【間違えやすい俳句の季語】春•夏•秋•冬!!旧暦の意外なズレをしっかり理解しよう

 

俳句には季節を表す季語を詠みこみます。

 

その季語は基本的に旧暦を基準としており、新暦で生活している私たちの季節感とは少しズレていて、間違いやすい季語がいくつか存在します。

 

 

今回は、そんなの間違えやすい俳句の季語をたくさん紹介していきます。

 

リス先生
ぜひ参考にしてみてね!

 

なぜ間違えやすい季語があるのか?

 

先ほど述べたように、季語は基本的に旧暦を基準としており、新暦で生活している私たちの季節感とは少しズレが生じています。

 

旧暦とは、月の満ち欠けを基準にした太陰暦のことです。一方の新暦は太陽の周期を基準にする現在のカレンダーで、太陽暦と呼ばれます。

 

旧暦と新暦は1ヶ月近くズレているのが特徴です。

 

そのため、旧暦の季節の変わり目にあたる季語は間違いやすいものが出てきます。

 

【旧暦の春夏秋冬】

  • 春:1月から3月
  • 夏:4月から6月
  • 秋:7月から9月
  • 冬:10月から12月

 旧暦の季節の決め方は、厳密には立春、立夏、立秋、立冬の日付けで決まります。現在の暦に直すと、立春は2月4日頃、立夏は5月5日頃、立秋は8月7日頃、立冬は11月7日頃です。太陰暦と太陽暦にはかなりのズレがあったようで、現在の暦に切り替わる明治5年から6年は、旧暦明治5年12月3日が新暦明治6年1月1日になるなど、1ヶ月の 差があったことがわかります。

【新暦の春夏秋冬】

  • 春:3月から5月
  • 夏:6月から8月
  • 秋:9月から11月
  • 冬:12月から2月

 新暦の季節の決め方はいろいろありますが、基本的には気象庁が用いる季節の区分を基準にしています。上記に挙げた区分は「気象学的区分」と呼ばれるものです。現在の暦は気象学と天文学が基準とされており、天文学的基準としては春分、夏至、秋分、冬至があります。春分は320日頃、夏至は621日頃、秋分は922日頃、冬至は1222日頃のため、旧暦に比べて季節感覚の違いはあまりありません。

 

俳句の世界において季語の季節を決めるのは【旧暦での区分が基準】です。ただ、今俳句を詠もうとするなら新暦でいつにあたるかも意識しましょう。

 

俳句仙人

例えば、以下に挙げるバレンタインは、感覚としては冬の行事ですが、立春である24日以降の214日に行われるため春の季語となります。

同じように、4月の下旬からだいたい55日から6日の立夏頃まで続くゴールデンウィークは、立夏の直前まで続くということで晩春の季語とされます。

特定の日にちの俳句を詠むときは、立春、立夏、立秋、立冬の日にちの後か先かを意識するとよいでしょう。

 

間違えやすい俳句の季語【春編】

(1)薄氷

氷とあるので間違いやすいですが、冬ではなく春の季語です。「春氷」と詠まれることもあります。暖かくなってきて氷が溶けた水辺に、寒さが戻って再び氷が張る現象のことを言います。

 

(2)雪崩

積雪期である冬の季語ではなく、暖かさで緩んだ積雪が一気に崩れ落ちやすい2月や3月頃がイメージされるため、春の季語です。「雪なだれ」など似たような季語も春の季語になるので、雪という漢字でも気をつけましょう。

 

(3)バレンタイン

214日は旧暦では春の日にちですが、私たちが感じる季節感としてはまだまだ冬の最中でしょう。「バレンタインの日」「バレンタインデー」なども使われます。

 

(4)潮干狩

潮干狩は夏ではなく春の季語です。潮干狩ができるのは4月下旬から7月頃までで、浮かぶイメージとしてはゴールデンウィーク頃に家族連れで貝を捕っている光景でしょう。潮の満ち干きの差が激しくなるのが旧暦の3月のため、春の季語になっています。

 

(5)逃げ水

暑い日に良く見る、道の先に水溜まりがあるように見える現象で、蜃気楼の一種と言われています。現代では夏によく見るため夏の季語と間違いやすいですが、春の季語です。古来より武蔵野の逃げ水が有名です。

 

(6)ゴールデンウィーク

ゴールデンウィークは429日の昭和の日から、55日のこどもの日まで続く連休です。文字数が多いので、「黄金週間」と詠まれることもあります。先述したとおり立夏の直前のため、季語としては晩春になります。

 

間違えやすい俳句の季語【夏編】

 

(1)タケノコ

旬が3月から5月のため春の季語と間違いやすいですが、夏の季語です。類似例として「筍飯」も夏の季語です。現代では春の味覚ですが、旧暦の4月や5月は夏になるため季語も夏に分類されます。

 

