【蝉(せみ)の俳句 40選】小学生向け!!日本の夏を感じさせてくれる有名•一般俳句集

 

夏といえば、蝉(せみ)。

 

ミンミン・じーじー・カナカナカナなどの様々な鳴き声とともに、子供達の夏休み、暑い夏の太陽、夏の夕暮れ等がイメージできるかと思います。

 

蝉の種類は、アブラゼミ、ニイニイゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシ(カナカナカナと鳴きます)、ツクツクボウシ、クマゼミ(ワシャワシャワシャと鳴きます)等たくさんあります。

 

蝉の種類や鳴き声をイメージして俳句を読んでみても楽しいかもしれません。

 


 

今回、俳句作りの参考になる蝉の俳句(俳人名句+一般俳句)を40句紹介していきます。

 

リス先生
有名俳句だけではなく、一般の方が作った作品まで紹介していくよ!ぜひ俳句作りの参考にしてね!

蝉(せみ)の季語を使った有名俳句【20選】

 

【NO.1】松尾芭蕉

『 閑さや 岩にしみ入る 蝉の声 』

季語:蝉(夏)

現代語訳:あたりはなんと静かなのだろうか。まるで蝉の鳴き声が岩にしみこんでいくようだ。

俳句仙人
現在の山形県にある山寺の立石寺参詣の際詠んだ句です。古木が生い茂り、苔むした土や岩ばかりの山道を歩いていると、蝉の声だけが岩に浸み込んでいくようで、あたりの澄んだ空気と人気の無い静けさを強く感じている様子が描かれています。

【NO.2】松尾芭蕉

『 やがて死ぬ けしきは見えず 蝉の聲(こえ) 』

季語:蝉(夏)

現代語訳:もうすぐ死んでしまうのに、そんな様子も見せずに精一杯声をあげて鳴いているな。

俳句仙人
蝉は成虫になってから一週間から二週間の命といわれていますが、そんな悲壮感も見せずに元気よく鳴いています。たとえ命が短くとも、精一杯頑張る蝉の生き様を感じている句です。

【NO.3】高浜虚子

『 秋蝉も 鳴き蓑虫も 泣くのみぞ 』

季語:秋蝉(秋)

現代語訳:秋蝉も蓑虫も泣きたいだけ思う存分なけばよいのだ。

俳句仙人
この句は終戦の年に詠まれた句です。戦時中は言いたいことや伝えたい情報・思想を公に発信することが難しい状態でした。この句は敗戦を迎えた日本が、これからは自由に表現できる時代が訪れたことを表現しています。

【NO.4】松尾芭蕉

『 撞鐘(つきがね)も 響くようなり 蝉の声 』

季語:蝉(夏)

現代語訳:まるで釣り鐘が響いているようにあたり一面蝉の鳴き声がしている。

俳句仙人
あまりにたくさんの蝉の鳴き声がしていて、まるで大きな釣り鐘を打った時のようにあたり一面にその鳴き声が響き渡っている様子が描かれています。

【NO.5】室生犀星

『 ふるさとや 松の苔づく 蝉のこゑ 』

季語:蝉(夏)

現代語訳:苔むした松の古木から蝉の声が聞こえてくると、故郷が懐かしく思える。

俳句仙人
作者が蝉の声がしてくる古い松の木を見て、懐かしい故郷の景色などを思い出している様子の句です。

【NO.6】与謝蕪村

『 半日の 閑を榎や せみの声 』

季語:せみ(夏)

現代語訳:半日のんびりしていたら、榎の木から蝉の声がきこえてきた。

俳句仙人
半日暇にまかせてのんびりしていたら、思わず榎の木から蝉の鳴き声がしてきたことに気づき、癒されている様子を詠んでいます。

【NO.7】与謝蕪村

『 蝉鳴や行く人絶ゆる橋ばしら 』

季語:蝉(夏)

現代語訳:橋には通る人もいなくなくなり、蝉だけが橋ばしらで鳴いている。

俳句仙人
暑さで通る人もいなくなっている橋には、橋ばしらにとまっている蝉の鳴き声だけが響いているという夏の昼間の様子を詠んだ句です。

【NO.8】小林一茶

『 蝉なくや つくづく赤い 風車 』

季語:蝉(夏)

