母の日は、5月の第2日曜日に設定され、「母に感謝する日」とされています。
母の日の起源は、幼くして母を亡くしたアメリカの女性が「生前から母へ感謝の気持ちを伝える機会をつくりたい」と尽力したことからと言われています。
亡母が大好きだったカーネーションをおくったため、母の日にカーネーションを贈る今の形ができました。
今回は、【母の日に詠みたい俳句】と題し、母への想いを表現した有名な俳句15選、一般俳句作品15選ご紹介します。
母の日に贈る花、カーネーション。 この花の花言葉、母の日だけは『母のために』となるが、ほかの364日は『軽蔑』。 フライングをしてカーネーションを渡すと、家庭崩壊の原因になるので注意。 pic.twitter.com/PtddkrRaJO
— おもしろ雑学満載♪ (@gazoudewaraou) August 4, 2016
母の日に詠みたい有名俳句【15選】
【NO.1】鷹羽狩行
『 母の日の てのひらの味 塩むすび 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日に思い出す母のてのひらの味、幼い頃から口にする塩加減はいくつになっても懐かしい。
「てのひらの味」というだけで多くの人が想像する懐かしく思い出す味があり、その塩むすびを握る母の姿を表現しています。子を想いながら優しく包み込むように握る母のうしろ姿が目に浮かぶあたたかい気持ちになる俳句です。
【NO.2】中村草田男
『 母の日や 大きな星が やや下位に 』
季語:母の日(夏)
意味:母の地位は下位であっても、自分にとって母は一番大きな星だなぁ。
男尊女卑の時代において、母親の地位は家族の中で一番下とされていますが、大切な母を讃え、感謝する気持ちをこめています。
【NO.3】岡本眸
『 亡き母の 指ぬき太き 母の日よ 』
季語:母の日(夏)
意味:亡くなった母親が使っていた指ぬきを見て、改めて母を想う母の日だなぁ。
毎日使っていたであろう使い込まれた母の指ぬきを見て、母の姿を改めてしみじみと思い出している句です。亡くなってしまってもう会えないことの寂しさを感じます。
【NO.4】廣畑昌子
『 母の日の 二歳はレタス ちぎる役 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日に、2歳の子がする役割はレタスをちぎることだ。
母の日にお母さんへお料理をプレゼントするため、家族皆でキッチンに並んでいる姿が表現されています。2歳の子ももちろんしっかりと役割をもち、大好きなお母さんのために一生懸命レタスをちぎる姿が目に浮かびます。
【NO.5】川本けいし
『 母の日や 塩壺に「しほ」と 亡母の文字 』
季語:母の日(夏)
意味:塩壺に書かれた「しほ」の文字は、亡くなった母の字だなぁ。
母親が、間違わないように塩の壺に書いた「しほ」の文字を見つけた作者の姿をあらわしています。旧仮名遣いに時代を感じ、亡き母への想いが募り、母の日に改めてしみじみと母との思い出をかみしめている姿が切なく、悲しい一句です。
【NO.6】村上万寿香
『 母の日や 鏡の中に 母の顔 』
季語:母の日(夏)
意味:ああ、鏡をのぞくと、そこには、年齢を重ねるとともに母に似てきた自分の顔があるなぁ。
母の日に母のことを想いながら、ふと鏡をのぞくと、母かと錯覚するような母に似た自分の姿を見つけます。「親子である」ということを改めて感じる作者の姿が表現されています。自分もだいぶ歳を重ねてきたなということも感じているのかもしれません。
【NO.7】宮谷昌代
『 母の日の 何もしないで 母のそば 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日に、何か特別なことをすることなく、母のそばにいる。
「母と一緒にいたい」「母のそばにいたい」、母の子どもである作者にとって一番やりたいことを表現しています。そして、これは「そばにいてくれるだけで良い」という母の希望も込められており、親子の愛情の深さを感じる素敵な句です。
【NO.8】秋山深雪
『 クレヨンの カーネーション咲く 母の日よ 』
季語:母の日(夏)
意味:クレヨンで描かれたカーネーションが咲いている、母の日だなぁ。
母の日に、お子様がお母様のためにクレヨンで一生懸命「カーネーション」を描いているのでしょうか。クレヨンのカーネーションがいっぱい咲いている、その情景とお子様の想いが重なり、幸せな気持ちがあふれています。
【NO.9】及川貞
『 母の日や 大方の母 けふも疲れ 』
季語:母の日(夏)
意味:ああ、母の日もほとんどの母は今日も疲れているなぁ。
「母の日」くらいは、少しのんびりゆっくり休んでほしいと思う子どもの心と、母の日だからといってゆっくり休んでいることもできずに常に忙しい母の姿が表現されている句です。世の母親たちの実情を如実にあらわしているように感じます。
