【4月の有名俳句 30選】すごく上手い!!季語を含んだおすすめ俳句作品集を紹介!

 

4月と言えば、みなさんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?

 

4月は入学式や入社式など、新しい年度が始まる出会いの季節…。また、桜が満開になってお花見などのイベントでも盛り上がる時期でもあります。

 

今回は、そんな「4月」に関するオススメ俳句集を紹介していきます。

 

 

リス先生
有名俳人が詠んだ俳句から一般の方が作った俳句作品まで幅広く紹介していくよ!
難解な句はないから安心してね!

 

俳句に4月らしさを出す!4月の季語を知ろう

 

俳句とは、575317音からなる、日本独自の定型詩のことです。

(※5・7・5の音が足らないものを「字足らず」、音が多いものを「字あまり」と言い、音数がちがっても違和感がなければ俳句として認められています)

 

また、俳句には「季語」と呼ばれる季節を表す言葉を含まなければならないというルールがあります。

 

ここでは、身近でわかりやすい4月の季語をいくつか紹介していきます。

 

リス先生
紹介する季語はほんの一部だよ!俳句を詠むときの参考にしてみてね!

 

4月の季語

 

■時候を表す季語■

晩春、清明、春深し、八十八夜、暮れの春、行く春、春惜しむ、夏近し など

 

■天文・地理の季語■

桜まじ、油まじ、菜種梅雨、花の雨、春驟雨(はるしゅうう)、忘れ霜、春の霞、春の虹、花曇、鰊(にしん)曇、蜃気楼、フェーン、潮干潟、苗代、逃水 などなど

 

■生活行事の季語■

春日傘、桜餅、桜漬け、茶摘み、遠足、青踏、花見、桜狩、夜桜、花疲れ、新社員、春闘 など

 

■動物や生き物の季語■

若駒、馬の子、猫の子、オタマジャクシ、春の雁、雀の子、巣立ち鳥、桜鯛、鰊(にしん)、鰆(さわら)、ごんずい、若鮎、ホタルイカ、虻、蚕 など

 

■植物や野菜の季語■

 桜、山桜、八重桜、ハナミズキ、ライラック、梨の花、杏の花、林檎の花、若緑、桑、柳、アネモネ、チューリップ、菜の花、豆の花、若草、草の若葉 など

 

リス先生
4月はとても暖かく、散歩にも出やすい時期だから、たくさんの自然を目にすることができるね。
春の季節の中でも、特に4月には多くの花の季語があるよ!
春の陽気の中、ぜひ散歩をしながら一句詠んでみてね!

 

4月の季語を使った有名俳句集【10選】

 

ここからは、4月の季語を使った有名俳句を紹介していきます。

 

リス先生
もしかしたら教科書などで目にしたものもあるかもしれないよ!
お気に入りの一句を見つけてみてね!

 

【NO.1】原石鼎

『 門の花 静かに白し 花曇 』

季語:花曇(春)

意味:ぼんやりと曇った天気の中で、門のところに咲いている花だけは、静かにその白さをたたえている。

俳句仙人
原石鼎(はら・せきてい)は、高浜虚子に師事した俳人です。この句の中に出てくる花曇という季語は、桜の花が咲くころの薄くぼんやりと曇った天気のことを言います。ぼんやりと曇った天気の中で、静かに咲いている花の白さが、春の霞のように美しく感じられる一句です。

 

【NO.2】松尾芭蕉

『 桜狩り 奇特や日々に 五里六里 』

季語:桜狩り(春)

意味:桜狩りだとて、殊勝なことによくもまあ、毎日こうして五里六里もせっせと歩き回っていることよ。

俳句仙人
松尾芭蕉(まつおばしょう)は江戸時代に活躍した俳人で、紀行文「おくのほそ道」でも有名です。桜狩りとは、お花見のことを指します。皮肉の利いた面白い一句です。

 

俳句仙人
こちらも松尾芭蕉の作品です。のどかな春の情景を詠んだ一句です。

 

【NO.4】日野草城

『 うららかや 雀ひばりに 鳴き交じり 』

季語:うららか(春)

意味:いつも聞きなれた雀の声が、高らかに鳴くひばりの声に交じって聞こえてくる。なんともうららかな春の日のことだ。

俳句仙人
日野草城(ひの・そうじょう)は、雑誌『ホトトギス』でたくさんの俳句を発表した東京都出身の俳人です。うららか、とは“麗らか”と書き、空が晴れて日差しが暖かく照っている様子を表しています。春のあたたかさの中に、ひばりの高らかな鳴き声に交じって、聞きなれた雀の声が聞こえてくるという、なんとも“麗らか”な一句です。