現代語訳:蝉が盛んに鳴いている中、むなしく回っている風車のなんと赤いことであろう。

俳句仙人
作者は生後100日足らずの我が子をなくしています。蝉の鳴き声が響く中にその子の赤い風車はよく回り続けている様子から、親の悲しみと虚しさを読んだ句です。

【NO.9】正岡子規

『 ぬけがらの 君うつせみの うつつなや 』

季語:うつせみ(夏)

現代語訳:セミの抜け殻をみると、この世の現実はなんとはかないのであろう。

俳句仙人
「うつつなや」ははかなげなことを深く感じている様子の表現です。蝉の抜け殻をみて蝉の命の短さを思いながら現実世界のはかなさを詠んでいます。

【NO.10】星野立子

『 捕らわれし 蝉の鳴声 突然に 』

季語:蝉(夏)

現代語訳:子供たちに捕まってしまったのだろうか、突然に蝉の鳴き声がきこえだした。

俳句仙人
夏の子供達の昆虫採集の定番である蝉採りの様子が、突然始まった蝉の鳴き声で表現されています。

【NO.11】中村草田男

『 山頂の 丘や上なき 蝉の声 』

季語:蝉(夏)

現代語訳:それ以上の上がない山頂で蝉が鳴いているよ。

俳句仙人
山登りをして山頂にたどり着き、そこで聞こえた蝉の鳴き声に達成感が強調されて、感動した気持ちを詠んだ句です。

【NO.12】中村汀女

『 おいて来し 子ほどに遠き 蝉のあり 』

季語:蝉(夏)

現代語訳:遠くに聞こえる蝉の鳴き声が頼りなく、家に置いてきた我が子が気にかかる。

俳句仙人
作者は病気の我が子を家に置いてきています。蝉の鳴き声が遠くに頼りなさげに聞こえ、我が子が泣いているのではないかと思う母親の不安な気持ちが表現されています。

【NO.13】山口青邨(やまぐちせいそん)

『 この森の 蝉取の子に 木は高く 』

季語:蝉(夏)

現代語訳:蝉を取りに来た子供たちにはこの森の木は高くて難しいであろう。

俳句仙人
蝉は木の上の方で鳴きます。大木の多い森ではそれは高すぎて、蝉が身を守っていること、そして蝉取りに勇んできている子供たちにとってはなかなか思うように取れない様子がうまく表現されています。

【NO.14】山口誓子

『 あかつきの蝉と聞きつつまた眠る 』

季語:蝉(夏)

現代語訳:夏の明け方に蝉の声がきこえてきたが、また眠ってしまった。

俳句仙人
夏の明け方四時か五時ごろに蝉の声がしてきたが、まだ眠いのでその声を聞きながらも寝てしまった様子です。

【NO.15】水原秋桜子(みずはらしゅうおうし)

『 みんみん蝉 立秋吟じ いでにけり 』

季語:立秋(秋)

現代語訳:ミンミンゼミが秋の訪れである立秋をうたいに出てきたな。

俳句仙人
ミンミンゼミが鳴き出したので、夏の終わりが近づいてきたと感じている句です。

【NO.16】西東三鬼

『 岩に爪 たてて空蝉 泥まみれ 』

季語:空蝉(夏)

現代語訳:岩に爪を立てたままのセミの抜け殻が泥まみれになっている。

俳句仙人
「空蝉」とはセミの抜け殻のことです。岩にサナギを作ったのか、爪でしがみつくような姿でそのまま抜け殻が残っている様子を詠んでいます。

【NO.17】加藤楸邨

『 蝉しぐれ 中に鳴きやむ ひとつかな 』

季語:蝉しぐれ(夏)

現代語訳:セミがたくさん鳴いている中で、一匹が鳴き止んだことだなぁ。

俳句仙人
「蝉しぐれ」とは、一斉に鳴いている蝉の声がまるで時雨のように感じる現象を表しています。そんな中で、一匹だけ鳴くのをやめたことに気がついた作者の観察眼が光る句です。

