【山を題材にした俳句 30選】春夏秋冬!!季語を含むおすすめ有名句&一般俳句を紹介

 

2016年より国民の祝日に「山の日」が加わりました。

 

山の日は「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する日」と定められています。

 

俳句では、「山」だけでは季語となりません。

 

「春の山」「夏の山」など、季節との組み合わせの表現や、「山笑う」などの山の状態を表す表現が季語となります。

 

 

今回は、そんな「山」を題材にしたおすすめ俳句を30句紹介していきます。

 

リス先生
有名俳句だけではなく、一般の方が作った作品まで紹介していくよ!ぜひ最後まで読んでね!

山を題材にした有名オススメ俳句集【15選】

 

リス先生
まずは有名俳人が詠んだ名句を季節ごとに紹介していくよ!

【NO.1】鈴木真砂女

『 山笑う 歳月人を 隔てけり 』

季語:山笑う(春)

現代語訳:春になり山の木々が伸びて色づきはじめた、歳月が経つのは早く、人を隔てるようになってしまった。

俳句仙人
「山笑う」は春の山の生き生きとして、草木が芽吹く明るい様子を擬人法で表現した季語です。時間の経過とともに、人の手の入らなくなった山の様子を表しています。

【NO.2】星野立子

『 来し道の うねうね白し 春の山 』

季語:春の山(春)

現代語訳:春の芽吹き始めた山を登っていくと、来た道がうねうねと白く見える。

俳句仙人
山を登って振り返ると、自分の歩いた道がよくわかります。春霞の山なのか、まだ白い雪が残っている山なのか、いろいろな想像ができます。

【NO.3】日野草城

『 大岩の 蔭のさむさよ 春の山 』

季語:春の山(春)

現代語訳:あたたかい春の山でも大きい岩の蔭にいると、まだ寒い。

俳句仙人
春の山でも、まだ日が当たらない岩陰では、ぶるっと身震いしてしまうほど寒い、そんな情景が浮かんできます。

【NO.4】正岡子規

『 雪残る 頂ひとつ 国境雪残る 頂ひとつ 国境 』

季語:雪残る(春)

現代語訳:春なのにまだ雪が残っている山の頂きがひとつある。あれが国の境目だ。

俳句仙人
高い山は春になっても雪が解けないことが良くあります。この句ではちょうど国の境目として設定されている山にだけ残雪があることが示されています。

【NO.5】辻桃子

『 山滴り 写真の父は 逝きしまま 』

季語:山滴り(夏)

現代語訳:亡くなった父の写真を飾っている、山は新緑で生命感が溢れている。

俳句仙人

山滴るは、山の木や葉っぱの緑がみずみずしく青々としている様子を表現します。生命感が溢れている山と、写真の中でひっそりとほほ笑む亡くなった父親との対比が切なさを感じさせます。

【NO.6】正岡子規

『 夏山の ここもかしこも 名所哉 』

季語:夏山(夏)

現代語訳:夏の山を見渡すと、あちらもこちらも有名な場所に思えることだな。

俳句仙人
夏の風景は、どこを切り取っても、まるで絵画のように有名な場所に思えてきます。

【NO.7】田中冬二

『 夏山の かぶさつてゐる 小駅かな 』

季語:夏山(夏)

現代語訳:夏のうっそうとした山の緑が、ふもとの小さな駅を飲み込まんとするばかりにかぶさっている。

俳句仙人
夏の山の緑が、まるで生きているかのように感じられます。生命感の溢れる山のダイナミックさとぽつんと立っている駅の対比が見事です。

【NO.8】河合曽良

『 湯殿山 銭ふむ道の 泪かな 』

季語:湯殿山/湯殿詣で(夏)

現代語訳:湯殿山に詣でていると、参道に落ちているお賽銭を踏む道でも涙が出ることだ。

俳句仙人
「湯殿詣で」は夏に行われる修行のひとつで、現在でも内容を公言してはいけないものです。そのため、湯殿山そのものではなく山に登るための参道の様子を詠んでいます。

【NO.9】長谷川かな女

『 秋の山 暮るゝに近く 晴るゝなり 』

季語:秋の山(秋)

