【花の有名俳句 30選】春・夏・秋・冬!!桜や紫陽花などの季語を含む名句を紹介

 

五・七・五の17音に四季を織り込み、表現する「俳句」

 

俳句の季語として多いのが、四季折々、色とりどりに咲く「花」です。

 

 

今回は、花にまつわる有名俳句30をお伝えします。

 

リス先生
お気に入りの俳句を見つけてみてね!

花の季語を含む有名俳句集【前半15句】

 

俳句仙人
風で桜の枝がゆれ、花弁が散っています。大きく美しく、桜のダイナミックさを感じられます。

【NO.2】阿波野青敏

『 山又山 山桜又 山桜 』

季語:山桜(春)

現代語訳:春の山を歩くと、山、そして見事な山桜が延々と続いている

俳句仙人
山桜は、晩春の桜です。歩いても歩いても、山と山桜が目の前に表れます。そんな自然の様子を素晴らしいと称賛しています。

俳句仙人
椿は花弁が11枚落ちるわけでなく、花がぽとっと落ちて終わりを迎えます。赤と白の花の鮮やかな対比が目に浮かびます。

俳句仙人

とても有名な春の俳句です。蕪村は、絵画のような俳句を得意としていました。

1枚の絵のような風景が目に浮かびます。

俳句仙人
黄色い菜の花が、しあわせな印象を与えたのでしょうか。春の訪れに嬉しい気持ちが伝わってきます。

【NO.6】高浜虚子

『 いぬふぐり 星のまたたく 如くなり 』

季語:いぬふぐり(春)

現代語訳:いぬふぐりの花が咲いている。まるで小さな星がきらきらと瞬いているようだ

俳句仙人
いぬふぐりは、コバルトブルーの小さな花で、道端や野原、探してみるとどこにでも咲いています。小さな春に目を向けるやさしさがあふれています。

【NO.7】細見綾子

『 チューリップ 喜びだけを 持っている 』

季語:チューリップ(春)

現代語訳:チューリップはその包み込むような形のなかに、喜びだけを持っていそうだ

俳句仙人
色とりどりのチューリップから、楽しいわくわくした喜びの気持ちが伝わってきそうです。

【NO.8】椎名千恵子

『 セロファンの 中の幸せ かすみ草 』

季語:かすみ草(春)

現代語訳:きれいな花束のセロハンに包まれている、幸せそうなかすみ草だなあ

俳句仙人
かすみ草は白くて小さな花をつけ、よく花束にされています。季節を問わず見かける花ですが、実は春の花なのです。

俳句仙人
高浜虚子の有名な俳句のひとつです。優れた観察眼をもった、虚子らしい句です。

俳句仙人
紫陽花は梅雨の時期にみかける夏の季語です。人の心もは花の色のように移り変わりやすいものだ、という子規の思いが込められています。

【NO.11】水原秋櫻子

『 石楠花(シャクナゲ)や 谷をゆるがす 朝の鐘 』

季語:石楠花(夏)

現代語訳:シャクナゲが谷をゆるがせる朝の鐘のように咲き誇って揺れているよ

俳句仙人
枝の先に、つつじに似た大きな花をかたまって咲かせるシャクナゲ。夏を代表する花の一つです。

【NO.12】星野立子

『 今朝咲きし 山梔子(くちなし)の 又白きこと 』

季語:山梔子(夏)

現代語訳:今朝咲いたクチナシの花のまた、白いことよ

俳句仙人
甘い香りのするクチナシの花、その白さにはっとする句です。

俳句仙人
白やピンクの花をつける百日紅。ぎらぎらと暑い夏の日に、見上げた百日紅の色が目に鮮やかな句です。

【NO.14】芝不器男

『 向日葵の 蘂(しべ)を見るとき 海消えし 』

季語:向日葵(夏)

現代語訳:向日葵の真ん中の蘂(しべ)を観察していると、一瞬海が消えるようだ

俳句仙人
夏の日に、向日葵の真ん中を一生懸命、見ていると背景の海が消えてしまうようだという情景が浮かんでくる句です。

【NO.15】鈴木真砂女

『 向日葵や もののあはれを 寄せつけず 』

季語:向日葵(夏)

現代語訳:向日葵は、しみじみとした趣などではなく堂々と咲いている

俳句仙人
夏の暑い日に、まっすぐに伸びる向日葵の力強さ、たくましさを感じます。

 

花の季語を含む有名俳句集【後半15句】

 

【NO.1】杉田久女

『 夕顔の ひらきかかりて 襞(ひだ)ふかく 』

季語:夕顔(夏)

