みなさん突然ですが、夏という季節の中にもいくつかの分類があることをご存知でしょうか?
じつは二十四節気という分類では、一口に夏と言っても「立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑」に分かれているのです。
二十四の美しい季節を持つ日本
立春、雨水、啓蟄、春分、清明
穀雨、立夏、小満、芒種、夏至
小暑、大暑、立秋、処暑、白露
秋分、寒露、霜降、立冬、小雪
大雪、冬至、小寒、大寒、、 #日本語を愛したくなるコピー pic.twitter.com/neItkdamId— 夢和 ○ 2笑ふ 春の章 (@uwa_bot) September 28, 2013
学校でこれらの言葉を使って俳句を詠んだり手紙を書いたりする宿題が出て、苦労された方も多いのではないでしょうか?
今回はそんな悩みの参考になるように、立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑を使った俳句作品集を紹介していきます。
目次
立夏を使った俳句作品集【8選】
【NO.1】
『 しまうまが シャツ着て跳ねて 夏来る 』
意味:しまうまがまるで白黒のシャツを着て跳ねているように見えました。まさに今夏が来たのだという感覚を覚えました。
【NO.2】
『 おそるべき 君等の乳房 夏来る 』
意味:皆薄着になるこの季節。女性達の乳房が透けて見え、恐ろしさを覚えました。
【NO.3】
『 毒消し飲むや わが詩多産の 夏来る 』
意味:体調が悪くて毒消しを飲んでいる今日。しかし詩をたくさん書ける夏が来た、という喜びも感じています。
【NO.4】
『 叡王の 桂馬の跳ねる 立夏かな 』
意味:叡王という将棋の対戦で、桂馬をさしている場面です。勢いのある一手に、立夏の熱を感じました。
【NO.5】
『 風はらむ 応援団旗 夏来る 』
意味:応援団の旗が風を受けて大きくなびいています。まさしく夏が来たのだ、という感慨がありました。
【NO.6】
『 夏立ちし 瓶につつじの 花古き 』
意味:立夏が来たなぁ。瓶にツツジの花が生けてあるが、もう季節外れだ。
【NO.7】
『 原色に だんだん近く 夏に入る 』
意味:原色にだんだんと近くなっていく立夏であることだ。
【NO.8】
『 プラタナス 夜もみどりなる 夏は来ぬ 』
意味:プラタナスの緑色の葉が夜になると一層濃く見える立夏の日だ。
小満を使った俳句作品集【8選】
【NO.1】
『 小満や 一升瓶に 赤まむし 』
意味:焼酎漬けになった蝮を見て、これから満ちていく季節、強さを感じました。
【NO.2】
『 小満や どの田も水を 湛へをり 』
意味:一面の田んぼに水が張ってある、日本の原始風景に小満の頃の光を感じました。
【NO.3】
『 小満の みるみる涙 湧く子かな 』
意味:子供の目から涙が絶えず溢れています。作物が育つのと、どこか通ずるものを感じました。
【NO.4】
『 小満の 風を青しと 遊びけり 』
意味:小満の頃の風のなかを歩いていると、まさに青いという感覚になりました。
【NO.5】
『 足早に 小満の風 頬撫でる 』
意味:小満のこの季節、気持ちの良い風がさっと頬の横を通っていきました。
【NO.6】
『 山葵田の 小満の水 余りけり 』
意味:ワサビ田の水が余っているように感じる小満の日だ。
【NO.7】
『 小満や 旅で借りたる 自転車に 』
意味:小満の日だなぁ。旅で借りた自転車に乗っていると季節が変わったと実感する。
【NO.8】
『 小満や みどりさしたる 寺の屋根 』
意味:小満の日だ。寺の屋根には緑色がさしこんでいる。
芒種を使った俳句作品集【8選】
【NO.1】
『 ささやくは 芒種の庭の 番鳩 』
意味:庭に来ている番の鳩の鳴き声が、まるで何かをささやいているように聞こえました。
【NO.2】
『 芒種なり 水盤に粟 蒔くとせむ 』
意味:いよいよこの季節になったので種を蒔くぞ、取り掛かるぞという決心を詠んでいます。
【NO.3】
『 朝粥や 芒種の雨が みづうみに 』
意味:作者が朝粥を食べている間のこと。雨は湖に降り注いで湖の一部となっている、という感覚を覚えました。
【NO.4】
『 島言葉 絶えて久しき 芒種なり 』
意味:島の昔の言葉はもう使う人もいなくなってしまいました。しかし穀物は今年も育ち、豊かな大地を育んでいます。
【NO.5】
『 打集ひ 何を芒種の 鍛錬会 』
意味:芒種に集まって何の鍛錬会をしているのだろうか。
