私たちの生活にとても馴染みの深い「朝顔」。
現在では色とりどりの美しい姿を見せてくれますね。
今回は、「朝顔」を題材にしたおすすめ俳句集(俳人有名俳句+一般の方の俳句)を紹介していきます。
朝顔や つるべ取られて もらい水(加賀千代女) #俳句 #秋 pic.twitter.com/4gC1WwwyOj
— iTo (@itoudoor) October 3, 2015
実は朝顔は「秋の季語」!
朝顔は、ヒルガオ科サツマイモ属の植物で、日本では最も身近な植物として知られています。
朝顔が咲くのは夏ですので夏の季語と思われがちですが、じつは朝顔は「秋の季語」です。
秋の季語の朝顔
早朝の急激な冷え込み
花開く姿
季節の歩みを日々感じます pic.twitter.com/osJEId7bnR— YuzuH(調香師) (@LerizbrunH) October 15, 2016
旧暦の二十四節気では、朝顔が季語として使用されるのは「立秋の頃」だとされており、立秋とは8月の初旬を指します。
そのため、朝顔は夏の風物詩ですが、季語の分類としては秋の季語になるので気をつけましょう。
朝顔の季語を含んだ有名俳句集【15選】
まずは、朝顔を季語として詠まれた有名俳句(俳人が詠んだ名句)を紹介していきます。
【NO.1】加賀千代女
『 朝顔に つるべ取られて もらい水 』
季語:朝顔(秋)
意味:井戸に水を汲みに行ったら、朝顔の蔓がつるべに巻きついていた。これを取り外してつるべを使うのはかわいそうなので、お隣に水をもらいに行くことにした。
【NO.2】水原秋桜子
『 朝顔市 立つ日は癒えて 帰る日ぞ 』
季語:朝顔市(夏)
意味:毎年7月に行われる朝顔市がもうすぐやってくる。その頃には、病床にいる自分の身体も癒え、家に帰ることができるだろう。
【NO.3】炭太祇
『 蕣(あさがお)に 垣ねさえなき 住居かな 』
季語:蕣/朝顔(秋)
意味:あさがおというものは蔓が長いため、民家で咲かせる場合にはつるを巻き付ける垣根をつけるものだが、この住居にはその垣根がない。それほどにまで苦しい生活をしているのかもしれない。
【NO.4】正岡子規
『 朝顔に われ恙(つつが)なき あした哉 』
季語:朝顔(秋)
意味:今日もこうして、朝顔が咲く時間を迎えられた。明日もきっと、つつがなく朝顔を見ることができることだろう。
【NO.5】稲畑汀子
『 朝顔の 萎えて朝の 心失せ 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔がその美しい花を見せてくれるのは、朝の早い時間だけ。昼前になって朝顔がすっかり閉じてしまうと、すがすがしい朝の気分もどこかへ行ってしまったようだ。
【NO.6】稲畑汀子
『 朝顔の 蔓の自由の 始まりし 』
季語:朝顔(秋)
意味:今年も朝顔の蔓がどんどん成長する季節になった。あちらこちらに伸びている蔓は、まるで自由を得たかのように生き生きして見えることだ。
【NO.7】山本荷兮
『 あさがほの 白きは露も 見へぬ也 』
季語:あさがほ(秋)
意味:朝顔が美しい白い花をつけている。その白さは、昨夜降った雨の露さえも見えなくなってしまうほどである。
【NO.8】石田波郷
『 朝顔の 紺の彼方の 月日かな 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔の花が咲き、その紺色を眺めていると、この花が咲くまでの長い月日のことを思い出すことよ。
【NO.9】加藤楸邨
『 朝顔の 藍やどこまで 奈良の町 』
季語:朝顔(秋)
意味:7月の奈良の町に足を運ぶと、数えきれないほどの朝顔が咲いている。朝顔の花の藍色は、一体どこまで続いているのだろうかと思うくらいだ。
【NO.10】松尾芭蕉
『 朝顔や 昼は錠おろす 門の垣 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔が咲いているなぁ。昼は花で錠を下ろすように門の垣根に咲いている。
【NO.11】与謝蕪村
『 朝顔や 一輪深き 淵の色 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔が咲いているなぁ。その中の 一輪を覗き込むと、吸い込まれるほど深い淵の色が見えた。
【NO.12】高浜虚子
『 暁の 紺朝顔や 星一つ 』
季語:朝顔(秋)
意味:明け方の紺色の空に朝顔が咲いているなぁ。星も1つ瞬いている。
【NO.13】杉田久女
『 朝顔や 濁り初めたる 市の空 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔の花が咲き始めたなぁ。朝の支度の煙が上がって空が濁り出した市場だ。
【NO.14】夏目漱石
『 朝貎や 咲いた許(ばか)りの 命哉 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔が咲いたなぁ。咲いたばかりですぐにしぼんでしまう命であることだ。
【NO.15】日野草城
『 平凡に 咲ける朝顔の 花を愛す 』
季語:朝顔(秋)
意味:平凡に咲いている朝顔の花を愛している。
こんな俳句もある!朝顔の一般おすすめ俳句作品集【25選】
ここからは、朝顔を季語として詠んだ、一般の方の俳句作品を紹介していきます。
私たちの生活の中に馴染みの深い朝顔ため、たくさんの俳句が詠まれています。
【No.1】
『 朝顔や 朝露のせたる 軽やかに 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝の雨に濡れた朝顔はいっそうさわやかで、元気そうに花びらが開いている。そんな姿に元気をもらった。
【No.2】
『 朝顔や 月曜の朝に ホッといる 』
季語:朝顔(秋)
