五七五のわずか17音という非常に短い言葉の中にさまざまな感情や思いが込められた「俳句」。
今回は、「自由すぎる俳人」として有名な「種田山頭火」の代表俳句(有名俳句)を紹介していきます。
深い…
種田山頭火を彷彿とさせる自由な句である。
これからも注目していきたい姪っ子9才。 pic.twitter.com/YLHSRWiFJb— yumio (@24yumio) March 16, 2016
生涯にわたって約8万もの俳句を詠んだといわれている山頭火の代表作品はどのようなものなのでしょうか?
まずは、種田山頭火の人物像と作風を簡単に紹介していきます。
種田山頭火の人物像と作風
(種田山頭火 出典:Wikipedia)
種田山頭火(たねださんとうか)は、明治15年(1882年)に山口県防府市で生まれた自由律俳句の代表的俳人です。本名は種田正一といいます。
山頭火は15歳の頃から俳句を始め、高校を主席で卒業し早稲田大学へ進学するなど、学業の方は優秀だったと言われています。
34歳の頃に俳諧雑誌『層雲』にて頭角を現し、俳句選者の一人となっています。しかし、生家の倒産や関東大震災に被災するなど、苦労も多く、大正15年に放浪の旅に出ます。
旅と句と酒に生きた山頭火が、全国のあちこちで作った作品の多くは五七五にこだわらない自由なリズムの俳句で、今も人々を魅了し続けています。
おこるな
しゃべるな
むさぼるな
ゆっくりあるけ
しっかりあるけ種田山頭火(俳人) pic.twitter.com/qrRWQR1RgZ
— 心に残る名言・格言(日本人編) (@kakugen_nippon) November 16, 2016
次に、種田山頭火の代表的な俳句を紹介していきます。
種田山頭火の有名俳句・代表作【35選】
(種田山頭火像 出典:Wikipedia)
有季定型俳句【10句】
まずは、五七五を基本とする季語を含む通常のルールで作られた有季定型俳句を紹介ていきます。
【NO.1】
『 気まぐれの 旅暮れて桜 月夜なる 』
季語:桜(春)
意味:目的もなく気の赴くままに旅をする。今日も日が暮れ、夜桜が美しい。
【NO.2】
『 霧島は 霧にかくれて 赤とんぼ 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:霧島は霧にかくれて見えない。赤とんぼが目の前を舞っているよ。
【NO.3】
『 しぐるるや しぐるる山へ 歩み入る 』
季語:しぐるる(時雨)(冬)
意味:しぐれの中、しぐれている山の中へ歩いて行くよ。
【NO.4】
『 ふるさとは あの山なみの 雪のかがやく 』
季語:雪(冬)
意味:現代語訳:ふるさとは、向こうに見える山並みの頂のように、雪が輝いているのだろうよ。
【NO.5】
『 身にちかく あまりにちかく つくつくぼうし 』
季語:つくつくぼうし(秋)
意味:私の近くに、あまりにも近くにツクツクボウシが鳴いている。
【NO.6】
『 一つ家に 一人寝て観る 草に月 』
季語:月(秋)
意味:1つの家に、一人で寝て観る草と月だ。
【NO.7】
『 冬ぐもり ひさびさ湯にいり 金を借る 』
季語:冬ぐもり(冬)
意味:冬曇りの日だ。久しぶりにお風呂に入って、お金を借りに行く。
【NO.8】
『 尾花ゆれて 月は東に 日は西 』
季語:尾花(秋)
意味:尾花が風で揺れ、月が東から昇り、日が西に沈んでいく。
【NO.9】
『 サイダーの 泡立ちて消ゆ 夏の月 』
季語:夏の月(夏)
意味:サイダーの泡が立って消えていく夏の月だ。
【NO.10】
『 毒ありて 活く生命にや 河豚汁(ふぐとじる) 』
季語:河豚汁(冬)
意味:毒を持っていてこそ活きる命なのだろうか、この河豚汁は。
無季自由律俳句【25句】
種田山頭火といえば、定型の枠を超えた自由律俳句で有名です。ここでは、数ある山頭火の作品の中から代表的なものを厳選して紹介していきます。
【NO.1】
『 今日の道の たんぽぽ咲いた 』
意味:今日も私は歩き続ける。道には、たんぽぽの花が咲いている。あぁ、春だなぁ。
【NO.2】
『 夕立や お地蔵さんも わたしもずぶぬれ 』