(2)初鰹

初鰹は3月から5月に北上してくる鰹で、「目には青葉 山ホトトギス 初鰹」の句で有名な夏の季語です。時期的に春から初夏の味覚なので春の季語と勘違いしやすいですが、先述の俳句を覚えていると間違えないかもしれません。

 

(3)五月雨

漢字から5月に降る雨と間違いやすい夏の季語です。旧暦の5月、新暦だと6月に降る雨なので、今で言う梅雨のことです。読み方は「さみだれ」ですが、「さつきあめ」と読ませる俳句もあります。

 

(4)涼し

涼しいという印象から秋の季語と間違いやすいですが、夏の季語です。「涼風」や「夕涼」も同じく秋の季語になります。夏の暑さの中で感じる涼しさを詠むのが特徴です。秋の涼しさについては「新涼」という季語を使います。

 

(5)麦の秋

秋とついているので間違いやすいですが、秋ではなく夏の季語です。麦の収穫は5月頃なので、夏であっても麦が熟す秋と表現しています。「麦秋」「麦の秋風」といった季語で使われることもあります。

 

(6)夜の秋

こちらも「秋」とあることから秋と勘違いしやすい季語です。これは夜になって涼しくなってくる様子を秋が近いと感じるもので、熱帯夜が過ぎて風が涼しくなり始めた頃をイメージするとわかりやすいでしょう。

 

間違えやすい俳句の季語【秋編】

(1)七夕

七夕といえば77日ですが、旧暦では秋である8月上旬にあたるため、夏ではなく秋の季語になります。七夕を連想させる「天の川」や「星祭」「鵲の橋」も同じように秋の季語です。

 

(2)盆踊り

お盆は815日前後で現代の感覚では夏真っ盛りですが、秋の季語です。「盆休み」「盂蘭盆会」など、夏の季語と間違いやすいですが旧暦では秋にあたります。

 

(3)スイカ

スイカといえば夏の代名詞ですが、秋の季語です。今のスイカの旬は6月から7月頃なのに対して、昔のスイカの旬は8月頃で旧暦では秋だったために間違いやすい季語になりました。ただし、「冷し西瓜」など「冷やす」意味があるものは夏の季語に分類されます。

 

(4)トウモロコシ

トウモロコシもまた旬が7月から8月のため、夏の野菜にも関わらず間違いやすい秋の季語です。なお「トウモロコシの花」と詠むと夏の季語になるため、どちらを指しているのかで季節が変わってきます。

 

(5)枝豆

ビールによく合うおつまみとして定番の枝豆ですが、旬が7月から8月のため季語としては夏ではなく秋の季語になります。名月に供えたことから「月見豆」とも詠まれ、こちらも秋の季語です。

 

(6)花火

手で持つ「手花火」は夏の季語ですが、打ち上げ花火は秋の季語です。花火大会が8月に行われることが多いため、立秋の後に行われるということで秋の季語とされます。歳時記によっては夏の季語として扱うものもありますので、調べてみましょう。

 

間違えやすい俳句の季語【冬編】

(1)神無月

10月の異称です。現代の季節感ではまだ秋ですが、旧暦では冬の始まりの月になります。神々が出雲の国へと集い神社を留守にするため、「神の留守」という同じく10月を表す季語も存在します。

 

(2)七五三

11月は冬ではないけれど秋も終わりという感覚ですが、七五三は1115日に行われるため、旧暦では冬の季語です。「千歳飴」「七五三祝(しめいわい)」なども同じ意味の季語として扱われます。

 

(3)落ち葉

「紅葉」が秋の季語である一方で、木の葉が落ちる「落ち葉」は冬の季語になります。地域によって変わってきますが、落葉の時期はだいたい11月なので秋か冬か迷うでしょう。紅葉と混同しないように注意が必要です。

 

(4)小春日和

春が近づいて来ている暖かい日に使いがちですが、「小春」とは旧暦の10月の異称です。春が近づいた暖かい日のことではなく、まだ冬になりきらない秋の暖かさのことを指します。新暦では11月のことを指しますので、晩冬の俳句に間違って使わないように注意しましょう。

 

(5)三寒四温

三寒四温は良く天気予報などでも聞く言葉ですが、春が近づいている2月頃に使用される季語です。春の季語と間違いやすいですが、あくまで冬の時期の気象現象なので、俳句として詠む時は気をつけましょう。

 

(6)節分

本来の意味は季節の変わり目のことですが、現在では23日に行われる豆まきを意味します。立春である24日の直前のため、冬の季語となることに注意しましょう。

 

さいごに

 

旧暦と新暦で間違いやすい季語を、春夏秋冬でそれぞれ5つ挙げていきました。

 

どれも旧暦の季節の変わり目だったり、漢字から違う季節が想定されたり、現代の旬の季節とはズレていたりするものです。

 

どちらの季語だったか迷う時は、旧暦では何月にあたるか考えてみると間違えにくくなるのではないでしょうか。

 

リス先生
最後まで読んでくれてありがとう!

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