さまざまな景色を17音という短い文で表現する「俳句」。
俳句は日本に古くから伝わる文化の一つとして、授業で習ったり宿題で出たりすることも多いですよね。
しかし、いざ俳句を作ろうと思っても「5・7・5の中にどんな言葉を使って表現したらいいのかわからない…」「どの俳句を参考にして書けばいいのかわからない…」という方も多いと思います。
そこで今回は、小学生の見本に最適な冬のおすすめ俳句(有名俳人の名句+小学生俳句作品)を紹介していきます。
弟の冬休みの宿題の俳句を作ろう pic.twitter.com/X7GyF0f615
— かずま (@s_kazumax) January 3, 2015
俳句に冬らしさを出す!冬の季語を知ろう
まず、俳句を書く時に欠かせないルールがあります。
それは「5・7・5の17音にする」「季語(きご)を使う」の2つです。
「5・7・5の17音にする」というのはなんとなくわかっても「季語を使う」の「季語」とはどんなものかわからない方は多いのではないでしょうか?
「季語」とは、春夏秋冬という季節がある中でそれぞれその季節らしい言葉のことを言います。
例えば、みなさん冬と聞けば何を思い浮かべますか?
「雪」や「クリスマス」「お正月」「バレンタイン」と言ったものなど、沢山出てくると思います。こう言った季節に関連する言葉たちのことを「季語」と言います。
冬の季語
冬の日 / 冬の朝 / 冬の暮 / 短日 / 冬の夜 / 冷し / 寒し / 冬晴れ / 冬の空 / 冬の雲 / 冬の月 / 冬の星 / オリオン / 冬の風 / 寒波 / 北風 / 空風 / 冬の雨 / 霜 / 冬の雷 / 冬の虹 / 冬夕焼 / 冬の山 / 冬景色 / 冬の水 / 冬の泉 / 冬の川 / 冬の海 / 冬服 / 冬着 / 冬シャツ / セーター / ジャケット / 外套 / コート / 冬羽織 / 皮羽織 / 毛布 / 膝掛 / ちゃんちゃんこ / ねんねこ / 重ね着 / 着ぶくれ / 毛皮 / もんぺ / 頭巾 / 冬帽子 / 防寒帽 / マスク / ショール / マフラー / 手袋 / 雪下駄 / 毛糸編む / 納豆 / 塩鮭 / 雑炊 / 今川焼 / 玉子酒 / 生姜湯 / 寄鍋 / おでん / 湯豆腐 / 隙間風 / 障子 / 暖炉 / 暖房 / ストーブ / 石炭 / こたつ / 焚火 / 火の番 / 火事 / 消防車 / 竹馬 / サッカー / ラグビー / 湯ざめ / 風邪 / 咳 / 手足荒る / 日向ぼっこ / 冬眠 / 熊 / 冬の鹿 / 狐 / 狸 / 狼 / 兎 / 鶴 / 鯨 / ずわい蟹 / 牡蠣 / 落ち葉 / 冬苺 / 白菜 / 芽キャベツ / 葱 / 大根 / 人参 / セロリ / ブロッコリーなどなど
冬の季語を使った有名俳句集【15選】
冬の季語をいくつか紹介したところで、ここからはさっそく有名な冬の俳句を紹介していきます。
お気に入りの一句を見つけてみてね!
【NO.1】正岡子規
『 いくたびも 雪の深さを たずねけり 』
季語:雪(冬)
意味:かぜを引いて布団で寝ている時に、どのくらい雪がつもっているか何度も聞いてしまった。
【NO.2】小林一茶
『 うまそうな 雪がふうわり ふわりかな 』
季語:雪(冬)
意味:白くふわふわで美味しそうな雪がふうわりふわりと降っている。
【NO.3】中村汀女
『 せきの子の なぞなぞあそび きりもなや 』
季語:せき(冬)
意味:子どもがかぜをひいて、布団の中でせきをしているが、なぞなぞ遊びをせがまれてきりがないです。
【NO.4】夏目漱石
『 凩(こがらし)や 海に夕日を 吹き落す 』
季語:凩(冬)※こがらしとは、秋のおわりから冬のはじめにかけて吹く強い北風のこと
意味:葉っぱなどをなんでも吹き飛ばしてしまうこがらしは、夕日を吹き落としています。
【NO.5】松本たかし
『 とつぷりと 後くれいし たきびかな 』
季語:たきび(冬)
意味:たきびのあったかさや明るさに見とれていると、後ろを振り返った時にもう日が暮れていて真っ暗な景色が広がっていました。
【NO.6】松尾芭蕉
『 いざ子ども はしりありかん たまあられ 』
季語:たまあられ(冬)※たまあられとは、雲中の水分が白色の小粒状の氷へ変わって降るもの
意味:子どもたちよ、走り回ろう。あられが降ってきた。
【NO.7】与謝蕪村
『 化けさ(そ)うな かさかす寺の しぐれかな 』
季語:しぐれ(冬)※しぐれとは、秋の末から冬の初めごろに、降ったりやんだりする小雨のこと
意味:しぐれが降ってきて、雨宿りをした寺からかしてもらったかさは、さしても濡れてしまいそうなほど古い傘だった。
【NO.8】井原西鶴
『 大晦日 定めなき世の さだめかな 』
