【10月の有名俳句 30選】すごく上手い!!季語を含んだおすすめ俳句作品集を紹介!

 

俳句といえば「季語」。

 

しかし、ピンポイントで10月の季語と言われてもすぐには思いつかないものです。

 

そもそも10月は旧暦でいうと秋でしょうか…?それとも初冬でしょうか…?

 

その基準も含めて、今回は10月の季語とその季語を使った上手い表現のおすすめ俳句(有名俳句+一般俳句作品)を紹介していきます。

 

 

リス先生
ぜひ俳句を作る際の参考にしてみてね!それでは、さっそく見ていこう!

 

俳句に10月らしさを出す!10月の季語を知ろう

 

まずは俳句作りのキーとなる「季語」は、漢字の通り春・夏・秋・冬という四つの「季節」を表す「言葉」のことです。

 

ただし、その季節の基準となるのは旧暦ですので、今の季節感とは少しずれている点に注意が必要です。

 

旧暦で立春(1月)、立夏(4月)、立秋(7月)、立冬(10月)がそれぞれの季節のスタートとされ、新暦との関係は下記の通りですので覚えておきましょう。

 

  • 春:1月〜3月 (新暦 2〜4月)
  • 夏:4月〜6月 (新暦 5〜7月)
  • 秋:7月〜9月 (新暦 8〜10月)
  • 冬:10月〜2月 (新暦 11〜1月)

 

今回は、新暦で10月の俳句についてですので「晩秋(ばんしゅう)」になります。

 

リス先生
たくさんある10月の季語の中から身近で使いやすいものをいくつか紹介していくよ!

 

10月(晩秋)の季語【一覧】

 

【時候・天文・地理

十月・晩秋・肌寒・朝寒・夜寒・秋深し・暮れの秋・秋惜しむ・秋時雨・野山の色・刈田・高潮

 

【生活・行事】

新米・稲刈り・柚味噌・きりたんぽ・干柿・紅葉狩り・菊花展・夜なべ・体育の日・ハロウィン

 

【植物・動物

柿・りんご・栗・柚子・金柑・紅葉・レモン・椎の実・銀杏(ぎんなん)・銀杏(いちょう)散る・稲の穂・どんぐり・松ぼっくり・カボス・生姜・金木犀・松茸・無花果(いちじく)・柘榴(ざくろ)・秋刀魚・雁・もず・バッタ

 

 

10月の季語を使った有名俳句集【20選】

「ac 写真 柿木」の画像検索結果

 

ここからは有名俳人が過去に詠んだ俳句を紹介していきます。

 

10月の季語を使った有名な俳句と言ってもなかなか思いつきませんが、「柿」を詠んだものと言えばピンとくるのではないでしょうか?

 

リス先生
まずはその有名な一句から紹介していくよ!

 

【NO.1】正岡子規

『 柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺 』

季語:柿(秋)

意味:柿を食べたと同時に法隆寺の鐘が鳴った。

俳句仙人
柿を食べた瞬間に鐘の音が聞こえるという「口」「耳」「目」の感覚をすべて表現しているところに豊かな感性と表現力を感じます。

【NO.2】松尾芭蕉

『 この道や 行く人なしに 秋の暮 』

季語:秋の暮(秋)

意味:秋の夕暮れに歩く人のいないひとすじの道が続いている。

俳句仙人
「秋の暮」「行く人なし」と物寂しい表現が続いているところから、芭蕉の生涯にわたって孤独だった気持ちも伝わってきます。

【NO.3】松尾芭蕉

『 秋深き 隣は何を する人ぞ 』

季語:秋深き(秋深し)(秋)

意味:こんなに深まってきた秋の日に隣の人は何をして過ごしているのだろうか。

俳句仙人
この句には芭蕉の詠んだ時の状況を重ねていろんな解釈がありますが、「秋深し」ではなく「秋深き」となっているのが特徴的で印象に強く残る表現になっています。隣の人(俳諧の人)に何かを伝えたい気持ちがあったのかもしれません。

