世界最短の文学ともいわれる俳句。
俳句は400年以上続く長い歴史がありますが、最近はテレビで活躍するタレントさんや著名人が俳句をよんだり批評し合ったりして、見ているわたしたちもついつい引き込まれてしまいます。
そして現在は「6月」!6月は梅雨の真中にあり、雨のイメージが強いかもしれませんよね。
こちらのちほーでは今、梅雨真っ盛りなのでセミではなくカエルが鳴いています(´ω`) pic.twitter.com/YJidAQaKlI
— 太一郎2号 (@taitiro999ko2) June 28, 2018
ですが、雨の日に目にするちょっとした出来事に晴れの日とは少し違ったドラマを感じたり、この時期の花や木々の緑も恵みの雨を受けたりといつもとは違った美しさや趣を持っており、俳句を詠むにはとてもよい時期でもあります。
そこで今回は、俳句作りの参考になる6月のおすすめ俳句作品を30句紹介していきます。
目次
俳句に6月らしさを出す!6月の季語を知ろう
俳句は五・七・五の十七音からなる定型詩で、季語をひとつ入れるという約束事があります。
季語とは「季節が感じられる言葉」のこと、その季節の雰囲気や風景がパッと浮かぶような私たちの身近にある言葉たちです。
季語は俳句を鑑賞する私たちに共通する奥行きのあるイメージを与えてくれます。
季語を使わない無季俳句という世界もありますが、ひとつ季語を使えば、俳句にその「季節の色」をつけることが容易にできます。
6月の季語
桜の実 紫陽花 花橘 百日紅 くちなしの花 橙の花 金柑の花 夾竹桃 南天の花 柚の花 オリーブの花 柿の花 栗の花 青梅 小梅 柘榴の花 やま桃の実 杏 枇杷 金魚草 アマリリス 人参の花 桑の実 竹の花 竹の花 竹の皮脱ぐ 山桜桃 杜若 芍薬 昼顔 浜昼顔 あやめ ジキタリス 水芭蕉 虎尾草 蛍袋 麒麟草 花ミョウガ 鋸草 えごの花 胡麻の花 きくらげ メロン パイナップル 六月 仲夏 皐月 芒種 田植時 入梅 梅雨寒 夏至 白夜 半夏生 梅雨空 梅雨の月梅雨の星 いなさ 黒南風 ながし 黄雀風 梅雨 青梅雨 空梅雨 五月雨 夏ぐれ 薬降る 虎が雨 梅雨雷 五月闇 梅雨晴 五月晴 五月富士 富士の雪解 梅雨穴 井戸水増す 五月川 出水 皐月波 植田 集め汁 蒼朮を焼く 苗取 早乙女 田下駄 胡麻薪 黍薪 稗薪 椿挿す 菊挿し 竹植えう 水見舞 糸取 新糸 蛍売 蛍籠 麦藁籠父の日 菖蒲湯 薬玉 紙水 五月狂言 さくらんぼ祭 朝顔市 海亀 亀の子 濁り鮒 夏蚕 蛍 蜻蛉生る
6月の季語を使った有名俳句集【10選】
ここからは、6月の季語を使った有名俳句を紹介していきます。
もしかしたら教科書などで目にしたものもあるかもしれません。
【NO.1】小林一茶
『 青梅に 手をかけて寝る 蛙(かわず)哉 』
季語:青梅(夏)
意味:梅雨に実を結んだ青梅に蛙が手をかけて眠っているが、なんと微笑ましいことよ。
【NO.2】加賀千代女
『 紫陽花に 雫あつめて 朝日かな 』
季語:紫陽花(夏)
意味:雨上がりの朝、紫陽花の花が美しかった。まるで朝日が紫陽花の花びらに雨水の滴を集めたかのようでした。
【NO.3】正岡子規
『 のびきって 夏至に逢ふたる 葵(あおい)かな 』
季語:夏至・葵(夏)
意味:夏至の日に、高く伸びた葵の花に出会いました。
【NO.4】高浜虚子
『 明らみて 一方暗し 梅雨の空 』
季語:梅雨(夏)
意味:明け方になり空が明るくなってきましたが、一方の空は梅雨の空模様です。
【NO.5】中村草田男
『 六月の 氷菓一盞の 別れかな 』
季語:六月(夏)/氷菓(夏)
意味:六月。ちいさな容器にはいったアイスクリームを互いに食べての別れでした。
(※一盞:さかずきのこと)
【NO.6】正岡子規
『 薄月夜 花くちなしの 匂いけり 』
季語:花くちなし(夏)
意味:雨雲で月も隠れがちの夜にふとくちなしの花の香りがしました。
【NO.7】松尾芭蕉
『 子供等よ 昼顔咲きぬ 瓜剥かん 』
季語:昼顔(夏)
意味:子どもたちよ、昼顔が咲く季節になった。まくわうりを剥いて食べよう。
【NO.8】夏目漱石
『 かたまるや 散るや蛍の 川の上 』
季語:蛍(夏)
意味:川の上に、かたまりになったかと思うと、いつの間にか離れては、自由に飛びかう蛍たちがいます。
