。

 

【NO.6】山口青邨

『 春雨の 音がしてくる 楽しさよ 』

季語:春雨(春)

意味:春雨がふり出して雨音が聞えてきた。寒い冬の雨音とは違い、これから芽吹くものたちの命を育む、乾いた土をたたく雨音は、春の訪れも感じ、聞いていて楽しくなります。

俳句仙人
音がしてくるという言い回しが、句の場面をいきいきとさせ、これから春も来るんだと感じさせます。当時の人は今よりずっと自然の音のなかでともに暮らしていたのだと思わされる一句です。

 

【NO.7】与謝蕪村

『 雛祭る 都はづれや 桃の月 』

季語:雛祭り(春)

意味:都のはずれのこんな田舎にお雛様を飾ってあるんだなあ。三月なのですね。

俳句仙人
「雛」と「鄙」(田舎のこと・ひなと読む)をかけています。質素な田舎で思いがけなく雛祭りをみて、微笑ましく思った作者の気持ちが伝わってきます。

 

【NO.8】高井几董(たかいきとう)

『 雪どけの 音聞いて居る 朝寝哉 』

季語:朝寝(春)

意味:朝寝坊をした。まだ床の中にいて、静かに雪どけの音を聴いています。

俳句仙人
雪どけの音とはどんな音でしょうか。溶けた水が流れていく音でしょうか、屋根に積もった雪がドサッと落ちてくる音でしょうか…、想像をかきたてられます。「朝寝哉」も現代の寝坊とは異なった、江戸時代の大楊さや優雅さをあらわしています。

 

【NO.9】水原秋桜子

『 碧天や 雪煙たつ 弥生富士 』

季語:弥生(春)

意味:深く青い空に雪煙がたっている。その中に三月の富士山が見えます。

俳句仙人
深く青い空と雪煙、そして富士山。ハイコントラストではっとするような美しい風景が浮かんできます。

 

俳句仙人
春に目覚めた紫の小さな花が、健気に咲いている様に、芭蕉はきっと心を惹かれたのでしょう。ひっそりとした、はかないものたちへの眼差しが微笑ましいです。

 

3月の季語を使った有名俳句集【後編10句】

 

【NO.11】松尾芭蕉

『 草の戸も 住み替はる代ぞ 雛の家 』

季語:雛(春)

意味:この草でできた家も、住み替わる時が来た。雛人形が良く似合う娘のいる家族だそうだ。

俳句仙人
この句は作者が『おくのほそ道』の旅に出る時に、芭蕉庵を手放した時に詠んだ一句です。次に住む家族に女の子がいると聞いて「雛」を詠んでいます。

【NO.12】与謝蕪村

『 菜の花や 月は東に 日は西に 』

季語:菜の花(春)

意味:菜の花が咲いているなぁ。月は東から昇り、日は西に沈んでいく。

俳句仙人
菜の花を詠んだ有名な俳句です。月と太陽が同時に見渡せる場所で、菜の花が咲いているという絵画のような一句になっています。

【NO.13】小林一茶

『 おらが世や そこらの草も 餅になる 』

季語:草も餅/草餅(春)

意味:何ともありがたい世だ。そこらの草も草餅にできる。

俳句仙人
草餅は33日頃に食べられる縁起物です。作者は「そこらの草」と表現していますが、ヨモギで作るのが一般的でした。

【NO.14】正岡子規

『 毎年よ 彼岸の入りに 寒いのは 』

季語:彼岸(春)

意味:毎年のことだよ。彼岸の入りに寒いのは。

俳句仙人
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。しかし、実際にはお彼岸を迎えてもまだ寒い日が続いているとどこか愚痴を言っているような一句です。

【NO.15】夏目漱石

『 菫ほどな 小さき人に 生まれたし 』

季語:菫(春)

意味:スミレの花ほどの、目立たずひっそりと生きる人に生まれたかったなぁ。

俳句仙人
この句は、作者が経済的に困窮して鬱屈した時に詠まれています。そのため、大輪の花よりもスミレのように小さくともたくましく咲く花に憧れを抱いている句です。

【NO.16】高野素十

『 野に出れば 人みなやさし 桃の花 』

季語:桃(春)

意味:野に出れば、会う人たちはみな優しかった。桃の花が咲いている。

俳句仙人
作詞がドイツに留学中に詠まれた句のため、「人みなやさし」の「人」はドイツの人々です。思い切って外に出てみれば、みな優しくしてくれるという喜びが桃の花に託されています。

【NO.17】水原秋桜子

『 雛壇や 襖はらひて はるかより 』

季語:雛(春)

意味:雛壇が見えるなぁ。襖をはらっているのか遠くからも見える。

俳句仙人
昔の日本家屋は襖で仕切られており、襖を取り払うと大きな広間として利用できました。雛壇はその大広間になった場所に置かれていたので、遠くからでもよく見えたと詠んでいる一句です。

【NO.18】水原秋桜子

『 来しかたや 馬酔木咲く野の 日のひかり 』

季語:馬酔木咲く(春)

意味:歩いてきた方を振り返ると、白い馬酔木の花が咲く野に日の光が差し込んでいる。

俳句仙人
この句は作者が奈良にある三月堂に訪れた際に詠まれた一句です。三月堂の周りには馬酔木が多く植えられているため、一際特別な風景と捉えたのかもしれません。

【NO.19】細見綾子

『 菜の花が しあはせさうに 黄色して 』

季語:菜の花(春)

