花火の季節と言えば、夏!
ところが、花火は俳諧連歌の季語としては「秋」とされているので、どちらの季節として作ればいいのか迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
基本的には打ち上げるタイプの花火は「秋の季語」、手で持って遊ぶ花火は「夏の季語」として分類されています。
打ち上げ花火を詠む際に夏の風景にしたい場合は、夏を明示する季語を別に入れるといいでしょう。
消えてゆく 花火が切ない 夏の終#川柳 #俳句 #短歌 #8月 #夏 #終わっちゃう#何だか少し寂しい#花火 #きれいだな #花火大会 #fireworks #summer pic.twitter.com/8SHkdS6tJi
— 迫本理寛 (@michiseri) August 26, 2017
今回は、花火の俳句の表現が上手いな有名俳句(15句)とおすすめの一般俳句作品(25句)を紹介していきます。
季語「花火」を使った有名俳句集【15選】
ここでは、季語「花火」を使った俳句を俳人ごとに紹介していきます。
【NO.1】与謝蕪村
『 花火せよ 淀のお茶屋の 夕月夜 』
季語:花火(秋)
意味:夕方の夜に淀川のお茶屋から花火を打ち上げたいものだ。
【NO.2】与謝蕪村
『 もの焚いて 花火に遠き かがり舟 』
季語:花火(秋)
意味:何か焚いているかがり舟の遠い向こうに花火が見えている。
【NO.3】河東碧梧桐
『 海の月 花火彩る 美しき 』
季語:花火(秋)
意味:花火を彩るように出ている月が海に映ってなんと美しいことよ。
【NO.4】芥川龍之介
『 秋風に 吹かれて消えぬ 昼花火 』
季語:昼花火(秋)
意味:昼の花火が秋風に吹かれて消えていった。
【NO.5】飯田蛇笏
『 花火見や 風情こごみて 舟の妻 』
季語:花火(秋)
意味:舟に乗っている妻が花火を見てとかがんでいる姿に風情を感じる。
【NO.6】正岡子規
『 夕涼み 花火線香の 匂ひ哉 』
季語:花火線香/線香花火(夏)
意味:夕涼みをしているとどこからか線香花火の香りがしてきた。
【NO.7】正岡子規
『 暗がりの 天地にひびく 花火哉 』
季語:花火(秋)
意味:夜暗い天地に花火の大きな音が響いている。
【NO.8】日野草城
『 閑けさや 花火消えたる あとの星 』
季語:花火(秋)
意味:賑やかだった花火が消えた後、閑かな空に光っている星たちがある。
【NO.9】中村汀女
『 早打ちや 花火の空は 艶まさり 』
季語:花火(秋)
意味:次々に打ち上がる早打ちの花火で空が彩られて艶やかだ。
【NO.10】中村汀女
『 待ち受けし 花火の空の 響あふ 』
季語:花火(秋)
意味:花火を待ち受けていた空が打ち上がった音に響き合っている。
【NO.11】小林一茶
『 舟々や 花火の夜にも 花火売 』
季語:花火(秋)
意味:船が川に浮かんでいる。花火が上がっている夜にも花火売りはやってくるのだ。
【NO.12】夏目漱石
『 化学とは 花火を造る 術ならん 』
季語:花火(秋)
意味:化学とは色とりどりの花火を造る技術なのだ。
【NO.13】長谷川かな女
『 揚花火 二階灯して すぐ消して 』
季語:揚花火(秋)
意味:打ち上げ花火が2階を明るく照らして、すぐ消えていく。
【NO.14】星野立子
『 花火上る はじめの音は 静かなり 』
季語:花火(秋)
意味:花火が上っていく最初の音は静かなのだ。
【NO.15】西東三鬼
『 暗く暑く 大群集と 花火待つ 』
季語:花火(秋)
意味:暗く暑い場所で、大群衆と一緒に花火が上がるのを待っている。
こんな俳句もある!一般おすすめ俳句集【25選】
ここからは、一般の方が詠んだオリジナルの俳句集を紹介していきます。
【No.1】
『 手花火の ポツリと落ちて 波の音 』
季語:手花火(夏)
意味:手に持った花火(線香花火)の火がポツリと落ちた後は波の音だけになった。
【No.2】
『 花火待つ 君の睫毛の 長きかな 』
季語:花火(秋)
