紅葉は落葉樹が赤や黄色に変化する様子を表した季語で、秋の代表的な風物詩です。
風光明媚な観光地でなくとも紅葉を楽しめるため、多くの俳句が詠まれています。
今回は、そんな「紅葉(もみじ)」を題材にしたオススメ俳句作品を30句紹介していきます。
京都に行ってきました〜😆💕🍁
おみやげはもみじの葉っぱと足のたこ#紅葉 #俳句 pic.twitter.com/BhVHz3LjRc— さっちゃん (@chakramochi) November 23, 2021
楽しい週末を〜😆❤️
燃え盛る紅葉の中にまたもみじ🍁#紅葉 #俳句 pic.twitter.com/18yefjqsV3— さっちゃん (@chakramochi) November 26, 2021
目次
紅葉(もみじ)を題材にしたオススメ俳句作品【前編10句】
【NO.1】
『 もみじ背に 頬染めながら 笑み浮かべ 』
季語:もみじ(秋)
意味:真っ赤な紅葉を背に、頬を赤く染めながら笑みを浮かべている君がいる。
赤く染まる葉と頬を掛けた一句です。隣を歩いているのか、写真を撮ろうとしているのか、色々なシチュエーションが浮かんできます。
【NO.2】
『 滝つぼの 水の中にも 降る紅葉 』
季語:紅葉(秋)
意味:滝つぼの水の中にも降ってきたような紅葉が浮かんでいる。
滝つぼの深い水の色の中に、赤や黄色の紅葉が浮かんでいます。まるで降ってくるようにはらはらと紅葉が滝つぼに落ちていく様子が目に浮かぶようです。
【NO.3】
『 おみやげは もみじの葉っぱと 足のたこ 』
季語:もみじ(秋)
意味:旅のお土産は、紅葉の葉っぱと足にできてしまったタコだ。
ずっと歩いてあちこちを見ていた様子が「足のたこ」という描写からわかります。足にできたタコですら紅葉と一緒に旅のお土産だというユーモアが楽しい一句です。
【NO.4】
『 淵の水に 映り込みたる 冬紅葉 』
季語:冬紅葉(冬)
意味:凪いだ淵の水に映り込んでいる冬の紅葉よ。
「冬紅葉」とは周囲が枯れていく中で紅葉している葉のことです。平野部や暖かい地域では旧暦で冬にあたる12月上旬頃に紅葉する樹も多いため、「冬紅葉」と表現しています。
【NO.5】
『 頬染めた 満天星紅葉 君想い 』
季語:満天星紅葉(秋)
意味:頬を染めたような満天星躑躅(ドウダンツツジ)の紅葉だ。まるで君を想っているように赤い。
「満天星紅葉」とはドウダンツツジの葉が真っ赤に紅葉している様子を表した季語です。好きな人を想って頬を染めている様子を重ね合わせています。
【NO.6】
『 紅葉落つ 水面揺れては 君恋し 』
季語:紅葉(秋)
意味:紅葉が落ちていく。水面が揺れる度に赤い葉を見て君が恋しくなる。
こちらは揺れる水面と恋しい人を想って揺れる心を掛けています。はらはらととめどなく落ちていく紅葉が揺らし続ける水面に、揺れる恋心が止まらない様子が読み取れる句です。
【NO.7】
『 雨宿り 紅葉はまるで 濡れた羽 』
季語:紅葉(秋)
意味:雨宿りをしながら見ていると、紅葉はまるで濡れた羽のように木々の間に広がっている。
雨宿りをしている最中の風景を詠んだ一句です。雨水を含んで重くなった紅葉がまるで鳥の羽のように見えたというユーモアのある句になっています。
【NO.8】
『 夫々(それぞれ)に 色づく紅葉 万華鏡 』
季語:紅葉(秋)
意味:木の葉がそれぞれの色に色づいていく紅葉はまるで万華鏡のようだ。
紅葉は紅とついていますが、実際には赤や黄色、オレンジ、黄緑などさまざまな色に染まります。遠くから見るとまるで万華鏡のようだと例える作者の気持ちがよくわかる一句です。
【NO.9】
『 点描で 青空描く 大紅葉 』
季語:紅葉(秋)
意味:まるで点描で青空を描いているくらい紅葉が空いっぱいに広がっている。
点描とは点の集合で描く絵画のことです。ここでは紅葉の葉の隙間から青空が覗いている様子を例えています。