【NO.6】
『 芒種はや 人の肌さす 山の草 』
意味:芒種が早くもやってきた。人の肌を刺すほど山の草が成長している。
【NO.7】
『 騙されて 芒種に傘を 持ち歩く 』
意味:今日は雨が降るよと騙されて、まだ芒種のころなのに傘を持ち歩いていた。
【NO.8】
『 芒種とふ こころに播かん 種子もがな 』
意味:芒種という名のとおり、心に種をまく日にふさわしい日であってほしい。
夏至を使った俳句作品集【8選】
【NO.1】
『 夏至ゆうべ 地軸の軋む 音少し 』
意味:今日は夏至。地球の地軸がわずかに動き、軋んでいるのではないか、というように想像しました。
【NO.2】
『 夏至の夜の 港に 白き船数ふ 』
意味:夏至の夜に港の船が白んで見え、一つ一つ数えている自分。美しい景色だと感じました。
【NO.3】
『 地下鉄に かすかな峠 ありて夏至 』
意味:昼の長さが少しずつ峠を登るように、地下鉄にも緩やかな傾斜があることに気づき、面白く思いました。
【NO.4】
『 夏至らしき 風情捜しの 畑かな 』
意味:夏至の畑には花や葉など、生命感を感じさせるいろいろなものがあります。それらを探しにいくだけでも楽しいのです。
【NO.5】
『 染まる空 夕餉の支度 夏至の月 』
意味:空が夕焼けに染まっていき、自分はいつもの夕食の準備。夏至の月が日常を照らしてくれました。
【NO.6】
『 夏至今日と 思ひつつ書を 閉ぢにけり 』
意味:そういえば今日は夏至だったなと思いながら本を閉じた。
【NO.7】
『 白衣着て 禰宜(ねぎ)にもなるや 夏至の杣(そま) 』
意味:白い着物を着ると、神官にもなる夏至の日の木こりだ。
【NO.8】
『 飯食ひに 出て肩濡るる 夏至の雨 』
意味:食事を食べに外に出たら夏至の雨に降られて肩が濡れてしまった。
小暑を使った俳句作品集【8選】
【NO.1】
『 塩壺の 白きを磨く 小暑かな 』
意味:塩壺の内部を一生懸命に磨いています。外は小暑の季節、強い日差しを感じます。
【NO.2】
『 部屋ぬちへ 小暑の風の 蝶ふたたび 』
意味:部屋の中へまた蝶が揺られて入ってきました。小暑の風を伴いながら、しっかりと生きている様子に感動しました。
【NO.3】
『 一本の 細書キを購ふ 小暑かな 』
意味:細筆を一本買いました。暑さに負けず、これから机に向かいます。
【NO.4】
『 小暑を 経大暑を経たる 老二人 』
意味:老人二人にはきつい暑さですが、小暑も大暑もなんとかしのぐことができました。
【NO.5】
『 漢方を 煎じて越える 小暑かな 』
意味:うだるような今年の暑さ。漢方を飲んでこの暑さを耐えしのごうとしています。
【NO.6】
『 序破急に 小暑の 不快指数かな 』
意味:序破急のように小暑の不快指数が上がっていくことだなぁ。
【NO.7】
『 僕たちに ケチな小暑が やつてくる 』
意味:僕たちにとってはケチな小暑がやってくる。
【NO.8】
『 あぎともて 病後もの食ふ 小暑かな 』
意味:顎を動かして病後の食事を食べる小暑であるなぁ。
大暑を使った俳句作品集【8選】
【NO.1】
『 念力のゆるめば死ぬる 大暑かな 』
意味:今年の暑さも耐え難いもので、念力が少しでも緩んでしまえば死んでしまいそうな暑さです。
【NO.2】
『 兎も 片耳垂るる 大暑かな 』
意味:兎も片耳を垂れてしまうような、うだるような暑さです。
【NO.3】
『 まのあたり 牛の貌ある 大暑かな 』
意味:ふっと顔を上げた時に牛の顔が目の前にありました。その勢いから暑さを感じました。
【NO.4】
『 胎の子が 逆さにねむり 大暑なる 』
意味:外は大暑、しかしお腹の中にいる赤ちゃんはそうとは知らず静かに眠っています。
【NO.5】
『 大暑来る キャスターの声 熱気帯び 』
意味:いよいよ大暑の季節になりました。心なしか、キャスターの声も熱を帯びているように思います。
【NO.6】
『 足袋(たび)白く 埃(ほこり)をさけつ 大暑かな 』
意味:白い足袋に誇りをつけないように避けながら過ごす大暑であることだ。
【NO.7】
『 間違うて よい風の来る 大暑哉 』
意味:季節を間違えたように心地よい風が吹いている大暑だなぁ。
【NO.8】
『 水晶の 念珠つめたき 大暑かな 』
意味:水晶でできた数珠がひんやりと冷たい大暑の日であることだ。
以上、立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑を使った俳句作品集でした!