星は季節を通じて多くの俳句が詠まれているテーマで、季語も季節ごとにいくつか存在しています。
特に、星が美しい秋から冬にかけては多くの季語があることで有名です。
今回は、中学生向けの「星」をテーマにした俳句作品を30句紹介していきます。
うつくしや
障子の穴の
天の川 小林一茶
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— 桃花 笑子 (@nanohanasakiko) September 22, 2015
冬夜明け見上げ戯むる星4つ
#俳句 #jhaiku #the575 #17_ch #emi_libraさすがに水星はわからなかった。金星はバッチリ!土星はあれかな?火星が…、上に輝いてたの火星?(^_^;) pic.twitter.com/mz44CE0gXY
— emiemi☆ (@emiamiko) January 24, 2016
ぜひお気に入りの俳句を探してみてね!
星を表す季語は、季節ごとにいくつか存在しています。
以下にいくつか季節ごとに例を挙げてみましたので、確認しておきましょう。
- 春…春の星、酒星、春北斗
- 夏…夏の星、麦星、梅雨の星、旱(ひでり)星、星涼し
- 秋…秋の星、流れ星、星月夜、天の川、二つ星、七夕、碇星
- 冬…冬の星、寒星、凍星、オリオン、冬銀河、枯木星、寒昴、天狼
初心者の人が俳句を作る時は、聞き馴染みのある身近な言葉を選んで作るのがおすすめだよ!
もっと詳しく季語について知りたい方は下記の記事を参考にしみてね!
中学生向け!星をテーマにした有名俳句【15選】
【NO.1】前田普羅
『 乗鞍(のりくら)の かなた春星 かぎりなし 』
季語:春星(春)
意味:乗鞍岳の彼方に春の星が瞬いている。まるで限りがないような満天の星空だ。
乗鞍岳(のりくらだけ)は、北アルプスに位置する3,026mの山です。標高が高い山は空気が澄んでいて、夜は晴れていれば満天の星空になるので知られています。「かぎりなし」という下句からどこまでも続く星空が連想される句です。
【NO.2】三橋鷹女
『 夏の星 我が齢までは 数へられる 』
季語:夏の星(夏)
意味:夏の夜空に星が出ている。自分の年齢までは数えられるのだけれど。
都会の夏の夜空は一等星しか見えませんが、街灯が少ない場所ではかなりの数の星が見えます。自分の年齢の数の星という、満天とまではいかなくても天の川など星が多く見えていることが伺える表現です。
【NO.3】有働亨
『 ふるさとや 豊年星の 旱星(ひでりぼし) 』
季語:旱星(夏)
意味:故郷の収穫の時期だ。豊作の星と言われるさそり座のアンタレスが輝いている。
旱星は赤く輝く星の総称ですが、豊作が占われたのはさそり座のアンタレスです。アンタレスが赤く輝くほど豊作になると言われています。赤いアンタレスを見て故郷の収穫期に思いを馳せた一句です。
【NO.4】松尾芭蕉
『 荒海(あらうみ)や 佐渡に横たふ 天の川 』
季語:天の川(秋)
意味:荒れた海の日だ。佐渡ヶ島に横たわるように天の川が見えている。
松尾芭蕉の有名な一句です。たった十七音の中で海、島という大地、空にある天の川と雄大な自然の風景を見事に詠みこんでいます。
【NO.5】鷹羽狩行
『 流星の 使ひきれざる 空の丈 』
季語:流星(秋)
意味:流れ星でも使い切れないほどの空の大きさよ。
流星は空の端から端まで流れることはなく、途中で燃え尽きて見えなくなります。そんな光景を、「空の丈を使い切れない」と一枚の絵のように表現しているところが面白い表現です。
【NO.6】富安風生
『 一天の 漆光りに 星月夜 』
季語:星月夜(秋)
意味:一面の夜空が漆のように黒く光っている中で、月夜のように明るい星空が輝いている。
漆(うるし)は、重ねて塗っていくと独特の光沢を持つようになります。そんな漆のような夜空にまるで金粉を散りばめられたかのような星空が輝いているという、漆塗りの芸術作品を見ているかのようです。
【NO.7】三橋敏雄
『 夕ぞらの 色の中から 秋の星 』
季語:秋の星(秋)
意味:夕空のオレンジ色の中から、秋の星が輝き始めた。
秋になってくると空気が澄むため、美しい夕焼けが見られるようになります。そんな夕焼けのオレンジ色から藍色に変わっていく中で一番星を見つけたような、シンプルながら光景が浮かびやすい表現です。
【NO.8】阿部みどり女