 

【NO.5】高橋淡路女

『 振り向きし 後ろに月や 春の宵 』

季語:春の宵(春)

意味:春の宵、ふと後ろを振り返ると、ぼんやりとした空に月が浮かんでいる。見事な朧月である。

俳句仙人
高橋淡路女(たかはし・あわじじょ)は、大正から昭和時代にかけて活動した俳人です。飯田蛇笏に師事し、『雲母』などに作品を発表しました。あたたかな春の宵に浮かぶ月は、ぼんやりとして風情があったことでしょう。

 

【NO.6】正岡子規

『 今年又 花散る 四月十二日 』

季語:花散る(春)

意味:今年も桜が散ってしまった。暦はいつの間にか412日になっていたことだ。

俳句仙人
正岡子規は結核のため34歳でその生涯を終えますが、俳壇に多くの名句を遺しました。ここでいう花とは、桜のことです。毎年人々の目を楽しませてくれる桜の花ですが、美しく咲くのはほんの少しのあいだだけです。そんなはかない桜の花と、短命であった正岡子規の姿が重なります。

 

【NO.7】及川貞

『 花御堂 花重なりて 匂ひけり 』

季語:花御堂(春)

意味:4月の花祭りで、花御堂がたくさんの花に飾られている。重なった花からいい香りが匂っている。

俳句仙人
花御堂とは、お堂をさまざまな花で飾り付けたもので、お釈迦様のお誕生日である花祭りに、誕生仏を安置するためのものです。“花御堂”と“花重なりて”の、“花”という言葉が文字通り重なって、匂い立つような花の香りを感じられる一句です。

 

【NO.8】臼田亞浪

『 夕暮れの 水のとろりと 春の風 』

季語:春の風(春)

意味:菜の花畑の中、東からは月が昇り始め日が西に沈んでいくところだ。

俳句仙人
夕暮れ時、春風が溶けた水は粘り気が強く、とろりとしたように感じられます。

 

【NO.9】炭太祇

『 長閑さや 早き月日を 忘れたる 』

季語:長閑(のどか)さ(春)

意味:春の長閑さは、あまりにも早く過ぎてしまうあっけない人生のことを忘れさせてくれるものだ。

俳句仙人
炭太祇(たん・たいぎ)は江戸時代中期の俳人で、与謝野蕪村とも交流があったそうです。人生は短く、あっけないものですが、春の長閑さのような幸せな瞬間もあるに違いありません。

 

【NO.10】炭太祇

『 半ばきて 雨に濡れゐる 花見哉 』

季語:花見(春)

意味:花見をしようと、せっかく途中までやってきたというのに、雨が降って濡れてしまったことよ。

俳句仙人
再び炭太祇の一句です。お花見の季節と言えば、花冷えと言って一時的に冬の寒さが戻ってきてしまうことがあります。それに伴い、雨が降ってせっかくの桜が散ってしまうことも…。ある意味、とても春らしい一句かもしれません。

 

4月の季語を使った一般俳句作品集【10選】

 

ここまでは、有名俳人が詠んだ俳句を紹介してきました。

 

少し難しかったり、身近には感じにくいと思ったりした方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

そこで、ここからは一般の方が詠んだ俳句作品を紹介していきます。

 

リス先生
すべて【4月の季語】を使った俳句になっているよ!
思わず共感したり、クスリと笑えたりする一句が見つかるかもしれないよ!

 

【No.1】

春愁や ノンフィクションの 本を閉じ 』

季語:春愁(春)

意味:春の日、読んでいた本の内容があまりにも心に刺さり、思わず本を閉じてしまった。春愁の中に沈んでいきそうな気持ちになっている。

俳句仙人
本の内容に衝撃を受け、目を閉じて反芻している作者の顔が目に浮かんできます。春愁というのは、春の季節になんとなくわびしくなったり、気持ちがふさいでしまったりすることを言います。

 

【No.2】

春愁や 浅き眠りの 夜明けたり 』

季語:春愁(春)

意味:季節が変わり、もの思うことが増えた春。なかなか寝付けずに、浅い眠りのまま朝を迎えてしまった。

俳句仙人
こちらの句も、春愁という季語を巧みに詠んでいます。春になると仕事などでも環境が変わり、気が張ってなかなか寝付けないこともあります。そんな憂いをとらえた一句です。

