【落ち葉の有名俳句 20選】秋•冬に詠みたくなる!!季語を含む俳人おすすめ名句を紹介

 

「落ち葉」とは落葉広葉樹が10月から12月にかけて紅葉し、その葉が落ちる現象です。

 

落ち葉は「冬の季語」に分類され、「落葉」という表記のほかに「銀杏落葉」「朴落葉」など木の種類を付けた季語や「春落葉」といった冬以外に葉を落とす現象も季語になっています。

 

 

今回は、「落ち葉」に関する有名な俳句20句ご紹介します。

 

リス先生
ぜひ参考にしてみてね!

落ち葉に関する有名俳句【前半10句】

 

【NO.1】松尾芭蕉

『 百歳(ももとせ)の 気色を庭の 落葉哉 』

季語:落葉(冬)

意味:100年という長い歴史を感じる庭に降り積もる落ち葉であることだなぁ。

俳句仙人

この句は滋賀県彦根市にある古いお寺で詠まれた句です。古い寺の庭に積もる落ち葉に、100年の歴史の風情を感じています。

【NO.2】松尾芭蕉

『 宮人よ 我名を散らせ 落葉川 』

季語:落葉(冬)

意味:宮司よ、そこに書かれた私の名を散らしてくれ。その川に浮かぶ落ち葉のように。

俳句仙人

この句は『笈の小文』にまとめられていて、1684年の10月に三重県の多度権現で詠まれた句です。「落書」とありどこかに句を書き付けたと考えられますが、畏れ多いのでどうか私の名は川に落ちた落ち葉のように散らしてくれとお願いしているユーモアのある句になっています。

【NO.3】与謝蕪村

『 待ち人の 足音遠き 落葉かな 』

季語:落葉(冬)

意味:待ち人の足音が遠くに聞こえる落ち葉の道だなぁ。

俳句仙人

落ち葉は踏みしめると音がします。作者の待ち人は後ろから近づいてきているのでしょうか、音の大きさからまだ遠くにいるなぁと風情を楽しんでいる句です。

【NO.4】与謝蕪村

『 西吹けば 東にたまる 落葉かな 』

季語:落葉(冬)

意味:西に風が吹けば、東の方にたまる落ち葉であることだ。

俳句仙人

風が吹いた方角に落ち葉がたまるというただの現象を詠んだ句です。しかし、風に身を任せる落ち葉に自分自身を重ねているという説もあるため、この場合は「なるようにしかならない」というやるせない心象を詠んだ句になります。

【NO.5】小林一茶

『 焚くほどは 風がくれたる おち葉哉 』

季語:おち葉(冬)

意味:火を焚くほどの葉は、吹いてくる風がくれた落ち葉であるよ。

俳句仙人

この句は1815年の日記に見える句ですが、1819年に「風がもてくる」と変えただけの良寛の句が存在しているため、混同されがちです。「風が落ち葉をくれる」と擬人化して詠んでいるため、作者らしい世界観が見て取れます。

【NO.6】小林一茶

『 淋しさや おち葉が下の 先祖達 』

季語:おち葉(冬)

意味:淋しいことだなぁ。落ち葉の下に眠るご先祖さまたちは。

俳句仙人

秋の彼岸をすぎて落葉の時期を迎えると、こまめに掃除をしなければお墓は落ち葉に埋もれてしまいます。淋しいと感じているため、手入れをされていない無縁仏を見て詠んだのかもしれません。

【NO.7】小林一茶

『 猫の子が ちよいと押へる おち葉哉 』

季語:おち葉(冬)

意味:猫の子供がちょいと押さえる落ち葉だなぁ。

俳句仙人
ひらひらと舞い落ちる落ち葉にじゃれつく猫の子供が見えるような句です。「猫の子」は春の季語ですが、ここでは落ち葉に反応する猫を詠んでいるため季語は「おち葉」になります。

【NO.8】正岡子規

『 吹きたまる 落葉や町の 行き止まり 』

季語:落葉(冬)

意味:吹きたまっている落ち葉があるなぁ。ここは町の行き止まりだ。

俳句仙人

路地裏や周りを建物に囲まれた広場などに落ち葉がたまっているのを見たことがある人も多いでしょう。時期的に年の瀬がせまっていることもあり、どこか侘しい光景です。

【NO.9】正岡子規

『 団栗(どんぐり)の 共に掃かるる 落葉哉 』

季語:落葉(冬)

意味:どんぐりが共に掃かれてきた落ち葉であることだ。

俳句仙人

落ち葉に隠れていたどんぐりが、落ち葉掃除の際に一緒に掃かれてきた、というよくある風景を詠んでいます。気が付かずに焚き火にするとたまにどんぐりが爆ぜるため、混ざらないように気をつけていたのでしょう。

【NO.10】高浜虚子

『 大空の 深きに落葉 舞ひ上る 』

季語:落葉(冬)