『 天上の 茶会に召され 冬の星 』
季語:冬の星(冬)
意味:天上の世界のお茶会に招待されたかのような美しい冬の星空だ。
冬は一年で最も星が美しく見える季節ですが、その美しさを「天上の茶会」と例えているのが面白い表現です。銀河鉄道の夜など、星をテーマにした童話や作品が浮かんできます。
【NO.9】山口誓子
『 天狼(てんろう)の ひかりをこぼす 夜番の柝(たく) 』
季語:天狼(冬)
意味:シリウスの光をこぼすかのようにほんのりと輝く、夜回りの拍子木よ。
「柝(たく)」とは、夜回りや火の用心の時に打ち鳴らす拍子木のことです。この句では夜回りをしている最中に拍子木を鳴らしています。シリウスは全天で最も明るく輝く星で、その光を受けたように拍子木が白く浮かび上がっている様子が美しい一句です。
【NO.10】水原秋桜子
『 枯木星(かれきぼし) またたきいでし 又ひとつな 』
季語:枯木星(冬)
意味:枯れ木の間から星が出ている。瞬きをしている間にまた一つ星が顔を出した。
「枯木星(かれきぼし)」とは、枯れ木の間に見える星のことを言う季語です。冬の星は明るい市街地でもよく見えるため、街頭に照らされた枯れ木の影から一つ一つ星が登ってくる様子が目に浮かびます。
【NO.11】山口誓子
『 名ある星 春星として みなうるむ 』
季語:春星(春)
意味:名のある星も春の星としてみんなうるんで見える。
「春の星」とは鋭い輝きの冬の星に比べて、潤んだような瞬きを見せる星を表す季語です。固有名がついているような名のある星も、春になってしまえばみんな潤んだように瞬いていると詠んでいます。
【NO.12】夏目漱石
『 灯を消せば 涼しき星や 窓に入る 』
季語:涼しき星/星涼し(夏)
意味:明かりを消せば、涼し気な輝きの星が窓に入ってくるように見える。
この句を詠んだ時の作者は入院中だったと言われています。ベッドから見上げる星空を見て心を慰めていたのでしょう。
【NO.13】金子兜太
『 流れ星 蚊帳を刺すかに 流れけり 』
季語:流れ星(秋)
意味:流れ星が蚊帳を刺すかのように流れてくる。
「流れ星」と「蚊帳」の季重なりの句です。流れ星が蚊帳に向かって刺さるように流れていく様子を観察しています。
【NO.14】小林一茶
『 うつくしや 障子の穴の 天の川 』
季語:天の川(秋)
意味:美しいなぁ。障子の穴から見える天の川は。
「障子の穴」という小さな穴から見える天の川の美しさを賞賛しています。満天の星空とはまた違った作者の感性が表れている句です。
【NO.15】加藤楸邨
『 生きてあれ 冬の北斗の 柄の下に 』
季語:冬の北斗(冬)
意味:生きていてくれ。あの冬の北斗七星の柄の下で。
この句は兵役で動員された教え子たちの無事を願って詠まれた句です。冬の北斗七星は柄を下に向けるように見えるため、その下にいるだろう知己を想って詠んでいます。
中学生向け!星おすすめ俳句作品ネタ集【15選】
【NO.1】
『 春星も 産声を待つ 牛舎かな 』
季語:春星(春)
意味:うるんだように見える春の星も、牛の赤ちゃんの産声を待っているかのような牛舎であることだ。
春星を詠むことで、夜通しかけて牛の出産が行われている様子がわかります。新しい命の誕生を星が見守っているという、どこか幻想的な情景です。
【NO.2】
『 迷走し 見慣れぬ邑(むら)の 星涼し 』
季語:星涼し(夏)
意味:迷ってしまってたどり着いた見慣れない村だが、星空は涼しげな事だ。
サイクリングやドライブで迷ってしまったときの一句です。「村」ではなく「邑」と書くことで、想定外の場所にたどり着いてしまった感覚がよく表現されています。それでいて星空をながめる余裕もあるので、旅ならではのアクシデントを楽しんでいることが伺える表現です。
【NO.3】
『 天頂に 麦星仰ぎ 夏旺(さか)ん 』
季語:麦星(夏)
意味:天頂に麦星を仰ぐ時期になった。夏も真っ盛りだ。
「麦星」とは、うしかい座のアークトゥルスのことで、麦の収穫期に見られることから名付けられた季語です。見えている星の種類から夏の到来を感じ取るという、古くから詩作に見られる感覚をよく表しています。
【NO.4】
『 七夕の 願いを鳴らす 海の風 』
季語:七夕(秋)
意味:七夕の願いを託された短冊を鳴らすように吹く海の風よ。