 

【No.3】

桜散る さよならじゃなく ありがとう 』

季語:桜散る(春)

意味:桜は散ってしまったけれど、さよならと別れを告げるのではなく、ありがとうと言いたい。

俳句仙人
桜咲くという言葉は、一般的には受験合格、入社採用などの知らせに使われることが多いです。桜散るということは、どこかに落第してしまったのでしょうか?しかし、さよならではなくありがとうと言う言葉を使っているところから、もしかすると作者は恋に破れたのかもしれません。想像力を掻き立ててくれる一句です。

 

【No.4】

桜貝 透かしてのぞく 春の空 』

季語:桜貝・春の空(春)

意味:小さな桜貝から、春の空を透かしてのぞいてみました。いつも見える空とはちがった景色を見ることができました。

俳句仙人
桜貝と春の空という、ふたつの季語が入った一句です。小さくて壊れてしまいそうに繊細な桜貝から、透かしてのぞいた春の空はどれほどきれいだったのでしょうか。細やかな、美しい一句です。

 

【No.5】

若桜 カッターシャツの 糊固し 』

季語:若桜(春)

意味:新人さんたちの姿をあちらこちらで見かける季節になった。まだ糊がしっかり効いている襟は、制服やスーツを着慣れていない証拠だろう。まるで若桜を見ているようで、初々しい気持ちになった。

俳句仙人
『若桜』という例えがぴったりで、新生活が始まる4月をうまく表している一句です。

 

【No.6】

菜の花や 風がなでゆく 地平線 』

季語:菜の花(春)

意味:満開の菜の花を、風が優しくなでているように吹いている。菜の花たちが揺れるさまは、まるで地平線ごと風に撫でてもらっているように見える。

俳句仙人
作者は北海道在住ということで、北の雄大な大地に咲く菜の花を想像すると、より自然のやさしさを感じます。

 

【No.7】

風邪ですか 今週からは 花粉です 』

季語:花粉(春)

意味:少し前までは、マスクをして咳込んでいる人の姿が多かった。風邪が流行っていたのでそうなっていたのだが、今週からは同じ格好をしていても、「花粉症です」と答える人が増えた。いつの間にかそんな季節になっていたんだな。

俳句仙人
4月と言えば花粉症のシーズンでもあります。「風邪ですか?」と聞かれ、「花粉症です。」と答えるやりとりの中に春のおとずれを感じるという、ユーモラスな一句です。

 

【No.8】

花明かり 同じ余韻を 持つ人と 』

季語:花明かり(春)

意味:大切な人と一緒に映画を観に行った。その帰り道、映画の余韻にひたりながら、花明かりに照らされた石畳みの上を一緒に歩いた。同じ余韻に浸り、そのことを共有できる人がいるというのは、本当に幸せなことだ。

俳句仙人
花明かりというのは、お花見シーズンに公園などに灯される灯りのことです。作者の幸せな気持ちがしみじみと伝わってきます。

 

【No.9】

花見場所 一人待つのも 悪くない 』

季語:花見(春)

意味:みんなは、お花見の場所取りなんて面倒で嫌だ、というけれど、私は一人でのんびりと桜を眺めることのできるこの時間も、悪くないと思っている。

俳句仙人
お花見の場所取りと言えば、少し退屈なイメージもありますが、場所取りをしている間にゆっくりと桜を独り占めできるのは、たしかに“悪くない”かもしれません。作者の感性が光る一句です。

 

【No.10】

春の夢 エレベーターで 火星まで  』

季語:春の夢(春)

意味:春眠暁を覚えずではないが、春の陽気につい、うつらうつらと眠ってしまった。そのわずかの時間に、人類がエレベーターで火星に行けるという壮大な夢を見た。ずいぶんと大冒険をしたものだ。

俳句仙人
スケールの大きい、面白い一句です。いつか人類がエレベーターで火星に行く、そんな日がいつか来るかもしれませんね…。

 

4月の季語を使った有名俳句集【おまけ10句】

 

最後に、「もっと有名俳句を知りたい!」という方のために4月の季語を使った有名俳句を10句紹介していきます。

 

リス先生
俳人の名句を堪能しよう!

