【鳥をテーマにした有名俳句 30選】春夏秋冬!!季語(鳥の名前)が入った俳句を紹介

 

鳥の飛んでいる姿や鳴き声は、昔からさまざまな俳句に詠まれてきました。

 

今回は、そんな「鳥」をテーマに詠まれた有名俳句を30句紹介していきます。

 

 

リス先生
俳句は季節(春夏秋冬)ごとに紹介していくよ!
お気に入りの俳句を探してみてね!

鳥をテーマにした有名俳句集【春編 7選】

 

【NO.1】内藤丈草

『 鶯や 茶の木畠の 朝月夜 』

季語:鶯(春)

現代語訳:鶯が鳴いている。月が残っている明け方の茶畑で。

俳句仙人

ウグイスは早朝から鳴き出す鳥です。明け方の茶畑の風景を的確にとらえた歌になっています。

【NO.2】松尾芭蕉

『 雲雀(ひばり)鳴く 中の拍子や 雉子(きじ)の声 』

季語:雲雀(春)、雉子(春)

現代語訳:雲雀が鳴く中で、拍子を打つように雉子の声もする。

俳句仙人

ヒバリの鳴き声の合間に拍子を打つようにキジの声がするという春の風景を詠んだ一句です。お互いに示し合わせたように鳴きあっていたのでしょう。

俳句仙人

有名な一茶の句です。お馬を馬ととらえるか、子供たちの竹馬のような遊び道具にとらえるかで、どんな道だったかいろいろと想像できます。

【NO.4】与謝蕪村

『 大和路の 宮もわら屋も つばめかな 』

季語:つばめ(春)

現代語訳:春の大和路では、お宮にも藁葺き屋根にもツバメが巣を作っていることだなぁ。

俳句仙人
大和路とは京都から奈良に到る道のことです。多くの寺社仏閣が点在する道に燕が飛び交っている風景が浮かんできます。

【NO.5】上島鬼貫

『 雨だれや 暁がたに 帰る雁(かり) 』

季語:帰る雁(春)

現代語訳:軒先に雨水が落ちてくるなぁ。そんな明け方に雁が帰っていく。

俳句仙人
雁は春になるとシベリアなど北方へ帰っていきます。ふと見上げた早朝の空に、雁が群れをなして北へ向かって飛んでいったのでしょうか。

俳句仙人
親とはぐれた雀の子に一緒に遊ぼうと誘っている一句です。作者は小動物について詠んだ句が多く、観察眼の鋭さと優しさが垣間見えます。

【NO.7】正岡子規

『 鶯や 朝寝を起す 人もなし 』

季語:鶯(春)

現代語訳:鶯が鳴いているなぁ。朝寝を起こす人もいない。

俳句仙人
ウグイスの鳴き声が聞こえてくる朝方の様子を詠んだ句です。その日は家に家族がいなかったのか起こす人がなく、ウグイスの声で目が覚めた様子を詠んでいます。

鳥をテーマにした有名俳句集【夏編 8選】

【NO.1】松尾芭蕉

『 京にても 京なつかしや ほととぎす 』

季語:ほととぎす(夏)

現代語訳:見慣れた京の都だが、ホトトギスの声を聞くと古の都の人達も聞いていたのだなぁと懐かしさを感じることである。

俳句仙人
芭蕉が上京したときの句。ホトトギスは昔から和歌にも詠まれている鳥で、古の京の都に思いを馳せています。

【NO.2】水原秋櫻子

『 雪加(せっか)鳴き 端居(はしい)にとほき 波きこゆ 』

季語:雪加(夏)

現代語訳:雪如が鳴いている。縁側の端で涼んでいると、波の音が遠くから聞こえてくる。

俳句仙人
雪加とは草原を好む鳥です。また端居は縁側の端のことですが、転じて夏に縁側で涼んでいる様子を意味しています。

【NO.3】正岡子規

『 誰やらが 口まねすれば 目白鳴く 』

季語:目白(夏)

現代語訳:誰かが口真似で鳴き声を真似ると、目白も鳴きだした。

俳句仙人
子供でしょうか。誰かが口笛でメジロの鳴き声を真似すると、一緒にメジロが鳴き出した、そんなのどかな風景の一句です。

【NO.4】堀麦水

『 飛び習ふ 青田の上や 燕の子 』

季語:燕の子(夏)

現代語訳:青い田んぼの上を、燕の子たちが飛ぶ練習をしていることだ。

俳句仙人
青々とした稲が立ち並ぶ田んぼの上を、巣立ったばかりの燕の子が飛び交っています。

【NO.5】大須賀乙字

『 山雲を 谷によぶなり 閑古鳥 』

季語:閑古鳥(夏)

現代語訳:閑古鳥(カッコウ)が鳴くと山にかかっていた雲が谷まで降りてくるようだ。

俳句仙人
閑古鳥とはカッコウのことで、山地に生息します。山にいるカッコウが鳴くとにわかに曇っていく情景が見てとれます。

俳句仙人
「平安城」とは京都の街並みのことです。京都は平安京の時代から碁盤の目の区画になっていて、ホトトギスは斜めに飛んで行ったと詠んでいます。

俳句仙人
3つの季語が重なっていることで有名な一句です。ホトトギスの鳴き声は若葉や初鰹と同じくらい初夏の訪れを感じさせていたことがわかります。

俳句仙人
「ほしいまま」という部分は「ホトトギスの望むまま」という意味と取りました。こだまが返ってくる中でも自由に飛びながら鳴いているホトトギスの様子が浮かんできます。