現代語訳:秋の山は、暮れそうになる頃にようやく晴れているように見える。

俳句仙人
秋の山に夕日が当たっているのでしょうか。繰り返しの言葉のリズムも面白いです。

【NO.10】飯田蛇笏

『 冷えびえと 袖に入る日や 秋の山 』

季語:秋の山(秋)

現代語訳:秋の山を歩いていると、夕日とともに冷えた空気が袖の中へ入ってきた。

俳句仙人
秋の夕暮れは早く、気温も下がってきます。季節の移り変わりを感じます。

【NO.11】正岡子規

『 赤蜻蛉 筑波に雲も なかりけり 』

季語:赤蜻蛉(秋)

現代語訳:赤とんぼが飛んでいる。遠くに見える筑波山には雲もないようでよく見えることだ。

俳句仙人
赤とんぼという近景から、遠くに見える筑波山へと視線を誘導している見事な一句です。雲ひとつない筑波山の勇姿が見えるようです。

【NO.12】日原正彦

『 縁側に おはじき一つ 山眠る 』

季語:山眠る(冬)

現代語訳:山はしんと静まり返っている、おはじきがひとつ縁側に落ちている。

俳句仙人
冬の静まり返った山を擬人法で「山眠る」と表現します。あたたかい日の当たる縁側に、誰かが遊んでいたおはじきと、しんと静まる山の対比が美しい句です。

【NO.13】飯田蛇笏

『 冬山に 枯木を折りて 音を聞く 』

季語:冬山(冬)

現代語訳:冬の山で枯れた木を折ると、その音がしんとした山の中に響いていく。

俳句仙人

静かな冬の山で、枯れ木のぱきっという音や匂いが山に響きます。

冬山の静けさが強調されています。

【NO.14】種田山頭火

『 分け入っても 分け入っても 青い山 』

季語:無季

現代語訳:分け入っても分け入ってもどこまでも青い山だ。

俳句仙人

「青い山」という表現から初夏を連想させますが、季語がないため無季の俳句となります。実際に山をかき分けて登っている様子とも、どこまでいっても同じ風景であるという心象風景を詠んでいるとも言われています。

【NO.15】種田山頭火

『 また見ることもない 山が遠ざかる 』

季語:無季

現代語訳:また見ることもないだろう山が遠ざかっていく。

俳句仙人

作者の旅は放浪と呼ぶのに相応しいもので、同じ場所にもう一度赴くことがほとんどありませんでした。そのため、「また見ることもない」という表現に繋がっています。

山を題材にした一般オススメ俳句作品集【15選】

 

リス先生
ここからは一般の方が詠んだ俳句作品を紹介していくよ!

【NO.1】

『 山笑ふ ノート丸めし 筒の中 』

季語:山笑う(春)

意味:ノートを丸めて筒の形にしてみる、のぞいてみると春の山が見える。

俳句仙人
新学期に、新しい教室ではしゃいでノートを望遠鏡のようにしている子供の姿が目に浮かびます。とてもほっこりする句です。

【NO.2】

『 山見ると 草木が芽生え 山笑う 』

季語:山笑う(春)

意味:草木が芽生えて山が笑っているような春の山が見える。

俳句仙人
小学生の詠んだ句です。「山笑う」の情景を表現しています。

【NO.3】

『 たたされて まどから見えた 春の山 』

季語:春の山(春)

意味:先生に注意されてたたされている、教室の窓からは春の山が見える。

俳句仙人

新しいクラスになって、はしゃいでしまったのでしょうか。立たされている子供の目は、先生や黒板ではなく春の山を見ています。くすっと笑ってしまう句です

【NO.4】

『 山笑う 野の花笑う 木々笑う 』

季語:山笑う(春)

意味:山が笑っている。野の花も笑い、木々も笑っている。

俳句仙人

「山笑う」とは春の山の生き生きとした様子を表す季語ですが、まさに生き生きとした野の花や木々も笑うように生き生きとしているという一句です。

【NO.5】

『 春の山 水車カタコト 回る里 』

季語:春の山(春)

