【春の有名俳句 40選】春を感じる句・一覧!季語を含むおすすめ俳人名句を紹介

 

春は草木が芽吹き、桜が咲き、暖かく穏やかで美しい季節です。

 

五・七・五の十七音で情景や心情を詠む俳句には、春の情景を詠んだ俳句が数多く存在します。

 

 

今回は、「春の季語」を含むおすすめ有名俳句を40句紹介していきます。

 

リス先生
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知ったおきたい!春の季語【例一覧】

 

俳句には、季節を表す「季語」を入れて詠むという決まりがあります。

 

春の季語は、旧暦の1月から3月、現在の暦で2月から4月頃のものを指します。

 

例えば、春の季語には次のようなものが挙げられます。

 

【春の季語

  • 時候に関する春の季語・・・暖か、うららか、のどか、啓蟄、睦月、初春、寒明、二月、旧正月、立春、早春、春浅し、寒戻り、春寒、春遅し、春めく、如月、雨水、三月、弥生、春分、彼岸、晩春、四月、春暁、春は曙、日永、春の宵、朧月夜、木の芽時、春紅葉、花冷、行く春、夏近し、夏隣
  • 天文に関する春の季語・・・春の日、春の雲、春の空、春風、風光る、春の月、朧月、春の星、東風、貝寄風、春一番、春疾風、春嵐、黄砂、春の雪、春雨、春時雨、淡雪、牡丹雪、名残りの雪、春の霙、春の霰、春の霜、初雷、春雷、虫出しの雷、霞、陽炎、春陰、花曇、鳥曇、春夕焼、蜃気楼
  • 地理に関する春の季語・・・春の山、山笑う、春の野、焼野、春の水、水温む、春の川、春の海、春の波、春潮、干潟、春田、苗代、春泥、春の土、雪解、雪解け川、残雪、氷解く、雪代、雪崩、薄氷、流氷
  • 行事に関する春の季語・・・建国記念の日、憲法記念日、初午、針供養、お水取、バレンタインデー、桃の節句、雛祭、男雛、女雛、官女、五人囃子、雛納め、雛流し、菱餅、白酒、雛あられ、曲水、納税期、どんたく、春場所、開帳、春祭、謝肉祭、復活祭、みどりの日、ゴールデンウィーク
  • 人事に関する春の季語・・・梅見、野焼、野火、山焼、畑焼、牧開く、杜氏帰る、雪囲解く、垣手入、北窓開く、屋根替、春の炉、春火鉢、炬燵とる、春障子、磯開、海女、壺焼、磯遊、潮干狩、目刺、干鰈、田打、田起し、種蒔、土筆摘む、茶摘、春の風邪、花粉症、遠足、受験、花見、春眠
  • 動物に関する春の季語・・・春の鹿、猫の恋、猫の子、春の鳥、鶯、雲雀、燕、燕の巣、鳥帰る、帰雁、さえずり、巣箱、雀の子、頬白、桜鯛、魚島、目張、白魚、鱒、飛魚、蛍烏賊、飯蛸、公魚、若鮎、蛤、栄螺、浅蜊、蜆、烏貝、蜷、赤貝、馬刀、桜貝、田螺、寄居虫、蛙、蝶、蜂、蜂の巣、蚕
  • 植物に関する春の季語・・・梅、紅梅、椿、初桜、桜、彼岸桜、枝垂桜、山桜、八重桜、夜桜、花吹雪、残花、花筏、沈丁花、ミモザ、チューリップ、菫、蓬、土筆、藤、藤棚、木蓮、雪柳、躑躅、山吹、桃の花、梨の花、林檎の花、杏の花、オレンジ、木の芽、芽吹く、緑立つ、若草、花粉

 

リス先生
次に春の有名俳句を紹介していくよ!