 

鳥をテーマにした有名俳句集【秋編 8選】

【NO.1】松尾芭蕉

『 稲雀(いなすずめ) 茶の木畠や 逃げ処 』

季語:稲雀(秋)

意味:稲が実った田んぼで雀の群れがその稲穂をねらっている。人が追うと一斉に群れをなして逃げて茶畑に隠れる。

俳句仙人

稲雀は稲が実る頃に啄みにやってくる雀のことで、季語として使用したのは芭蕉のこの句が初めてと言われています。

【NO.2】小林一茶

『 木啄の けいこにたたく 柱哉 』

季語:木啄(キツツキ/秋)

意味:キツツキが稽古に叩いているような柱であることだ。

俳句仙人
キツツキが柱に穴をあけている光景を、太鼓などの稽古に例えた一茶らしい一句です。

【NO.3】桃水

『 椋鳥(むくどり)や 枝に来るほど 木の葉散る 』

季語:椋鳥(秋)

意味:椋鳥よ、お前たちが渡ってきて枝にとまるほど木の葉が散っていく。

俳句仙人
椋鳥は秋以降に北から渡ってきます。市街地などでも木に大量の椋鳥がとまっている様子を見たことがあるかもしれません。

【NO.4】川端茅舎

『 身をほそめ とぶ帰燕(きえん)あり 月の空 』

季語:帰燕(秋)

意味:身を細めて飛んで帰っていく燕がいる。あの月の空に。

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川端茅舎は長年闘病しながら俳句を詠み続けた人です。身を細めていたのは燕だったのか自身だったのか、その両方かもしれません。

【NO.5】宝井其角

『 雁の腹 見すかす空や 船の上 』

季語:雁(秋)

意味:船の上からみあげると、雁のお腹が見えるような空であることだ。

俳句仙人
雁は秋になると北方から南下してきます。ちょうど船上の旅出で、真上に雁が飛んでいたのでしょうか。

俳句仙人
この句は終戦直後に詠まれています。缶切りで缶詰を開けながらふと空を見上げると、渡り鳥が帰っていく季節だったと時間の移り変わりを詠んだ句です。

【NO.7】加藤楸邨

『 燕はや 帰りて山河 音もなし 』

季語:燕(はや)帰り/燕帰る(秋)

現代語訳:燕は早くも帰ってしまい、山河には鳴き声の音もなくなってしまった。

俳句仙人
ツバメが帰ってしまったので、山河が静まり返っているという秋の寂しさを詠んだ一句です。実際にツバメ以外にも物音を出す生き物はいますが、いつも見ていたツバメたちがいなくなった寂しさが印象深かったのでしょう。

俳句仙人
キツツキが木をつつくことで落ち葉が落ちていくように見えるというユーモアのある一句です。牧場というどこかのどかな風景と、忙しなく木をつつくキツツキが対比になっています。

鳥をテーマにした有名俳句集【冬編 7選】

【NO.1】松尾芭蕉

『 いらご崎 似るものもなし 鷹の声 』

季語:鷹(冬)

意味:伊良湖崎で聞く鷹の声は、他に比べるもののないほどに素晴らしいものである。

俳句仙人
伊良湖崎で弟子たちと再会したときの一句です。比べ物にならないと表現するほどの喜びを感じます。

【NO.2】杉田久女

『 ふり仰ぐ 空の青さや 鶴渡る 』

季語:鶴(冬)

意味:ふり仰ぐと空がとても青いことだ。白い鶴が飛んできている。

俳句仙人
冬の青空と、その青空を飛んで渡ってくる白い鶴の対比が見事な一句です。

【NO.3】軽部烏頭子

『 梟(ふくろう)の ねむたき貌(かお)の 吹かれける 』

季語:梟(冬)

意味:フクロウが眠たそうな顔で風に吹かれていることだ。

俳句仙人

目を閉じそうになっているフクロウを見かけたのでしょうか、眠そうな顔という表現が面白いです。

【NO.4】正岡子規

『 鴨鳴くや 上野は闇に 横たはる 』

季語:鴨(冬)

意味:鴨が鳴いている。そんな鴨が鳴く上野は夜の闇に横たわっている。

俳句仙人

鴨が鳴いている上野の夜ですが、人間たちは静かに眠っている対比が効いています。

【NO.5】中村草田男

『 白鳥と いふ一巨花を 水に置く 』

季語:白鳥(冬)

意味:白鳥という名前の大きな花が水の上に置かれている。

俳句仙人

優雅に水面に浮かぶ白鳥を、一つの大きな花に例えた一句です。浮かぶ鳥を花に例える感性が光っています。

俳句仙人

鶴に金色の雲というおめでたい要素を集めた一句です。この句は作者が鶴の群生地に訪れたときに詠まれたと言われています。

俳句仙人

鷹は精悍な顔つきをしている鳥です。作者はその顔つきを「老いている」と表現することで、鷹と誰かを重ねているように感じます。

以上、鳥をテーマにした有名俳句集でした!

 

 

俳句仙人

今回は、四季の鳥の季語を使った有名俳句を30句紹介しました。
渡り鳥や雛や巣など、同じ鳥でも季節によって季語が違うのが、鳥の俳句の面白いところです。
この機会にぜひあなたも一句詠んでみてはいかがでしょうか?

 

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