【5月の俳句 おすすめ30選】中学生向け!!5月の季語を含んだ有名&一般俳句作品集を紹介!

 

ありのままの情景を伝えることができる俳句。

 

俳句には様々な季節の美しさと、それを見た人々の気持ちが詠まれています。

 

 

季節のある日本だからこそ根付いたものであるといえるでしょう。

 

今回は、そんな沢山ある季節の中でも、春から夏に移り変わる「5月」の季語を使ったおすすめ俳句集を紹介していきます。

 

リス先生
それでは、さっそく見ていこう!

 

俳句に5月らしさを出す!5月の季語を知ろう

 

俳句には【季語(きご)】という「その時の情景や状況、作者の気持ちをより具体的に読み手へ伝えるため、用いられる言葉」があります。

 

例えば…

 

  • 春・・・「立春」「たんぽぽ」「桜」
  • 夏・・・「アイスクリーム」「半袖」「海」
  • 秋・・・「紅葉」「秋の暮れ」「秋分の日」
  • 冬・・・「バレンタインデー」「ゆきだるま」「こたつ」

 

どれもその言葉を聞くと「あの季節だ!」とすぐにわかる言葉たちばかりだと思います。こういった言葉のことを【季語】と言います。

 

そして、季節をさらに細かくすると今度は月によって変わってきます。

 

例えば、1月ならば正月や冬の始まりといった感じですが、2月の終わりになるともう春が近づいてきます。このような感じで季節という大まかな区切りだけでなく、月によっても季語は変化するのです。

 

ここでは、5月の季語をいくつか紹介します。

 

【立夏】

読み方:りっか

意味:夏の始まり

【子供の日】

読み方:こどものひ

意味:子供の権利を尊重し、成長を祝うなどの目的にした記念日。5月5日。

【母の日】

読み方:ははのひ

意味:母へ感謝する日。5月の第2日曜日。

【牡丹】

読み方:ぼたん

説明:牡丹は4 - 5月に開花する。

【初鰹】

読み方:はつがつお

意味:3月から5月に水揚げされた鰹のこと。

 

リス先生
このほかにも5月の季語には以下のようなものがあるよ!

5月の季語【一覧】

 

立夏/夏浅し/麦の秋/五月尽/筍流し/麦の秋風/豆飯/筍飯/麦飯/新茶/麦刈/麦藁/豆植う/茄子植う/孟夏の旬/端午/蝉生る/金雀枝/栗の花/木苺/若葉/新緑/卯の花/桐の花/アイリス/カーネーション/百合/苺/山椒の花/筍/麦/鈴蘭 などなど。

 

 

5月の季語を使った有名俳句集【10選】

 

それでは早速、5月の季語を使った有名な俳句を紹介していきます。

 

【NO.1】原石鼎

『 袷(あわせ)着て ほのかに恋し 古人の句 』

季語:袷(夏)

意味:袷を着るとなんだか古人の句が恋しくなる。

俳句仙人
袷とは裏地のある着物のことです。古くから着られている着物を着たから、昔の人が書いた句をよみたくなったのでしょうか。

 

【NO.2】山口誓子

『 うつすらと からかみ青き 五月かな 』

季語:五月(夏)

意味:からかみをみると、うっすらと青が透けていた。五月なんだなぁ。

俳句仙人
唐紙(からかみ)とは美しい模様などがついているふすま用の紙のことです。五月の空がからかみが青くなるほどの晴天だということが分かりますね。

 

【NO.3】小林一茶

『 大江戸や 犬もありつく 初鰹 』

季語:初鰹(夏)

意味:大江戸には初鰹が売られていてその美味しさは犬も食べてしまうほどだ。

俳句仙人
初鰹の美味しさを犬で例えてユーモアのある句です。お腹が鳴ってしまいそうです…。

 

【NO.4】山口誓子

『 折りし皮 ひとりで開く 柏餅(かしわもち) 』

季語:柏餅(夏)

意味:かしわもちを食べ終わった後にかしわもちについていた葉を折って置いたのだが、硬い葉はひとりでに開いていく。

俳句仙人
端午の節句に食べる柏餅の葉は硬い葉なので、ひとりでに開いてしまう…。共感してしまう一句です。

 

【NO.5】星野立子

『 五月来ぬ 心ひらけし 五月来ぬ 』

季語:五月(夏)

意味:五月が来ない。五月は爽やかで、どこから開放的な気持ちになれるのにその五月が来ない。

俳句仙人
五月を今か今かと待っている作者の句です。五月の爽やかさを心ひらけしと表現していて心を打たれました。

 

【NO.6】炭太祇

『 葉ざくらの ひと木淋しや 堂の前 』

季語:葉ざくら(夏)

意味:葉桜の木が一つ、堂の前で寂しそうにたっている。

俳句仙人
葉桜とは、新緑でいっぱいになった桜の木のことです。満開だった桜も散ってしまって少し寂しそうに見える桜をよんだ、じつに心を打たれる一句です。

 

【NO.7】星野立子

『 薄暑来ぬ 人美しく 装へば 』

季語:薄暑(夏)