【NO.10】市橋一男
『 つばくらめ 野良にいそしむ 母にくる 』
季語:つばくらめ(春)
意味:つばめと重なる。田畑を守り、子どもを大切に懸命に育てている母の姿と。
つばめは生死をかけて周りと争うこともなく、一生懸命ひたすらに巣を守り、子育てをする鳥で、生態が人間に近いことから親しまれ大切にされています。そのつばめと母を重ねることで、母の偉大さ、感謝の気持ちを表現しています。
【NO.11】角川照子
『 母の日の かがやくばかり 塩むすび 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日に思い出すのは輝くばかりの塩むすびだ。
塩むすびは特別な具材がなく、塩を振っただけのおにぎりです。しかし、お米の甘さが引き立つため炊きたてのご飯で作ってもらったことがある人も多いのではないでしょうか。母の日に塩むすびを食べていると小さい時の記憶が蘇ったという一句です。
【NO.12】山口青邨
『 母の日に 生まれたりけり 果報者 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日に生まれた私は果報者だ。
母の日は日にちが固定されておらず、5月の第2日曜日です。そのため、作者は10日付近に生まれたことで母の日が誕生日になる年もあると喜んでいる様子が伺えます。作者の母からしても子供が大きく成長するのは何よりのプレゼントでしょう。
【NO.13】右城暮石
『 母の日に 思ひ出せずに 父の日に 』
季語:父の日(夏)
意味:母の日に思い出せずに父の日に一緒にプレゼントをした。
母の日は日曜日のため忘れやすい人も多いでしょう。父の日は6月の第3日曜日のため、忘れてしまっていたので両親一緒にプレゼントをしています。忘れないようにカレンダーなどに予定を書いておきたいところです。
【NO.14】高澤良一
『 母の日の おかあさんてば おかあさん 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日にお母さんではお母さんと呼びかける子供がいる。
お母さんの気を引きたいのか、用事があるのか、子供がしきりに母親に呼びかけている様子を詠んだ句です。なにか伝えたいことがあったり、お手伝いをしたいことがあったりと母の日のプレゼントを考えているのかもしれません。
【NO.15】百合山羽公
『 母の日の 更に芍薬 ひらきけり 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日に芍薬の花がさらに開いている。
自宅の庭などに生えていた芍薬の花が、母の日に合わせるように開花しています。芍薬はちょうど初夏に咲く花のため、毎年母親が楽しみにしているのかもしれません。今年も開花が間に合ったと観察している様子が伺えます。
母の日に詠みたい一般オリジナル俳句作品【15選】
【NO.1】
『 朝ごはん そっと早起き 母の日は 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日は特別に、普段はなかなかできない早起きをして母のために朝食をつくる。
いつもお世話になっている母のために朝食をつくる、とてもあたたかく優しい気持ちがあふれています。「そっと」という言葉がとても良いポイントになっていて、母が起きた時に驚かせたい、そして喜んでもらいたい、という愛がたくさんこめられた句です。
【NO.2】
『 母の日は やさしいえがお あふれてる 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日は、優しい笑顔がいっぱいである。
母の日は、母への感謝の気持ちを伝える日です。伝える側も、伝えられる側も、少し照れながらも、嬉しくて幸せな気持ちになり笑顔があふれている様子が目に浮かびます。
【NO.3】
『 母の日に 無口な父の カーネーション 』
季語:母の日(夏)
意味:普段は無口で静かな父が、母のためにカーネーションを贈る。
何も言わずに、少々ぶっきらぼうにカーネーションを渡す父の姿が表現されています。普段は照れくさくて、恥ずかしくて言えないけれど、感謝の気持ちでいっぱいであることが伝わる句です。
【NO.4】
『 母の日に なんにもしない それがうち 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日に、なにもしないのがうちである。
母の日に、贈り物をする等、特別なことはあえてしないのが「うち」であることを分かりやすい言葉で伝えています。母の日だけ何かをするのではなく、普段から毎日の生活の中できちんと感謝の気持ちを伝えているのでしょう。
【NO.5】
『 末っ子の 持つ手に野花 母の日に 』
季語:母の日(夏)
意味:末っ子が、母の日の贈り物として、母のために野花を摘んできてくれた。
