「高校3年間の思い出」と言われると、皆さんはどのようなことを心に思い浮かべるでしょうか。
体育祭や文化祭、遠足や修学旅行・・・さまざまなイベントを思い浮かべる人もいれば、部活動や日々の学校生活を懐かしく思い出す人もいるでしょう。
3年間
いつも欠かさず
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— けんちゃん (@bn_kenchan) February 22, 2016
今回は、【卒業をテーマにした俳句30選】と題し、「高校生活3年間の思い出」を題材にした俳句作品を30句紹介していきます。
目次
高校生向け!卒業をテーマにした思い出俳句作品集【前編10句】
【NO.1】
『 桜舞う 入学式から はや3年 』
季語:入学式(春)
高校卒業にあたり、高校生活を振り返ってみると、やはり原点は「入学式」ですね。「はや3年」としみじみと振り返っている作者の姿が想像できます。あっという間の高校生活は、作者にとって充実した3年間だったのでしょうね。
【NO.2】
『 卒業す 皆勤賞を 誇りとし 』
季語:卒業(春)
高校を皆勤賞で卒業する作者。きっとさまざまな面で、一生懸命取り組み、しっかりと1日も休むことなく高校に通ったのでしょう。素晴らしい「誇り」であり、とても気持ちの良い一句です。
【NO.3】
『 夏の朝 遅刻ギリギリ パンと行く 』
季語:夏(夏)
作者は遅刻が多かったのでしょうか。夏は暑くて汗がたらたら・・・だからこそ、高校生活を振り返ってみた時にとても思い出深いのかもしれませんね。「パンと行く」というフレーズは、漫画のような面白い光景をユーモアたっぷりに表現しています。
【NO.4】
『 文化祭 打ち上げファイヤー 消防車 』
季語:文化祭(秋)
文化祭でのハプニングを詠んだ一句です。楽しかった文化祭のあとの打ち上げで、盛り上がりすぎてしまったのでしょうか。消防車が出動するとは、きっとなかなかの大事・・・これはとても印象深い出来事だったことでしょう。
【NO.5】
『 大仏が 笑顔で見守る 春の旅 』
季語:春(春)
修学旅行や校外学習の思い出でしょうか。「笑顔で見守る」という言葉から、この旅がとても充実した楽しいものであったことが伝わります。作者にとってとても良い思い出になったことでしょう。
【NO.6】
『 憧れの セーラー服身に 入学式 』
季語:入学式(春)
高校卒業にあたり、入学式の様子を思い出し、表現した一句です。「セーラー服」に憧れて今の高校に入学したのでしょう。作者の嬉しさや喜びがとてもよく伝わります。憧れのセーラー服を身につけて過ごした高校生活は、作者にとってとても幸せな3年間だったことでしょう。
【NO.7】
『 春風に 揺れる湖面の 金閣寺 』
季語:春風(春)
修学旅行で訪れた金閣寺を見た時の想いを表現しています。心地良い春風に揺れる湖と、そこにうつる金閣寺の美しさや素晴らしさ。とてもきれいで美しい世界が想像できる素敵な一句です。
【NO.8】
『 炎天下 グランド走る 球児あり 』
季語:炎天下(夏)
夏の時期の部活動の様子を詠んでいます。グランドで野球部が練習している様子を見ているのでしょうか。もしかしたら作者はマネージャーさんなのかもしれない、と想像することができる一句です。
【NO.9】
『 新緑の 森に大仏 鎮座する 』
季語:新緑(夏)
修学旅行での思い出を詠んだ一句です。鮮やかで美しい新緑の森の中にいる大仏の姿は、作者にとってとても印象深い光景だったのでしょう。「鎮座する」という言葉が、荘厳な雰囲気をより引き立てています。
【NO.10】
『 卒業式 これが最後の 起立礼 』
季語:卒業式(春)
3年間、毎日行ってきた「起立礼」。いよいよ最後の時を迎え、作者の寂しい想いがとてもよく伝わります。「これが最後の」という言葉から、クラスの雰囲気を感じとることができ、とても切ない気持ちになる一句です。
高校生向け!卒業をテーマにした思い出俳句作品集【中編10句】
【NO.11】
『 先生の 涙初めて 見て卒業 』
季語:卒業(春)
卒業式の様子を詠んだ一句です。普段は、「涙」とは程遠い先生なのでしょうか。卒業式で初めて見た先生の涙は、作者にとってとても印象深いものになったことでしょう
【NO.12】
『 校門に 入れば校長 薔薇手入れ 』
季語:薔薇(夏)
お花の好きな校長先生なのでしょうか。いつも校門で薔薇の手入れをしている校長先生の姿は、作者にとってとても思い出深いのでしょうね。美しい薔薇と校長先生をもう見ることができなくなるのは寂しいですね。
【NO.13】
『 息白し 同じ面々 遅刻坂 』
季語:息白し(冬)
毎日同じメンバーが「遅刻」していたのかもしれませんね。いつの間にか仲間意識が芽生えていたのでしょうか。それもまた良き思い出ですね。寒い冬の朝も、坂道を頑張って走る作者の姿が目に浮かぶようです。
【NO.14】
『 制服と 親に感謝の 卒業式 』
季語:卒業式(春)
高校を卒業するにあたり、感謝の気持ちを表現しています。3年間共に過ごした制服への感謝というのも素敵ですね。そして、「親に感謝」する作者の気持ちがしっかりと表現されている一句です。
【NO.15】
『 旅の中 空を見上げて 鯉のぼり 』
季語:鯉のぼり(夏)
