【風の俳句 30選】春夏秋冬!!いろんな季語を使った有名句&一般俳句ネタを紹介

 

みなさんは「風が吹いている」と聞くと、どのような「風」を思い浮かべますか?

 

春の南風、暑い夏の熱風、秋風、冬の北風など…、「風」にはたくさんの種類があります。

 

 

俳句では春一番や木枯らしなど、季節によって吹く風の種類が季語となります。

 

今回は、そんな「風」にまつわる有名俳句30をご紹介します。

 

リス先生
有名俳句だけではなく、一般の方が作った作品まで紹介していくよ!ぜひ最後まで読んでね!

風の季語を使った有名俳句【15選】

 

リス先生
ここでは、風にまつわる季語を使った俳句を季節ごとに紹介していくよ!

 

俳句仙人
高浜虚子の俳壇復帰の際の決意表明をした俳句です。並々ならぬ闘志と吹いている風が目に浮かびます。

【NO.2】松尾芭蕉

『 春風に 吹きだしわらう 花もがな 』

季語:春風(春)

現代語訳:春風が吹いている、こういう日は華やかにぱっと咲く花でもあったらいいのになあ

俳句仙人
春の訪れに、花でも咲いていればいいのになと思う芭蕉の様子がなんともかわいらしく感じられます。「ふきだし笑う」は開花を表現するフレーズです。

【NO.3】小枝恵美子

『 東風吹かば ポテトチップス 歩み来る 』

季語:東風(春)

現代語訳:春の東からの風が、(梅の花の香ではなく)ポテトチップスの匂いと食感を運んでくるよ

俳句仙人
「東風吹かばにおひ起こせよ梅の花…」と菅原道真が詠んでいますが、作者にはポテトチップスの匂いがしました。食感や音、さまざまなユーモアがあふれている句です。

【NO.4】岸田稚魚

『 胸ぐらに 母受けとむる 春一番 』

季語:春一番(春)

現代語訳:春一番が吹いて、よろけた母を胸で受けとめた

俳句仙人

春を感じる強い南風が、母をよろけさせます。母を受け止めながらも、年老いて軽くなった母に歳月が経ったことを感じます

【NO.5】正岡子規

『 海原や 夜に入りてから 風光る 』

季語:風光る(春)

現代語訳:広々とした海に夜がきてから風が吹いている。水面に反射してきらきらと輝く風に春を感じる

俳句仙人
「風光る」とは日差しも強く暖かくなった季節に、吹く風もきらきらと光っている様子をさします。正岡子規のみた光景が目に浮かびます。

【NO.6】菊田一夫

『 南風や 子猿の赤い ちゃんちゃんこ 』

季語:南風(夏)

現代語訳:夏の到来を告げる風が吹いているのに、子猿はまだ赤いちゃんちゃんこを着ているよ

俳句仙人
南風は「はえ」とも読みます。赤いちゃんちゃんこを着せられている子猿を優しく見つめる作者の様子が想像できます。

【NO.7】西東三鬼

『 黒南風の 岬に立ちて 呼ぶ名なし 』

季語:黒南風(夏)

現代語訳:ぬるくじめっとした風が吹いている岬に立ってみる、名前を呼ぶことはない

俳句仙人
黒南風とは梅雨の黒い雨雲の下をとおる風のことです。岬に立って誰かの名前を叫ぶでもない、どんよりとした空気感が感じられます。

【NO.8】郡山やゑ子

『 白南風の 相合傘は 寂しいよ 』

季語:白南風(夏)

現代語訳:梅雨明けの南風が吹いている、もう相合傘をすることもなくさびしい

俳句仙人
白南風とは、梅雨明けに吹く南風です。梅雨の頃は、相合傘をしていたのに、もう傘がいらなくなってなんだかさびしいと思う様子が、かわいらしい句です。

【NO.9】稲畑汀子

『 旅先で 揃ふ仲間に 風薫る 』

季語:風薫る(夏)

現代語訳:旅先で久しぶりにそろった仲間たちに初夏の風が吹いている

俳句仙人
「風薫る」は青葉や若葉を吹きわたる爽やかな初夏の風のことです。きらきらとした若葉と久しぶりの仲間に、作者の嬉しさが伝わってきます。

俳句仙人
涼風は文字通り、涼しい風です。風の通らない江戸の町を小林一茶が皮肉っている句です。夏の暑さが感じられます。

【NO.11】矢島渚男

『 涼風を いひ秋風を いふ頃ぞ 』

季語:涼風(夏)

現代語訳:季節的には、秋風と詠むべきか、でも感じているのは夏の気候だから涼風と詠むべきか

俳句仙人
最近では、暦は秋になっても、まだまだ夏の暑さが長く残るようになってきました。俳人も、季節をどう詠むか悩んでいるようです。

俳句仙人
秋風は哀愁を感じ、どことなく寂しい気持ちにもなります。この句は「口は禍のもと」という意味を表します。秋の風で心情を表現した句です。

【NO.13】小林一茶

『 秋風や むしりたがりし 赤い花 』

季語:秋風(秋)

現代語訳:秋風に赤い花が揺れている。亡くなった子がよくむしりたがっていたな

俳句仙人
子供のお墓参りに行くと、赤い花が咲いていて子供との思い出がよみがえってきます。さみしい気持ちが感じられます。

俳句仙人
戦争で特攻隊として亡くなっていった方を詠んだといわれています。次々と飛び立つ若者の命を、木枯らしに例えています。

【NO.15】芝不器男

『 北風や あをぞらながら 暮れはてて 』

季語:北風(冬)

現代語訳:北風が吹いている・風が強く空は雲一つないが、日が暮れようとしている

俳句仙人
北風が強く、雲のない空が暮れていきます。シンプルな表現ですが、冬の日の情景がありありと目に浮かびます。

 

風の季語を使った一般オリジナル俳句【15選】

 

リス先生
ここからは一般の方が詠んだ俳句を紹介していくよ!