意味:春の山だ。水車がカタコトと回る里にいる。

俳句仙人

今では水車を実際に使う場所は激減しましたが、雪解け水を使って水車を回しているのでしょう。観光用の水車なのか、実際に使っている水車なのかで作者が見ている風景が変わるため、解釈も変わってきます。

【NO.6】

『 膝に地を 湿らせて撮る 夏の山 』

季語:夏の山(夏)

意味:夏の山で一生懸命に写真を撮っている、その膝は地面について湿っている。

俳句仙人
汗なのか、地面の湿気なのか膝をついて一心不乱にシャッターを押す姿が想像できます。

【NO.7】

『 夏の山 昔を生きた 祖父のよう 』

季語:夏の山(夏)

意味:夏の山が青々と茂っている、まるで昔生きていた祖父のように。

俳句仙人
夏の山を見ると、祖父の様子が浮かんできます。雄大な生命感あふれる山に、祖父の姿を重ねている孫のあたたかい気持ちが感じられます。

【NO.8】

『 夏の山 ギラギラ緑の 鬼がいる 』

季語:夏の山(夏)

意味:夏の山が太陽でぎらぎらとしている、緑にあふれていてまるで緑の鬼がいるようだ。

俳句仙人
夏の山のダイナミックさを鬼に例えて表現したユーモアあふれる句です。

【NO.9】

『 あの山へ いくつもの夢 晴風と 』

季語:晴風(夏)

意味:あの山へ行こうといういくつもの夢を夏の強風に乗せている。

俳句仙人
「晴嵐」とは夏に吹く爽やかな強い風のことです。あの山へ登りたいという多くの人の夢を乗せて風は山の方へと吹いていきます。

【NO.10】

『 秋の山 夕日の絵の具で そまってる 』

季語:秋の山(秋)

意味:秋の山が、夕日の絵の具で染めたかのように赤やオレンジに染まっているよ。

俳句仙人
紅葉している山に、夕日が当たって、より鮮やかさを増しています。「夕日の絵の具」と表現したところが、素晴らしいです。

【NO.11】

『 ふわふわと 優しダンスの 秋の山 』

季語:秋の山(秋)

意味:ふわふわと優しくダンスを踊るように葉っぱが降り積もっていく秋の山よ。

俳句仙人
紅葉し散っていく葉っぱを「ふわふわと優しいダンス」と表現したところに、とても温かみを感じます。

【NO.12】

『 あの山を つたうなみだか 秋の夕 』

季語:秋の夕(秋)

意味:あの山をつたう涙のように見える秋の夕焼けだ。

俳句仙人
夕焼けの光が山の縁を輝かせて、涙のように見えたのでしょうか。太陽は季節によって沈む場所が変わるため、秋にしか見えない風景だったのかもしれません。

【NO.13】

『 冬の山 ため息をつく 夕暮れて 』

季語:冬の山(冬)

意味:冬の山が夕暮れに近づいてきた、山がため息をついているようだ。

俳句仙人
山から立ち上る白い蒸気をため息と捉えています。しんと静まり返った冬の山がこっそり息を吐いているようです。

【NO.14】

『 重なりて 静かに眠る 冬の山 』

季語:冬の山(冬)

意味:冬の山がまるで静かに重なり合って眠っているようだ。

俳句仙人
幾重にも重なる山の稜線と、しんと静まり返っている冬の山を表現しています。冬のきりっと冷えた空気も感じられます。

【NO.15】

『 雪山の 家の灯りの たのもしさ 』

季語:雪山(冬)

意味:雪山の中で見えた家の灯りの頼もしさよ。

俳句仙人
ここで詠まれている「家」とは山小屋などのことでしょう。道に迷う可能性もある雪山で安全圏に到達した安心感に溢れている一句です。

 

以上、「山」を題材にしたおすすめ俳句集でした!

 

 

俳句仙人
今回は、「山」にまつわる俳句をたくさん紹介してきました。
「山」にも季節によって、たくさんの呼び方があります。
ぜひ「山」を感じて俳句を詠んでみてはいかがでしょうか?

こちらの記事もおすすめ!