意味:菜の花が幸せそうな黄色い花を咲かせている。

俳句仙人
黄色という色を幸せの色と詠んでいます。幸せと感じる色の花が多く咲いている様子に作者まで幸福を覚えているような一句です。

【NO.20】坪内稔典

『 三月の 甘納豆の うふふふふ 』

季語:三月(春)

意味:三月に食べる甘納豆が美味しくて、うふふふふと笑いがこぼれる。

俳句仙人
「うふふふふ」という笑い声が特徴的な一句です。この句は作者が甘納豆をテーマに12ヶ月を詠んだうちの3月のもので、春の到来もあいまって笑みがこぼれています。

 

3月の季語を使った一般俳句作品集【おまけ10句】

 

ここからは一般の方が作った3月の俳句作品を紹介していきます。

 

俳句仙人
ここまでは有名な俳句を20句紹介してきましたが、一般の方が作った俳句作品も様々な人の気持ちや目線、表現方法がたくさん詰まっているのでとても勉強になります。
俳句作りの際はぜひ参考にしてみてください。

 

【No.1】

春寒や 死にきれぬほど 散らかりぬ 』

季語:春寒(春)

意味:立春を過ぎてもまだ寒くて、このまま死んでしまったらどうなるかしらと思うほど、散らかったままです。

俳句仙人
寒い時は身体も動きません。春になってもまだ寒く、活発に動けない心情がユーモラスに詠われている素晴らしい句です。

 

【No.2】

おひなさま ゆっくりしまう 母の顔 』

季語:おひなさま(春)

意味:雛祭りがおわって、おひな人形をお母さんがゆっくりとしまっています。

俳句仙人
雛祭りがおわり、おひなさまと会えるのはまた一年後です。この一年の娘さんの幸せを願いながら、お母さんは大事におひなさまをしまっておられるのでしょう。

 

【No.3】

三月の ハンカチ乾く 暇もなく 』

季語:三月(春)

意味:三月はお別れ事が多くて、涙でハンカチが乾く暇がありませんでした。

俳句仙人
卒業や転勤、移動、それに伴う引越。旅立ちとお別れの季節でもある3月は涙をぬぐうハンカチが何度も必要です。また東日本大震災、東京大空襲の起こった月でもあります。

 

【No.4】

春寒し 薪割る音の 山を割り 』

季語:春寒し(春)

意味:まだ寒い初春、山へ来てみると誰かが薪を割る音が響いている。その音はまるで山を割っているように聞えます。

俳句仙人
まだ寒い山の空気はきりりと澄んでいて、静寂の中、山によくこだましていたのでしょう。薪割ると山を割りがつながって、味わい深くなっていますね。

 

【No.5】

焼却炉に アルバム放り 卒業す 』

季語:卒業(春)

意味:焼却炉にアルバムを放り込みました。本当の意味で卒業です。

俳句仙人
もうこだわりたくない。忘れたいことから解放されるため、アルバムを燃やした作者。新たな人生をいきていく、前向きな女性の姿が浮かんできます。

 

【No.6】

日帰りの 山はなだらか つくしんぼ 』

季語:つくし(春)

意味:日帰り登山をしました。なだらかな山道、帰り道はなおさらで、つくしをみつけながら下山しました。

俳句仙人
ゆったりとリラックスして日帰りの登山を楽しむ様子が「なだらか」や「つくしんぼ」でほんわか伝わってきます。のどかさを感じさせてくれる一句です。

 

【No.7】

あたたかや 縄文人の子の 手形 』

季語:あたたか(春)

意味:縄文人の子どもの手形をみました。なんてあたたかい気持ちにさせることでしょう。

俳句仙人
縄文人の子どもの手形公開は大変話題になりました。子どもの有するものは、いつも素朴でほっこりしていて大人をあたたかい気持ちにさせてくれます。今も縄文時代も変わらないのかもしれませんね。

 

【No.8】

木の芽和(あえ) ひとり前とは これつぽち 』

季語:木の芽和(春)

意味:ひとり分の木の芽和えとはたったこれだけの量なのですね。

俳句仙人
春ならでは和えもの。大抵は小鉢に盛ります。これっぽっちだから、なお美味しく感じるのかもしれません。

 

【No.9】

朝ざくら 家族の数の 卵割り 』

季語:朝ざくら(春)

意味:朝のきれいな桜を見ながら、家族の人数分、卵を割っています。

俳句仙人
卵焼きかオムレツを作るのでしょうか?幸せそうな春の朝の風景です。

 

【No.10】

春うらら 私の時計 眠たがる 』

季語:春うらら(春)

意味:春のうららかな日々、私の時計は眠りたがるのです。

俳句仙人
春眠暁をおぼえずという諺もありますが、春というのは眠たいものです。ちらりと時計をみては「まだ早いけどもう寝ようかな」と思うところを時計が眠たがるとしたところが流石な一句です。

 

以上、3月の季語を含んだおすすめ俳句集でした!

 

 

俳句仙人
数秒間のドラマともいわれる俳句。3月は旅立ち、スタート、別れに出会い、そして雛祭りやお花見など…なにかとドラマチックな時期ですね。素敵な俳句が詠めそうです。

リス先生
心に残った出来事をぜひ俳句というドラマにしてみよう!

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