 

【NO.1】

『 春の風 冬の終わりを 今つげる 』

季語:春の風(春)

意味:春風が吹いてきた。今、冬の終わりをつげているよ

俳句仙人
風に、季節の移り変わりを感じた作者の感性が光っている句です。

【NO.2】

『 春の風 運ばないでね アレルゲン 』

季語:春の風(春)

意味:春風よ、飛び始めるアレルゲン(花粉)をどうか運んでこないで

俳句仙人
現代らしい俳句です。ユーモアと切実な思いも感じられます。

【NO.3】

『 登校中 パンの香りや 春の風 』

季語:春の風(春)

意味:登校中、春風にのってパンの香りがしてきたなあ

俳句仙人

入学のシーズン、通学途中にパンの香りがしてきたのでしょうか。

とても癒されます。

【NO.4】

『 春一番 風が帽子を さらってく 』

季語:春一番(春)

意味:名もなき野草の花々もひたすらに、咲いて見せようとしている

俳句仙人
帽子を飛ばされないように、あわてておさえる姿が目に浮かびます。

【NO.5】

『 春風に そよぐわが子の 産着かな 』

季語:春風(春)

意味:春風に吹かれて、干した子供の産着が風にそよいでいるよ

俳句仙人
春は命の誕生の季節です。わが子の産着をいとおしそうに見つめる、お母さんとあたたかい春風に、見ている方も胸が暖かくなります。

【NO.6】

『 生まれたと 友より知らせ 薫る風 』

季語:薫る風(夏)

意味:友達より「生まれた」と連絡がきた、初夏の風とともに

俳句仙人
初夏の風とともに友人から嬉しいお知らせが届きました。新しい命と初夏の若葉がきらきらとまぶしい日を想像します。

【NO.7】

『 風薫る バドミントンの 羽根は屋根 』

季語:風薫る(夏)

意味:初夏の風が吹いている、風にのってバドミントンの羽根が屋根にのってしまった

俳句仙人
外で遊んでいる初夏の日の楽しい声が聞こえてきそうです。

【NO.8】

『 夏風が 花のにおいを 連れてきた 』

季語:夏風(夏)

意味:夏の風に乗って花のにおいがする

俳句仙人
風がにおいを連れてくる、どんな花のにおいだったのか、気になります。

【NO.9】

『 前髪と 戯れていく 夏の風 』

季語:夏の風(夏)

意味:夏の風が吹いて、前髪を揺らしていった

俳句仙人
暑い夏に汗でおでこに前髪が張り付きそうになります。そんな夏の風に清涼感を感じる句です。

【NO.10】

『 夏かぜや 立たんとする子の 背を支え 』

季語:夏風(夏)

意味:夏の風が一人で立って歩こうとする子供の後押しをしてくれているようだ

俳句仙人
夏の風が一生懸命に歩こうと、ふらふらしている子に寄り添って流れている光景が浮かびます。応援している周りのかたのやさしさが感じられます。

【NO.11】

『 台風が ぼくのやる気を 連れてった 』

季語:台風(秋)

意味:台風がきて、ぼくのやる気まで連れて行ってしまった

俳句仙人
夏に多い台風ですが、実は秋の季語です。台風によってやろうと思っていたことができなくなったのか、はたまた台風のせいにしたのか、ユーモアが光ります。

【NO.12】

『 秋の風 ぼくの打球を スタンドへ 』

季語:秋の風(秋)

意味:秋風よ、どうかぼくの打球をスタンドに運んでくれ

俳句仙人
ぐんぐんと伸びる打球にホームランになってほしい、と祈る様子が目に浮かびます。秋なので、最後の大会なのかもしれないですね。

【NO.13】

『 秋風に 散るとき探る 一葉ずつ 』

季語:秋風(秋)

意味:秋風に散る一枚、一枚の葉の色を探してしまう

俳句仙人

秋風に吹かれて一枚、一枚、散っていく葉にさみしさを感じます。

季節の移り変わりや、秋のもの悲しさも葉っぱに重ねてしまいます。

【NO.14】

『 寒風が 海打ち鳴らす 凄まじく 』

季語:寒風(冬)

意味:寒風が海の水面をドーン、ドーンと打ち鳴らしているよ

俳句仙人
自然の荒々しい様子が伝わってきます。見ている方も、こわくなってしまうほど、荒れている海の恐ろしさを感じます。

【NO.15】

『 散髪の 僕待ち伏せて 北の風 』

季語:北の風(冬)

意味:久しぶりに散髪をしたら、床屋を出た途端、北風が吹きつけてきた

俳句仙人
誰しもがこの、髪を通る風を経験したことがあるのではないでしょか。きりっと身が引き締まる寒さを感じます。

 

 

以上、風に関する有名俳句集でした!

 

俳句仙人
風にまつわる俳句をたくさん紹介してきました。
「風」にも季節によって、たくさんの呼び方があります。
ぜひ「風」を感じて俳句を詠んでみてはいかがでしょうか?