
5・7・5で構成されている俳句。
日本に古くから伝わる素晴らしい文化の一つですよね。
17音という短い文の中に作者の思いをのせて名人から素人、子供から老人まで幅広い人々によって詠まれています。
今回は、2月をテーマに有名句からオリジナルの俳句まで紹介していきたいと思います。
俳句に2月らしさを出す!2月の季語を知ろう
日本には4つの季節をもとに12つの月があります。
俳句を書く人にとって季節はとても重要なものです。
その理由は「季語を使うから」。季語とは季節の特徴を表す言葉たちのこといいます。
例えば、今回のテーマである2月には「バレンタイン」や「節分」「雪解け」といった季語があります。
季語は一見難しい言葉ばかりかと思われがちですが、馴染み深いものも多く、その季節の特徴…つまり、その季節らしい言葉であれば季語となるのです。
【立春】
読み方:りっしゅん
意味:暦の上で春が始まる日。2月4日ごろ。
【蕗の薹】
読み方:ふきのとう
意味:ふきの花のつぼみに当たる部分。
【ウグイス】
意味:スズメ目ウグイス科ウグイス属の1種である。 「ホーホケキョ」と大きな声でさえずるのが特徴。
【節分】
読み方:せつぶん
意味:2月3日。冬から春に変わる時。
【豆撒き】
読み方:まめまき
意味:節分の夜、鬼を追い払うためと称して煎豆を撒く年中行事。
2月の季語【一覧】
初春 / 睦月 / 旧正月 / 寒明 / 立春 / 早春 / 春浅し / 冴返る / 余寒 / 春寒 / 遅春 / 春めく / うりずん / 魚氷に上る / バレンタインの日 / 謝肉祭 / 才麿忌 / 野波忌 / 良寛忌 / 夕霧忌 / 義仲忌 / 実朝忌 / 右近忌 / 句仏忌 / 節忌 / 霽月忌 / 安吾忌 / かの子忌 / 鳴雪忌 / 多喜二忌 / 不器男忌 / 茂吉忌 / 逍遙忌 / 三汀忌 /梅 / 紅梅 / 牡丹の芽 / 薔薇の芽 / 三茱臾の花 / 黄梅 / ミモザ / 金縷梅 / 猫柳 / スノードロップ / クロッカス / ヒヤシンス / 菠薐草 / 如月菜 / 水菜 / 壬生菜 / 慈姑 / 烏芋 / 種芋 / 下萌 / 草青む / 駒返る草 / 草の芽 / ものの芽 / 末黒の薄 / 桔梗の芽 / 古草 / 節分草 / 洲浜草 / 犬ふぐり / 蕗の薹 / 雀の帷子 / 片栗の花 / 猫の眼草 / 菊苦菜 / 海苔 / 岩海苔 /
2月の季語を使った有名俳句集【10選】
それでは早速、2月の季語を使った有名俳句をご紹介していきます。
【NO.1】原石鼎
『 鶯の 日に光りつゝ 枝うつり 』
季語:鶯
意味:ウグイスが日の光に当たりながら枝をうつしている。
【NO.2】星野立子
『 梅白し まことに白く 新しく 』
季語:梅
意味:白梅が本当に白く咲いていて、毎年同じものが咲いているけれど、今年も新しい気分で梅を楽しめる。
【NO.3】松本たかし
『 紅梅の 紅をうるほす 雪すこし 』
季語:紅梅
意味:紅梅の紅を鮮やかに潤しているのは少し降っている雪である。
【NO.4】与謝蕪村
『 寒月や 門なき寺の 天高し 』
季語:寒月
意味:冬の冷たい空気で月の光がさえ渡った夜。門のない寺の上には澄み切った空が広がっている。
【NO.5】山口誓子
『 学問の さびしさに堪へ 炭をつぐ 』
季語:炭
意味:学問は自分自身との戦いであり孤独である。その寂しさに耐え、黙々と火鉢に炭を入れている。
【NO.6】中村汀女
『 咳の子の なぞなぞあそび きりもなや 』
季語:咳
意味:子供が風邪をひいて寝床で咳をしている。そんな子供にせがまれてやったなぞなぞ遊びが続いてきりがない。
【NO.7】鈴木真砂女
『 如月や 身を切る風に 身を切らせ 』
季語:如月
意味:2月の身を切りそうなほど冷たい風を受けて寂しく感じます。
【NO.8】正岡子規
『 白梅に 魂入りし 月夜哉 』
季語:白梅
意味:白梅に魂入りをした月夜のこと。
(※魂入りとは→死者の霊を祀るため、戒名や法名を記して、家庭の仏壇や寺院の位牌壇に安置する木製の牌を位牌(いはい)といいます。その位牌に魂入りの儀式である「開眼供養」をすると真の位牌となります。)
【NO.9】皆吉爽雨
『 佇める 人にひろごる 野焼かな 』
季語:野焼
意味:佇んでいる人に広がっているのは野焼だろうか。
【NO.10】尾崎紅葉
『 何はさて 命大事の 春寒し 』
季語:春寒し
意味:何はともあれ命は大事だと春が立ってからの寒さを感じた。
こんな俳句もある!オリジナル俳句集【10選】
有名な俳句を10つ紹介しましたが、オリジナルの俳句も様々な人の気持ちや目線、表現方法がたくさん詰まっているので勉強になります。
そのため、ここではいくつかオリジナルの俳句もご紹介していきます。
【No.1】恵方巻 壁に向かひ もくもくと
季語:恵方巻
意味:恵方の方角が壁だった。壁に向かい恵方巻をもくもくと食べる。
【No.2】豆撒きや 年の数だけ 食べられず
季語:豆撒き
意味:豆撒きをするとたくさんの豆を使うのでそれを消費するために年の数よりも食べなければいけない。
【No.3】おちつかぬ バレンタインの 日の生徒
季語:バレンタインの日
意味:バレンタインの日は、生徒みんなそわそわとして落ち着きがない。
【No.4】角まがり 我が家の梅の 見えて来し
季語:梅
意味:角をまがると我が家の梅が見えて来る。
【No.5】時折に どすんと音す 雪解かな
季語:雪解
意味:時々、屋根からドスンと音がしている。雪が解けているのだろうか。
【No.6】塀越しの 蕾ふくらむ 二月かな
季語:二月
意味:塀越しに木を見ると蕾が膨らんでいて、二月を感じる。
【No.7】夕暮れの 村に残りし 野焼の火
季語:野焼
意味:夕暮れの村の畑には野焼きの火がまだ残っている。
【No.8】早春や 唇の色 明るくし
季語:早春
意味:早春に春のため、唇紅の色を明るい色にした。
【No.9】打ち寄せる 波に残雪 消えにけり
季語:残雪
意味:波打ち際に残る雪が打ち寄せる波によって消えていった。
【No.10】春菊を 刻む香りに 亡き母を
季語:春菊
意味:春菊を刻むとその独特な香りで亡き母を思い出す。
以上、2月の有名な俳句とおすすめオリジナル俳句を計20選でした!