意味:突然の夕立で、道端に立っているお地蔵さんも私も、ずぶぬれになってしまったよ。
【NO.3】
『 分け入っても 分け入っても 青い山 』
意味:道なき道を分け入って、どんどん前へ進んでいっても、青い山ははてしなく続いているよ。
【NO.4】
『 ほろほろ ほろびゆく わたくしの秋 』
意味:「ほろほろ」と、まるで衣がほころんでいくように、私の人生もほころんでいくよ。あぁ、秋だなぁ。
【NO.5】
『 酔うて こほろぎと 寝ていたよ 』
意味:酔っぱらって、どうやらそのまま眠ってしまったようだ。気づいたら、コオロギと一緒に寝ていたよ。
【NO.6】
『 焼き捨てて 日記の灰の これだけか 』
意味:日記一冊を燃やしてできるのは、日記一冊分の灰だけだよ。
【NO.7】
『 どうしようも ないわたしが 歩いている 』
意味:残されたものは何もない。救いようもない私が、ただひたすらに歩いているよ。
【NO.8】
『 まっすぐな道で さみしい 』
意味:しばらく道を歩いてきたが、この先もまっすぐな道で寂しく感じるよ。そんな寂しい道を私はこのまま歩いていくのだ。
【NO.10】
『 ついてくる 犬よおまへも 宿なしか 』
意味:犬が一匹自分の後をついてくる。お前も私と同じで泊まるところもないのか。
【NO.11】
『 生死の中 雪ふりしきる 』
意味:死を意識する程の厳しい雪の中を、ただひたすらと歩みを進める。
【NO.12】
『 あるけばかつこう いそげばかつこう 』
意味:歩いているとカッコウの鳴き声がする。急いで歩いてみてもカッコウの鳴き声がする。
【NO.14】
『 また見ることもない 山が遠ざかる 』
意味:また見ることもないだろう山が遠ざかっていく。
【NO.15】
『 この道しかない 春の雪ふる 』
意味:この道しかないと選んだ道の先で、季節外れの春の雪が降った。
【NO.16】
『 こころ疲れて 山が海が 美しすぎる 』
意味:心が疲れているのだろうか。山が、海が美しすぎる。
【NO.18】
『 笠にとんぼを とまらせてあるく 』
意味:被っている笠にトンボがとまったので、とまらせたまま歩く。
【NO.19】
『 おちついて 死ねそうな 草萌ゆる 』
意味:ここは落ち着いて死ねそうなほど草が生えている場所だ。
【NO.20】
『 ほつと月がある 東京に来てゐる 』
意味:ほっとするような月が出ている。今は東京に来ている。
【NO.21】
『 ゆうぜんとして ほろ酔へば 雑草そよぐ 』
意味:悠然としながらお酒を飲んでほろ酔いの気分でいると、風が吹いて雑草がそよいでいる。
【NO.22】
『 生まれた家は あとかたもない ほうたる 』
意味:生まれた家は跡形もない。蛍だけが飛んでいる。
【NO.23】
『 歩きつづける 彼岸花咲きつづける 』
意味:歩き続けていると、彼岸花がずっと咲き続けているのが見える。
【NO.24】
『 鈴をふりふり お四国の土になるべく 』
意味:杖に付けられた鈴を振りながら、四国八十八箇所巡りをしつつその場所の土になるべく歩く。
【NO.25】
『 また一枚 脱ぎ捨てる 旅から旅 』
意味:また1枚服を脱ぎ捨てていく、旅から旅の我が人生だ。
以上、種田山頭火の有名俳句35選でした!
さいごに
今回は、種田山頭火が残した俳句の中でも特に有名な作品を現代語に訳し、そこに込められた意味など簡単な感想を紹介してきました。
自由律俳句を得意とする種田山頭火の作品は、「名言」といわれるものも多く、時に読み解くのが難しいものもありますが、何とも人間味あふれ、興味深いものばかりです。
種田山頭火に興味を持った方はぜひご自身で書籍なだを探して読んでみてください。
「無理をするな、素直であれ」
種田山頭火
無理をしなければ続けていける
素直なら進歩、成長していける。
まず自分が素直な心を養って
いくことから・・今日も笑顔をもって1日を! pic.twitter.com/HHIyL4UuGj
— ハルポン (@o949517083) November 24, 2016
最後まで読んでいただきありがとうございました。