【6月の有名俳句 30選】すごく上手い!!季語を含んだおすすめ俳句作品集を紹介!

 

世界最短の文学ともいわれる俳句。

 

俳句は400年以上続く長い歴史がありますが、最近はテレビで活躍するタレントさんや著名人が俳句をよんだり批評し合ったりして、見ているわたしたちもついつい引き込まれてしまいます。

 

そして現在は「6月」!6月は梅雨の真中にあり、雨のイメージが強いかもしれませんよね。

 

 

ですが、雨の日に目にするちょっとした出来事に晴れの日とは少し違ったドラマを感じたり、この時期の花や木々の緑も恵みの雨を受けたりといつもとは違った美しさや趣を持っており、俳句を詠むにはとてもよい時期でもあります。

 

そこで今回は、俳句作りの参考になる6月のおすすめ俳句作品を30句紹介していきます。

 

リス先生
それでは、さっそく見ていこう!

 

俳句に6月らしさを出す!6月の季語を知ろう

 

俳句は五・七・五の十七音からなる定型詩で、季語をひとつ入れるという約束事があります。

 

季語とは「季節が感じられる言葉」のこと、その季節の雰囲気や風景がパッと浮かぶような私たちの身近にある言葉たちです。

 

季語は俳句を鑑賞する私たちに共通する奥行きのあるイメージを与えてくれます。

 

季語を使わない無季俳句という世界もありますが、ひとつ季語を使えば、俳句にその「季節の色」をつけることが容易にできます。

 

リス先生
ここでは6月の季語をいくつか紹介していくね!

6月の季語

 

桜の実 紫陽花 花橘 百日紅 くちなしの花 橙の花 金柑の花 夾竹桃 南天の花 柚の花 オリーブの花 柿の花 栗の花 青梅 小梅 柘榴の花 やま桃の実 杏 枇杷 金魚草 アマリリス 人参の花 桑の実 竹の花 竹の花 竹の皮脱ぐ 山桜桃 杜若 芍薬 昼顔 浜昼顔 あやめ ジキタリス 水芭蕉 虎尾草 蛍袋 麒麟草 花ミョウガ 鋸草 えごの花 胡麻の花 きくらげ メロン パイナップル 六月 仲夏 皐月 芒種 田植時 入梅 梅雨寒 夏至 白夜 半夏生 梅雨空 梅雨の月梅雨の星 いなさ 黒南風 ながし 黄雀風 梅雨 青梅雨 空梅雨 五月雨 夏ぐれ 薬降る 虎が雨 梅雨雷 五月闇 梅雨晴 五月晴 五月富士 富士の雪解 梅雨穴 井戸水増す 五月川 出水 皐月波 植田 集め汁 蒼朮を焼く 苗取 早乙女 田下駄 胡麻薪 黍薪 稗薪 椿挿す 菊挿し 竹植えう 水見舞 糸取 新糸 蛍売 蛍籠 麦藁籠父の日 菖蒲湯 薬玉 紙水 五月狂言 さくらんぼ祭 朝顔市 海亀 亀の子 濁り鮒 夏蚕 蛍 蜻蛉生る 

 

 

リス先生
上記以外にも色々な季語があり、歳時記という本をみると詳しく調べることが出できるよ!もっといろんな季語を知りたい人はぜひ調べてみてね!!

 

6月の季語を使った有名俳句集【10選】

 

ここからは、6月の季語を使った有名俳句を紹介していきます。

 

もしかしたら教科書などで目にしたものもあるかもしれません。

 

リス先生
お気に入りの一句を見つけてみてね!

 

【NO.1】小林一茶

『 青梅に 手をかけて寝る 蛙(かわず)哉 』

季語:青梅(夏)

意味:梅雨に実を結んだ青梅に蛙が手をかけて眠っているが、なんと微笑ましいことよ。

俳句仙人
小さな生き物を愛した俳人は非常に多いですが、なかでも有名なのが小林一茶です。蛙を詠んだ有名な俳句が他にもいくつもあります。6月の潤いをさわやかにイメージさせ、青梅と蛙が共に仲良く生きていることを感じさせる一句です。

 

【NO.2】加賀千代女

『 紫陽花に 雫あつめて 朝日かな 』

季語:紫陽花(夏)

意味:雨上がりの朝、紫陽花の花が美しかった。まるで朝日が紫陽花の花びらに雨水の滴を集めたかのようでした。

俳句仙人
加賀千代女は江戸時代に生まれ、16歳にして頭角をあらわした女流俳人です。雨上がりの梅雨の朝。きらきらする美しい情景を詠っています。紫陽花の色、朝の日の光、花に残った雫、そこに梅雨空気のみずみずしさが加わり、女性らしさが感じる一句です。

