
今回は、中学生の皆さんに向けて、冬の俳句集をご紹介していきます。
冬と言えば、さまざまなイベントがたくさんありますね。
クリスマスに冬休み、お正月、バレンタイン…。楽しみにしている人も多いのではないでしょうか?
そう、冬は私たちにとって心躍る季節ですよね。だから俳句にも、冬をテーマにした作品がとても多いのです。
今回紹介するのは、有名な作品からオリジナルのものまで、私のおすすめの俳句ばかりです。
この記事を読み終わるころには、あなただけのお気に入りの一句が見つかるかもしれませんよ♪
俳句に冬らしさを出す!冬の季語を知ろう
さて、俳句を作るうえで欠かせないのが、【季語(きご)】の存在です。
俳句には必ず、季節を表す言葉を盛り込まなければいけません。
この季節に表す言葉のことを季語と言い、春夏秋冬それぞれの季節によって決まった季語があります。
ここでは、【冬の季語】について触れていきたいと思います。
中学生向け冬の季語
■行事についての季語■
大晦日(おおみそか)、お正月、雪だるま、大掃除、冬休み、クリスマス、お年玉、除夜の鐘など
…行事についての冬の季語には、わくわくするものがたくさんありますね。言葉の数も、5文字の季語が多いので、俳句を作りやすいかもしれません。
■いきものについての季語■
うさぎ、牡蠣(かき)、鴨(かも)、寒雀(かんすずめ)、鷹(たか)、千鳥(ちどり)、鶴(つる)、白鳥、ふぐ、ふくろう、水鳥、鷲(わし)など
…いきものについての冬の季語には、ほかの季節と比べると鳥の名前が多いです。白鳥や鶴、鷲などは冬のあいだに日本にやってくる渡り鳥です。
■植物についての季語■
落ち葉、枯れ尾花(かれおばな)、枯れ木、枯野(かれの)、枯れ葉(かれは)、寒椿(かんつばき)、さざんか、水仙(すいせん)、大根、人参(にんじん)、ねぎ、白菜、みかん など
…植物についての冬の季語の中には、ふだんからなじみの深い大根や人参、みかんなどがありますね。こたつにみかん!のように、生活の風景が想像しやすいかもしれません。また、寒椿(かんつばき)やさざんかと言った花は、あざやかな赤い色をしています。雪のふるなかにこれらの花が咲いているのを想像すると、とってもすてきですね!
■気象やお天気についての季語■
北風、氷、木枯(こが)らし、小春(こはる)、小春日(こはるび)、小春日和(こはるびより)、寒さ、時雨(しぐれ)、霜(しも)、霜柱(しもばしら)、短日(たんじつ)、冷たい、つらら、初雪、山眠る、雪、流氷など
…『小春』と聞いて、「えっ?春という字が使われているのに冬の季語なの?」と思いましたか?実は『小春』とは、冬の始まるころの、少しあたたかい春に似た日和(ひより)が続くころのことを言います。意外ですね。
■生活についての季語■
重ね着、風邪(かぜ)、家事、こたつ、七五三、障子(しょうじ)、除夜(じょや)、師走(しわす)、スキー、スケート、炭(すみ)、炭火(すみび)、咳(せき)、節分、たき火、竹馬、足袋(たび)、手袋、年の暮れ、火鉢(ひばち)、雪見など
…生活についての冬の季語の中には、みなさんの身近なものがたくさん並んでいます。風邪(かぜ)や火事など、用心しなければならないことも冬の季語に含まれていますね!そのほかにも、イメージがふくらみそうな季語ばかりです。
中学生向け!!有名な冬の俳句集【10選】
ここからは、有名な冬の俳句を紹介します。
もしかしたら教科書などで目にしたものもあるかもしれません。
【NO.1】高浜虚子
『 遠山(とおやま)に 日の当たりたる 枯野(かれの)かな 』
季語:枯野
意味:あたりは日がかげって、さむざむとした枯野であるが、遠い山にだけ冬の日が当たっていて明るい。
【NO.2】小林一茶
『 うまさうな 雪がふうはり ふわりかな 』
季語:雪
意味:空を見上げれば、うまそうな牡丹雪がふうわりふわりと舞い落ちてきたよ。
【NO.3】正岡子規
『 いくたびも 雪の深さを たずねけり 』
