中学生のみなさん、春の俳句作りで困ったことはありませんか?
季語は旧暦が基準ですので、現在の季節感とは少しずれていることも俳句にとりかかりにくい理由の一つです。
ここではみなさんにも想像しやすい身近な春の季語を始め、春の季語を含む有名作品から中学生の俳句作品まで、たくさんご紹介していきます。
ぜひ自分らしい春の俳句作りにトライしてくださいね。
ひとときの
夢幻(むげん)楽しみ
春はゆく#haiku #sakura pic.twitter.com/ttxRhgN8Dt— 愛 夢華🍎🕊️🐋✨ (@ainohohoemi) April 5, 2016
俳句に春らしさを出す!春の季語を知ろう
まずは「季語」とは何だろう?からご説明します。
俳句は季節感を感じる言葉遊びから始まったもので、”春夏秋冬”を表す言葉が大事なポイントです。この季節を表す言葉を「季語」と呼びます。
ここで、中学生にとって使いやすい春の季語をご紹介していきます。
春の季語は旧暦が基準ですので、今の季節とは少しズレていると感じるものもあるかもしれませんので、注意しましょう。
(※旧暦の1、2、3月(新暦の2、3、4月))
中学生向け春の季語
■気候・天文の季語■
暖か、うららか、春の○○(朝、夕、夜、空、暮など)、東風、霞、おぼろ月、立春、如月、啓蟄、春めく、八十八夜、春一番、花冷え
■風景・地理の季語■
春の○○(海、川、山、土、野、水など)、雪解け、残雪
■生活行事や食べ物の季語■
バレンタイン、桃の節句、卒業、入学、ゴールデンウィーク、みどりの日、どんたく、朝寝、春眠、風車、あさり、木の芽和え、ひなあられ、ひな祭り、わらび餅、いちごミルク
■動物や生き物の季語■
うぐいす、蝶、ひばり、巣箱、蜂、鳥の巣、白魚、ツバメ、トカゲ、桜鯛
■植物や野菜の季語■
菜の花、梅、つくし、青のり、伊予柑、クレソン、木の芽、シクラメン、わかめ、ネーブル、春の草、よもぎ、梅、ミモザ、ゼンマイ、タラの芽、春大根、わらび、アスパラガス、ウド
中学生向け!「春の季語」を含む有名俳句集【15選】
ここからは、有名俳人が詠んだ春のおすすめ俳句を紹介していきます。
【NO.1】与謝蕪村
『 菜の花や 月は東に 日は西に 』
季語:菜の花(春)
意味:菜の花畑の中、東からは月が昇り始め日が西に沈んでいくところだ。
【NO.2】与謝蕪村
『 春の海 ひねもすのたり のたりかな 』
季語:春の海(春)
意味:おだやかな春の海は一日中、のたりのたりと波が寄せていることだ。
【NO.3】小林一茶
『 雪とけて 村いっぱいの 子どもかな 』
季語:雪どけ(春)
意味:やっと雪解けの季節になり、外遊びを待ちかねていた子どもたちが村いっぱいに飛び出して遊んでいる。
【NO.4】小林一茶
『 我ときて 遊べや親の ない雀 』
季語:雀の子(春)
意味:親からはぐれてしまった雀の子よ、こっちにきて同じく親のいない私と遊ぼうか。
【NO.5】河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)
『 赤い椿 白い椿と 落ちにけり 』
季語:椿(春)
意味:赤い椿が落ちている。次は白い椿が落ちている。なんとも対比がきれいなことだ。
【NO.6】松尾芭蕉
『 草の戸も 住み替はる代ぞ 雛の家 』
季語:雛(春)
意味:この草の庵も住み代わる時が来たようだ。雛人形の似合う女の子のいる家になる。
【NO.7】高浜虚子
『 春風や 闘志いだきて 丘に立つ 』
季語:春風(春)
意味:春風が吹いている丘の上で闘志をふつふつと抱いて立っている。
【NO.8】高浜虚子
『 遠足の おくれて走りて つながりし 』
季語:遠足(春)
意味:遠足の子どもたちの一部が遅れていたけれど走って追いつきまた繋がって歩いている。
【NO.9】夏目漱石
『 菫ほどな 小さき人に 生まれたし 』
季語:菫(すみれ)(春)
意味:菫のような小さく美しく強い花のような人になりたいことだ。