意味:開きかけている夕顔のひだのなんと深いことよ

俳句仙人
夕顔は源氏物語にも女性の名前として登場します。夕方に咲く純白の白い花は儚くとてもきれいです。

俳句仙人
夏のイメージがある朝顔ですが、実は秋の季語です。千代女のやさしさがあふれている句です。

俳句仙人
朝顔はさまざまな俳人が、句を詠んでいます。深い藍色の朝顔の、その色の濃さが目に鮮やかにうつります。

【NO.4】久保田万太郎

『 草の花 ひたすら咲いて みせにけり 』

季語:草の花(秋)

意味:名もなき野草の花々もひたすらに、咲いて見せようとしている

俳句仙人
名もなき野草の花、良く知られている草の花も、「草の花」という秋の季語になります。秋は、野草の花のきれいな季節です。

【NO.5】松尾芭蕉

『 白露も こぼさぬ萩の うねりかな 』

季語:白露・萩(ともに秋)

意味:白露をためた萩の花、風で大きくうねってもその白露を落とさない

俳句仙人
秋の七草のひとつ、萩の花。小さい紫の花が一つの枝にたくさん咲きます。

【NO.6】星野立子

『 コスモスの 花ゆれて来て 唇に 』

季語:コスモス(秋)

意味:コスモスの花をかいでみようとしたら、花が風にゆれて唇にきた

俳句仙人
ぱっと目に光景が浮かぶ、とてもかわいらしい句です。

【NO.7】種田山頭火

『 歩きつづける彼岸花(ひがんばな)咲きつづける 』

季語:彼岸花(秋)

意味:歩きつづけている道に沿って、彼岸花がずっと咲いている

俳句仙人
赤い彼岸花がずっと一緒に歩いているかのような、自由律の俳句です。

俳句仙人
花ではないですが、秋の句として有名です。すすきは、秋の七草のひとつとされています。

【NO.9】夏目漱石

『 ある程の 菊投げ入れよ 棺の中 』

季語:菊(秋)

意味:亡くなった大切な人を弔うため、ありったけの菊を棺の中へ入れてくれ

俳句仙人
菊の花は、仏花としても有名です。大切な人を失ってしまった夏目漱石の悲しみが伝わってきます。

【NO.10】今村青魚

『 土地人も まよふ袋路 金木犀(きんもくせい) 』

季語:金木犀(秋)

意味:古くからその土地に住んでいる人も迷ってしまう袋路に金木犀が咲き誇っている

俳句仙人
秋になると、どこからか金木犀の香りがただよってきます。住んでいる人さえも香りにつられて道に迷い込んでしまうようです。

【NO.11】細見綾子

『 山茶花(さざんか)は 咲く花よりも 散ってゐる 』

季語:山茶花(冬)

意味:山茶花は咲いている花より散っている花のほうが美しい

俳句仙人
童謡でもおなじみのさざんか、ピンクや白の鮮やかな花弁は、散っていく様子も美しいものです。

【NO.12】亀田虎童子

『 客を待つ 床屋のポインセチアかな 』

季語:ポインセチア(冬)

意味:お客さんを待っている床屋にポインセチアが並べてある

俳句仙人
ポインセチアはクリスマスの花として定番になりました。赤い部分は実際は葉っぱで、クリスマスにはいたるところに飾ってあります。

【NO.13】与謝蕪村

『 水仙や 寒き都の ここかしこ 』

季語:水仙(冬)

意味:冬の京都を歩いていると、あちらこちらに水仙の花が咲いているよ

俳句仙人

白い水仙の花、黄色い水仙の花、今でも道端のあちらこちらに咲いています。

まるで道を灯す明かりのようにあちらこちらに咲く水仙の様子が目に浮かびます。

【NO.14】太祇

『 赤き実と 見てよる鳥や 寒椿 』

季語:寒椿(冬)

意味:冬の赤い椿に鳥が、赤い実だと思って寄っていっている

俳句仙人
エサが少ないのか、鳥が椿の花を赤い実だと勘違いして寄っている、そんな鳥に対するやさしいまなざしも感じられます。

【NO.15】室生犀星

『 石垣の あひまに冬の すみれかな 』

季語:冬の菫(冬)

意味:石垣の合間の日の当たるところに、冬のすみれが咲いている

俳句仙人
すみれは春を代表する花ですが、冬の間も健気に咲くすみれに心があたたかくなります。

 

 

以上、花に関する有名俳句集でした!

 

俳句仙人
花の俳句をたくさん紹介してきました。
ほかにも花の季語はたくさんあり、同じ花でも季節によって呼び方が違うものもあります。
ぜひ身近な花の俳句を詠んでみてください。