
今回は、朝顔を題材にした有名俳句やオリジナルの俳句をご紹介していきます。
朝顔とは、ヒルガオ科サツマイモ属の植物で、日本では最も身近な植物として知られています。
朝顔が咲くのは夏ですので夏の季語と思われがちですが、じつは朝顔は秋の季語です。
旧暦の二十四節気では、朝顔が季語として使用されるのは立秋の頃だとされており、立秋とは8月の初旬を指します。
そのため、朝顔は夏の風物詩ととらえてよいでしょう。
私たちの生活にとても馴染みの深い朝顔。現在では色とりどりの美しい姿を見せてくれますね。
今回は、お手本となる朝顔のおすすめ俳句をご紹介していきます。
朝顔の季語を含んだ有名俳句作品集【10選】
まずは、朝顔を季語として詠まれた有名な俳句をご紹介します。
【NO.1】加賀野千代女
『 朝顔に つるべ取られて もらい水 』
意味:井戸に水を汲みに行ったら、朝顔の蔓がつるべに巻きついていた。これを取り外してつるべを使うのはかわいそうなので、お隣に水をもらいに行くことにした
【NO.2】水原秋桜子
『 朝顔市 立つ日は癒えて 帰る日ぞ 』
意味:毎年7月に行われる朝顔市がもうすぐやってくる。その頃には、病床にいる自分の身体も癒え、家に帰ることができるだろう
【NO.3】炭太祇
『 蕣に 垣ねさえなき 住居かな 』
意味:あさがおというものは蔓が長いため、民家で咲かせる場合にはつるを巻き付ける垣根をつけるものだが、この住居にはその垣根がない。それほどにまで苦しい生活をしているのかもしれない
【NO.4】正岡子規
『 朝顔に われ恙なき あした哉 』
意味:今日もこうして、朝顔が咲く時間を迎えられた。明日もきっと、つつがなく朝顔を見ることができることだろう
【NO.5】稲畑汀子
『 朝顔の 萎えて朝の 心失せ 』
意味:朝顔がその美しい花を見せてくれるのは、朝の早い時間だけ。昼前になって朝顔がすっかり閉じてしまうと、すがすがしい朝の気分もどこかへ行ってしまったようだ
【NO.6】稲畑汀子
『 朝顔の 蔓の自由の 始まりし 』
意味:今年も朝顔の蔓がどんどん成長する季節になった。あちらこちらに伸びている蔓は、まるで自由を得たかのように生き生きして見えることだ
【NO.7】山本荷兮
『 あさがほの 白きは露も 見へぬ也 』
意味:朝顔が美しい白い花をつけている。その白さは、昨夜降った雨の露さえも見えなくなってしまうほどである
【NO.8】石田波郷
『 朝顔の 紺の彼方の 月日かな 』
意味:朝顔の花が咲き、その紺色を眺めていると、この花が咲くまでの長い月日のことを思い出すことよ
【NO.9】加藤楸邨
『 朝顔の 藍やどこまで 奈良の町 』
意味:7月の奈良の町に足を運ぶと、数えきれないほどの朝顔が咲いている。朝顔の花の藍色は、一体どこまで続いているのだろうかと思うくらいだ
【NO.10】松尾芭蕉
『 朝顔や 昼は錠おろす 門の垣 』
意味:夕方の夜に淀川のお茶屋から花火を打ち上げたいものだ
こんな俳句もある!朝顔のオリジナル俳句作品集【20選】
ここからは、朝顔を季語として詠んだ、オリジナルの俳句をご紹介していきます。
私たちの生活の中に馴染みの深い朝顔ため、たくさんの俳句が詠まれています。
【No.1】朝顔や 朝露のせたる 軽やかに
意味:朝の雨に濡れた朝顔はいっそうさわやかで、元気そうに花びらが開いている。そんな姿に元気をもらった
【No.2】朝顔や 月曜の朝に ホッといる
意味:休み明けで心が重い月曜日だが、出勤途中に朝顔が咲いているのを見て、沈んだ気持ちがホッとした
【No.3】朝顔や ひとりゆうらり 哲学す
意味:朝顔の花がひとつ、静かに揺れている。まるで物思いにふける自分の心と同調してくれているようだ
【No.4】朝顔の 色眺め歳 感じおり
意味:今年も朝顔が咲いた。その美しい色を見ていると、今まで自分が過ごしてきた歳月が思い出されることだ
【No.5】朝顔の ドレス仕立てや 誰ぞ着る
意味:大きな白い朝顔が、360度の方角に花をつけている。それを見ると、まるで丁寧に仕立てたドレスのように見える。自分はこのドレスを誰に着てもらいたいだろうか
【No.6】朝顔に つかみどころを 教えけり
意味:朝顔の蔓はどんどん伸びていってしまうので、うまく垣根に絡まるように調整してやらなければならない。それはまるで、どこにつかまればいいのかを教えてあげるような感じだ
【No.7】朝顔の 傷つき易き 絹の襟
意味:朝顔の花びらは、まるで絹の襟のようになめらかだ。しかし繊細で傷つき易いので、そっと触れなければならない
【No.8】朝顔の 紺一天の 晴れ間かな
意味:朝顔の紺色が美しい。まるで晴れ渡った空のようである
【No.9】文化から 朝顔市の いま令和
意味:文化の時代から続く朝顔市。いまや令和を迎えているが、変わることなく続いている
【No.10】桶に浮く 朝顔市の 団十郎
意味:朝顔市に行った際、団十郎という種類の朝顔が、花びらだけを切り取られて桶の中に浮いていた。その様子が涼やかで美しかった
【No.11】咲き疲れ 投げやり気味の 朝顔や
意味:猛暑を耐え忍び、強烈な台風にも蔦を絡ませて耐え忍んだ朝顔たちが、たんだか疲れてみえる。人も朝顔も本当によくがんばったものだ
【No.12】朝顔の 開き切つたる 海の色
意味:開花しきった朝顔の花を見ていると、そこに深い海の色が感じられて、とても美しいことだ
【No.13】朝顔に たたまれている 明日の色
意味:明日の朝まで朝顔が花開くことはないが、いまたたまれている花びらの中に、明日の希望をも包み込んでいるような気がすることだ
【No.14】朝顔も つるべのばせぬ 寒き夏
意味:冷夏の影響でなかなか朝顔が育たない。本来ならば今頃は、朝顔の蔓がたくさん伸びている時期であろうに
【No.15】朝顔は 彼の教室の 窓辺哉
意味:朝顔を見るたびに、学生時代の教室の窓際に朝顔が咲いていたのを思い出し、あの頃の懐かしい気持ちに想いを馳せてしまうことだ
【No.16】朝顔の 空より青く 咲きにけり
意味:朝顔が咲いている。晴れ渡る雲一つない空よりも青く、その花を咲かせていることだ
【No.17】行きしなの朝顔 帰りしなの歌
意味:待ちに待ったお出かけの日。行きには朝顔を眺めながら、帰りには鼻歌を歌いながら歩く道のりが楽しい
【No.18】王冠を 被る朝顔 実を見つけ
意味:朝顔に実がついているのを見つけた。その実の先が王冠に似ていて、まるで朝顔の花が冠を被っているようだ
【No.19】朝顔や まだ日のささぬ 水の色
意味:朝顔の濃い紫色は、まるでまだ日が差さない時間に静かに揺れている水のようだ
【No.20】朝顔が となりのつると 糸電話
意味:朝顔の蔓が長く伸びていて、色々なところに絡まっている。隣同士の蔓が絡まりあい、まるで糸電話をしているように見える
以上、朝顔を季語に使ったおすすめ俳句集をご紹介しました!