【蝉時雨の俳句 20選】知っておきたい!!季語を含むおすすめ有名&素人俳句を紹介!

 

日本の夏をイメージさせる代表的なものといえば、蝉の鳴き声です。

 


今回は、蝉の鳴き声から生まれた「蝉時雨(せみしぐれ)」という季語を使った俳句20句紹介します。

 

リス先生
有名俳句だけではなく、一般の方が作った作品まで紹介していくよ!ぜひ最後まで読んでね!

蝉時雨とは?

 

「蝉時雨(せみしぐれ)」とは、たくさんの蝉が一斉に鳴いている様子を意味する「夏の季語」です。

 

蝉たちは、一斉に鳴きだしたり一斉に鳴きやんだりします。その様子を、冬の降ったり止んだりを繰り返す「時雨(しぐれ)」に例えて作られた季語が、「蝉時雨」です。

 

時雨のように、蝉の声が木の上の方から降ってくることを意味します。

 

「蝉時雨」で表現される、蝉の種類は、特に決まっていません。

 

俳句仙人

夏の終わりに鳴く、「ヒグラシ」を詠った句が多いですが、色々な種類の蝉で詠むことができます。

蝉時雨を季語に使った有名俳句【10選】

 

リス先生
まずは俳人が詠んだ有名俳句を紹介していくよ!

【NO.1】正岡子規

『 汗を吹く 茶屋の松風 蝉時雨 』

季語:蝉時雨(夏)

現代語訳:蝉時雨の中、茶屋で休んでいると、かいた汗に心地よく吹く松風が吹く。

俳句仙人

蝉時雨が響く炎天下の中、茶屋で休憩している作者。そこに涼しい松風が吹いて、汗をかいた体を癒してくれます。

読み手にも、心地よい松風が感じられるような句です。

【NO.2】石橋秀野

『 蝉時雨 子は担送車に 追ひつけず 』

季語:蝉時雨(夏)

現代語訳:蝉時雨の中、子どもは私が乗る担送車に追いつくことができない。

俳句仙人

「担送車(たんそうしゃ)」とは、患者を運ぶ移動式のベッド、ストレッチャーのことです。

前書に、「七月二十一日入院」とあります。作者は、その年の九月二十六日に亡くなっており、この句が絶筆のものとなりました。

蝉時雨の音が響く中、作者が乗った担送車を追いかける幼い子の姿が、ありありと目に浮かびます。幼子を残し、38歳という若さで亡くなることになる作者の無念な気持ちが、表現されています。

【NO.3】石橋辰之助

『 蝉時雨 野川のひかり 木がくれに 』

季語:蝉時雨(夏)

現代語訳:蝉時雨の中、野原を流れる小川の光が、木の影に隠れながら輝いている。

俳句仙人
「木がくれに」と終わることで、木々の間に光る小川の光が印象的になっています。

【NO.4】阿部みどり女

『 うれしさは かなしみとなり 蝉時雨 』

季語:蝉時雨(夏)

現代語訳:蝉時雨の中、嬉しさが悲しみとなったことだ。

俳句仙人

蝉時雨の音を聞き、嬉しい気持ちが悲しみになった。この句での蝉時雨は、ヒグラシなどの物悲しい蝉の声を連想させます。

【NO.5】村上鬼城

『 石に沁む(しむ) 石工(いしく)の汗や 蝉時雨 』

季語:蝉時雨(夏)

現代語訳:蝉時雨の中、石工の汗が落ち、石にしみを作っていることだ。

俳句仙人
切れ字「や」を用いることで、石に落ちた石工の汗がしみになって広がっていく様子が鮮明に浮かびます。

【NO.6】中村草田男

『 聖代(せいだい)めく 蝉時雨にぞ めぐりあへる 』

季語:蝉時雨(夏)

現代語訳:聖代の時代のような蝉時雨に、めぐりあえたことだ。

俳句仙人

「聖代(せいだい)」とは、知徳にすぐれた天子がおさめた時代のことです。

係助詞「ぞ」を使い、結びが連用形「めぐりあへる」となる、係り結びの句法を使っています。

係り結びを使うことで、「かつての知徳の天子が治めた時代と同じ、蝉時雨にめぐりあうことができた」という作者の感動が強く表現されています。

【NO.7】加藤楸邨

『 蝉時雨 中に鳴きやむ ひとつかな 』

季語:蝉時雨(夏)

現代語訳:蝉時雨の中でひとつ鳴きやんでいることだなあ。

俳句仙人

一斉に蝉たちが鳴く蝉時雨の中で、一匹の蝉が鳴きやんだ様子。

切れ字「かな」を用いることで、作者が蝉の声に耳をすませている中で気づいた感動に、余韻をもたせています。

【NO.8】飯田蛇笏

『 桟(かけはし)や 荒瀬(あらせ)をこむる 蝉しぐれ 』

季語:蝉しぐれ(夏)

現代語訳:荒瀬に蝉時雨の音がいっぱいに集まっている、架け橋であることだなあ。

俳句仙人

「桟(かけはし)」とは、水の上を通るためにかけ渡した橋のことです。

「荒瀬(あらせ)」とは、岩や石が見え隠れする、水量が多く流れが急な川の場所のことです。

【NO.9】大野林火

『 蝉時雨 庇(ひさし)の下を 通(かよ)ひ路に 』

季語:蝉時雨(夏)

