俳句は、五七五という十七の音でできています。
この短い中で感動を強めたり、余韻を残したりするなどの効果として、「切れ字」という表現技法があります。
そんな切れ字はたくさんの種類があるため、覚えるのがとにかく大変です。
切れ字が覚えられない…!
— ざぶ (@genpeikassen) March 30, 2015
今回は、切れ字の意味や効果・覚え方について簡単にわかりやすく解説していきます。
俳句の切れ字の覚え方
俳句には切れ字十八「かな・けり・もがな・らむ・し・ぞ・か・よ・せ・や・つ・れ・ぬ・ず・に・へ・け・じ」があります。
俳句の中で十八字を見分けるのは大変ですが、次のように分けて覚えると分かりやすいです。
- 動詞の命令形語尾につくもの・・・「せ」「れ」「へ」「け」
- 形容詞の終止形・・・「し」
- 副詞「いかに」・・・「に」
- 終助詞・・・「かな」「もがな」「ぞ」「か」「や」「よ」
- 助動詞終止形・・・「けり」「ず」「じ」「ぬ」「つ」「らむ」
しかし、切れ字十八字は、多くてなかなか覚えるのが大変ですね。
そこで、おすすめの暗記方法をご紹介します。
①語呂合わせで覚える
動詞の命令形語尾につくものは、全て「え行」なので、「せ れ へ け 命令」と覚えましょう。
②リズムに合わせて覚える
「大きな栗の木の下」の替え歌で、十八字を楽しく覚えることができます。
せー れー へー けー しー にー
(おお きな くり の きの した で )
かーな もーがな ぞー かー やーよ
(あな たと わ た し )
けーりー ずーじー ぬーつ らむ
(なか よく あそびましょ)
また、よく使われる切れ字八字だと、「かな けり やー よー ずー ぬー らむ ぞ」を早く唱えて覚える方法があります。
③シンプルに自力で覚える
そのまま唱えながら、下記を紙に何度も書いて覚えます。
「せ れ へ け」命令
「し」形容詞
「に」いかに
「かな もがな ぞ か や よ」終助詞
「けり ず じ ぬ つ らむ」助動詞終止形
再確認!俳句の切れ字について
俳句では、リズムを整えるために「切れ字」が使われてきました。
切れ字は、俳句の意味の切れるところ(句読点の「。」を置く位置)に入れて使います。
意味としては、「~だなあ」「~であることよ」となり、切れ字によって前の言葉を強調することができます。
「夏草や 兵どもが 夢の跡」(松尾芭蕉)
ここでは、「夏草」の後の「や」が切れ字となります。
「夏草」に「や」の切れ字を用いることにより、「夏草であることだなあ」といった詠嘆の意味を表しています。
このように、切れ字は言葉の意味が切れるところに使うと、その句をわかりやすくすることができます。そして、余韻を深めたり句のリズムを整える効果もあります。
では、切れ字には、どのような種類や効果があるのかを見ていきましょう。
切れ字には、切れ字十八字といわれ、連歌、俳諧で秘伝とされたものが、鎌倉~室町時代より使われてきました。
切れ字十八字とは、「かな・けり・もがな・らむ・し・ぞ・か・よ・せ・や・つ・れ・ぬ・ず・に・へ・け・じ」です。
しかし、現代の俳句では、「や」「かな」「けり」の3つが使われています。
切れ字を使った有名俳句【5選】
【NO.1】与謝蕪村
『 斧入れて 香におどろくや 冬木立 』
季語:「冬木立」(冬)
意味:冬で枯れたように見えた木を斧で切ってみると、その強い香りに驚くことだ
【NO.2】小林一茶
『 名月を とってくれろと 泣く子かな 』
季語:「名月」(秋)
意味:おんぶされた子が、十五夜を指さして「取ってちょうだいよ」とねだり泣いている子だなあ
【NO.3】村上鬼城
『 ゆさゆさと 大枝ゆるる 桜かな 』
季語:桜(春)
意味:桜の大木が満開の花を咲かせている。その枝が風に揺られてゆさゆさと揺れ動いていることだなあ
【NO.4】中村草田男
『 降る雪や 明治は遠くに なりにけり 』
季語:雪(冬)
意味:雪がぱらぱらと降ってきた。子どもたちは外へ飛び出していく。自分も子ども時代である明治時代にいるような気持ちになったが、それから時は遠く流れてしまったのだなあ
【NO.5】芥川龍之介
『 青蛙 おのれもペンキ ぬりたてか 』
季語:青蛙(夏)
意味:青蛙よ、お前の体もまるでペンキを塗ったようにテカテカしているなあ
さいごに
切れ字を使うことで、俳句には間や句切れが生まれ、読み手にさまざまな情景を想像させます。
現代では、「や」「かな」「けり」の3つを俳句では使いますが、他にも俳句十八字の知識があると、より深く俳句を鑑賞することができます。
句のイメージを膨らませることができる、切れ字の効果をぜひ学んでいきましょう。