【NO.1】松尾芭蕉

『 草臥れて(くたびれて) 宿借るころや 藤の花 』

季語:藤の花(春)

現代語訳:歩き旅に草臥れて、そろそろ宿をとる頃だ。気がつくと藤の花が綺麗に咲いている。

俳句仙人
この句は作者が『笈の小文』という紀行文としてまとめられる旅をしていた最中に詠まれた一句です。歩き疲れて宿を探している最中に見えた藤の花は、疲れた心身を癒したことでしょう。

【NO.2】松尾芭蕉

『 ほろほろと 山吹散るか 滝の音 』

季語:山吹(春)

現代語訳:滝の音が轟々と鳴り響く中で、山吹の花がほろほろと散っている。

俳句仙人
この句は桜の名所で知られている吉野で詠まれました。吉野は山吹の花でも有名で、「ほろほろ」という擬音を付けるほど静かに散っていく山吹と轟々とした音を立てる滝を対比しています。

【NO.3】松尾芭蕉

『 行く春や 鳥啼き魚の 目は泪 』

季語:行く春(春)

現代語訳:春が過ぎ去っていく。鳥が啼き、魚の目に涙がたまるように、人々と別れて旅立つのを悲しんでいることだ。

俳句仙人
この句は『おくのほそ道』の旅に出発するときに、別れの句として詠まれた一句です。当時は徒歩での旅行であり、旅先で亡くなる人も今より多かったため、今生の別れとして悲しむ様子が「行く春」という過ぎ去っていく季節に込められています。

【NO.4】小林一茶

『 雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る 』

季語:雀の子(春)

現代語訳:雀の子よ。そこをどきなさい、そこをどきなさい。お馬が通るぞ。

俳句仙人
「そこのけ」と2回繰り返されることで囃し立てているような雰囲気を感じる一句です。大名行列を馬に例えて通りから遠ざかる自分たちを雀の子と例えたという説もあります。

【NO.5】高野素十

『 空をゆく ひとかたまりの 花吹雪 』

季語:花吹雪/落花(春)

現代語訳:空を飛んでいくひと塊の花吹雪だ。

俳句仙人
花吹雪は桜の花びらが散っていく様子を表すため、塊のように飛んでいくのはめずらしいことです。この句ではふと見上げた空に花吹雪の塊が飛んでいくことへの驚きを詠んでいます。

【NO.6】水原秋桜子

『 来しかたや 馬酔木(あせび)咲く野の 日のひかり 』

季語:馬酔木咲く(春)

現代語訳:自分が歩いてきた方向を見よう。馬酔木の花が咲く野原に陽の光が照っている。

俳句仙人
この句は作者が忙しい合間を縫って奈良にある三月堂を訪れた時に詠まれました。「来しかた」という表現は、三月堂までの道のりを表しているとも、自分自身の人生を振り返っているとも言われています。

【NO.7】富安風生

『 まさをなる 空よりしだれ ざくらかな 』

季語:しだれざくら(春)

現代語訳:真っ青な空からしだれ桜の花が垂れ下がっている。

俳句仙人
しだれ桜の下から上を見上げた状態で詠まれた句です。真っ青な空から直接しだれ桜の美しい花が垂れているように見えています。

【NO.8】村上鬼城

『 ゆさゆさと 大枝ゆるる 桜かな 』

季語:桜(春)

現代語訳:ゆさゆさと大きな枝が揺れている桜であることだ。

俳句仙人
桜の木の枝が揺れている原因が、風と捉えるか鳥と捉えるかで印象が変わってくる句です。鳥が動いて枝も揺れている場合は、俳句の中に登場させずに暗示しているテクニカルな句になります。

【NO.9】星野立子

『 誰もみな コーヒーが好き 花曇 』

季語:花曇(春)

現代語訳:誰もがみんなコーヒーが好きな花曇りの日だ。

俳句仙人
「花曇り」とは桜が咲く季節に曇っている日のことです。少し肌寒かったのか、温かいコーヒーを飲んでほっとしている様子が伺えます。

【NO.10】細見綾子

『 チューリップ 喜びだけを 持っている 』

季語:チューリップ(春)

現代語訳:チューリップは喜びだけを持っているように見える。

俳句仙人
美しく咲き誇るチューリップの花が、まるで喜びだけを持っているようだと感じている面白い句です。厳しい冬を耐えて開花したチューリップへの憧れが感じられます。

 

以上、4月の季語を使った俳句集でした!

 

 

俳句仙人
4月は新学期・新年度と社会的にも新しい生活が始まる時期です。桜が咲いたり、川魚が元気になったり、植物が芽生えたり…。たくさんの新しい命が誕生する時期でもありますね。ぜひあなたもこの機会に一句詠んでみてください。

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