現代語訳:蝉時雨の中、ひさしの下を通い路にすることだ。

俳句仙人

「庇(ひさし)」とは、家の縁側などの上部にある小屋根のことです。

「通ひ路(かよいじ)」とは、人々が行き交う道のことをいいます。

蝉時雨が鳴り響く中、真夏の照りつける太陽を避け、人々が庇の陰を通っていく様子を詠っています。

【NO.10】横光利一

『 橙(だいだい)青き 丘の別れや 蝉時雨 』

季語:蝉時雨(夏)

現代語訳:蝉時雨の中で、橙がまだ青い丘での別れであることだなあ。

俳句仙人

橙(だいだい)がまだ青く実っている丘での別れ。切れ字「や」で印象を深めています。「青き」と色の語があり、夏の場面が印象的な句です。

蝉時雨を季語に使った素人オリジナル俳句【10選】

 

リス先生
ここからは一般の方が詠んだ俳句を紹介していくよ!

【NO.1】

『 蝉時雨 青き切手を 選びけり 』

季語:蝉時雨(夏)

意味:蝉時雨の中、青い切手を選んだことだ。

俳句仙人
夏、蝉時雨の音が響く中青い切手を選ぶ。「青」の語により、場面が色鮮やかに描かれています。

【NO.2】

『 蝉時雨 木々の間を 埋め尽くす 』

季語:蝉時雨(夏)

意味:蝉時雨の音が、木々の間を埋め尽くしている。

俳句仙人

たくさんの蝉が一斉に鳴く止むを繰り返す、蝉時雨。

木々が隣接している中で、蝉の強い生命力が伝わってきます。

【NO.3】

『 告白は 直球勝負 蝉時雨 』

季語:蝉時雨(夏)

意味:好きな人に告白する、恋の直球勝負。

俳句仙人

蝉時雨の音が響く中、どきどき緊張した作者の気持ちが伝わってきます。

【NO.4】

『 せみしぐれ 入場無料の オーケストラ 』

季語:せみしぐれ(夏)

意味:蝉時雨の音の中、入場無料のオーケストラを聴きに行く。

俳句仙人
「せみしぐれ」と「オーケストラ」。二つの音の対比が面白い句です。

【NO.5】

『 登山口 エールのような 蝉時雨 』

季語:蝉時雨(夏)

意味:大山(だいせん)の登山口でエールを送ってくれるように蝉時雨が響いている。

俳句仙人

「大山(だいせん)」とは、鳥取県にある山のことです。

今から大山を登ろうとしているとき、その背中に蝉たちがエールを送るかのように鳴いている。「エール」の語がとても印象的です。

【NO.6】

『 言いそびれていることがあります 蝉しぐれ 』

季語:蝉しぐれ(夏)

意味:言いそびれていることがあります 蝉時雨の中で。

俳句仙人

「言いそびれていることがあります」と、「字余り」でかつ「句またがり」の句になっています。「蝉しぐれ」が鳴り響く中で、誰かに言おうとしているのに言えない作者の想い。

二つの対比が面白く印象深い句です。

【NO.7】

『 蝉時雨 君と出会って 止みにけり 』

季語:蝉時雨(夏)

意味:蝉時雨の音が、君と出会った瞬間止んでしまった。

俳句仙人

出会った瞬間に、うるさい程に響いていた蝉時雨の音が聞こえなくなった。

恋に落ちた瞬間を、読み手に想像させる句です。

【NO.8】

『 北竜湖 水の底まで 蝉時雨 』

季語:蝉時雨(夏)

意味:北竜湖の水の底まで蝉時雨の音が響いているようだ。

俳句仙人

「北竜湖」とは長野県飯山市にある、火山の爆発によってできた天然の湖のことです。

湖の底まで蝉時雨の音が響くと想像する、作者のすぐれた感覚が伝わります。

【NO.9】

『 イヤホンの 外で奏でる 蝉時雨 』

季語:蝉時雨(夏)

意味:イヤホンの外で蝉時雨が音を奏でている。

俳句仙人

イヤホンをつけ、自分だけが聞く音楽。その外ではたくさんの蝉が鳴く様子。

中と外で、音の世界の対比が面白く表現されています。

【NO.10】

『 島一つ 占領したる 蝉時雨 』

季語:蝉時雨(夏)

意味:島を一つ占領したかのように、蝉時雨が鳴り響いている。

俳句仙人
離島で、蝉時雨が鳴り響いている。静かな島に、たくさんの蝉の声が響き渡っている情景が伝わってくる句です。

 

 

以上、蝉時雨を季語に使った俳句集でした!

 

俳句仙人

今回は「蝉時雨」の句をご紹介しました。

蝉の音は、古来より多くの日本人の心をとらえてきました。

「蝉時雨」は、蝉の鳴き声を天から降ってくる「時雨」の様子と重ねた、美しい季語です。

ぜひ、夏の象徴的な「蝉時雨」の句を楽しんでください。