七夕の短冊や笹は、風が吹くとさらさらと音がします。実際に音を鳴らしているだろう笹や短冊ではなく「願いを鳴らす」という表現と、海という広大な風景の組み合わせが、幻想的な雰囲気です。
【NO.5】
『 流星群 夢のかけらが 降ってくる 』
季語:流星群(秋)
意味:流星群だ。夢の欠片のような星がたくさん降ってくる。
夜空いっぱいに広がる流星を「夢のかけら」に例えています。3回願い事をすれば叶うと言われている流れ星は、夢のかけらと呼ぶに相応しい輝きでしょう。
【NO.6】
『 天の川 思いの数だけ 光る星 』
季語:天の川(秋)
意味:天の川だ。みんなの思いの数だけ星が光っているのだろう。
「夜空の星に思いを馳せる」という経験は誰しもあるものです。この時期の天の川は夏の大三角を中心とした華やかな星空のため、星の数を数える人や星座を探す人など、多くの人の思いを受け取っている星を称えています。
【NO.7】
『 星月夜 あとからあとから 名なき星 』
季語:星月夜(秋)
意味:月夜のような明るさの星空だ。後から後から名も知らぬ星が昇ってくる。
夜空に目立つ一等星の名前は知っていても、満天の星空にある全ての星の名前を言える人はまずいません。次々に星が昇ってくる圧倒的な光景を「名なき星」と詠むことで表現しています。
【NO.8】
『 凍星(いてぼし)や いづれ師恩に 応へむと 』
季語:凍星(冬)
意味:凍るような輝きの星だ。いつか先生への恩に応えようとあの星に誓う。
冬の星は鋭く輝くのが特徴です。そんな輝く星に、恩師から受けたさまざまな恩義に応えようと決意する、星のような鋭さを感じる句になっています。
【NO.9】
『 オリオンや 吹雪を透かす 三連星 』
季語:オリオン(冬)、吹雪(冬)
意味:オリオン座が見えている。吹雪の中でもあの三連星が透けて見えるようだ。
「吹雪」と「オリオン」が季重なりになっている句です。この句では吹雪の中でも輝く星が主題のため、どちらも必要な言葉になっています。オリオン座は一等星のベテルギウスとリゲルが有名ですが、探す時は中央の三連星が目安になりやすい星座です。どんなところでも見つけられるという自負が「吹雪」に込められています。
【NO.10】
『 つい触る 指の逆むけ 冬の星 』
季語:冬の星(冬)
意味:ついつい触ってしまう。乾燥して指に逆むけができる冬の星空よ。
冬は空気が乾燥しているため、逆むけができてしまいやすい季節です。夜空を見ながらつい無意識にささくれに触れて傷つけてしまうという、冬の風物詩として星と逆むけを並べているのがユーモアを感じさせます。
【NO.11】
『 花束を 渡せて嬉し 春の星 』
季語:春の星(春)
意味:お祝いに花束を渡せたのが嬉しいなぁ、春の星が見守っている。
春は卒業や、入学、就職などお祝いごとが多い季節です。緊張していたのか、花束を渡せたことに安心しながら春の星を見上げて一息ついています。
【NO.12】
『 暁の 宙に熔け入る 夏の星 』
季語:夏の星(夏)
意味:夜明け前の空に熔けていくような夏の星だ。
「熔け入る」とは金属などが高温でとけていくことを表します。この句では太陽という高温の光に星々が熔かされていくようだと詠んでいる面白い句です。
【NO.13】
『 星月夜 浜辺に寄せる 波ひとつ 』
季語:星月夜(秋)
意味:満天の星が明るい夜だ。浜辺には波が一つ寄せては返っていく。
満天の星空と浜辺の波という風景を切り取った一句です。寄せては返す波の音を聞きながら星空を見上げて何を思うのでしょうか。
【NO.14】
『 天の川見て 大の字で 眠りたし 』
季語:天の川(秋)
意味:天の川を見ながら大の字になって眠りたいなぁ。
屋外の見晴らしのいい場所で、天の川を眺めながら大の字で眠りたいという子供心があふれた一句です。当たりが開けているキャンプ場でなら実現が可能かもしれません。
【NO.15】
『 街灯に 消されて見えぬ 冬の星 』
季語:冬の星(冬)
意味:街灯の明かりに消されて見えない冬の星だ。
冬の星は空気が乾燥しているため1年の中で最も明るく輝くとも言われています。そんな星の輝きも街灯の明かりの前に消えてしまう都会の様子を詠んだ句です。
以上、中学生向け星のオススメ俳句集でした!
今回は、星に関する俳句をたくさん紹介しました。
星を表す季語は四季を通じてさまざまな種類があります。
ふと夜空を見上げたときに見えた風景にぴったりの季語を使って一句詠んでみてはいかがでしょうか?