
富士山は日本の最高峰として、四季を通じて俳句や和歌に古くから詠まれてきた題材です。
現在でも富士登山の記念やその存在感から多くの俳句が詠まれています。
寒けれど富士見る旅は羨まし(正岡子規) #俳句 #冬 pic.twitter.com/lU2lcMcAYq
— iTo (@itoudoor) December 24, 2016
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雨上がり富士の高嶺に雪化粧#俳句 #jhaiku— 日根 暮太 (@hinekureta01) October 16, 2014
今回は、小学生や中学生向けの富士山をテーマにした俳句ネタをご紹介します。
富士山は季語になる?簡単にわかりやすく解説!
富士山は単語だけでは季語になりませんが、季節の富士山を表す季語はいくつかあります。
例えば、夏の「赤富士」「五月富士」、新年の「初富士」など…。
「雪解け」は春半ばの季語ですが、「富士の雪解け」となると夏の季語になります。同じように、「初雪」は冬の初めの季語ですが、「富士の初雪」は秋の季語です。
小学生向け!富士山のオススメ俳句ネタ集【10選】
【NO.1】
『 富士山の ふもとにちょんと つくしんぼ 』
季語:つくしんぼ/土筆(春)
意味:富士山の麓にちょんと生えている土筆(つくし)である。
背景にある雄大な富士山と、土から顔を出している土筆の対比が面白い句です。「ちょんと」という表現が大小をよく表しています。
【NO.2】
『 入学式 写真のバックは 富士山だ 』
季語:入学式(春)
意味:入学式の写真の背景は富士山を写そう。
富士山が近い学校の入学式でしょうか。入学式というおめでたいイベントにぴったりな背景の記念写真を詠んだ句です。
【NO.3】
『 ぼくの球 夏富士めがけ 一直線 』
季語:夏富士(夏)
意味:ぼくの投げた球は、夏の富士山をめがけて一直線に飛んでいく。
野球のクラブ活動か体育の授業の風景を詠んだ句です。ボールが一直線に富士山に向かって飛んでいくくらい眺めのよい場所が浮かんできます。
【NO.4】
『 雪解けて 富士山髪型 チェンジする 』
季語:富士の雪解(夏)
意味:雪が解けて、真っ白だった富士山の山肌が髪型をチェンジするように変わっていく。
富士山の雪解けは夏の季語になります。白い雪の間から黒い山肌が見え、まるで髪型を変えたようと表現する感性が面白い句です。
【NO.5】
『 赤富士は 燃えてるように 見えるんだ 』
季語:赤富士(夏)
意味:朝方に真っ赤に染まる赤富士は、まるで燃えているように見えるのだ。
「赤富士」とは、晩夏から初秋にかけて朝方の富士山が真っ赤に見える現象です。普段は青く見えることの多い富士山を、燃えていると評するのもうなずけます。
【NO.6】
『 いわし雲 間にのぞく 富士の山 』
季語:いわし雲(秋)
意味:いわし雲の間にちらりと富士山がのぞいている。
秋の象徴であるいわし雲が富士山を隠してしまっている様子が浮かぶ一句です。まだらになっている雲の合間からちらりとのぞく富士山の山頂をよくとらえています。
【NO.7】
『 秋の富士 黄色いバトン つなぎあう 』
季語:秋(秋)
意味:秋の富士山だ。裾野の森では紅葉が黄色いバトンをつなぎあっているように見える。
富士山は五合目が木が生えている森林限界になっています。そのため、黄色く紅葉して見えるのは五合目から下と裾野に広がる森林地帯です。まるでリレーをするように次々と紅葉していく風景を詠んでいます。
【NO.8】
『 冬の富士 うさぎとおなじ 色をして 』
季語:冬(冬)
意味:冬の富士山だ。真っ白なうさぎと同じ色をしている。
うさぎには様々な毛色のうさぎがいますが、冬の富士と指定されていることで真っ白なうさぎです。学校で白い富士山にまぎれてしまうような毛色のうさぎの世話をしているのでしょうか。
【NO.9】
『 除夜の寺 行く道のりに 富士の影 』
季語:除夜(冬)
意味:除夜の鐘をつきにお寺に行く、その道のりに雪明かりに浮かぶ富士山の影が見える。
除夜は暮れの季語でもあります。除夜の鐘をつきにいく道中で、ほんのり明るい雪明りに富士山の影が浮かぶ、幻想的な句です。
【NO.10】
『 富士山を 背中にしょって スキーした 』
季語:スキー(冬)
意味:富士山を背中にせおってスキーをした。