【NO.10】細見綾子
『 チューリップ 喜びだけを 持っている 』
季語:チューリップ(春)
意味:チューリップはその包み込むような形の中に喜びを持っているように見えます。
【NO.11】水原秋桜子
『 雛壇や 襖はらひて はるかより 』
季語:雛壇(春)
意味:立派な雛壇が見える。襖を取り払っているので遙か遠くから良く見えることだ。
【NO.12】高野素十
『 野に出れば 人みなやさし 桃の花 』
季語:桃の花(春)
意味:野に出れば人はみんな優しかった桃の花の咲く国だ。
【NO.13】中村汀女
『 外にも出よ 触るるばかりに 春の月 』
季語:春の月(春)
意味:外に出てご覧なさい。触れるように見事な春の月が出ている。
【NO.14】星野立子
『 誰もみな コーヒーが好き 花曇 』
季語:花曇(春)
意味:誰もがみなコーヒーが好きな花曇りの日だ。
【NO.15】坪内稔典
『 三月の 甘納豆の うふふふふ 』
季語:三月(春)
意味:3月に食べる甘納豆は笑みがこぼれるくらい美味しい。
中学生向け!「春の季語」を含む俳句作品集【15選】
ここまでは、春の俳句の中でも特に有名な句をご紹介してきました。
「やっぱり俳句はむずかしいなあ…」「こんなに上手に俳句を詠めるのかな…」と思った方もいるのではないでしょうか?
しかし、不安にならなくても大丈夫。俳句には色々な種類があり、さまざまな人が俳句を詠んで楽しんでいるんです!
ここからは、一般の方が詠んだ俳句作品をご紹介します。
【No.1】
『 咲くもよし 散るも美し 桜かな 』
季語:桜(春)
意味:咲いても散っても美しい桜だ。
【No.2】
『 夜桜の 静まり返る 星の数 』
季語:夜桜(春)
意味:満天の星空の下、夜桜が静かにキレイに咲いている。
【No.3】
『 夢語る まぶしい君に さくら咲く 』
季語:さくら(春)
意味:夢を語っていた君はまぶしいくらいに輝いていたよ。桜が咲い(合格し)てよかったね。
【No.4】
『 ひらひらと 桜舞い散る 春の音 』
季語:桜・春の音(春)
意味:ひらひらと舞い落ちてくる桜の花びらから春の音が聞こえそうだ。
【No.5】
『 親友と 涙で笑う 卒業式 』
季語:卒業式(春)
意味:親友と卒業式でこれで同じ学校でいられるのは最後だと泣きながら笑った。
【No.6】
『 新学期 派手さと地味さが 同じ部屋 』
季語:新学期(春)
意味:新学期に教室に入ると派手な人と地味な人がいた。
【No.7】
『 春の風 運ばないでね アレルゲン 』
季語:春の風(春)
意味:飛び始めるアレルゲン(花粉)をどうか運んでこないでね春の風よ。
【No.8】
『 登校中 パンの香りや 春の風 』
季語:春の風(春)
意味:登校していたらどこからともなく春の風がパンの香りを運んできた。
【No.9】
『 うららかな 日差しに授業 夢の中 』
季語:うららか(春)
意味:春のうららかな日差しが気持ちよくて授業中にうたた寝をしてしまった。
【No.10】
『 かざぐるま 君への想い 空回り 』
季語:かざぐるま(春)
意味:君への思いがかざぐるまのように空回りしている春だ。
【No.11】
『 浮雲も 陽射も風も 春の色 』
季語:春(春)
意味:あの浮いている雲も、陽射しも風も、みな春の色だ。
【No.12】
『 春雨や 草木の呼吸 聴きながら 』
季語:春雨(春)
意味:春雨が降っている。草木の呼吸を聴きながらじっと耳をすませている。
【No.13】
『 雲居より 生まれし花か 花ぐもり 』
季語:花ぐもり(春)
意味:雲の間から生まれた花なのか、花曇りの日だ。
【No.14】
『 葉を食べる 食べない派あり 桜餅 』
季語:桜餅(春)
意味:葉を食べる派、食べない派がある桜餅だ。
【No.15】
『 白猫も 赤猫になり 夕桜 』
季語:夕桜(春)
意味:白猫も夕日の赤で赤い猫になり、桜も赤く染まっている。
以上、中学生向け春の季語を使ったおすすめ俳句集でした!