
俳句といえば「季語」。
しかし、ピンポイントで10月の季語と言われてもすぐには思いつかないですよね。
そもそも10月は旧暦でいうと秋でしょうか?初冬でしょうか?
その基準も含めて、今回は10月の季語とその季語を使った上手い表現のおすすめ俳句集をご紹介いたします。
ぜひ俳句を作る際の参考にしてくださいね。
俳句に10月らしさを出す!10月の季語を知ろう
まずは俳句作りのキーとなる「季語」は、漢字の通り春・夏・秋・冬という四つの「季節」を表す「言葉」のことです。
ただ、その季節の基準となるのは旧暦ですので、今の季節感とは少しずれているところに注意が必要です。
旧暦で立春(1月)、立夏(4月)、立秋(7月)、立冬(10月)がそれぞれの季節のスタートとされていたことから
- 春:1月〜3月 (新暦 2〜4月)
- 夏:4月〜6月 (新暦 5〜7月)
- 秋:7月〜9月 (新暦 8〜10月)
- 冬:10月〜2月 (新暦 11〜1月)
という分類になることを覚えておいてくださいね。
今回は新暦で10月の俳句についてですので「晩秋」になります。さっそく、たくさんある10月の季語の中から、身近で使いやすいものをご紹介しましょう。
10月の季語【一覧】
【時候・天文・地理】
十月・晩秋・肌寒・朝寒・夜寒・秋深し・暮れの秋・秋惜しむ・秋時雨・野山の色・刈田・高潮
【生活・行事】
新米・稲刈り・柚味噌・きりたんぽ・干柿・紅葉狩り・菊花展・夜なべ・体育の日・ハロウィン
【植物・動物】
柿・りんご・栗・柚子・金柑・紅葉・レモン・椎の実・銀杏(ぎんなん)・銀杏(いちょう)散る・稲の穂・どんぐり・松ぼっくり・カボス・生姜・金木犀・松茸・無花果(いちじく)・柘榴(ざくろ)・秋刀魚・雁・もず・バッタ
10月の季語を使った有名俳句集【10選】
ここからは有名な俳人の句をご紹介いたします。
10月の季語を使った有名な俳句と言ってもなかなか思いつきませんが、「柿」を詠んだものと言えばピンとくるのではないでしょうか?
まずはその有名な1句からご紹介します。
【NO.1】正岡子規
『 柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺 』
季語:柿
意味:柿を食べたと同時に法隆寺の鐘が鳴った
【NO.2】松尾芭蕉
『 この道や 行く人なしに 秋の暮 』
季語:秋の暮
意味:秋の夕暮れに歩く人のいないひとすじの道が続いている
【NO.3】松尾芭蕉
『 秋深き 隣は何を する人ぞ 』
季語:秋深き(秋深し)
意味:こんなに深まってきた秋の日に隣の人は何をして過ごしているのだろうか
【NO.4】与謝蕪村
『 秋雨や 水底の草を 踏みわたる 』
季語:秋雨
意味:秋雨が降っている中を水底の草を踏みながら川を渡った
【NO.5】夏目漱石
『 秋の山 静かに雲の 通りけり 』
季語:秋の山
意味:紅葉した秋の山に静かに雲が通っていく
【NO.6】高浜虚子
『 松茸の 香も人に よりてこそ 』
季語:松茸
意味:いい香りだと言われている松茸もどう思うかは人によるものだ
【NO.7】杉田久女
『 西日して 日毎に赤らむ 柿の数 』
季語:柿
意味:西日にあたっているように日毎に赤くなる柿の数が増えているようだ
【NO.8】飯田蛇笏(いいだだこつ)
『 いわし雲 大いなる瀬を さかのぼる 』
季語:いわし
意味:川に映ったいわし雲が流れで瀬を遡っているように見えている
【NO.9】中村汀女
『 銀杏が 落ちたる後の 風の音 』
季語:銀杏
意味:銀杏(ぎんなん)が下に落ちた後に風の音が聞こえてきた
【NO.10】松本たかし
『 山栗の 大木のある なつかしき 』
季語:栗
意味:山栗がなっている大きな木があるのを見るとなつかしい思いがする
こんな俳句もある!オリジナル俳句集【10選】
ここからは、一般の方が詠んだオリジナルの俳句集をご紹介していきます。
【No.1】レモン好き 妹(いも)が頬張る 口すぼめ
季語:レモン
意味:酸っぱいレモンが好きだという妹がそのまま頬張って口をすぼめている
【No.2】ハロウィンの 泣きてお化けに 菓子もらひ
季語:ハロウィン
意味:ハロウィンで怖くて泣きながらもお化けにお菓子をもらっている
【No.3】不器用は 不器用なりに りんごむく
季語:りんご
意味:不器用な人は不器用なりのやり方でりんごを剥く
【No.4】美味しそう 隣の柿が 鈴なりに
季語:柿
意味:隣の家の柿が鈴なりに美味しそうに実っている
【No.5】いわし雲 ペンギンたちが 空を見る
季語:いわし
意味:いわし雲が広がっている空をペンギンたちが見上げている
【No.6】白き雲 より白米の 一袋
季語:白米
意味:白い雲よりも白い米の一袋の方がいい
【No.7】銀杏を 踏みて匂ひて 恥ずかしき
季語:銀杏(ぎんなん)
意味:銀杏を踏んだあとの靴の匂いが取れず恥ずかしい思いをした
【No.8】金木犀 トイレの香りよ 都会人
季語:金木犀
意味:都会人にとっては金木犀はトイレの芳香剤としてしかわからない
【No.9】紅葉狩り 何獲るのかと 聞く子ども
季語:紅葉狩り
意味:紅葉狩りとは何を獲りに行くのかと子どもが聞いている
【No.10】稲刈りを やってと金色 踊ってる
季語:稲刈り
意味:稲刈りをやってと金色に輝いている稲穂が踊るように揺れている
以上、10月の季語を含んだおすすめ俳句集でした!