季語:大晦日(暮)
意味:今日は大晦日で、何が起こるか決まっていない世の中だが、一年の終わりである大晦日は決まりどおりきちんときた。
【NO.9】山口誓子
『 スケートの ひもむすぶ間も はやりつつ 』
季語:スケート(冬)
意味:スケートをする準備として、スケート靴の紐を結んでいる間もすでに滑っているかのように胸がわくわくしている。
【NO.10】小林一茶
『 ともかくも あなた任せの としの暮 』
季語:年の暮(暮)
意味:とにかくあみだ様のはからいに任せて、年の暮れを迎えましょう。
(※あみだ様とは、あみだにょらい。西方(さいほう)ごくらくじょうどに住み、一切の人々を救うという誓いを立てている仏。これを念じ、その名を唱えれば極楽浄土に生まれるという)
【NO.11】松尾芭蕉
『 旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる 』
季語:枯野(冬)
意味:旅の途中に病に倒れたが、夢はあの枯野を駆け巡っている。
【NO.12】池西言水
『 木枯らしの 果てはありけり 海の音 』
季語:木枯らし(冬)
意味:木枯らしにも果てがあったのだなぁ。風の音が海の音にかき消されている。
【NO.13】山口誓子
『 学問の さびしさに堪へ 炭をつぐ 』
季語:炭(冬)
意味:一人で学問をする寂しさに堪えながら炭をつぐ。
【NO.14】松本たかし
『 真っ白き 障子の中に 春を待つ 』
季語:春を待つ(冬)
意味:真っ白い障子の中で春を待っている。
【NO.15】久保田万太郎
『 湯豆腐や いのちのはての うすあかり 』
季語:湯豆腐(冬)
意味:湯豆腐から湯気が立っている。命の果てというのはこの湯気のような薄明かりなのだろう。
小学生向け!冬のオススメ俳句作品集【15選】
ここまでは、冬の俳句の中でも特に有名な俳句を紹介してきました。
「やっぱり俳句はむずかしいなあ…」「こんなに上手に俳句を詠めるのかな…」と思った方も多いと思います。
しかし、不安にならなくても大丈夫!ここからは実際に小学生が詠んだ俳句作品を紹介していきます。
【No.1】
『 冬が来て 日の出が遅れ 寝坊する 』
季語:冬(冬)
意味:冬が来た。いつも起きている時間では明るいはずなのに日の出が遅れ、真っ暗だったせいで自分も寝坊をしてしまった。
【No.2】
『 冬の星 私といっしょに 散歩する 』
季語:冬の星(冬)
意味:冬の星がまるで私と一緒に散歩しているようについてくる。
【No.3】
『 白い雪 星の光と 遊んでる 』
季語:雪(冬)
意味:白い雪が上から降ってきている。空を見上げると星の光と遊んでいるように見える。
【No.4】
『 雪女 たまにはこたつ いかがです 』
季語:雪女(冬)
意味:雪を降らせると言われている雪女もたまにはこたつであったまってはいかがでしょうか?
【No.5】
『 転がって 大人になるぞ 雪だるま 』
季語:雪だるま(冬)
意味:転がして雪玉を大人ぐらいの大きさにして、雪だるまを作ろうとしている。
【No.6】
『 書き初めで 一文字一文字 深呼吸 』
季語:書き初め(新年)
意味:年初めに行う書き初めを失敗しないように一文字書くたびに深呼吸している。
【No.7】
『 冬の空 ダイヤモンドの プレゼント 』
季語:冬の空(冬)
意味:冬の空からダイヤモンドのように輝いている雪がプレゼントされた。
【No.8】
『 雪ふれと てるてるぼうず 逆につり 』
季語:雪(冬)
意味:雪がふりますようにと晴れを願うてるてるぼうずを逆につって降るようにお願いしている。
【No.9】
『 寒い中 子育てをする 桜の木 』
季語:寒い(冬)
意味:寒い気温の中、桜の木は芽をつけて一生懸命育てています。
【No.10】
『 冬の朝 車につららの あごひげだ 』
季語:冬の朝(冬)
意味:冬の朝、車の下につららをつけていてあごひげのように見える。
【No.11】
『 老犬は ストーブ背負い 尾を焦がす 』
季語:ストーブ(冬)
意味:老犬がストーブを背負っているように座っているが、尾が焦げている。
【No.12】
『 降誕祭 幾つになっても 菓子嬉し 』
季語:降誕祭(冬)
意味:降誕祭はいくつになってもブーツに入ったお菓子が嬉しい。
【No.13】
『 しばらくは 柚子湯に一人 とっぷりと 』
季語:柚子湯(冬)
意味:しばらくは柚子湯に一人とっぷりと入ろう。
【No.14】
『 初雪や 他人行儀の 通学路 』
季語:初雪(冬)
意味:初雪が降ったなぁ。他人行儀のような通学路だ。
【No.15】
『 オリオン座 友と探した 帰り道 』
季語:オリオン座(冬)
意味:オリオン座を友人と探した帰り道だ。
以上、小学生向けの冬のオススメ俳句集でした!