【風鈴の俳句 20選】日本の夏の風物詩!!有名俳句&一般俳句ネタ例を紹介

 

「風鈴」は夏に涼しさを感じるための風物詩であり、俳句でも夏の季語になっています。

 

 

今回は、そんな風鈴が揺れる視覚と、鳴っている聴覚の両方に訴えかける風鈴の俳句20選お届けします。

 

リス先生
有名俳句だけではなく、一般の方が作った作品まで紹介していくよ!ぜひ最後まで読んでね!

風鈴を季語に使った有名俳句【10選】

 

リス先生
まずは俳人が詠んだ有名俳句を紹介していくよ!

【NO.1】 与謝蕪村

『 風鈴や 花にはつらき 風ながら 』

季語:風鈴(夏)

意味:風鈴が鳴っていることだ。咲いている花は散ってしまうほどの風であるが。

俳句仙人

風鈴のよい音色と引き換えに、花が散ってしまうほどの強風が吹いている。音色と花、両立できない侘しさを表した句です。

【NO.2】池西言水

『 ふかぬ日の 風鈴は蜂の やどりかな 』

季語:風鈴(夏)

意味:風が吹いていない日の風鈴は、蜂がその身を休める宿屋になっているんだなぁ。

俳句仙人

「やどり」という言葉から、蜂の巣ではなく1匹か二匹の蜂が体を休めている光景が浮かんできます。風が吹かない日の風鈴は動かないため、絶好の隠れ場なのでしょう

【NO.3】正岡子規

『 風鈴の 風にちりけり 雲の峯 』

季語:風鈴(夏)

意味:風鈴の風に散っていく入道雲であることだ。

俳句仙人
雲の峯とは入道雲のことで、こちらも夏の季語です。風鈴を鳴らす程度の風で入道雲が動かないとわかっていながら、ささやかな風で大きな雲を突き動かしていると空想を膨らませています。

【NO.4】正岡子規

『 風鈴の ほのかにすずし 竹の奥 』

季語:風鈴(夏)

意味:風鈴が鳴ると、ほのかに涼しい気がする。竹林の奥のこの場所よ。

俳句仙人

うっそうと茂る竹と竹の葉が日光をさえぎり、どこか薄暗い竹林の奥ですが、「ほのかにすずし」とあることからよい避暑地でもあると伝えています。風鈴の音が一層感じる涼しさを増していくようです。

【NO.5】高浜虚子

『 風鈴の 一つ鳴りたる 涼しさよ 』

季語:風鈴(夏)

意味:風鈴が一つ鳴っている。その音の涼しさよ。

俳句仙人

風鈴の個数が一つなのか、ちりんと一回音を立てたのか、その両方なのか、言葉少なに涼しさを語る技法が見事な一句です

【NO.6】原石鼎

『 風鈴の しきりにさびし 留守の軒 』

季語:風鈴(夏)

意味:風鈴がしきりに鳴っているのが寂しい。あの留守のお宅の軒先の風鈴よ。

俳句仙人

風鈴を聞く家の者がいないのにしきりに鳴っている様子を歌っています。留守宅なのに鳴っているのが寂しいのか、風鈴の音自体が寂しいのか、情緒があふれる句です

【NO.7】阿波野青畝

『 風鈴の 紙片は杜甫(とほ)の 詩なるべし 』

季語:風鈴(夏)

意味:風鈴に吊るしてある短冊は、杜甫の詩に違いない。

俳句仙人

杜甫とは、唐の時代の詩人で、「詩聖」と称される偉大な詩人です。よい音で鳴っている風鈴に吊るされている短冊に書いてあるのはその有名な杜甫の詩であろう、と納得している句になります

【NO.8】日野草城

『 夕風や 風鈴吊れば すぐに鳴る 』

季語:風鈴(夏)

意味:夕方になって風が吹き始めた。風鈴を吊るせばすぐに鳴るくらい強い風だ。

俳句仙人

「夕風」とは夕方になって吹く風です。昼の間の風よりも涼しい印象があり、そこに風鈴の音が響くことでより涼しさを感じさせてくれます

【NO.9】荻原井泉水

『 月光ほろほろ 風鈴に戯(たわむ)れ 』

季語:風鈴(夏)

意味:夏の夜空を優しく照らす月の光が、揺れる風鈴と戯れているようだ。

俳句仙人

自由律の俳句です。月の光「ほろほろ」と表現することにより、柔らかい月光の印象になります。風ではなく柔らかい光が風鈴と遊んでいるという、かわいらしくも幽玄な世界観の一句です

【NO.10】角川春樹

『 風鈴の 風を待ちたる 机かな 』

季語:風鈴(夏)

意味:風鈴を鳴らす風を待っている机の前の私だよ。

俳句仙人

エアコンではなく窓を開けて風が入ってくるのを待っているのでしょうか。風のない暑い部屋の中で、風鈴を鳴らす涼しい風を待ちわびる光景が浮かんできます

風鈴を季語に使った素人オリジナル俳句【10選】

 

リス先生
ここからは一般の方が詠んだ俳句を紹介していくよ!