意味:薄暑の陽が照りつける中、着物を装ったあの人はより美しく見える。

俳句仙人
これは作者がパリに行ったときに1人だけ着物を着ている自分を見ている人々の視点から読んだ句です。パリに住んでいる人々からしてみれば着物を着た作者が美しく見えたことでしょう。

 

【NO.8】正岡子規

『 夕顔の 苗売る声や 五月晴 』

季語:五月晴(夏)

意味:夕顔の苗を売る声が響く五月晴れの日。

俳句仙人
今では見なくなった夕顔の苗を売る声…。昔の人はこの声を聞くと五月が来たと実感していたのでしょう。

 

【NO.9】上島鬼貫(うえじま おにつら)

『 恋しらぬ 女の粽(ちまき) 不形なり 』

季語:粽(夏)

意味:恋を知らないくらい幼い女の子が作った粽は形が悪い。

俳句仙人
端午の節句に食べる粽。それを作る幼い女の子の不格好の粽を見て微笑ましく思う作者の気持ちが浮かんできます。

 

【NO.10】山口誓子

『 吹流し 五月の風を 蹴りに蹴る 』

季語:吹流し(夏)

意味:吹流しを五月の風が蹴るように吹いている。

俳句仙人
吹流しとはこいのぼりの上についている筒状の紙のようなもののことです。五月の強い風がその吹流しに向かって激しく吹いている様子が浮かんできます。

 

5月の季語を使った一般俳句作品集【10選】

 

先ほどあげた有名な俳句以外にも、一般の方が書いたオリジナルの俳句もたくさんあります。

 

ここでは、参考のために一般の方が作った俳句作品も10句紹介していきます。

 

【No.1】

こいのぼり 一匹ふえて およいでる 』

季語:こいのぼり(夏)

意味:前までは1匹少なかったのに、今見たら1匹こいのぼりが増えていた。

俳句仙人
こいのぼりは家に子供が増えると、こいのぼりの数も増えます。そのタイミングを偶然見た作者は強運のもちぬしなのかもしませんね。

 

【No.2】

母の日に ちょっとごちゃごちゃ パパカレー 』

季語:母の日(夏)

意味:母の日にお母さんへ感謝を込めて作るお父さんの不格好なカレーだ。

俳句仙人
お母さんのために苦手な料理を作ったのでしょうか?カレーを作るお父さんの姿…素敵です!

 

【No.3】

虫と子が サツキによりて 蜜を吸う 』

季語:サツキ(夏)

意味:虫と子供がサツキの花に寄って蜜を吸っている。

俳句仙人
サツキとはツツジに似た花で、花をちぎって後ろから吸うと甘い蜜が吸える…。甘い蜜は子供も虫も大好きです。

 

【No.4】

ごめんねと感謝を込めたカーネーション 』

季語:カーネーション(夏)

意味:母の日に、普段から迷惑かけてのごめんねとありがとうの感謝を込めたカーネーションをあげる。

俳句仙人
少し恥ずかしそうにカーネーションを渡す作者の姿が浮かんできます。ごめんねとありがとうをカーネーションを通して伝える作者は素晴らしいです。感動しました!

 

【No.5】

田植えする 足下に広がる 五月空 』

季語:田植え/五月空(夏)

意味:田植えをしている最中、田んぼに反射して足元に広がる五月の空だ。

俳句仙人
田植えをしている途中に見える小さな幸せをよんだ句です。最近では田植えを学校の授業でやるところが多いようですが、それを句にしてくれていることがとても嬉しいですね。

 

【No.6】

肌着など やさしきものの 五月かな 』

季語:五月(夏)

意味:五月には肌着などの肌に優しいものが多くなる。

俳句仙人
やさしきもののと書くことにより、五月の柔らかい暖かさが伝わる俳句に仕上がっています。

 

【No.7】

田植えして みんなドロドロ わらいごえ 』

季語:田植え(夏)

意味:みんなで田植えをしているときに泥でドロドロになったのが面白くて笑い声が響いた。

俳句仙人
田んぼに入ると泥の感覚はどこかこそばゆくて思わず笑ってしまいます。田植えを楽しんでいる様子が浮かんできます。

 

【No.8】

母さんに 手紙おくった 星月夜 』

季語:母(の日)(夏)

意味:星や月が綺麗に輝く夜に母へ手紙を送った。

俳句仙人
星月夜も秋の季語ですが、母の日に詠まれたもののため母の日を季語にしています。母の日だからこそ送れる素直な気持ちを書いた手紙。お母さんももらって嬉しかったでしょう。

 

【No.9】

草木に 輝き戻る 五月かな 』

季語:五月(夏)

意味:冬に元気がなくなる草木も五月になれば輝きが戻る。

俳句仙人
暖かくなる五月には草木も綺麗な緑を輝かせます。自然の美しさをよんだ素敵な一句です。

 

【No.10】

庭の葉が 母の自慢や 柏餅 』

季語:柏餅(夏)

意味:母の自慢である庭の葉を見ながら柏餅を食べた。

俳句仙人
母が丁寧に育ててきた庭の葉を見ながら食べる柏餅は美味しそうですね。

 