一番小さな末っ子さんが、お母さんのために「自分で」何か贈り物をしたいと考え行動した、母への真っすぐな心と愛を感じます。きっとお母さんは、涙と笑顔で顔がぐしゃぐしゃになったのではと微笑ましく感じる句です。
【NO.6】
『 反抗期 カーネーションは 照れながら 』
季語:カーネーション(夏)
意味:反抗期、カーネーションを照れながら渡す。
反抗期で、母となかなかうまくコミュニーケーションが取れていません。でも、大切な母のためにカーネーションを用意し、照れながら少しぶっきらぼうに手渡す姿が目に浮かぶ、心があたたかくなる句です。
【NO.7】
『 五月晴れ 天まで届け カーネーション 』
季語:カーネーション(夏)
意味:亡くなった母へ、天国に向かってカーネーションを届ける。
幼少期に母を亡くし、母の日にカーネーションを手渡ししたことがないという切ない想いと共に、母への感謝の気持ちをこめています。「ありがとう」の気持ちを空に向かって伝える姿が目に浮かびます。
【NO.8】
『 母の日に バラの値段に 驚いた 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日にプレゼントしようとしたバラの値段が高くて驚いた。
母への感謝の想いをこめて、奮発して「バラの花束」をオーダーした作者の驚きや動揺、恥ずかしさが分かりやすい言葉で表現されています。母の好きなバラの花束を贈りたい気持ちと、自分のお財布事情の対比が面白い句です。
【NO.9】
『 母の日の 花持つ子供 誇らしげ 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日に、母のために用意した花を持つ子供の顔は誇らしげだ。
小さな子どもの姿でしょうか。お母さんのために選んだ花の贈り物を持つその顔はとても誇らしく、自信に満ち溢れた表情が想像できます。お母さんに喜んでもらいたい、という幼い子どもの優しい気持ちがあふれています。
【NO.10】
『 白粥の 母の味恋し カーネーション 』
季語:カーネーション(夏)
意味:母がつくってくれたお粥の味をふと思い出す、カーネーションを見ながら。
自分がつくったお粥を食べながら、「母がつくってくれたお粥は美味しかった」と、カーネーションを見ながらふと懐かしく思い出している姿を表現しています。作者は、母の愛情がたっぷりこもったお粥はもう食べられないのだなと、改めて、母の愛を強く感じているのかもしれません。
【NO.11】
『 母の日や 初挑戦の サプライズ 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日が来た。初挑戦のサプライズをする。
お母さんを喜ばせるために、母の日に初挑戦のサプライズを考えている作者です。サプライズと一言で言っても、プレゼントや食事、どこかに出かける旅行などさまざまなことが思いつきます。作者は一体どのようなサプライズを行ったのでしょうか。
【NO.12】
『 母の日に 今年も新茶 送り出す 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日に今年も新茶を送り出す。
母の日はちょうど新茶の季節です。贈り物として毎年新茶を母の日に贈っていたのでしょう。今年も変わらず贈ることで、今年も変わらず過ごせていることを母に伝えています。
【NO.13】
『 焼肉を 囲み笑顔の 母の日や 』
季語:母の日(夏)
意味:焼肉を掴んで笑顔の母の日だ。
母の日のご馳走として焼肉をしています。自宅でやっているのか、お店に来ているのかわかりせんが、おいしい料理を前にしてみんなが笑顔になっているよい母の日を過ごしていることがわかる一句です。
【NO.14】
『 母の日や ペタルケーキの ココア味 』
季語:母の日(夏)
意味:母の日だなぁ。ペペタルケーキはココア味だ。
「ペタルケーキ」とは花びらを象ったケーキのことで、通常の生クリームと違いゼラチンも使います。ココア味は母の好む味なのか、美味しくて見た目も美しいペタルケーキが食卓に出たのでしょう。
【NO.15】
『 南高梅の おむすび頬張り 母の日に 』
季語:母の日(夏)
意味:南高梅のおむすびを頬張る母の日だ。
「南高梅」とは和歌山県でよく作られる梅です。作者の出身がその地域なのか、母の作るおむすびといえば南高梅だったのでしょう。食べながら母の日だったなぁと思い返しています。
以上、母の日に詠みたいオススメ俳句集でした!
今回は、【母の日に詠みたい俳句】と題し、母への想いを表現した俳句を、有名な俳句15選、一般俳句作品15選ご紹介しました。
母の日は、大切なお母様へ、日頃の感謝の気持ちや普段はなかなか伝えられない想い、そして「ありがとう」を伝える日です。
お母様への想いを、「17文字」にこめてみてはいかがでしょうか。