【NO.10】
『 紐結び 返り観たるや 照紅葉 』
季語:紅葉(秋)
意味:靴紐を結んでふと振り返って見ると、紅葉が日に照らされて美しい。
ハイキングや散歩の途中の一コマでしょうか。前方の紅葉を楽しむだけでなく、ふと来た道を振り返ったときの紅葉の美しさを称えた句です。
紅葉(もみじ)を題材にしたオススメ俳句作品【中編10句】
【NO.11】
『 澄みしそら 紅葉映えし テラス茶屋 』
季語:紅葉(秋)
意味:空は青く澄んでいる。紅葉が映える空の下のお茶屋さんのテラス席だ。
青空と紅葉のコントラストが美しい風景の中で一服している一句です。気候もちょうどよく、テラス席は心地よい雰囲気だったことでしょう。
【NO.12】
『 傘に散 紅葉乗りては 旅楽し 』
季語:散紅葉(冬)
意味:傘に散っていく紅葉を乗せて旅を楽しんだなぁ。
雨模様の旅路だったのでしょう。雨に乗せて紅葉が散り、傘に模様ができるのを楽しみながらの旅だったことが伺えます。
【NO.13】
『 うろこ雲 空色分かつ 紅葉かな 』
季語:紅葉(秋)
意味:空はうろこ雲だ。白と青の空の色を、さらに赤にも分けるような紅葉が美しいなぁ。
うろこ雲は秋に多い雲で、ウロコのような小さな白い雲が並びます。空の色が白と青に分かれているところに、視界にうつる紅葉でさらに3色に塗り分けられている様子を面白がっている一句です。
【NO.14】
『 散り紅葉 大地の化粧 乱す猫 』
季語:散り紅葉(冬)
意味:紅葉が散っている。大地が化粧をするように落ちた紅葉で染まっているところに、猫が化粧を乱すように歩き回っている。
落葉した葉で覆われた場所を猫が動き回って散らしている様子を詠んだ句です。まるで化粧に対するイタズラのように詠んでいるところが面白い句になっています。
【NO.15】
『 紅葉道 ちょっぴり遠い 回り道 』
季語:紅葉(秋)
意味:紅葉が美しい道だ。ちょっぴりいつもの道よりは遠い回り道になるけれど。
美しい紅葉を堪能するために、いつもよりは遠回りになる道を歩いている様子を詠んだ句です。学校や会社の帰り道や散歩コースなど、いろいろと想像がふくらみます。
【NO.16】
『 ひらひらと もみじもつかる 露天風呂 』
季語:もみじ(秋)
意味:ひらひらと落ちてくる紅葉も浸かっている露天風呂だ。
まるで紅葉が自ら露天風呂に浸かりに来るように降ってきています。紅葉の中の露天風呂というシチュエーションを擬人化することでよく表している句です。
【NO.17】
『 帰り道 紅葉色の カーペット 』
季語:紅葉(秋)
意味:帰り道に紅葉が落ちて、紅葉色のカーペットのようだ。
紅葉で道が覆われて、まるでカーペットの上を歩いているような様子を詠んでいます。道を覆うほどの紅葉ということで、街路樹などの紅葉が美しいことも暗に示している一句です。
【NO.18】
『 読みふける 桜紅葉の しおりかな 』
季語:桜紅葉(秋)
意味:本を読みふけっている。栞に紅葉した桜の葉を使おう。
「桜紅葉」とは桜の葉が紅葉したものを言います。あまり注目されない秋の桜ですが、桜の木の下で本を読んでいたのでしょう。
【NO.19】
『 ライトアップ 沈む紅葉を 浮かべけり 』
季語:紅葉(秋)
意味:ライトアップの光が、夜の闇に沈む紅葉を浮かび上がらせている。
夜の闇に紛れていた紅葉を、ライトアップの光が際立たせている様子を詠んだ句です。浮かび上がるような紅葉は昼に見る紅葉とはまた違った風情があり、感心している様子がよく表れています。
【NO.20】
『 ゴンドラに 迫る紅葉に 息を飲み 』
季語:紅葉(秋)
意味:ゴンドラに迫ってくるような紅葉に息を飲む迫力だ。
リフトやロープウェイに乗って紅葉を楽しんでいる様子です。場所によってはゴンドラに当たるのではないかという場所まで木の枝が迫ってくるため、迫力の光景を堪能しています。