 

【NO.3】正岡子規

『 のびきって 夏至に逢ふたる 葵(あおい)かな 』

季語:夏至・葵(夏)

意味:夏至の日に、高く伸びた葵の花に出会いました。

俳句仙人
子規が見たのは立葵(たちあおい)でしょうか?立葵は梅雨になるとあっという間に背が伸びて、沿道などでもきれいな花を咲かせます。

 

【NO.4】高浜虚子

『 明らみて 一方暗し 梅雨の空 』

季語:梅雨(夏)

意味:明け方になり空が明るくなってきましたが、一方の空は梅雨の空模様です。

俳句仙人
明け方の空が明るくみえても、西の方の空はどんよりしています。「梅雨だからいつ雨になるかわからないよね」という気持ちを読んでいるのでしょうか。気候の意味にかぎらず、なにか物事が解決の兆しをみせたようであっても、視点を変えるとまだまだ暗い部分があるといったたとえにもつかわれる一句です。

 

【NO.5】中村草田男

『 六月の 氷菓一盞の 別れかな 』

季語:六月(夏)/氷菓(夏)

意味:六月。ちいさな容器にはいったアイスクリームを互いに食べての別れでした。

(※一盞:さかずきのこと)

俳句仙人
作者初期の頃の作品です。友人と食事をするでも、お酒を酌み交わすわけでもなく、通りがかりのカフェのようなところで、アイスクリームを食べて「それでは」と別れた様子を読んでいます。作者の青年時代の思い出を詠んだと思われる一句です。

 

【NO.6】正岡子規

『 薄月夜 花くちなしの 匂いけり 』

季語:花くちなし(夏)

意味:雨雲で月も隠れがちの夜にふとくちなしの花の香りがしました。

俳句仙人
月明りもかすかな暗い夜で姿は見えないですが、くちなしの花の香りがしたという季節の情感を詠った一句です。

 

【NO.7】松尾芭蕉

『 子供等よ 昼顔咲きぬ 瓜剥かん 』

季語:昼顔(夏)

意味:子どもたちよ、昼顔が咲く季節になった。まくわうりを剥いて食べよう。

俳句仙人
昼顔が咲けば、瓜も熟れて美味しくなる頃。待ち侘びている子どもたちに声を掛ける芭蕉の優しさと、自然の中に身を置く当時の暮らしがすがすがしいですね。

 

【NO.8】夏目漱石

『 かたまるや 散るや蛍の 川の上 』

季語:蛍(夏)

意味:川の上に、かたまりになったかと思うと、いつの間にか離れては、自由に飛びかう蛍たちがいます。

俳句仙人
身近で蛍がみられることはめっきり少なくなりましたが、当時、蛍鑑賞は初夏の風物詩だったのです。不思議で幻想的な蛍の動きを楽しんでいる漱石の姿が思い浮かんできます。また、これは漱石が「坊っちゃん」などの小説を発表する約10年ほど前に詠んだとされる一句です。

 

【NO.9】山口青邨

『 わが泊つる(はつる) 森のホテルの 白夜なる 』

季語:白夜(夏)

意味:私が宿泊している森の中のホテルは今白夜を迎えています。

俳句仙人
ベルリンに留学していたことがある作者。その際にスウェーデンなどに足をのばして情景を俳句に詠んだといわれています。海外で俳句を詠んだ草分けのひとり。昭和10年代にこの句を鑑賞した日本人は、みな白夜に多大なロマンを感じたことでしょう。

 

【NO.10】与謝蕪村

『 五月雨や 名もなき川の おそろしき 』

季語:五月雨(夏)

意味:梅雨の雨が降っている。名前もしらない川だけど、雨になると恐ろしいものだ。

俳句仙人
江戸時代、まだ川にかかる橋はそんなに多くなかったのです。そのため旅人は人足の肩車に乗ったり、馬や輿(かごのような箱に入って、お神輿のようにかかえてもらう)で川をわたったりしていました。そして、ちょっとでも増水すると足止めになり、無理をすると命取りにもなっていたのです。梅雨の降ったりやんだりの続く雨(五月雨)の中では、日頃なにげなく渡っている川も恐ろしく感じられたのでしょう。

 

6月の季語を使った一般俳句作品集【10選】

 

ここからは、一般の方が詠んだ俳句作品を紹介していきます。

 

リス先生
上手な俳句がたくさんそろっているのでぜひ参考にしてみてね!

