
今回は、4月の有名俳句についてご紹介していきます。
4月と言えば、みなさんはどんなイメージを思い浮かべますか?入学式や入社式など、新しい年度が始まる出会いの季節ですよね。
また、桜が満開になって、お花見などのイベントでも盛り上がる時期でもあります。
今回紹介するのは、4月の有名な俳句から一般の方が作ったオリジナルの俳句まで、私のおすすめばかりです。
難解な句はありませんので、安心してくださいね。
この記事を読んで、あなただけのお気に入りの一句を見つけていただければ幸いです。
俳句に4月らしさを出す!4月の季語を知ろう
俳句とは、5・7・5の3句17音からなる、日本独自の定型詩のことです。
また、「季語」と呼ばれる季節を表す言葉を含まなければならないというルールがあります。
(※5・7・5の音が足らないものを「字足らず」、音が多いものを「字あまり」といい、音数がちがっても違和感がなければ俳句として認められています)
日本語にはたくさんの表現がありますので、それに伴い、季語も非常にたくさんの種類があるのです。
ここでは、なるべく身近でわかりやすい4月の季語をご紹介します。
4月の季語
■時候を表す季語■
晩春、清明、春深し、八十八夜、暮れの春、行く春、春惜しむ、夏近し など
■天文・地理の季語■
桜まじ、油まじ、菜種梅雨、花の雨、春驟雨(はるしゅうう)、忘れ霜、春の霞、春の虹、花曇、鰊(にしん)曇、蜃気楼、フェーン、潮干潟、苗代、逃水 などなど
■生活行事の季語■
春日傘、桜餅、桜漬け、茶摘み、遠足、青踏、花見、桜狩、夜桜、花疲れ、新社員、春闘 など
■動物や生き物の季語■
若駒、馬の子、猫の子、オタマジャクシ、春の雁、雀の子、巣立ち鳥、桜鯛、鰊(にしん)、鰆(さわら)、ごんずい、若鮎、ホタルイカ、虻、蚕 など
■植物や野菜の季語■
桜、山桜、八重桜、ハナミズキ、ライラック、梨の花、杏の花、林檎の花、若緑、桑、柳、アネモネ、チューリップ、菜の花、豆の花、若草、草の若葉 など
春の季節の中でも、特に4月には多くの花の季語があると言われています。
4月の季語を使った有名俳句集【10選】
ここからは、4月の季語を使った有名俳句をご紹介します。
もしかしたら教科書などで目にしたものもあるかもしれません。
【NO.1】原石鼎
『 門の花 静かに白し 花曇 』
季語:花曇
意味:ぼんやりと曇った天気の中で、門のところに咲いている花だけは、静かにその白さをたたえている
【NO.2】松尾芭蕉
『 桜狩り 奇特や日々に 五里六里 』
季語:桜狩り
意味:桜狩りだとて、殊勝なことによくもまあ、毎日こうして五里六里もせっせと歩き回っていることよ
【NO.3】松尾芭蕉
『 花の雲 鐘は上野か 浅草か 』
季語:花の雲
意味:桜の花が雲のように見渡せる日、鐘の音が聞こえてくるのは、上野の寛永寺からだろうか。それとも、浅草寺からであろうか
【NO.4】日野草城
『 うららかや 雀ひばりに 鳴き交じり 』
季語:うららか
意味:いつも聞きなれた雀の声が、高らかに鳴くひばりの声に交じって聞こえてくる。なんともうららかな春の日のことだ
【NO.5】高橋淡路女
『 振り向きし 後ろに月や 春の宵 』
季語:春の宵
意味:春の宵、ふと後ろを振り返ると、ぼんやりとした空に月が浮かんでいる。見事な朧月である
【NO.6】正岡子規
『 今年又 花散る 四月十二日 』
季語:花散る
意味:今年も桜が散ってしまった。暦はいつの間にか4月12日になっていたことだ
【NO.7】及川貞
『 花御堂 花重なりて 匂ひけり 』
季語:花御堂
意味:4月の花祭りで、花御堂がたくさんの花に飾られている。重なった花からいい香りが匂っている
【NO.8】臼田亞浪
『 夕暮れの 水のとろりと 春の風 』
季語:春の風
意味:菜の花畑の中、東からは月が昇り始め日が西に沈んでいくところだ
【NO.9】炭太祇
『 長閑さや 早き月日を 忘れたる 』
季語:長閑(のどか)さ
意味:春の長閑さは、あまりにも早く過ぎてしまうあっけない人生のことを忘れさせてくれるものだ
【NO.10】炭太祇
『 半ばきて 雨に濡れゐる 花見哉 』
季語:花見
意味:花見をしようと、せっかく途中までやってきたというのに、雨が降って濡れてしまったことよ
こんな俳句もある!オリジナル俳句集【10選】
ここまでは、【4月の季語】を使った有名な俳句をご紹介しました。
少し難しかったり、身近には感じにくいと思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
そこで、ここからは一般の方が詠んだ、オリジナルの俳句をご紹介したいと思います。
【No.1】春愁や ノンフィクションの 本を閉じ
季語:春愁
意味:春の日、読んでいた本の内容があまりにも心に刺さり、思わず本を閉じてしまった。春愁の中に沈んでいきそうな気持ちになっている
【No.2】春愁や 浅き眠りの 夜明けたり
季語:春愁
意味:季節が変わり、もの思うことが増えた春。なかなか寝付けずに、浅い眠りのまま朝を迎えてしまった
【No.3】桜散る さよならじゃなく ありがとう
季語:桜散る
意味:桜は散ってしまったけれど、さよならと別れを告げるのではなく、ありがとうと言いたい
【No.4】桜貝 透かしてのぞく 春の空
季語:桜貝、春の空
意味:小さな桜貝から、春の空を透かしてのぞいてみました。いつも見える空とはちがった景色を見ることができました
【No.5】若桜 カッターシャツの 糊固し
季語:若桜
意味:新人さんたちの姿をあちらこちらで見かける季節になった。まだ糊がしっかり効いている襟は、制服やスーツを着慣れていない証拠だろう。まるで若桜を見ているようで、初々しい気持ちになった
【No.6】菜の花や 風がなでゆく 地平線
季語:菜の花
意味:満開の菜の花を、風が優しくなでているように吹いている。菜の花たちが揺れるさまは、まるで地平線ごと風に撫でてもらっているように見える
【No.7】風邪ですか 今週からは 花粉です
季語:花粉
意味:少し前までは、マスクをして咳込んでいる人の姿が多かった。風邪が流行っていたのでそうなっていたのだが、今週からは同じ格好をしていても、「花粉症です」と答える人が増えた。いつの間にかそんな季節になっていたんだな
【No.8】花明かり 同じ余韻を 持つ人と
季語:花明かり
意味:大切な人と一緒に映画を観に行った。その帰り道、映画の余韻にひたりながら、花明かりに照らされた石畳みの上を一緒に歩いた。同じ余韻に浸り、そのことを共有できる人がいるというのは、本当に幸せなことだ
【No.9】花見場所 一人待つのも 悪くない
季語:花見
意味:みんなは、お花見の場所取りなんて面倒で嫌だ、というけれど、私は一人でのんびりと桜を眺めることのできるこの時間も、悪くないと思っている
【No.10】春の夢 エレベーターで 火星まで
季語:春の夢
意味:春眠暁を覚えずではないが、春の陽気につい、うつらうつらと眠ってしまった。そのわずかの時間に、人類がエレベーターで火星に行けるという壮大な夢を見た。ずいぶんと大冒険をしたものだ
以上、4月の季語を使った俳句集をご紹介します!