春のおすすめ有名俳句【前編 20句】

 

俳句仙人
古池の情景、そこへ飛び込む蛙の様子、飛び込んだ時の水の音が想像できます。古池の静かな情景や静かさを、蛙が飛び込む水の音によって見事に表現しています。

俳句仙人
「ゆかし」は心が引きつけられることを表す言葉です。すみれは小さな花ですが、寂しい山道の中で、思わず引きつけられる様子で咲いていたのでしょう。

【NO.3】松尾芭蕉

『 鶯の 笠落としたる 椿かな 』

季語:鶯(春)

意味:庭先の鶯がまるで花笠を落としたかのように、椿の花がぽとりと落ちたことよ。

俳句仙人
椿は花弁が散らず、花ごと落ちます。これは、落ちる椿を笠にたとえた句です。鶯は本来、梅の花につきものとされており、この句は梅を椿に置き換えたといわれています。

【NO.4】松尾芭蕉

『 鶯や 柳のうしろ 藪の前 』

季語:鶯(春)

意味:鶯がいるなあ。今は柳の木のうしろ、今度は藪の前に飛び移り、鳴き交わしている。

俳句仙人

鶯は春を告げる鳥と言われており、低地や藪を好む習性がある鳥です。色々な所に飛び移る鶯の可愛らしい様子や、春の穏やかな情景が詠まれた句です。

俳句仙人
梅の花は、春の花の木の中で最も香り高い木です。朝日が誘われて昇ったと思えるほど、梅の香りが素晴らしかったのでしょう。「のつと」という擬態語が特徴的です。

俳句仙人
松尾芭蕉が、旅立ちを見送ってくれた門人や友人たちと別れる際の心情を詠んだ句です。「鳥啼き」や「魚の目は泪」によって、別れを惜しむ気持ちがよく表されています。

俳句仙人
切れ字「や」を用いて菜の花の情景が表され、「月は東に日は西に」で壮大な情景が加えられています。菜の花の黄、月の金、夕日の赤と、色彩豊かに情景を詠んだ句です。

俳句仙人
「のたりのたり」という擬態語が特徴的です。「終日(ひねもす)」という語と合わさって、春の海の一日中変わらない穏やかな様子をよく表しています。

【NO.9】与謝蕪村

『 行く春や 重たき琵琶の 抱き心 』

季語:行く春(春)

意味:過ぎ行く春を惜しみ、琵琶でも弾こうと抱えたが、気だるい重さを感じるばかりだ。

俳句仙人
「行く春」は、過ぎ行く春を惜しむ思いが込められた言葉です。琵琶が重たく感じられたのは、春を惜しむあまり、哀しく寂しい気持ちになっていたからです。

俳句仙人
春になって雪が解け、外で遊ぶ子どもたちの姿を詠んだ句です。子供たちの喜びや、一茶が子どもたちをほほえましく見守る気持ちが伝わってきます。

俳句仙人
道で跳ねながら餌をあさる雀の子に向かって呼びかけている句です。「そこのけそこのけ」と繰り返しているところに、面白みや小さな雀の子への優しさが感じられます。

俳句仙人
雌を巡って争う、雄の蛙たちの中の一匹に声援を送る句です。この句には、一茶がやせがへるに自分の不遇な人生を重ねているという解釈もあります。

俳句仙人
幼くして母を亡くした、自身の辛い少年時代を回想して詠んだ句です。一茶が雀の子と自分を重ね、辛く寂しい気持ちを慰めようとしているように感じられます。

【NO.14】宝井其角

『 鶯の 身を逆に はつね哉 』

季語:鶯(春)

意味:鶯が身を逆さまにして、初音を聞かせているよ。

俳句仙人
鶯が枝を身軽に動きながら、鳴く様を表しています。其角は松尾芭蕉の門人でしたが、同じく門弟人だった向井去来はこの句を「ありえないことを詠んでいる」と批判しています。

【NO.15】宝井其角

『 すごすごと 摘やつまずや 土筆 』

季語:土筆(春)

意味:誰かが土筆を、ただただ夢中になって黙々と摘んでいるよ。

俳句仙人
「土筆」は古名を「つくづくし」と言います。また、「すごすご」は気落ちした様を表します。たくさんの土筆を摘むことだけに集中してしまっているのかもしれません。