意味:次の花火が上がるのを待っている君を見ると睫毛の長いことに気づいた。
【No.3】
『 あれこれと 買い込みて待つ 大花火 』
季語:大花火(秋)
意味:食べ物飲み物をあれこれたくさん買い込んで大花火が始まるのを待っている。
【No.4】
『 寂しさと 線香花火が 散っていく 』
季語:線香花火(夏)
意味:線香花火が散っていくと同時に寂しさも散っていった気がする。
【No.5】
『 青春の 一ページをなす 花火かな 』
季語:花火(秋)
意味:花火は誰にとっても青春の一ページに思い出としてあるものだ。
【No.6】
『 片思い 打ち上げ花火と ともに消え 』
季語:打ち上げ花火(秋)
意味:打ち上げ花火を見に行ったら自分の想っている相手が誰かと一緒にいて失恋しちゃった。
【No.7】
『 心臓の 鼓動と花火 響く夜 』
季語:花火(秋)
意味:心臓のドキドキしている鼓動が花火と同じくらい響いている夜だ。
【No.8】
『 初めての デートの線香 花火かな 』
季語:線香花火(夏)
意味:初めてデートした時に線香花火をしたことだなぁ。
【No.9】
『 花火の輪 僕の周りは 家族の輪 』
季語:花火(秋)
意味:花火の輪が上がっているのを見ている僕の周りには、輪になって見ている家族ばかりだ。
【No.10】
『 夏終わる 火薬の薫る 静寂(しじま)かな 』
季語:夏終わる(夏)
意味:花火の後の火薬の香りが漂う静けさに夏の終わりを感じるなぁ。
【No.11】
『 しあわせは 花火のごとく はじけ散る 』
季語:花火(秋)
意味:幸せが花火のようにはじけ散ってしまった。
【No.12】
『 大輪の 花火の照りを 満面に 』
季語:花火(秋)
意味:大きな花火の光の照りを満面に受けている。
【No.13】
『 目をとじて まだ迫り来る 大花火 』
季語:大花火(秋)
意味:目をとじてもさっきの大花火の映像がまだ迫ってくるようだ。
【No.14】
『 Tシャツに 昨夜の花火の 匂ひけり 』
季語:花火(秋)
意味:朝Tシャツに鼻を近づけると昨夜の花火の匂いが残っていた。
【No.15】
『 ディズニーより 音聞こえくる 花火の夜 』
季語:花火(秋)
意味:ディズニーランドから花火の音が聞こえてくる夜だ。
【No.16】
『 人混みと 渋滞苦し 花火かな 』
季語:花火(秋)
意味:花火大会では人の多さと渋滞に困る。
【No.17】
『 大花火 僕と地球が 震えてる 』
季語:大花火(秋)
意味:夜空いっぱいの大花火の音で僕も震え地球まで震えているようだ。
【No.18】
『 下駄の緒の 指美しき 草花火 』
季語:花火(秋)
意味:草はらでの花火をしている子が履いている下駄から見えている指が綺麗だ。
【No.19】
『 花火果て ライター灯りの 赤さかな 』
季語:花火(秋)
意味:用意していた手花火は全て終わってしまって、残ったライターの灯りだけが赤くなっている。
【No.20】
『 一斉に 引き揚げて行く 花火舟 』
季語:花火舟(秋)
意味:花火が終わると同時に一斉に花火を見ていた舟が引き上げて行く。
【No.21】
『 満天の 月を爆せり 大花火 』
季語:大花火(秋)
意味:満天の空に輝く月が爆発したような大きな花火だ。
【No.22】
『 遠花火 あなたと見上げる イリュージョン 』
季語:遠花火(秋)
意味:遠くの花火をあなたと見上げている。まるでイリュージョンのようだ。
【No.23】
『 ひとり旅 夜汽車の窓の 遠花火 』
季語:遠花火(秋)
意味:一人旅をしている。夜の列車の窓から遠くに花火が見えている。
【No.24】
『 台所で 音だけ聞いてる 花火の夜 』
季語:花火(秋)
意味:台所で音だけ聞いている花火が打ち上げられている夜だよ。
【No.25】
『 サプライズ花火 晩ご飯はチン 』
季語:花火(秋)
意味:サプライズで花火をしよう。その代わり晩御飯は電子レンジでチンして済むご飯だ。
以上、季語「花火」を使ったおすすめ俳句集でした!