【NO.4】与謝蕪村

『 秋雨や 水底の草を 踏みわたる 』

季語:秋雨(秋)

意味:秋雨が降っている中を水底の草を踏みながら川を渡った。

俳句仙人
秋の雨というだけでも肌寒い中、川を水底を踏みながら渡るという行為にちょっと身震いしてしまいそうです。しかし、底の草が見えるほど水が綺麗だという清々しい風景も伝わってきます。

【NO.5】夏目漱石

『 秋の山 静かに雲の 通りけり 』

季語:秋の山(秋)

意味:紅葉した秋の山に静かに雲が通っていく。

俳句仙人
赤や黄色に紅葉した山の上をゆっくりと雲が通り過ぎていく良い天気の様子が目に浮かんできて、ゆったりとした気持ちになります。

【NO.6】高浜虚子

『 松茸の 香も人に よりてこそ 』

季語:松茸(秋)

意味:いい香りだと言われている松茸もどう思うかは人によるものだ。

俳句仙人
これは松茸の話だけを言っているのではないことがわかります。物事の良さは人によって「こそ」決まるのだと強調して表現しているのです。

【NO.7】杉田久女

『 西日して 日毎に赤らむ 柿の数 』

季語:柿(秋)

意味:西日にあたっているように日毎に赤くなる柿の数が増えているようだ。

俳句仙人
「西日」という名詞に「して」と動詞が繋がっている表現が独特です。1日ごとに赤くなり西日もあたってキレイな色の柿が見えてきます。

【NO.8】飯田蛇笏(いいだだこつ)

『 いわし雲 大いなる瀬を さかのぼる 』

季語:いわし雲(秋)

意味:川に映ったいわし雲が流れて大きな瀬を遡っているように見えている。

俳句仙人
「いわし」雲がさかのぼる=泳ぐ様子から「大いなる瀬」で川を表現し、大きな自然の流れを短い言葉で表しているところが流石です。

【NO.9】中村汀女

『 銀杏が 落ちたる後の 風の音 』

季語:銀杏(秋)

意味:銀杏が下に落ちた後に風の音が聞こえてきた。

俳句仙人
同じ漢字で「いちょう」とも読めますが、季語で使う場合は「銀杏散る」なので、この場合は「ぎんなん」と読みます。風が木々の間を「ヒュー」と通ったのか、それとも「カサカサ」と落ち葉を鳴らしたのか。想像がふくらみます。

【NO.10】松本たかし

『 山栗の 大木のある なつかしき 』

季語:栗(秋)

意味:山栗がなっている大きな木があるのを見るとなつかしい思いがする。

俳句仙人
山に自生している栗の木はとても大きくなるそうです。そのため、故郷にそういうシンボルツリーがあったのでしょう。大木を見て懐かしい思いを抱いた感情がよく伝わってきます。

 

 

【NO.11】松尾芭蕉

『 蛤の ふたみにわかれ 行く秋ぞ 』

季語:行く秋(秋)

意味:ハマグリが二つ身に分かれるように、私は二見浦に向かう秋であることだ。

俳句仙人
この句は「蛤」という季語もありますが、ここでは「ふたみ」を詠むための言葉になっています。二見浦へ旅立つときに詠まれた句で、別れを惜しむ心が「行く秋」という季語に表れている句です。

【NO.12】正岡子規

『 三千の 俳句を閲し 柿二つ 』

季語:柿(秋)

意味:たくさんの俳句を閲覧したので、柿を二つ食べよう。

俳句仙人
作者は「ホトトギス」などの俳句の選定を行っていました。「三千」とは数ではなくたくさんという意味で、多くの俳句を読み終えて一息つくように柿を食べています。

【NO.13】加藤楸邨

『 秋刀魚焼く 匂の底へ 日は落ちぬ 』

季語:秋刀魚(秋)