5月の季語を使った有名俳句集【おまけ10句】

 

さいごに、5月の季語を使った有名俳句を10句紹介していきます。

 

【NO.1】山口素堂

『 目には青葉 山ほととぎす 初鰹 』

季語:青葉(夏)/ほととぎす(夏)/初鰹(夏)

意味:目には美しい青葉が見え、山ではホトトギスが鳴き、初鰹が出回る季節だ。

俳句仙人
有名な初夏の季語を3つ並べた俳句です。視覚、聴覚、味覚と初夏の魅力を存分に詠みあげています。季重なりの句ですが、どれも同格の季語のため認められている面白い一句です。

【NO.2】高浜虚子

『 白牡丹と いふといへども 紅ほのか 』

季語:白牡丹(夏)

意味:白牡丹というといっても中心部は紅色がほのかにさしている。

俳句仙人
「白牡丹」という名前に反して、中心部にはうっすらと紅がさしている様子を詠んだ句です。白牡丹の花をよく観察するまさに写実的な俳句になっています。

【NO.3】石田波郷

『 プラタナス 夜も緑なる 夏は来ぬ 』

季語:夏は来ぬ(夏)

意味:プラタナスの葉が夜も緑色でよく見える。夏が来たのだ。

俳句仙人
初夏の若葉が美しい季節を詠んだ一句です。街路樹のプラタナスの葉が夜でもその緑色がよく見えることで、夏の訪れを感じています。葉が若葉の黄緑から濃い緑色に変わっていく様子がうかがえます。

【NO.4】細見綾子

『 葉桜の 下帰り来て 魚に塩 』

季語:葉桜(夏)

意味:葉桜の下を帰ってきて、魚に塩を振って下ごしらえをする。

俳句仙人
花見で持て囃された時期を過ぎ、日常生活に戻った様子を詠んでいます。魚を買って帰ってきて、今日の献立に思いを馳せながら下ごしらえをする日常の句です。すでに桜の木には目もくれていない季節の移り変わりを感じます。

【NO.5】石田波郷

『 雀らも 海かけて飛べ 吹流し 』

季語:吹き流し(夏)

意味:雀たちも海を翔けるように飛べ、あの吹き流しのように。

俳句仙人
「吹流し」とは鯉のぼりと共に付ける五色の幟のことです。風に吹かれてどこまでも飛んでいけそうな様子を詠んでいます。雀たちも吹き流しのように風に乗ってどこまでも飛んでいけたらいいのにという願望を詠んだ一句です。

【NO.6】松尾芭蕉

『 若葉して 御目の雫 ぬぐはばや 』

季語:若葉(夏)

意味:この若葉でもって、あなたの目の雫をぬぐおう。

俳句仙人
この句は作者が奈良にある唐招提寺に行った際に詠んだ一句です。「御目」とは鑑真の像のことで、失明しても来日を諦めなかった史実に敬意を払っています。

【NO.7】松尾芭蕉

『 あらたふと 青葉若葉の 日の光 』

季語:青葉若葉(夏)

意味:ああ尊いことだ。青葉や若葉が茂る日の光とこの日光は。

俳句仙人
「日の光」に太陽光と地名の日光が掛かっている句です。この句は作者が日光東照宮にお参りした時に詠まれていて、日光に照らされる東照宮を尊んでいます。

【NO.8】杉田久女

『 谺(こだま)して 山ほととぎす ほしいまま 』

季語:山ほととぎす(夏)

意味:山の中でこだまが聞こえる。ホトトギスは自分の欲しいままに鳴いている。

俳句仙人
ホトトギスの鳴き声がこだまとなって聞こえている様子を詠んでいます。自由気ままに鳴いているホトトギスを「ほしいまま」と表現する面白い句です。他に何の音もせず、ホトトギスとそのこだまだけが聞こえてくる様子が伺えます。

【NO.9】水原秋桜子

『 麦秋の 中なるが悲し 聖廃墟 』

季語:麦秋(夏)

意味:麦を刈り入れる季節になったのに、この聖なる天主堂は物悲しい。

俳句仙人
「聖廃墟」とは原爆によって廃墟となった浦上天主堂のことを指しています。豊かな実りの季節にも関わらず廃墟となった教会を悲しんでいる一句です。

【NO.10】石田波郷

『 雨がちに 端午近づく 父子かな 』

季語:端午(夏)

意味:ずっと雨が続いているが、端午の節句が近づくのを待ち焦がれている父と子であるなぁ。

俳句仙人
作者の息子の誕生日が端午の節句であることから、父と子供が今か今かと待ち焦がれている様子を詠んでいます。天気は悪いですが、悪天候も吹き飛ばすほどの期待を感じる一句です。

 

以上、5月に関するおすすめ俳句集でした!

 

 

俳句仙人
5月は母の日や子供の日など家族でお祝いをする行事が多い月です。家族で誰がうまく俳句をかけるか競ったり、みんなで俳句をよみ合ったりするのも面白いかもしれません。

リス先生
ぜひ俳句を作ってみてね!

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