【俳句の句またがりとは】簡単にわかりやすく解説!!意味や効果・俳句例など

 

俳句は、五七五の十七音で構成されています。

 

通常の五七五のリズムで作られている俳句を、「正調(定型)」の俳句といいます。

 

それに対して、十七音で構成されていても、リズムが五七五ではないようにして作られている「破調」の俳句と呼ばれるものがあります。

 

今回は、破調の俳句の中で用いられる「句またがり」という手法についてお伝えします。

 

リス先生
ぜひ参考にしてみてね!

俳句の「句またがり」とは?意味や効果について

 

俳句の「句またがり」とは、句の音数は五七五の十七音に収まっているものの、言葉の意味が五七五の切れ目に合わせていないものをいいます。

 

一つの語が二つの切れ目をまたいで使われます。「句またがり」では、語句の切れ目と、意味の切れ目にずれが生じ、新たなリズムが生まれます。

 

これだけれでは少しわかりづらいので…、実際に「句またがり」の手法が使われている句を挙げてみましょう。

 

算術の 少年しのび 泣けり夏 (作:西東山鬼)

(意味:夏休み最終日、算術の宿題が終わらずこっそり泣いている少年がいることだ)

 

この句を五・七・五で区切ると・・・

 

「さんじゅつの しょうねんしのび なけりなつ」

一方、意味の切れ目で区切ると・・・

 

「さんじゅつの しょうねん しのびなけりなつ」

 

以上のように、五・四・八となり、「しのび泣けり」が「句またがり」になっています。

 

「しのび泣けり」から、宿題が終わらずこっそりと泣いている少年の姿を読み手に想像されているのです。

 

俳句の「句またがり」の手法を使うことで、俳句の五七五のリズムに合わないところで意味の切れ目をつくり、句に新しい印象付けをしています。

 

以上のように、十七音という決まりの中で、五七五と切るのではなく、意味の切れ目として八、四、五など通常と違う切り方をするものが、「句またがり」です。

 

俳句の「句またがり」の使い方やコツ・注意点

 

ここでは、句またがりの俳句を作るときのコツや注意点をご紹介します。

 

(1)まずは、十二音で考える

句またがりの俳句を作る際、どうしてよいか悩みますが、作りやすい方法として「十二音を先に作り、そこに季語を含めた五音を加える方法」があります。

 

例えば・・・

 

ひととゐる ことのたのしさ 草紅葉 (作:行方克己)

 

「ひととゐることのたのしさ」で十二音となり、「草紅葉」の季語を添えています。

 

流れるような音のリズムと、意味のずれの感覚により、とても新鮮な俳句を作ることができます。

 

(2)リズム、意味を考えすぎて作らない

俳句を作る際に、リズムと意味を分けて考えすぎるとよくありません。直観で詠むことが大切です。

 

句またがりの俳句を作る際は、特にリズムと意味を考えすぎるとかえってつながらない句になりがちです。

 

自分の直観を大切に作ることが大切です。

 

(3)むやみに使わない

句またがりの手法は、むやみに使うものではありません。

 

句またがりの手法を使う目的をしっかりもち、効果がはっきり出ることが明らかなときにのみ使うことが大切です。

 

俳句は情景を伝えるものです。しかし、情景を伝える際に、五音や、七音の中では表現することが難しいと感じるときがあります。

 

その時に、「句またがり」の方法を知っておくと、新たな俳句の表現をすることができます。

 

自分の表現方法の技術の一つとして、理解しておくことをおすすめします。

 

「句割れ」や「中間切れ」との違い

 

「句またがり」の手法と間違えやすいものとして、「句割れ」「中間切れ」があります。

 

それぞれについて説明します。

 

「句割れ」・・・句の終わりではないところで文が終わること

【俳句例】「冬景色なり何人で見てゐても」

読み「ふゆげしきなり なんにんで みていても」

「ふゆげしきなり」と言い切りの形にして、終わっています。「句割れ」にすることで印象深さを増すことができます。

「中間切れ」・・・二句の途中で切れ字や言い切りの表現を使った表現方法

【俳句例】「噴水のしぶけり四方に風の街」

読み「ふんすいのしぶけり よもに かぜのまち」

第二句「しぶけりよもに」の中に切れ字「けり」があります。「しぶけり よも」と四・三で切ることになるので中間切れとなります。

 

俳句の句またがりを使った有名俳句集【5選】

 

【NO.1】松尾芭蕉

『 海暮れて鴨のこゑほのかに白し 』

読み方:うみくれて かものこえほのかにしろし

季語:鴨(冬)

現代語訳:日が暮れゆく海、鴨の声がほのかに白く感じる

俳句仙人

「ほのかに」が二句と三句をまたぎ、「ほのかにしろし」となっています。

「鴨の声ほのかにしろし」となることで、日が暮れゆきだんだんと周りの明るさが消える中、鴨の姿も次第に闇の中へ消えていく印象を強くしています。

 

【NO.2】山口誓子

『 虹のぼりゆき中天をくだりゆき 』

読み方:にじのぼりゆき ちゅうてんを くだりゆき

季語:虹(夏)

現代語訳:虹が天高く上ってゆき、天の中心から下ってくる

俳句仙人

「のぼりゆき」が句またがりになっています。読みとしては、七・五・五となります。

上五が七音になることで、空にかかる虹の高く大きな姿が印象付けられます。

 

【NO.3】加藤鍬邨

『 大学のさびしさ冬木のみならず 』

読み方:だいがくの さびしさ ふゆきのみならず

季語:冬木(冬)

現代語訳:大学の寂しさは、冬になり葉を全て落としてしまった木のせいだけではない

俳句仙人

句またがりで、「ふゆきのみならず」とすることにより、自らの寂しさと冬の枯れ木の寒々とした様子が調和しています。

 

【NO.4】正岡子規

『 春惜しむ宿や日本の豆腐汁 』

読み方:はるおしむやどや にほんのとうふじる

季語:春惜しむ(春)

現代語訳:春が過ぎていくのを惜しむ宿で、日本の豆腐汁がある

俳句仙人

この句では、切れ字「や」によって中七が切られ、句またがりになっています。句またがりの典型的な例といえます。

 

【NO.5】石田波郷

『 拭きおこる秋風鶴をあゆましむ 』

読み方:ふきおこるあきかぜ つるをあゆましむ

季語:秋風(秋)

現代語訳:鶴が羽を休めていると、秋風が吹きおこり鶴を空へ急き立てた

俳句仙人

「ふきおこるあきかぜ」とすることで、秋風が突風となり鶴を慌てさせている様を強く表現しています。

 

さいごに

 

俳句の「句またがり」についてお伝えしました。

 

「句またがり」の表現を使うと、作者のあふれ出る感情や情景を読み手に深く印象づけることができます。

 

しかし、「句またがり」の手法は、定型の五七五のリズムを理解しておくことが前提となります。

 

定型のリズムをまずはしっかり理解し、そして「句またがり」の俳句を多く鑑賞して、この手法を深く理解することが大切です。

 

「句またがり」の手法を知っておくと俳句の表現の幅が広がりますので、ぜひ自分の技の一つとして取り入れていきましょう。

 

リス先生
最後まで読んでくれてありがとう!