意味:秋刀魚を焼く匂いの底へ夕日が落ちていくようだ。

俳句仙人
最近では七輪で秋刀魚を焼くことは少なくなりましたが、当時は秋刀魚といえば七輪でした。外で焼いていると、夕日が秋刀魚を焼いている自分たちの方へ落ちてくる様子を「匂の底」と表現しています。

【NO.14】三橋鷹女

『 この樹登らば 鬼女となるべし 夕紅葉 』

季語:紅葉(秋)

意味:夕日に照らされた見事な紅葉の樹を登ったならば、私も鬼女となることだろう。

俳句仙人
この句は「鬼女紅葉」という伝説が下敷きになっています。「紅葉」に実際に見えている紅葉と鬼女の名前を掛けることで、夕暮れに照らされた紅葉の素晴らしさを称えた一句です。

【NO.15】中村汀女

『 あはれ子の 夜寒の床の 引けば寄る 』

季語:夜寒(秋)

意味:可愛らしいわが子の、少し寒くなってきた夜に毛布を引いてかけてやれば、体をこちらに寄せてくる。

俳句仙人
「夜寒」とは秋になって少し肌寒く感じるようになった気候を意味する季語です。布団を引いて掛けてやると、暖を求めて身を寄せてきた我が子を愛おしむ母親を詠んでいます。

【NO.16】橋本多佳子

『 星空へ 店より林檎 あふれをり 』

季語:林檎(秋)

意味:星空へ向かって店先に積み上がっているリンゴがあふれている。

俳句仙人
暗くなってきた中で営業している店先で、星空に向かうように積み上がるリンゴを詠んだ句です。暗い中でもリンゴの赤色が明かりに良く映えている様子が浮かんできます。

【NO.17】日野草城

『 道暮れて 右も左も 刈田かな 』

季語:刈田(秋)

意味:道を歩いていたら日が暮れた。右も左も刈り入れが終わったあとの田んぼだなぁ。

俳句仙人
「刈田」とは稲刈りが終わったあとの田んぼを意味する季語です。右を見ても左を見ても同じような風景が続いている様子が伺えます。

【NO.18】久保田万太郎

『 秋しぐれ 塀をぬらして やみにけり 』

季語:秋しぐれ(秋)

意味:秋の時雨が塀を濡らしてすぐに止んだ。

俳句仙人
「秋しぐれ」とは秋の終わりに降っては止む雨のことです。この句では地面ではなく塀を濡らしただけですぐに止んでしまったことがわかります。

【NO.19】飯田蛇笏

『 山びこの ひとりをさそふ 栗拾ひ 』

季語:栗(秋)

意味:1人なので山びこも誘いたい栗拾いだ。

俳句仙人
山びこは周囲の山々に声が反響して返ってくる現象です。ここでは栗を拾いながら山びこも一緒に栗を拾えば良いのにと誘っている、ユーモアのある作者の感性を詠んでいます。

【NO.20】富安風生

『 よろこべば しきりに落つる 木の実かな 』

季語:木の実(秋)

意味:喜んでいると、それに応えるようにしきりに落ちてくる木の実であることだ。

俳句仙人
自分が喜ぶから木の実が落ちてくるようだという面白い発想の一句です。落ちてくる木の実は栗なのかどんぐりなのか、それとも名も分からない木の実なのか色々な想像がふくらみます。

 

10月おすすめ一般俳句作品集【10選】

「ac 写真 イチョウ」の画像検索結果

 

ここからは、一般の方が詠んだ俳句作品を紹介していきます。

 

リス先生
上手な俳句がたくさんそろっているからぜひ俳句作りの参考にしてみてね!