意味:大空が青く深い色をたたえているところに、落ち葉が風で舞い上がっているのがよく見える。

俳句仙人

夏までは葉が茂ってよく見えなかった空が、冬になって葉が落ちたことによってよく見えるようになります。また、空気が乾燥してより青く見えるので、風で舞い上がる落ち葉との対比がよりダイナミックになる句です。

 

落ち葉に関する有名俳句【後半10句】

 

【NO.11】高浜虚子

『 ひらひらと 深きが上の 落葉かな 』

季語:落葉(冬)

意味:深く積もっている落ち葉の上に、またひらひらと落ち葉が落ちてくるなぁ。

俳句仙人

落ち葉は林などでは積もったあとに腐葉土として堆積していきます。ふかふかとした落ち葉だった土の上に、さらに今年の落ち葉がひらひらと落ちてくる様子を詠んだ句です。

【NO.12】夏目漱石

『 吹き上げて 塔より上の 落葉かな 』

季語:落葉(冬)

意味:風で吹き上げられて、あの塔の上まで舞い上がっていった落ち葉であることだ。

俳句仙人

この句は作者が正岡子規に送り、添削してもらった句です。元の句では「塔より高き」でしたが、「上」とすることで下から上まで舞い上がっていく風と落ち葉の勢いを感じます。

【NO.13】飯田蛇笏

『 山晴れを ふるへる斧や 落葉降る 』

季語:落葉(冬)

意味:山が晴れたので、震えるように振るう斧だなぁ。落ち葉が降ってくる寒い日だ。

俳句仙人
「ふるへる」はひらがなの表記なので、「震える」と「振るう」が掛かっています。また、落ち葉が「降る」とも掛かっているため、テンポのいい勢いのある句です。

【NO.14】飯田龍太

『 手が見えて 父が落葉の 山歩く 』

季語:落葉(冬)

意味:下草がないので手が見えて、父親が落ち葉の積もる山を歩いている。

俳句仙人

まず「手が見えて」と始まるところで、自然と視点が山の中にいる人に合わさります。そこから父、落ち葉、山と視点が広がっていくことで、まるで映像のような表現になっている句です。

【NO.15】水原秋桜子

『 むさしのの 空真青なる 落葉かな 』

季語:落葉(冬)

意味:武蔵野の空が真っ青な場所の色とりどりの落ち葉であることだ。

俳句仙人

武蔵野と聞いて連想するのは、埼玉県南部に広がっていた雑木林でしょう。真っ青な青空に広がる雑木林と色とりどりの落ち葉という、絵画のような一句です。

俳句仙人

キツツキが木を叩く音と振動に、まるで追い立てられるように葉を落としていく木々を見ての一句です。「いそぐ」とあるように、急速に葉を落としていく木々に秋が過ぎていくことを惜しんでいます。

【NO.17】種田山頭火

『 なんぼう考へても おんなじことの 落葉ふみあるく 』

季語:無季

意味:何度考えても同じことと、落ち葉の敷き詰められた道を踏み歩く。

俳句仙人

「落葉」と季語は入っていますが、作者の心象風景を詠んだ自由律俳句のため無季語とされます。かつて青々と茂っていた葉を踏みしめて歩く様子は、諦念と一種の悟りを感じさせる表現です。

俳句仙人

この句は無季自由律俳句のため、実際に落ち葉の中を歩いている訳ではなく、作者の心象を詠んだ句です。集落から離れたところに建っている一軒家も通り過ぎて、人家を離れ1人で冷たい風に吹かれながら歩いていく、孤独な旅人の姿を詠んだ句です。

【NO.19】日野草城

『 高きより ひらひら月の 落葉かな 』

季語:落葉(冬)

意味:高いところからひらひらと月の光に照らされて舞い散る落ち葉であるなぁ。

俳句仙人

月夜の晩に舞い散る落ち葉を詠んだ句です。まるで月からひらひらと落ちてくるような幻想的な雰囲気を醸し出しています。

【NO.20】中村草田男

『 大学に 来て踏む落葉 コーヒー欲る(ほる) 』

季語:落葉(冬)

意味:久しぶりに大学に来ると落ち葉の季節で踏みしめて歩く。学食のコーヒーが飲みたいなぁ。

俳句仙人

大学生の日常の様子を詠んだ句というよりは、気がつけば落ち葉の季節になるくらい久しぶりに大学に来た人の感傷を詠んだ句です。コーヒーはどこでも飲めますが、「その大学で飲むコーヒー」もまた久しぶりなのでしょう。

以上、落ち葉に関する有名俳句でした!

 

 

俳句仙人

今回は、落ち葉に関する有名な俳句を20句ご紹介しました。

近づいてくる冬に侘しさを感じる句から、色とりどりの色彩を詠む句まで幅広い表現が見られます。
はらはらと散る落ち葉や道に敷き詰められた落ち葉を見て、一句詠んでみてはいかがでしょうか。