季語:雪
意味:何度も何度も、雪の深さはどれほどになったのかと問うてしまったよ。
【NO.4】北原白秋
『 瓦斯燈(ガスとう)に 吹雪(ふぶき)かがやく 街を見たり 』
季語:吹雪
意味:冷えた空気の中、きらきらと光るガス燈に照らされ、吹雪が輝く街が見える。
【NO.5】星野立子
『 しんしんと 寒さがたのし 歩みゆく 』
季語:寒さ
意味:しんしんとした寒さが楽しい、私は歩いてゆく…。
【NO.6】松尾芭蕉
『 初雪や 水仙の葉の たわむまで 』
季語:初雪、水仙
意味:待ちに待った初雪が降った。その雪の重さにたえかねて、水仙の葉が折れ曲がっている。
【NO.7】中村汀女
『 雪しげく 何か家路(いえじ)の 急がるる 』
季語:雪
意味:雪がしきりに降っている。何とはなしに、家への道を急いでいる。
【NO.8】小林一茶
『 をさな子や 文庫に仕舞(しま)ふ はつ氷 』
季語:はつ氷
意味:幼い子が文庫(ぶんこ=小物を入れる箱のこと)の中にそっと初氷をしまっている。
【NO.9】正岡子規
『 さらさらと 竹に音あり 夜の雪 』
季語:雪
意味:夜の雪がさらさらと音を立てて、竹に当たっている音がする。
【NO.10】与謝野蕪村
『 草枯れて 狐(きつね)の飛脚(ひきゃく) 通りけり 』
季語:草枯れて
意味:草は枯れ枯れる季節となり、狐が飛脚のように通っていく。
素人でもうまい俳句が作れる!オリジナル俳句集【10選】
ここまでは、冬の俳句の中でも特に有名な句をみなさんに紹介しました。
「やっぱり俳句はむずかしいかも!」「こんなに上手に詠めるのかな?」と思った方もいるのではないでしょうか?
不安にならなくても大丈夫!俳句には色々な種類があり、さまざまな人が俳句を詠んで楽しんでいるんですよ♪
ここからは、一般の方が詠んだオリジナルの俳句をご紹介します。
【No.1】しもやけを 父にふまれて 大げんか
季語:しもやけ
意味:しもやけになってかゆいところを、父がまちがってふんでしまい、大げんかになりました。
【No.2】本当の 空が来ている 冬木立(ふゆこだち)
季語:冬木立
意味:冬、葉を落としている木々を見上げると、空がいつもより広い。これが本当の空の広さなんだな。
【No.3】この恋と 冬眠しよう 癒(い)えるまで
季語:冬眠
意味:つらい失恋の傷が癒えるまで、この恋と一緒に冬眠していよう。
【No.4】病む吾子(あこ)と テレビの雪に 触れてみる
季語:雪
意味:風邪をひいて外に出られないわが子と一緒に、テレビ中継(ちゅうけい)で映る雪にそっと触れてみます。
【No.5】雪が降る 前に空気が 澄(す)む不思議(ふしぎ)
季語:雪
意味:雪が降る前になると、いつもよりも空気が澄んでいる気がする。それがとても不思議だなぁ。
【No.6】照れながら 切った髪から 冬の風
季語:冬の風
意味:恥ずかしいけれど思いきって髪を切った。短くなった髪から冬のつめたい風が入ってくる。
【No.7】たしかめに 冬の寒さと これからを
季語:寒さ
意味:寒い外の中を、受験に受かったのかどうかたしかめに行ってきます。
【No.8】白い息 みんなで汽車に なってみる
季語:白い息
意味:寒さで口から出る息が白くなるので、みんなでけむりを出す汽車のまねをしました。
【No.9】雪の日は 東京さえも 雪の国
季語:雪
意味:雪の日は、雪国ではない東京でもまるで雪国のようだ。
【No.10】ソプラノの ような雪だと 思う朝
季語:雪
意味:朝、雪を見ていると、きれいに透(す)き通っていて、まるで美しいソプラノの声のようだ。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
今回は、中学生のみなさんに向けて「冬」の俳句集をご紹介しました。
しずかに降る雪や冷たい風、そして楽しいお正月やドキドキの受験など、いつも心が動かされる季節、それが「冬」です。