 

【No.1】

レモン好き 妹(いも)が頬張る 口すぼめ 』

季語:レモン(秋)

意味:酸っぱいレモンが好きだという妹がそのまま頬張って口をすぼめている。

俳句仙人
目の前でレモンをほお張られると見ている方も口がすぼみそうです。お兄ちゃんかお姉ちゃんの観察句です。

 

【No.2】

ハロウィンの 泣きてお化けに 菓子もらひ 』

季語:ハロウィン(秋)

意味:ハロウィンで怖くて泣きながらもお化けにお菓子をもらっている。

俳句仙人
自分の経験でしょうか、子どもを見たのでしょうか。怖くてもお菓子だけはしっかりもらっている微笑ましい様子が伺えます。

 

【No.3】

不器用は 不器用なりに りんごむく 』

季語:りんご(秋)

意味:不器用な人は不器用なりのやり方でりんごを剥く。

俳句仙人
不器用な方の心のつぶやきが聞こえてきます。その通りです。自分なりにやれる範囲でいいのです!

 

【No.4】

美味しそう 隣の柿が 鈴なりに 』

季語:柿(秋)

意味:隣の家の柿が鈴なりに美味しそうに実っている。

俳句仙人
たくさんの柿がたわわに美味しそうになっているのに放置されているのを見て思わず言ってしまうセリフですね。お隣さんに指差して教えてあげたくなる一句です。

 

【No.5】

いわし雲 ペンギンたちが 空を見る 』

季語:いわし(秋)

意味:いわし雲が広がっている空をペンギンたちが見上げている。

俳句仙人
「いわし」雲と魚のイワシが好きなペンギンたちとをかけているのでしょう。上記の有名俳句のいわし雲を川に流した一句と似た感性を感じます。

 

【No.6】

白き雲 より白米の 一袋 』

季語:白米(秋)

意味:白い雲よりも白い米の一袋の方がいい。

俳句仙人
風情より食欲です。なんといってもまだ食欲の秋なのですから!同じ「白」で連想させたところが上手い表現です。

 

【No.7】

銀杏を 踏みて匂ひて 恥ずかしき 』

季語:銀杏(秋)

意味:銀杏を踏んだあとの靴の匂いが取れず恥ずかしい思いをした。

俳句仙人
これは踏んだ人にしかわからない気持ちがこもっています。周りも匂を嗅いでも「ああ、ぎんなん踏んでしまったんだな」と見守ってくれると思いますが、「恥ずかしき」で気持ちがよく伝わってきます。

 

【No.8】

金木犀 トイレの香りよ 都会人 』

季語:金木犀(秋)

意味:都会人にとっては金木犀はトイレの芳香剤としてしかわからない。

俳句仙人
少し寂しい気もしますが、金木犀を全く見たことも本物の花の香りを嗅いだこともない人の方が多いはずです。名詞だけを並べていますが、意味は繋がっています。

 

【No.9】

紅葉狩り 何獲るのかと 聞く子ども 』

季語:紅葉狩り(秋)

意味:紅葉狩りとは何を獲りに行くのかと子どもが聞いている。

俳句仙人
あるあるな場面ですね。「狩に行く」から子どもは「紅葉」という生き物なのかと想像してしまいます。この場面を側から見たのか…、もしかしたら自身が親に聞いた経験を詠んだのかもしれません。

 

【No.10】

稲刈りを やってと金色 踊ってる 』

季語:稲刈り(秋)

意味:稲刈りをやってと金色に輝いている稲穂が踊るように揺れている。

俳句仙人
一面に広がる金色に輝く稲穂が見えてきます。そして「踊ってる」のは秋風が穂を揺らしている様子。秋の実りの嬉しさが伝わってきます。

 

以上、10月の季語を含んだおすすめ俳句集でした!

 

 

俳句仙人
10月にだけ楽しむことができる事象を10月の季語としているので、場面が想像しやすかったと思います。同じ秋でも初秋(8月)、中秋(9月)、晩秋(10月)では、季節感が少しずつ変わっていきますね。そんな所にも注目してみるとさらに楽しめるのではないでしょうか。

リス先生
美味しい秋、まずは10月季語の中から自分の好きな食べ物を見つけて一句詠んでみてね!

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