
めっきり冷え込んで、いよいよカレンダーのページも最後に差し掛かってきました。
なかなか家から出たくなくなる季節ですが、冬だからこその情景も綺麗なものです。
そこで今回は、12月の季語を含んだ有名俳句&一般の方が作ったオリジナル俳句をご紹介していきます。
俳句に12月らしさを出す!12月の季語を知ろう
俳句では11月から1月までが冬とされていて、さらに初冬・仲冬・晩冬と分かれています。
つまり、大まかに言うと12月は冬の真ん中、仲冬に当たるのです。
【時候】
- 十二月
- 大雪:「おおゆき」ではなく「たいせつ」と読み、二十四節気のひとつ。雪の多い12月7日ごろに当たります。
- 冬至/一陽来復:12月22日ごろ、一年間で最も日が短い日です。
【天文】
- 冬晴/冬日和:特に太平洋側は晴れわたる日が続きます。寒いなかにも明るさを感じさせる季語です。
【生活】
- 冬休:いわゆる学校の冬休みのこと。お正月も挟むので、親戚で集まることも多いのではないでしょうか。
- 羽子板市:年末に羽子板を売っている市のこと。浅草寺が有名です。
- 柚子湯:冬至の日に柚子の実を入れてお風呂に入ること。無病息災でいられるとか。
【行事】
- クリスマス:イエスキリストの誕生日。日本でも教会がミサをしたり、街をイルミネーションで飾ったりしますね。
- 漱石忌:文豪夏目漱石が亡くなった日。「坊ちゃん」「吾輩は猫である」などは教科書に載ることもあり有名です。
【動植物】
- 冬の蝶/凍蝶:冬に見られる蝶のこと。多くは蛹で冬を越しますが、そのままじっと春を待つものも。
- ポインセチア:クリスマスによく見かける観賞用の花。鮮やかな赤い葉が目を引きます。
12月の季語【一覧】
霜月・寒波・短日・冬の日・冬の朝・冬の空・冬の雲・冬霞・冬霧・冬の雷・冬の虹・冬夕焼・冬の暮・冬の夜・冬の月・冬の星・冬銀河・火事・火の番・冬の鳥・冬の雁・冬の鵙・越冬燕・水鳥・浮寝鳥・鴨・鶴・白鳥・夜神楽・顔見世・杜氏来る・雪催・雪起し・初雪・雪・寒し・冷たし・息白し・冬木・冬木立・枯木・枯木立・枯柳・冬枯・霜枯・冬ざれ・枯芝・枯菊・冬林檎・蜜柑・冬蕨・枇杷の花・冬柏・冬桜・針供養・大根焚・漱石忌・ぼろ市・羽子板市・年の市・風呂吹・雑炊・根深汁・白菜・人参・納豆汁・闇汁・寄鍋・おでん・焼鳥・焼藷・湯豆腐・葛湯・熱燗・鰭酒・玉子酒・冬の山・山眠る・冬野・枯野・冬田・冬眠・熊・狩人・罠・薬喰・猪鍋・狸・兎・笹鳴・都鳥・冬鴎・冬の海・波の花・鮫・鯨・河豚・鮟鱇・鮪・柳葉魚・海鼠・牡蠣・味噌搗・冬の蝶・冬の蜂・冬の蠅・冬の虫・枯蟷螂・屏風・障子・炭焼・湯ざめ・風邪・咳・褞袍・羽織・ねんねこ・毛皮・重ね着・セーター・冬服・冬シャツ・ショール・マスク・手袋・足袋・コート・懐手・毛糸編む・紙漉・北風・空風・冬凪・鎌鼬・霜・霜夜・霜柱・雪囲・雪吊・雁木・藪巻・霧氷・樹氷・水涸る・冬旱・冬の川・狐火・一茶忌・冬至・柚子湯・天皇誕生日・ポインセチア・クリスマス・師走・賀状書く・暦売・古暦・日記買ふ・ボーナス・年用意・春支度・飾売り・注連飾る・煤払・畳替・冬休み・歳暮・年忘・ご用納め・餅搗・餅・年の暮・年の内・数へ日・行く年・大晦日・大年・なまはげ・若布刈神事・年の火・年守る・年の宿・晦日蕎麦・年越・除夜・年惜しむ・年取・除夜詣・除夜の鐘
12月の季語を使った有名俳句【10選】
それでは、さっそく12月の季語を使った有名な俳句をご紹介していきます!