意味:休み明けで心が重い月曜日だが、出勤途中に朝顔が咲いているのを見て、沈んだ気持ちがホッとした。
【No.3】
『 朝顔や ひとりゆうらり 哲学す 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔の花がひとつ、静かに揺れている。まるで物思いにふける自分の心と同調してくれているようだ。
【No.4】
『 朝顔の 色眺め歳 感じおり 』
季語:朝顔(秋)
意味:今年も朝顔が咲いた。その美しい色を見ていると、今まで自分が過ごしてきた歳月が思い出されることだ。
【No.5】
『 朝顔の ドレス仕立てや 誰ぞ着る 』
季語:朝顔(秋)
意味:大きな白い朝顔が、360度の方角に花をつけている。それを見ると、まるで丁寧に仕立てたドレスのように見える。自分はこのドレスを誰に着てもらいたいだろうか。
【No.6】
『 朝顔に つかみどころを 教えけり 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔の蔓はどんどん伸びていってしまうので、うまく垣根に絡まるように調整してやらなければならない。それはまるで、どこにつかまればいいのかを教えてあげるような感じだ。
【No.7】
『 朝顔の 傷つき易き 絹の襟 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔の花びらは、まるで絹の襟のようになめらかだ。しかし繊細で傷つき易いので、そっと触れなければならない。
【No.8】
『 朝顔の 紺一天の 晴れ間かな 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔の紺色が美しい。まるで晴れ渡った空のようである。
【No.9】
『 文化から 朝顔市の いま令和 』
季語:朝顔市(夏)
意味:文化の時代から続く朝顔市。いまや令和を迎えているが、変わることなく続いている。
【No.10】
『 桶に浮く 朝顔市の 団十郎 』
季語:朝顔市(夏)
意味:朝顔市に行った際、団十郎という種類の朝顔が、花びらだけを切り取られて桶の中に浮いていた。その様子が涼やかで美しかった。
【No.11】
『 咲き疲れ 投げやり気味の 朝顔や 』
季語:朝顔(秋)
意味:猛暑を耐え忍び、強烈な台風にも蔦を絡ませて耐え忍んだ朝顔たちが、たんだか疲れてみえる。人も朝顔も本当によくがんばったものだ。
【No.12】
『 朝顔の 開き切つたる 海の色 』
季語:朝顔(秋)
意味:開花しきった朝顔の花を見ていると、そこに深い海の色が感じられて、とても美しいことだ。
【No.13】
『 朝顔に たたまれている 明日の色 』
季語:朝顔(秋)
意味:明日の朝まで朝顔が花開くことはないが、いまたたまれている花びらの中に、明日の希望をも包み込んでいるような気がすることだ。
【No.14】
『 朝顔も つるべのばせぬ 寒き夏 』
季語:寒き夏(夏)
意味:冷夏の影響でなかなか朝顔が育たない。本来ならば今頃は、朝顔の蔓がたくさん伸びている時期であろうに。
【No.15】
『 朝顔は 彼の教室の 窓辺哉 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔を見るたびに、学生時代の教室の窓際に朝顔が咲いていたのを思い出し、あの頃の懐かしい気持ちに想いを馳せてしまうことだ。
【No.16】
『 朝顔の 空より青く 咲きにけり 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔が咲いている。晴れ渡る雲一つない空よりも青く、その花を咲かせていることだ。
【No.17】
『 行きしなの朝顔 帰りしなの歌 』
季語:朝顔(秋)
意味:待ちに待ったお出かけの日。行きには朝顔を眺めながら、帰りには鼻歌を歌いながら歩く道のりが楽しい。
【No.18】
『 王冠を 被る朝顔 実を見つけ 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔に実がついているのを見つけた。その実の先が王冠に似ていて、まるで朝顔の花が冠を被っているようだ。
【No.19】
『 朝顔や まだ日のささぬ 水の色 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔の濃い紫色は、まるでまだ日が差さない時間に静かに揺れている水のようだ。
【No.20】
『 朝顔が となりのつると 糸電話 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔の蔓が長く伸びていて、色々なところに絡まっている。隣同士の蔓が絡まりあい、まるで糸電話をしているように見える。
【No.21】
『 朝顔に 尻向けらるる 我が狭庭 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔におしりを向けられる私の狭い庭だ。
【No.22】
『 朝顔を 育てあげたる 男児かな 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔を立派に育て上げた男の子だ。
【No.23】
『 そっと咲く 朝顔濡れて 雨しずか 』
季語:朝顔(秋)
意味:雨が静かに降る中で、花を濡らしながらそっと朝顔の花が咲いている。
【No.24】
『 朝顔や つぼみとくまで 色隠し 』
季語:朝顔(秋)
意味:朝顔が植えられているなぁ。蕾が解けるまでどんな色の花が咲くのか隠されている。
【No.25】
『 朝顔市 昼間の月を 誰も見ず 』
季語:朝顔市(夏)
意味:朝顔市がやっている。朝顔を見ていて、誰も昼間に出ている月を見ていない。
以上、朝顔を季語に使ったおすすめ俳句集を紹介しました!