 

【No.1】

不機嫌な 繭を諭して 糸を取る 』

季語:糸を取る(夏)

意味:不機嫌そうに見える繭たちに、理解してもらえるよう、話しかけるつもりで糸を取っています。

俳句仙人
糸取りとは蚕から絹糸になる元の糸を取る作業のことです。成長した繭を釜で煮て中にいる蚕を殺し、繭の糸口をたどって一本の糸にします。茹でられる繭が不本意そうに作者には見えたのかもしれませんね。

 

【No.2】

竹皮を 脱ぐ静けさを ととのへて 』

季語:竹皮を脱ぐ(夏)

意味:竹林のなかで、筍が静かに竹の皮を脱いでいました。

俳句仙人
筍は夏を迎えて皮を脱ぎ、若竹になっていきます。筍が皮を脱ぐ直前、しずかに呼吸を整え、さあこれから若竹としてどんどん伸びるぞと決意しているようにも思えます。

 

【No.3】

そっときて 昼蛍の ゐるといふ 』

季語:蛍(夏)

意味:そっと側にやってきて、昼の蛍がいるといっています。

俳句仙人
作者の子どもさんなのか、親しい方なのか…。昼間の光っていない蛍をみつけ、そーっと作者の側にやってきて、ここにいるよと小声でいいながら指さす風景が浮かんでくる微笑ましい一句です。

 

【No.4】

青梅や 片手で足りる 友の数 』

季語:青梅(夏)

意味:庭に今年も青梅がなった。おすそ分けするお友達はほんの数人です。

俳句仙人
庭にある一本の梅の木になった梅の実。少ししかないですが、ごく親しい友人とこの季節の贈り物をわかちあうという、とてもあたたかい一句です。

 

【No.5】

梅雨晴の 小さき菜園 覗く猫 』

季語:梅雨晴(夏)

意味:梅雨の晴れ間に家庭菜園の手入れをしようとしたら、猫が何やら菜園を覗いていました。

俳句仙人
最近は家庭菜園を楽しむ方が増えています。雨が続くとなかなか手入れができずに心配ですね。やっと晴れたので行ってみたら、猫も覗き込んでいたという微笑ましい一句です。梅雨の晴れ間に野良猫もほっとして散歩していたのかもしれません。

 

【No.6】

紫陽花の はなやぐ雨と なりにけり 』

季語:紫陽花(夏)

意味:紫陽花が美しく、まるではなやいでいるような今日の雨です。

俳句仙人
うっとおしいばかりではない梅雨の日をはっと思い起させてくれる一句です。雨に打たれて艶やかに華やぐ紫陽花は本当に美しいものです。

 

【No.7】

缶詰の 鳳梨の穴や 揃ひたる 』

季語:鳳梨(ほうり/パイナップル)(夏)

意味:缶詰のパイナップル。穴がみごとに揃っています。

俳句仙人
円柱の缶詰に入っているパイナップル。実にあけられている穴もきれいな円柱にそろっています。パイナップル自体よりも、その穴に注目した作者の視点に感心させられます。

 

【No.8】

花菖蒲 生憎晴れて しまいけり 』

季語:花菖蒲(夏)

意味:花菖蒲を見にきたのですが、あいにく晴れてしまいました。

俳句仙人
曇った日か小雨の日に花菖蒲を観たいと思った作者。残念ですね。

 

【No.9】

金魚草 若き二人に 幸あれと 』

季語:金魚草(夏)

意味:金魚草がきれいに咲いている。若いご夫婦にお幸せにと心で声をかけました。

俳句仙人
とある家の前庭に金魚草。色とりどりで美しく、通りがかりに目をひかれたことでしょう。

 

【No.10】

読みかけの 文庫数冊 梅雨に入る 』

季語:梅雨(夏)

意味:文庫本数冊、読みきらないうちに梅雨入りしたのだなあ。

俳句仙人
読書好きな作者ですが、仕事や用事で忙しかったのでしょうか。気がついたら、ああもう梅雨だなぁと、季節の移り変わりの早さにふっとため息をついたような雰囲気のある一句です。

 

6月の季語を使った有名俳句集【おまけ10句】

 

さいごに、6月の季語を使った有名俳句を10句紹介していきます。

 

リス先生
お気に入りの一句を見つけてみてね!