【NO.1】長谷川かな女
『 亡き母を 知る人来たり 十二月 』
季語:十二月
意味:だいぶ昔に亡くなった母を、知っているという人が訪ねてきました。十二月という年末の忙しさのなかに、時の流れと懐かしさを感じました。
【NO.2】岡田史乃
『 冬晴や できばえのよき 雲ひとつ 』
季語:冬晴
意味:冬の晴れ渡った一日。空に一つだけ浮かんでいる雲は澄んでいて整った形をしていて、まさに「出来栄えのよい」もの。晴れやかな気持ちになりました。
【NO.3】鈴木鷹夫
『 鍵束の ひかりを投げて 冬休 』
季語:冬休
意味:天に向かって軽く投げたのか、鍵束がひとつの光のように見えました。冬休みというわずかな期間のなかでの、明るい一面を切り取りました。
【NO.4】高浜虚子
『 うつくしき 羽子板市や 買はで過ぐ 』
季語:羽子板市
意味:絢爛できらびやかな羽子板市に多くの人が見にきています。結局買わずに過ぎてきてしまいましたが、豪華な空気感に包まれています。
【NO.5】富安風生
『 よその子に 買ふ羽子板を 見て歩く 』
季語:羽子板市
意味:羽子板市に来ているが、見ているのは自分の家用ではなく、他の家のお子さんにプレゼントするもの。何を買ったら喜ばれるのだろう、など考えながらそぞろ歩いています。
【NO.6】川崎展宏
『 柚子風呂に 浸す五体の 蝶番 』
季語:柚子風呂
意味:寒さで全身の関節はドアの蝶番のように固まっています。しかし柚子風呂に入って、固まった体も解きほぐれていくようです。
【NO.7】秋元不死男
『 へろへろと ワンタンすする クリスマス 』
季語:クリスマス
意味:クリスマスといえば七面鳥やケーキなどご馳走を食べるもの。しかし自分はワンタンを、しかもへろへろと啜っています。
【NO.8】小笠原和男
『 冬の蝶 日溜まり一つ 増やしけり 』
季語:冬の蝶
意味:冬の蝶がふっと飛んできました。まるでその蝶のための日溜まりが、一つ増えたようでした。
【NO.9】小林一茶
『 冬の蝿 逃せば猫に 取られけり 』
季語:冬の蝿
意味:冬の蝿を捕らえようとしたのに逃してしまいました。と思ったら、すかさず家の猫が捕まえてしまいました。
【NO.10】古賀まり子
『 ポインセチア どの窓からも 港の灯 』
季語:ポインセチア
意味:部屋には真っ赤なポインセチアが飾ってあり、部屋の数あるから窓から外を覗くと、港の灯りが美しく灯っています。
こんな俳句もある!オリジナル俳句集【10選】
つづいて、一般の方が作った12月のオリジナル俳句集をご紹介します。
【No.1】パレットに バラ色足して 年惜しむ
季語:年惜しむ
意味:絵を描いていて、パレットにバラの色を足しました。今年も終わっていくのだなという感慨があります。
【No.2】着ぶくれて 四肢の在り処 の定まらず
季語:着ぶくれ
意味:寒いのでたくさん着込んで着ぶくれてしました。手も足も動かしにくくなっています。
【No.3】年惜しむ 付箋の多き 旅行本
季語:年惜しむ
意味:旅行本を見て、いきたいところに付箋をつけていくとこんなにも増えていました。年末のほっとする一コマです。
【No.4】束の間の 色でありけり 冬夕焼
季語:冬夕焼
意味:鮮烈な赤をした夕焼。それを束の間のものでしかないように感じました。
【No.5】水鳥の 目に外つ国の 湖の色
季語:水鳥
意味:冬になると北の国からやってくる水鳥。その目には外国の地の冷ややかな湖の色が映っているようです。
【No.6】色放つ 銀のさざなみ 冬の湖
季語:冬の湖
意味:冬の湖はとても寒々しいですが、それが銀のさざなみに見えました。
【No.7】人生は 片道切符 冬銀河
季語:冬銀河
意味:人生も片道切符と同じで一方向にしか進まない。冬銀河のなかで命の流れを感じました。
【No.8】その中に いない猫なり 漱石忌
季語:漱石忌
意味:いつもいる場所に猫がいないということでしょうか。猫を愛した漱石を偲んでいます。
【No.9】絶滅の 鳥の剥製 冬の星
季語:冬の星
意味:絶滅してしまった鳥の剥製が飾ってありました。窓からは冬の星が見えてそれを照らしています。
【No.10】空っ風 地球の軸に 自分置く
季語:空っ風
意味:強い空っ風が吹きました。それに負けないように、しっかりと立ってています。
以上、12月の季語を使った俳句集をご紹介しました!