【NO.18】正岡子規

『 名も知らぬ 大木多し 蝉の声 』

季語:蝉(夏)

現代語訳:名前も知らない大木が多い蝉の声が響く場所だ。

俳句仙人
幹や葉の形が特徴的なものを除けば、木の種類を言い当てられる人は少ないのではないでしょうか。この句でも、セミがとまって鳴いている木はどんな名前なのだろうかと施策を巡らせています。

【NO.19】中村汀女

『 暁の その始りの 蝉一つ 』

季語:蝉(夏)

現代語訳:夜明けが来る、その始まりの蝉の声が1つ高らかに響く。

俳句仙人
「その始まりの」という表現から、夜明けに一匹のセミが鳴き始めたことへの強い印象を抱かせる句です。夜の間はセミも鳴かないので、朝の訪れを感じさせます。

【NO.20】阿部みどり女

『 蝉鳴くや 暑く掴める ポンプの柄 』

季語:蝉(夏)

現代語訳:セミが鳴いているなぁ。掴んだポンプの柄がとても暑く感じる。

俳句仙人
ここで詠まれている「ポンプ」とは手押しの井戸のポンプのことで、かつては多くの場所で使われていました。セミの声を聞いていると、より一層暑く感じてしまう様子をよく表しています。

 

小学生向け!!蝉(せみ)の季語を使った一般俳句【20選】

 

【NO.1】

『 夏のせみかなしい声がまじってる 』

季語:夏のせみ(夏)

俳句仙人
夏の蝉の鳴き声を聞いていると、命の短い蝉が精いっぱい声を挙げているように感じて、そのはかなさに悲しさを感じている句です。

【NO.2】

『 めざましの おとよりはやく せみのこえ 』

季語:せみ(夏)

俳句仙人
夏の朝は開けるのが早く、蝉の鳴き声が目覚まし時計より早く聞こえて起こされてしまった様子が表現されています。

【NO.3】

『 せみの声 夜までつづく 大合唱 』

季語:せみ(夏)

俳句仙人
一心不乱に鳴き続けるたくさんの蝉の声が夏の夜まで続いてる様子の句です。

【NO.4】

『 おとうとが なきわめいてる あぶらぜみ 』

季語:あぶらぜみ(夏)

俳句仙人
小さな弟が泣きわめいている声とアブラゼミがひたすらに鳴く声が、重なり合って騒がしくなっている音の様子が表現されています。

【NO.5】

『 風に乗る せみの声また 近くなる 』

季語:せみ(夏)

俳句仙人
風に乗って聞こえてくる蝉の鳴き声が、風の吹く強さと向きによって大きくなったり小さくなったりする様子で、風の動きを感じながら、大きく聞こえると「近くなる」と表現している句です。

【NO.6】

『 空蝉(うつせみ)を 求めて歩く 子供たち 』

季語:空蝉(夏)

俳句仙人
「空蝉」(うつせみ)はセミの抜け殻です。子供たちが、セミの抜け殻を探しまわり、見つけてはその大きさや綺麗さを自慢しあったりする様子が目に浮かぶ句です。

【NO.7】

『 いもうとと せみのがっしょう ききにいく 』

季語:せみ(夏)

俳句仙人
夏休みの旅行先か、又は家族で帰った田舎で、妹の手を引き、たくさんの蝉の鳴き声がする森のほうに行ってみようとしている仲良し兄妹の様子が表現されています。

【NO.8】

『 蝉の声 風と一緒に 部屋の中 』

季語:蝉(夏)

俳句仙人
窓をあけたら、窓を閉めていて聞こえなかった蝉の鳴き声が突然聞こえてきて風と共に吹き込んできたように感じたことが詠まれている句です。

【NO.9】

『 カナカナの 蝉の声聞く 日暮れかな 』

季語:カナカナ(秋)

俳句仙人
カナカナは蝉のひぐらしの鳴き声です。朝夕の涼しいときに鳴くので、夏の終わりの日暮れ時の涼しさが表現されています。

【NO.10】

『 電柱や ビルの壁にも 蝉の声 』

季語:蝉(夏)