【NO.9】山口青邨
『 わが泊つる(はつる) 森のホテルの 白夜なる 』
季語:白夜(夏)
意味:私が宿泊している森の中のホテルは今白夜を迎えています。
【NO.10】与謝蕪村
『 五月雨や 名もなき川の おそろしき 』
季語:五月雨(夏)
意味:梅雨の雨が降っている。名前もしらない川だけど、雨になると恐ろしいものだ。
6月の季語を使った一般俳句作品集【10選】
ここからは、一般の方が詠んだ俳句作品を紹介していきます。
【No.1】
『 不機嫌な 繭を諭して 糸を取る 』
季語:糸を取る(夏)
意味:不機嫌そうに見える繭たちに、理解してもらえるよう、話しかけるつもりで糸を取っています。
【No.2】
『 竹皮を 脱ぐ静けさを ととのへて 』
季語:竹皮を脱ぐ(夏)
意味:竹林のなかで、筍が静かに竹の皮を脱いでいました。
【No.3】
『 そっときて 昼蛍の ゐるといふ 』
季語:蛍(夏)
意味:そっと側にやってきて、昼の蛍がいるといっています。
【No.4】
『 青梅や 片手で足りる 友の数 』
季語:青梅(夏)
意味:庭に今年も青梅がなった。おすそ分けするお友達はほんの数人です。
【No.5】
『 梅雨晴の 小さき菜園 覗く猫 』
季語:梅雨晴(夏)
意味:梅雨の晴れ間に家庭菜園の手入れをしようとしたら、猫が何やら菜園を覗いていました。
【No.6】
『 紫陽花の はなやぐ雨と なりにけり 』
季語:紫陽花(夏)
意味:紫陽花が美しく、まるではなやいでいるような今日の雨です。
【No.7】
『 缶詰の 鳳梨の穴や 揃ひたる 』
季語:鳳梨(ほうり/パイナップル)(夏)
意味:缶詰のパイナップル。穴がみごとに揃っています。
【No.8】
『 花菖蒲 生憎晴れて しまいけり 』
季語:花菖蒲(夏)
意味:花菖蒲を見にきたのですが、あいにく晴れてしまいました。
【No.9】
『 金魚草 若き二人に 幸あれと 』
季語:金魚草(夏)
意味:金魚草がきれいに咲いている。若いご夫婦にお幸せにと心で声をかけました。
【No.10】
『 読みかけの 文庫数冊 梅雨に入る 』
季語:梅雨(夏)
意味:文庫本数冊、読みきらないうちに梅雨入りしたのだなあ。
6月の季語を使った有名俳句集【おまけ10句】
さいごに、6月の季語を使った有名俳句を10句紹介していきます。
【NO.1】松尾芭蕉
『 おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな 』
季語:鵜舟(夏)
意味:見ている間は面白いが、終わってしまうと悲しくなってくる鵜舟だなぁ。
【NO.2】松尾芭蕉
『 五月雨を 集めてはやし 最上川 』
季語:五月雨(夏)
意味:五月雨を集めたように速い流れの最上川だ。
【NO.3】松尾芭蕉
『 五月雨の 降り残してや 光堂 』
季語:五月雨(夏)
意味:五月雨が降っている中で、雨が降っていないように輝く光堂だ。
【NO.4】松尾芭蕉
『 世の人の 見付けぬ花や 軒の栗 』
季語:花や軒の栗/栗の花(夏)
意味:世の人はこんな軒先に栗の花が咲いているなんて見つけないのだろう。
【NO.5】与謝蕪村
『 鮎くれて よらで過ぎ行く 夜半の門 』
季語:鮎(夏)
意味:鮎をくれた人が家に寄らないで過ぎて行った夜半の門だ。
【NO.6】与謝蕪村
『 五月雨や 大河を前に 家二軒 』
季語:五月雨(夏)
意味:五月雨が降っているなぁ。大河のように増水した川の前に家が2軒建っている。
【NO.7】正岡子規
『 紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘 』
季語:紫陽花(夏)
意味:紫陽花が咲いているなぁ。昨日の色が誠ならば、今日の色は嘘だろうか。
【NO.8】正岡子規
『 梅雨晴れや ところどころに 蟻の道 』
季語:梅雨晴れ(夏)
意味:梅雨の晴れ間だ。ところどころに蟻が行列の道を作っている。
【NO.9】山口誓子
『 蛍獲て 少年の指 緑なり 』
季語:蛍(夏)
意味:蛍を取った少年の指が光に照らされて緑色になっている。
【NO.10】池田澄子
『 じゃんけんで 負けて蛍に 生まれたの 』
季語:蛍(夏)
意味:じゃんけんで負けて蛍に生まれてきたの。
以上、6月の季語を使ったおすすめ俳句集でした!