【NO.1】

『 風鈴も やんで聞き入る 夏の虫 』

季語:風鈴(夏)

意味:風鈴も音を鳴らすのを止めて聞き入っている夏の虫の声よ。

俳句仙人
風鈴を擬人化した句です。鳴く夏の虫といえば蝉ですが、蝉の声に聞き入っていたと考えると松尾芭蕉の「閑さや岩にしみ入る蝉の声」を連想させます。

【NO.2】

『 風鈴が 風は友だと 鳴りひびく 』

季語:風鈴(夏)

意味:風鈴が風は友人だと言わんばかりに鳴り響いているよ。

俳句仙人

この句も風鈴を擬人化しています。風鈴が風と戯れているからこそ揺れて鳴り響いているという微笑ましい句です

【NO.3】

『 さぼりたる 風鈴百に ひとつくらい 』

季語:風鈴(夏)

意味:鳴るのをさぼっている風鈴が、百個もあれば一つくらいありそうだ。

俳句仙人

店先やイベントなどで多くの風鈴が吊るされている状況でしょうか、こんなに多ければ一つくらいは鳴るのをさぼっている風鈴があるかもしれないというユーモアあふれる一句になっています。

【NO.4】

『 風鈴が 揺れて荷物が 届きけり 』

季語:風鈴(夏)

意味:風鈴が揺れて、荷物が届いたということがわかる。

俳句仙人

人が通ったのか車が止まったときの風か、ドアを開けた家人の動きか、風鈴の鳴る音で荷物の到着を知るというとても風雅な一幕です

【NO.5】

『 炎より 生れし風鈴 さげにけり 』

季語:風鈴(夏)

意味:炎から生まれた風鈴を吊るしている。

俳句仙人

ガラス製の風鈴も、南部鉄器のような鉄製の風鈴も、どちらも炎によって成形され生み出されています。炎から生まれた風鈴が風によってよい音を鳴らしている、そんな仕組みの不思議さを歌っているのでしょう。

【NO.6】

『 日も月も 海より出づる 貝風鈴 』

季語:貝風鈴(夏)

意味:太陽も月も、海から登ってくるのだ。そしてこの貝風鈴の貝もまた海から生まれた。

俳句仙人

東の方向の海から太陽と月が登り、ささやかな音色を奏でる貝風鈴の材料になる貝もまた海から生み出される、全てのものは海から生まれるという壮大な一句です

【NO.7】

『 風鈴の 音に誘われて 廻り道 』

季語:風鈴(夏)

意味:風鈴の音がするので、その方向に誘われて廻り道をしよう。

俳句仙人

夏の暑い道すがら、涼し気な風鈴の音に誘われて回り道をしたのか、旅行中に寄り道をしたのか、いろいろな意味に取れるシンプルな言葉遣いです

【NO.8】

『 風鈴や 猫にまず 触らせてから 』

季語:風鈴(夏)

意味:風鈴が届いた。興味を持つだろう猫にまず触らせてから飾ろう。

俳句仙人

五五六の字足らずの破調の句です。風鈴にぶら下がっている短冊や飾りに興味を示すだろう飼い猫に、こういうものだよと触らせている、猫好きの飼い主の姿が見えます

【NO.9】

『 風鈴や 風の話を 通訳す 』

季語:風鈴(夏)

意味:風鈴だ。風がどんな話をしているのかその音色で通訳してくれる。

俳句仙人

風鈴の擬人化です。人間には聞こえない風を、風鈴が音を鳴らすことで伝えてくれることを、「風の話」「通訳」とわかりやすく表現しています

【NO.10】

『 風鈴を 外し忘れた 嵐の夜 』

季語:風鈴(夏)

意味:外から風鈴の音がする。風鈴を外し忘れたようだ、嵐が来ている夜なのに。

俳句仙人

強風に煽られた風鈴が、荒れ狂ったように鳴っているのでしょう。夏の嵐で風鈴自体が壊れてしまうかもしれない恐れが「嵐の夜」という体言止めに表れています

 

 

以上、風鈴を季語に使った俳句集でした!

 

俳句仙人

今回は、風鈴の音が聞こえてくるような俳句を20選ご紹介してきました。
風鈴の音で風を表現したり、鳴っている音に感傷を託したりと、さまざまな俳句を詠めるのが魅力の季語です。
どこからともなく聞こえてくる風鈴の音に一句詠んでみてはいかがでしょう