俳句仙人
満開の桜の木の上に月が出ている様子を詠んだ一句です。花と月夜という春の定番の風景を詠んでいる有名な句です。

俳句仙人
この句は『おくのほそ道』の旅に出かける際に住んでいた庵を引き払う時に詠まれた俳句です。次に住む家族に小さい女の子がいると聞き、「雛」を詠みこんだ句を庵の柱に掛けて引き渡しています。

俳句仙人
「牛に引かれて善光寺参り」とは有名な説話で、「思いがけない縁で良いことが起きる」という意味にも使われます。気候が良くなってきたので、故事にもあるとおり善光寺に行こうと呼びかけている一句です。

俳句仙人
「新茶」は夏の季語ですが、お茶つみを表す「つむ茶」は春の季語です。茶の木は腰あたりの高さに保たれているため、腰を曲げてお茶をつみながらたまに腰を叩いている人達の様子を詠んでいます。

俳句仙人
この句を詠んだときの作者は、長年悩まされてきた相続問題などが解決していて「おらが世や」と詠むほど充実していました。草餅はヨモギで作られるため、「そこらの草」とは自生しているヨモギのことだと考えられます。

 

春のおすすめ有名俳句【後編 20句】

 

【NO.1】宝井其角

『 花に酒 僧とも詫ん 塩ざかな 』

季語:花(春)

意味:花見には酒だ。僧と飲むのだから、つまみは塩でいこうじゃないか。

俳句仙人
「塩ざかな」は塩を酒の肴にすることです。僧は魚肉や獣肉を食べることを禁じられていたので、塩を肴に楽しく飲んだのでしょう。其角はかなりの酒飲みだったそうです。

【NO.2】向井去来

『 手をはなつ 中に落ちけり 朧月 』

季語:朧月(春)

意味:別れ際に握り合った手を離せずにいると、手の中に落ちるように月が消えたことだ。

俳句仙人
去来が弟の魯町と別れる際の句です。春の早朝、別れを惜しんで握手を交わす二人。別れを惜しむうちに時が過ぎ、いつのまにか朧月も消えてしまっていたのでした。

【NO.3】向井去来

『 何事ぞ 花みる人の 長刀 』

季語:花みる(春)

意味:何事だろうか。花見に長刀をさしてやってくるとは、何と無粋なことだ。

俳句仙人
花見は身分など関係なく、誰もがただ花の美しさを味わい、楽しむものです。そのような花見に、長刀をさしてやってきた人の無粋さを批判する句です。

【NO.4】向井去来

『 動くとも 見えで畑うつ 男かな 』

季語:畑うつ(春)

意味:動くように見えないのだが、畑を耕している男がいるようだよ。

俳句仙人
「畑を打つ」は春の到来を表します。遠くにかすんで見える畑で、畑を耕す男の姿が詠まれています。広々とした畑や、懸命に畑を耕している男の様子が想像できます。

【NO.5】正岡子規

『 島々に 灯をともしけり 春の海 』

季語: 春の海(春)

意味:島々で灯火がともされ、それが波にゆれる様が見える。美しい春の海であるよ。

俳句仙人
春の海は、穏やかでのんびりとしています。穏やかな春の海の情景に「灯」が付け加えられ、より美しく感じられる海の様子が詠まれています。

【NO.6】正岡子規

『 春や昔 十五万石の 城下哉 』

季語:春(春)

意味:江戸幕府の頃は十五万石の栄えた城下だった、あの春も今は昔のことよ。

俳句仙人
子規が従軍記者として戦地に赴く際に、故郷を想って詠んだ句です。「十五万石」は伊予松山藩の江戸時代の石高です。松山の昔の姿を懐かしむ気持ちが詠まれています。

俳句仙人
山の残雪は春の日射しを受けて美しく輝きます。この句が詠まれた当時、子規は病床にありました。心に浮かんだ春の美しい情景を詠んだ句です。

俳句仙人
散る際に花ごと落ちる椿が、地面に落ちている様子を詠んだ句です。目の前で花が落ちる様子を詠んだとする解釈もあります。赤と白の色彩が印象的な美しい句です。

【NO.9】河東碧梧桐

『 ひたひたと 春の潮打つ 鳥居かな 』

季語:春の潮(春)