【NO.1】松尾芭蕉

『 おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな 』

季語:鵜舟(夏)

意味:見ている間は面白いが、終わってしまうと悲しくなってくる鵜舟だなぁ。

俳句仙人
「鵜舟」とは鵜飼が鵜に魚を取らせる様子を見物させる見世物です。見ている間は楽しい時間も、終わってしまうとどこか物悲しいと詠んでいます。イベントが終わった後の余韻を感じさせる一句です。

【NO.2】松尾芭蕉

『 五月雨を 集めてはやし 最上川 』

季語:五月雨(夏)

意味:五月雨を集めたように速い流れの最上川だ。

俳句仙人
この句は当初「集めてすずし」でしたが、最上川の川下りの激しさを体感して「はやし」に変えられたというエピソードがあります。それだけ梅雨時の増水した最上川の流れは激しかったのでしょう。

【NO.3】松尾芭蕉

『 五月雨の 降り残してや 光堂 』

季語:五月雨(夏)

意味:五月雨が降っている中で、雨が降っていないように輝く光堂だ。

俳句仙人
「光堂」とは岩手県にある中尊寺金色堂の別名です。梅雨時に中尊寺に訪れた際に、雨にも負けないその輝きについて感嘆している一句です。天気の悪い中でも存在感を放つ金色堂の様子が浮かんできます。

【NO.4】松尾芭蕉

『 世の人の 見付けぬ花や 軒の栗 』

季語:花や軒の栗/栗の花(夏)

意味:世の人はこんな軒先に栗の花が咲いているなんて見つけないのだろう。

俳句仙人
ひっそりと咲いている栗の花を詠んでいます。栗の花は派手な色ではなく薄い黄色をしているため、咲いていることに気が付かない人も多いでしょう。そんな栗の花に自分は気づいたぞとどこか得意げな様子が感じられる一句です。

【NO.5】与謝蕪村

『 鮎くれて よらで過ぎ行く 夜半の門 』

季語:鮎(夏)

意味:鮎をくれた人が家に寄らないで過ぎて行った夜半の門だ。

俳句仙人
「夜半」とは午前0時頃を指している時刻で、かなり遅い時間帯に鮎を届けに来ています。休憩の誘いも断って次の家に向かったのでしょうか。

【NO.6】与謝蕪村

『 五月雨や 大河を前に 家二軒 』

季語:五月雨(夏)

意味:五月雨が降っているなぁ。大河のように増水した川の前に家が2軒建っている。

俳句仙人
強い雨で大河になった川の前に建つ家の心細さを詠んでいます。2軒の家が肩を寄せ合っているように見えたのかもしれません。増水は家まで来たのか、手前で止まったのか気になる一句です。

【NO.7】正岡子規

『 紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘 』

季語:紫陽花(夏)

意味:紫陽花が咲いているなぁ。昨日の色が誠ならば、今日の色は嘘だろうか。

俳句仙人
紫陽花は土地や降っている雨の性質によって花の色が変わります。そのため、昨日と今日で色が違うのはどちらが本当の色なのだろうかと詠んだ一句です。紫陽花の花言葉には「移り気」があるため、色の変化に注目されやすい花です。

【NO.8】正岡子規

『 梅雨晴れや ところどころに 蟻の道 』

季語:梅雨晴れ(夏)

意味:梅雨の晴れ間だ。ところどころに蟻が行列の道を作っている。

俳句仙人
梅雨の晴れ間に餌を探しに来たのか、蟻が行列になっています。その行列を「道」と表現しているユニークな一句です。蟻が延々と列を成して必要なものを探しに行っている様子が伺えます。

【NO.9】山口誓子

『 蛍獲て 少年の指 緑なり 』

季語:蛍(夏)

意味:蛍を取った少年の指が光に照らされて緑色になっている。

俳句仙人
蛍の光に照らされた少年の指が緑色に染まっています。今は蛍を見ることも少なくなりましたが、当時は娯楽の1つでした。蛍を直接手で捕まえたのか、指に止まらせているのか、幻想的な一句です。

 

【NO.10】池田澄子

『 じゃんけんで 負けて蛍に 生まれたの 』

季語:蛍(夏)

意味:じゃんけんで負けて蛍に生まれてきたの。

俳句仙人
生まれ変わりをじゃんけんで決めるという面白い発想の一句です。蛍に語りかけているのか、自分が蛍になった気分で詠んでいるのか、どちらの解釈もできます。

 

以上、6月の季語を使ったおすすめ俳句集でした!

 

 

俳句仙人
6月はなぜか祭日もなく雨ばかりというイメージがありますが、子どもたちのさした色とりどりの傘、紫陽花のきれいな公園、雨上がりの澄んだ空気など、この季節にしか見られない風景が沢山あります。あなたでしか伝えられない情景もきっとたくさんあるはずです。

リス先生
俳句に親しむことで梅雨を少しでも楽しくすごせるといいね!ぜひ俳句作りに挑戦してみてね!

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