俳句仙人
都会では林や森がないので、蝉がとまるところは電柱やビルの壁です。その木陰の少ない都会でも蝉たちが鳴いている様子を詠んだ句です。

【NO.11】

『 蝉の声 野球中継 盛り上げる 』

季語:蝉(夏)

俳句仙人
夏といえば甲子園の高校野球です。テレビで夢中に応援してる家の外では、蝉が声張り上げて応援するかのように鳴いている様子が表現されています。

【NO.12】

『 とばっちり 姉弟喧嘩に 蝉の声 』

季語:蝉(夏)

俳句仙人
夏休みで姉弟の喧嘩も家に多くなり、そこで蝉の鳴き声も喧嘩の巻き添えをくうかのように、うるさいと怒られる様子が目に浮かぶ表現です。

【NO.13】

『 広島は あの日も蝉の うるそうて 』

季語:蝉(夏)

俳句仙人
広島の「あの日」とは、8月6日の原爆投下の日です。「うるそうて」は、」広島弁で「うるさくて」です。8時15分の原爆投下瞬間まではいつもの蝉がよく鳴いている暑い夏。その一瞬後の生命の声が全て消え、蝉の声もしなくなった不気味な静けさであたりが包まれた様子が浮かぶ句です。

【NO.14】

『 悩むより 今日を生きよと 蝉鳴けり 』

季語:蝉(夏)

俳句仙人
先のことをくよくよと悩んでいるより今を大切に前を向いて一生懸命に生きろ、というかのように、一週間から二週間ほどの短い命の蝉が、精一杯鳴いて訴えていると感じた事を詠んだ句です。

【NO.15】

『 山小屋の 蝉とりの 網懐かしき 』

季語:蝉(夏)

俳句仙人
山小屋の玄関に立てかけてある虫取り網が、最近は子供たちが大人になって使わなくなり、毎年の夏休みに蝉とりで賑やかっだった昔を懐かしんでいる句です。

【NO.16】

『 空仰ぐ かたちのままに 蝉の殻 』

季語:蝉の殻(夏)

俳句仙人
空を仰いだ形のまま残されているセミのぬけがらを詠んだ句です。セミは上を向いたような形でサナギになるため、残された殻もまた空を仰いでいます。

【NO.17】

『 蝉鳴いて 夏の日差しに なりにけり 』

季語:蝉(夏)

俳句仙人
蝉が鳴くと夏の日差しに切り替わったようだと実感しています。蝉の声を聞いた途端に暑く感じる人も多いのではないでしょうか。

【NO.18】

『 八月や あれよあれよと 蝉が鳴く 』

季語:蝉(夏)

俳句仙人
用事が忙しく、「あれよあれよ」という間に蝉が鳴く季節になった、としみじみ感じているのが「八月や」という切れ字から伺えます。ふと気がついたらもう8月、という驚きを詠んだ句です。

【NO.19】

『 法師蝉 午後の授業は うわの空 』

季語:法師蝉(秋)

俳句仙人
ツクツクボウシが鳴いていて、午後の授業をぼうっと聞いている学生の様子を詠んでいます。蝉の声に気を取られているのか、放課後の予定を考えて上の空になっているのか、どちらでしょうか。

【NO.20】

『 お別れの 鳴き声かすか 秋の蝉 』

季語:秋の蝉(秋)

俳句仙人
蝉のシーズンも終わる秋の蝉が、かすかな声で別れを告げるように鳴いている様子を詠んだ句です。夏はあれほどうるさく鳴いていたのに、秋には小さな声になっていることに季節の移り変わりを感じています。

 

以上、蝉(せみ)のおすすめ俳句40選でした!

 

さいごに

 

蝉といえば「夏の代名詞」ともいえる存在です。

 

有名俳句は少し言葉が難しく感じるかもしれませんが、内容を理解しながら鑑賞することで、昔の俳人達の気持ちが少しずつ感じられるようになってきます。

 

一般の方の俳句のように柔らかな表現で年齢に関係なく、感じたことを楽しく五七五に表現してみてください。

 

リス先生

最後まで読んでくれてありがとう!ぜひみんなも一句詠んでみてね!

 

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