意味:ひたひたと、春の潮が打ち寄せる鳥居であるなあ。

俳句仙人
海中、もしくは海沿いに立つ鳥居と、春の潮の情景を詠んでいます。春分の頃は秋分とともに、潮の干満が一年で最も大きくなります。満ち満ちた海の光景が浮かんできます。

【NO.10】高浜虚子

『 鎌倉を 驚かしたる 余寒あり 』

季語:余寒(春)

意味:鎌倉や、鎌倉に住む人々を驚かせる、突然の寒波があった。

俳句仙人

鎌倉は比較的温暖な気候の土地でした。そこに突然の寒波が訪れた時の鎌倉の様子

と、作者自身の驚きが表現されています。突然の寒波は、武士を驚かせる敵襲のようでした。

俳句仙人
正岡子規の門人だった虚子が、子規の死後に伝統俳句を守ろうとしていた時の句です。同じく子規の門人で、新傾向俳句の道に進む河東碧梧桐に「闘志」を抱いていました。

【NO.12】飯田蛇笏

『 春めきて ものの果てなる 空の色 』

季語:春めく(春)

意味:草木が枯れ果てた冬景色の様子であったが、春らしくなってきた空の色だよ。

俳句仙人
草木が枯れ果てる冬景色の中に、春の訪れを感じたことを詠んだ句です。冬の終わりと春の始まりが混ざり合う情景が想像できます。また、春への希望を感じさせます。

俳句仙人

馬酔木が咲く春の美しい情景が詠まれています。「来し方」は、「自分の過去」という解釈もできます。過去の自分を肯定する、前向きな心情が感じられます。

俳句仙人

「宗谷」とは樺太と北海道との間の海峡です。誓子は少年時代を樺太で過ごし、16歳で故郷の京都へ戻りました。この句は、帰京の際に船で見た情景を回想して詠んだ句です。

【NO.15】阿波野青畝

『 山又山 山桜又 山桜 』

季語:山桜(春)

意味:山脈がどこまでも続いており、山桜もあちこちに咲いていることだ。

俳句仙人
山桜はソメイヨシノなどよりも淡い色をしています。山桜の咲く山脈の美しい様子が想像できます。また、すべて漢字で詠むことで、連なる山脈の力強さを表しています。

俳句仙人
「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言われる言葉ですが、彼岸に入っても寒いことは良くあります。この時期の寒さは毎年のことだと、どこか笑い飛ばすように軽快なリズムで詠んでいる句です。

俳句仙人
スミレは大輪の花を咲かせる訳ではなく、ひっそりと小さな花を咲かせます。大輪の花のような「大きな」人間でなくとも、スミレのようにひっそりしていても凛と咲く「小さな」人間でありたいという作者の決意が見える句です。

俳句仙人
立ち寄った知人宅からの帰り道で月を見た時の一句です。あまりの月の見事さに今まで一緒にいた知人たちに知らせたいような気持ちが、「外にも出よ」という表現から伝わってきます。

俳句仙人
作者が東京の神田の大学に通っているときに詠まれた一句です。春本番の気候に大学という新生活でソワソワしている様子が浮かんできます。

俳句仙人
「たんぽぽのぽぽ」という表現は、江戸時代の俳諧にも見られます。作者はその俳諧を下敷きにした上で「ぽぽのあたり」とぼかすことによって、読者がどのあたりが火事に見えているのか考えられる余地を残しています。

 

以上、「春の季語」を含む有名俳句40選でした!

 

さいごに

 

今回は、「春の季語」を含むおすすめ有名俳句を40句紹介してきました。

 

同じ春の俳句でも情景の表し方が違っていたり、作者の心情が詠まれていたり、表現の方法も表す内容も様々でした。

 

みなさんはどの俳句に魅力を感じましたか?今回ご紹介した俳句を参考に、ぜひ春の俳句作りを楽しんでみてくださいね。

 

俳句仙人
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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