暑い季節に限らず、緊張した時、運動した時などに汗をかくのは自然なことです。
普段はあまり意識しませんが、汗をかくことは健康を維持するのに大事な身体の働きです。
また、俳句の世界において「汗」は【夏の季語】に分類されます。
今回は、「汗」に関するおすすめ俳句を40句紹介していきます。
今日の季語【汗】
玉の汗泥にしたたるボランティア#haiku #kigo *写真が適切かどうか・・すみません pic.twitter.com/tmCCIMJ1mG
— とんぼ (@tonbo_yu_yu) July 19, 2018
「汗」に関する有名俳句集【10選】
ここでは、季語「汗」を使った俳句を俳人ごとに紹介していきます。
【NO.1】石田波郷
『 汗のハンケチ 友等貧しさ 相似たり 』
季語:汗(夏)
意味:汗を拭こうとハンカチをとり出したら、友達も同じようにハンカチを出していた。どれも使い古した質素なハンカチで、みな同じくらいの貧しさなのだなと思った。
【NO.2】水原秋桜子
『 汗ぬぐふ 捕手のマスクの 汗見ずや 』
季語:汗(夏)
意味:試合中、捕手がマスクをとって汗をぬぐったけど、マスクについた汗はみることもなかった。
【NO.3】高尾年尾
『 羅に 汗さへ見せぬ 女かな 』
季語:羅(うすもの:夏用のひとえで上質な着物)/ 汗(夏)
意味:夏の暑さの中、薄物を着た女性が汗ひとつかかずたたずんでいる。品のあるたたずまいだ。
【NO.4】鷹羽狩行
『 ひとすぢの 流るる汗も 言葉なり 』
季語:汗(夏)
意味:顔や身体に流れるひとすじの汗。その人がたとえ何も語らなくも、その汗が何かを物語ります。
【NO.5】橋本多佳子
『 スケートの 汗ばみし顔 なお周る 』
季語:スケート(冬)
意味:スケートの練習をしている。氷上とはいえ顔が汗ばんできましたが、まだコースを周っています。
【NO.6】加藤秋邨
『 わが声を 出すラジオ堤げ 汗しをり 』
季語:汗(夏)
意味:自分の声が流れてくるラジオを手に提げて、汗をかいているところです。
【NO.7】星野立子
『 二時頃は 山も汗する 蝉ぢぢと 』
季語:汗 / 蝉(夏)
意味:夏も午後二時ごろになると、蝉もぢぢと鳴いて、山も汗をかいていそうです。
【NO.8】上村占魚
『 人まかせ 出来ぬ性にて 汗かきで 』
季語:汗(夏)
意味:ひとまかせに出来ない性格なので、なにかと忙しくて汗かきです。
【NO.9】鈴木真砂女
『 今年竹 皮剥ぐころの 汗少し 』
季語:竹皮剥ぐ(夏)
意味:今年の竹が皮を脱ぐ頃の竹林。もう夏ですこし汗ばみました。
【NO.10】山口誓子
『 子の顔の 叱られて汗 滂沱(ぼうだ)たり 』
季語:汗(夏)
意味:叱られて泣いている子どもの顔は、汗も涙も一緒になってとめどなく流れています。
「汗」に関する一般俳句作品集【30選】
ここからは、一般の方が詠んだオリジナルの俳句作品集を紹介していきます。
【No.1】
『 汗かいて 上ル下ルの 京の街 』
季語:汗(夏)
意味:汗をかきながら、上ル、下ルと京都の町を歩いています。
【No.2】
『 気がつけば また汗光る 夏に入る 』
季語:汗(夏)
意味:気がつくと、会う人、会う人、また汗が額に光っている。夏に入ったのだなあ。
【No.3】
『 ひた走る ウールの小紋 冬の汗 』
季語:冬の汗(冬)
意味:ウールの小紋を着た女性が休むことなく駆けていった。あんなに走ったら冬でも汗をかいてしまいそうです。
【No.4】
『 手脱ぎ捨てて 抜け殻のごと 汗の服 』
季語:汗(夏)
意味:汗をかいて重くなった服を脱ぎすててみたら、抜け殻みたいにみえました。
【No.5】
『 大汗を かいて終わりぬ 落語会 』
季語:無季
意味:落語会に出演し、大汗をかきながらも、無事に終えることが出来ました。
【No.6】
『 大汗も また健康と 思いけり 』
季語:汗(夏)