紅葉(もみじ)を題材にしたオススメ俳句作品【後編10句】
【NO.21】
『 めくるめく 紅葉ちかごろ わたし変 』
季語:紅葉(秋)
意味:めくるめく紅葉している葉のように、近頃の私も何か変だ。
赤く色づく葉に自分を例えていることから、顔が赤くなること、つまり恋をしていると詠んでいる一句です。意中の人を見る度にドキドキしたり顔が赤くなったり、近頃どこかおかしいと思う様子が「めくるめく」という言葉から感じ取れます。
【NO.22】
『 踏む音も 色も鮮やか 柿紅葉 』
季語:柿紅葉(秋)
意味:踏む音も色も鮮やかに感じる柿紅葉だ。
落ち葉を踏む音も目に映る柿の葉の紅葉も、どちらも鮮やかに感じると詠んでいる一句です。「音」も鮮やかと表現しているところにユーモアを感じます。
【NO.23】
『 紅葉の 色移ろへる 山路かな 』
季語:紅葉(秋)
意味:紅葉の色が移り変わっていく山の道だなぁ。
紅葉は標高や木の種類によってグラデーションのように色が変わっていきます。山道を通っていると、そのグラデーションを存分に堪能できると喜んでいる一句です。
【NO.24】
『 先行きの ことはひとまず 草紅葉 』
季語:草紅葉(秋)
意味:先のことはひとまず置いておいて草紅葉を見よう。
「草紅葉」とは木の葉ではなく草が紅葉するように赤くなることを表します。先のことは考えずに今目の前にあるものを楽しもうという気持ちが伝わってくる句です。
【NO.25】
『 頬染める 君と私と 薄紅葉 』
季語:薄紅葉(秋)
意味:頬を染める君と私と薄く色づき始めた紅葉だ。
ほんのりと赤く染っているお互いと紅葉を詠んでいます。真っ赤という訳ではなく、少し照れているのかほんのりと赤く色づいている頬の様子が「薄紅葉」という季語から伝わってくる一句で。
【NO.26】
『 紅葉や 空をも染めて 静かな夕 』
季語:紅葉(秋)
意味:木々が紅葉しているなぁ。空をも赤く染めて静かな夕暮れがやってきた。
見上げた空を赤く染める紅葉と夕暮れという秋の風景を詠んだ句です。紅葉で赤く見えていた空がゆっくりと静かに夕焼けに染まっていきます。
【NO.27】
『 水底に 紅葉の輝き 増すばかり 』
季語:紅葉(秋)
意味:水底に落ちている紅葉の輝きは増すばかりだ。
「輝き増す」とあることから、池や川の中に落ちた紅葉が陽の光を受けてキラキラと輝いている様子を表しています。木々ではなく水の底を詠んでいるのがユニークな一句です。
【NO.28】
『 赤々と そこだけ燃える 山紅葉 』
季語:山紅葉
意味:赤々とそこだけ燃えるように赤い山紅葉の木だ。
「山紅葉」とは楓の一種で、真っ赤に紅葉します。周囲の紅葉と比べてそこだけハッキリとした赤い色をしていることが想像出来る一句です。
【NO.29】
『 電車降り 桜紅葉の お出迎へ 』
季語:桜紅葉(秋)
意味:電車を降りると、桜の紅葉がお出迎えしてくれる。
桜が植えられた駅の秋の様子を詠んだ句です。春には桜の花、夏は若葉、秋は紅葉と様々な桜の様子を楽しんでいることが「お出迎え」という表現から伺えます。
【NO.30】
『 どんよりに 紅葉の個性 発揮かな 』
季語:紅葉(秋)
意味:どんよりとした空に、色鮮やかな紅葉の個性が発揮されていることだなぁ。
空がどんよりと曇っていても、紅葉が鮮やかな色を提供していることを「個性」と表現している面白い句です。灰色の空に赤や黄色の葉っぱが広がっている様子が浮かんできます。
以上、紅葉(もみじ)を題材にしたオススメ俳句作品集でした!
今回は、紅葉にまつわるおすすめ俳句作品を30句紹介してきました。
紅葉自体の美しさもさることながら、散っている様子や冬でもなお紅葉している木々の美しさなど、秋から冬にかけて多くの俳句が詠まれています。
一段と寒くなってくる季節ですが、紅葉を見かけたときには一句詠んでみてはいかがでしょうか。