とてもシンプルながら、冬の醍醐味を詰め込んでいる句です。富士山をバックにまるで背負っているかのようなアングルでスキーをする子供が目に浮かんできます。
中学生向け!富士山のオススメ俳句ネタ集【10選】
【NO.1】
『 風光り 富士山乗せる 新幹線 』
季語:風光る(春)
意味:風が光る春になった。新幹線はまるで上に富士山を乗せているように走り去っていく。
富士山の前を横切る東海道新幹線の句です。まるで上に富士山が乗っているかのように、新幹線の車体で見事に分断されて見えることからきています。
【NO.2】
『 湯上りの ごとき富士なり 春の夕焼 』
季語:春の夕焼(春)
意味:湯上りのほんのりと赤く色付いた富士山のようである。この春の夕焼けは。
夕焼けは夏の季語なので、ほかの季節の夕焼けを表現したい場合は「春の」など季節を表す言葉を付け足します。赤富士のような鮮烈な赤ではなく、ほんのりとピンク色に色付いた富士山を詠んだ句です。
【NO.3】
『 富士の山 雷雨に追われ 八合目 』
季語:雷雨(夏)
意味:富士山に登っている。雷雨に追われるように八合目に到着した。
夏の富士山といえば登山ですが、夏の山の天気は急変しやすいことで有名です。この句でも急な雷雨に襲われ、追われるように八合目の山小屋に飛び込もうとしている様子が詠まれています。
【NO.4】
『 鈍行の 車窓を満たす 五月富士 』
季語:五月富士(夏)
意味:鈍行列車の車窓を満たすようにずっと見えている。五月の爽やかな陽気の富士山だ。
旧暦で5月、現在の6月頃の富士山は雪解けが始まり、山肌と白い残雪のコントラストが見事なため季語になっています。鈍行列車でゆっくりと走っているため、窓いっぱいの富士山がずっと見えている、のどかな風景です。
【NO.5】
『 赤富士の 大きなぬくもり 祖母に似る 』
季語:赤富士(夏)
意味:赤く染まった雄大な富士山から感じる、大きなぬくもりは祖母に似ている。
赤富士といえば鮮やかな赤が印象的ですが、暖かな印象の赤色に大きくゆったりとした山の形から祖母のぬくもりを連想する面白い句です。小さい頃に感じた祖母の印象を詠んでいるのでしょうか。
【NO.6】
『 稲光 姿一瞬 夜の富士 』
季語:稲光(秋)
意味:稲光がする。姿が一瞬だけはっきりと浮かび上がった夜の富士山であることよ。
上句、中句と漢字が続き、「夜の富士」が雷に照らされた富士山のようにくっきりと浮かび上がって見える、技巧をこらした句です。嵐の中で一瞬浮かぶ富士山の影をよくとらえ、字でも表現しています。
【NO.7】
『 星月夜 星のシャワーを あびる富士 』
季語:星月夜(秋)
意味:星月夜だ。満天の星空のシャワーを浴びるように富士山がそびえている。
星月夜とは月のない晩でも満天の星で空が明るい様子を表します。富士山ほど標高が高く空気が澄んでいると、見える星の数は地上とは段違いです。シャワーと表現するほどの星空が目に浮かんできます。
【NO.8】
『 初雪の 富士山だよと 母の声 』
季語:富士の初雪(秋)
意味:初雪の富士山だよと知らせる母の声が聞こえる。
初雪は冬の季語ですが、富士山の初雪は9月と早く、秋の季語になります。実際に窓から富士山を見ての知らせか、季節を告げるニュースを見ての知らせか、家庭での一幕を感じさせる句です。
【NO.9】
『 初富士や 空に貼りつく ヘリコプター 』
季語:初富士(新年)
意味:新年の富士山だ。報道しようと空に貼りつくようにヘリコプターが飛んでいる。
新年には初日の出と並んで富士山が欠かせません。ニュースなどで富士山の初日の出を見たことがある人は多いでしょう。そんな、新年早々にヘリコプターが空に浮かぶ様子を地上から見た一句です。
【NO.10】
『 書き初めに 富士山と書き 仰ぎ見る 』
季語:書き初め(新年)
意味:書き初めに富士山と書いて、実際の富士山を仰ぎ見る。
まるで富士山に挑むような気迫を感じる句です。書き初めという新年の始まりと、
仰ぎ見る富士山に何を思ったのか、いろいろな想像がふくらみます。
以上、富士山を題材にして詠んだオススメ俳句でした!
今回は、富士山を題材にした有名な俳句10選、オリジナル俳句10選ご紹介しました。
富士山は季節の題材としても、イベントの題材としてもよく使われるテーマです。
ぜひ雄大な富士山を見上げて一句詠んでみてください。