意味:大汗をかいたとき、健康なのだとあらためて思います。
【No.7】
『 緊張の 解けたる刹那 汗噴きぬ 』
季語:無季
意味:緊張が解けたその瞬間に汗が噴きだしました。
【No.8】
『 診察の 待つ間の長し 手に汗を 』
季語:無季
意味:診察日、待ち時間が長くて、手に汗をかいてしまいました。
【No.9】
『 ためらひつつ 汗の手を出す 握手かな 』
季語:汗(夏)
意味:手の汗が気になり、ためらいつつも握手をしました。
【No.10】
『 汗の手を 服でぬぐいつ 子の握手 』
季語:汗(夏)
意味:手の汗を洋服でぬぐってから、子どもが握手をしていました。
【No.11】
『 出迎えて 思わず汗の 手を握り 』
季語:汗(夏)
意味:出迎えて、手を握ったらその手が汗ばんでいました。
【No.12】
『 原紙切る ガリ版の 小手滲む汗 』
季語:汗(夏)
意味:製版作業。鉄筆でガリ版をしていると、腕の辺りに汗がにじみます。
【No.13】
『 応援席 球児と共に 玉の汗 』
季語:汗(夏)
意味:野球試合の応援席で、選手らと同じように玉の汗をかいています。
【No.14】
『 玉の汗 歯のクリニック 出しより 』
季語:無季
意味:歯の治療が苦痛だけど我慢して頑張った。歯医者の外に出たらホッとして玉の汗がでていたのに気づいた。
【No.15】
『 古代ロマン 流るる汗を 忘れさせ 』
季語:汗(夏)
意味:古代のロマンを求めて旅にいきました。暑い日でしたが汗が流れるのも忘れていました。
【No.16】
『 汗ぬぐい 涙ぬぐひつ 子の喧嘩 』
季語:汗(夏)
意味:汗と涙をぬぐいながら、子どもが喧嘩しています。
【No.17】
『 誇らかに 登頂の汗 拭いけり 』
季語:汗(夏)
意味:誇らしい思いで、登頂の汗をぬぐいました。
【No.18】
『 汗しとど 最終章の タクト振る 』
季語:無季
意味:汗びっしょりになりながら指揮者が最終章のタクトを振っています。
【No.19】
『 一心に 太鼓打つ子の 光る汗 』
季語:汗(夏)
意味:一心に太鼓を打っている子どもの汗が光っています。
【No.20】
『 工作に 励む汗の子 風を呼ぶ 』
季語:汗(夏)
意味:工作を一生懸命やっている子どもの汗を冷やそうとするように、窓から心地良い風がはいってきました。
【No.21】
『 玉の汗 泥にしたたる ボランティア 』
季語:汗(夏)
意味:玉のような汗が泥の上に滴り落ちているボランティアたちだ。
【No.22】
『 浜風の ホームで汗を 拭いてをり 』
季語:汗(夏)
意味:浜風が吹くホームで汗を拭いている。
【No.23】
『 剪定枝 どっさり十束 春の汗 』
季語:春(春)
意味:剪定された枝がどっさり10束も出た。春なのに汗をかいている。
【No.24】
『 秋暑し 歩む畑道 汗しきり 』
季語:秋暑し(秋)
意味:秋なのに暑いなぁ。畑道を歩いているけれど汗がしきりに出てくる。
【No.25】
『 熊よけの 鐘に汗引く 遊歩道 』
季語:汗(夏)
意味:熊よけと鐘に汗がさっと引いていく遊歩道だ。
【No.26】
『 汗拭う ミットを睨む 振りかぶる 』
季語:汗(夏)
意味:汗を拭う。キャッチャーのミットを睨んで大きく振りかぶる。
【No.27】
『 クロネコも 飛脚も春の 汗滲み 』
季語:春(春)
意味:クロネコの配達業者も、飛脚の配達業者も春でも汗が滲んでいるようだ。
【No.28】
『 山歩き 一筋の汗 処暑なりぬ 』
季語:処暑(秋)
意味:山歩きをしていると一筋の汗が滴り落ちる。季節は処暑だ。
【No.29】
『 汗拭う 汗から汗が 湧いて汗 』
季語:汗(夏)
意味:汗を拭う。その汗から汗が湧いてまた汗が出る。
【No.30】
『 雪掻きの 汗滲みける 日和かな 』
季語:雪掻き(冬)
意味:雪掻きをしていると、汗が滲んでくる晴天の日だ。
以上、季語「汗」を使ったおすすめ俳句集でした!