修学旅行での様子でしょうか。美しい空を見上げた時、気持ちよく泳ぐ鯉のぼりが目に入ったのかもしれません。きれいな青空と鯉のぼり、美しい光景が心に印相深く残っているのでしょうね。
【NO.16】
『 体育祭 団結力で 優勝だ 』
季語:体育祭(秋)
体育祭の思い出を詠んだ一句です。クラス皆で団結し、一生懸命頑張って優勝したのでしょう。笑顔いっぱいに喜ぶ作者の姿が想像できます。皆で勝ち取った優勝は、とても良い素敵な思い出ですね。大人になってもずっと作者の心に残ることでしょう。
【NO.17】
『 春風に ぐぐんとのびる 京都タワー 』
季語:春風(春)
修学旅行で京都タワーを見たのでしょうか。余程、大きくて高かったのかもしれません。「ぐぐんと」というフレーズが、その時の作者の感情をとてもよく表現しています。
【NO.18】
『 つばめの巣 落ちてバラバラ 武道場 』
季語:つばめ(夏)
高校の武道場につばめの巣があったのでしょう。残念なことに「落ちてバラバラ」になってしまい、悲しかったことでしょう。とても悲しくて切ない出来事で、作者の心にとても印象深く残っているのかもしれませんね。
【NO.19】
『 夏の空 打たれてしまった ホームラン 』
季語:夏(夏)
作者は野球部なのでしょうね。夏の試合で、大きなホームランを打たれてしまった様子を表現しています。「打たれてしまった」という言葉から、作者の悔しい気持ちがとてもよく伝わる一句です。
【NO.20】
『 黒板に でっかく感謝 卒業す 』
季語:卒業(春)
高校を卒業する日。毎日過ごした教室の黒板に「感謝」の気持ちを表現したのでしょう。「でっかく」というのが良いですね。とても素敵な光景で、作者の心にいつまでも残ることでしょう。
高校生向け!卒業をテーマにした思い出俳句作品集【前編10句】
【NO.21】
『 ピアッサー 売場を知らず 卒業す 』
季語:卒業(春)
ピアッサーの売り場を知らないまま卒業する、つまりピアスを開けないまま卒業してしまったという嘆きの一句です。中学から高校にかけてはピアスを禁止している学校も多く、付けてみたかった筆者の残念な気持ちが伺えます。
【NO.22】
『 いつまでも 残る卒業証書裏 』
季語:卒業証書(春)
卒業証書の裏に落書きや寄せ書きをしたのでしょう。この思い出の卒業証書の裏側はいつまでも残るのだと3年間の思いを大切にしている様子が分かる一句です。
【NO.23】
『 卒業の 空を見上ぐる 肩と肩 』
季語:卒業(春)
卒業式の空を肩を並べて見上げている様子を詠んだ句です。「肩と肩」という言い方から、背が近い人物が2人いると考えられます。友人同士なのか、親子なのか、どちらの意味でも読める句です。
【NO.24】
『 初恋は 机に置いて 卒業す 』
季語:卒業(春)
初恋を自分の机に置いて卒業していく、実らなかった片思いを詠んだ一句です。初恋相手とは進路が別れ、同じ高校に通うことはないのでしょう。恋をしていた日々を机に残し、どこか吹っ切れた爽やかさで卒業していきます。
【NO.25】
『 窮屈な 服が嬉しく 卒業す 』
季語:卒業(春)
卒業式のときは、いつも着崩している制服をきちんと着させられます。しかし、その窮屈さも卒業式のためだと思えば嬉しくなるというこれからの生活にワクワクしている一句です。
【NO.26】
『 校歌斉唱 初花の香に 泣ける 』
季語:初花(春)
校歌斉唱をしている最中に漂ってくる花の香りに思わず泣きそうになってしまった、という一句です。卒業式の時期なので、漂ってきたのは桜の香りでしょうか。出会いと別れの象徴のような桜の花に、別れの時が近いことを実感しています。
【NO.27】
『 卒業で 切れる縁では なひはずだ 』
季語:卒業(春)
高校を卒業するとなると、地元から離れる人、就職する人、進学する人と進路が別れてしまいます。けれども、卒業しただけで切れる縁ではないはずだと断言し、これからも友人でいたいと宣言している一句です。
【NO.28】
『 あす会わぬ 友と合わせる 卒業歌 』
季語:卒業歌(春)
明日もう会うことは無い友と卒業歌を合わせる、という最後の共同作業をする寂しさを詠んだ句です。「会わぬ」「合わせる」と言葉遣いもうまく、テンポよく読める中に寂寥の思いを感じます。
【NO.29】
『 先生に 照れて一礼 卒業す 』
季語:卒業(春)
卒業生の名前を呼んでいる担任の先生に対してでしょうか。小学生や中学生の頃のように嬉しさを表すのではなく、少し照れた顔で一礼するという大人びた仕草とまだ子供の顔が入り交じった様子を詠んでいます。
【NO.30】
『 卒業歌 蛍も恩も 古びけり 』
季語:卒業歌(春)
卒業式に歌う歌は、「蛍の光」も「仰げば尊し」ももう古くなったよ、という1句です。筆者の卒業式の20年前は未だに蛍の光や仰げば尊しでしたが、現在は違う歌で卒業を祝っているのでしょうか。
以上、高校生向け卒業に関する俳句作品集でした!
今回は、【卒業をテーマにした俳句作品】を30句紹介しました。
高校を卒業すると、大人へと一歩近づく…そのような感覚がある方もいらっしゃるかもしれません。
大人と子どもの狭間の時期。将来への期待と不安、さまざまな感情が揺れ動いていることでしょう。
高校生活3年間の思い出は、これからさらに一歩踏み出す時に心の糧になるかもしれませんね。