皆さんはどのような「食べ物」が好きでしょうか?
日本には、四季折々さまざまな食べ物があります。
今回は、そんな「食べ物」を題材にしたオススメ俳句を30句紹介していきます。
秋の昼 茶団子ひとつ 嬉しけり #俳句 pic.twitter.com/xr9lt7w990
— KA-KO (@suzuranpan1288) October 28, 2013
食べ物を題材にしたオススメ俳句ネタ集【前編10句】
【NO.1】
『 てのひらに ほわと草餅 あたたかく 』
季語:草餅(春)
あたたかい「草餅」。出来立ての草餅なのでしょう。「ほわと」という言葉から草餅の温かさや柔らかさを感じます。出来立ての草餅はより一層美味しいでしょうね。
【NO.2】
『 父のため 砂糖控えめ 桜餅 』
季語:桜餅(春)
作者はお父様のために桜餅をつくってあげているのでしょう。「砂糖控えめ」の桜餅。大切なお父様の健康を考えている作者の優しい心と深い愛情を感じます。
【NO.3】
『 蕗のとう 家族の数だけ しか採らず 』
季語:蕗のとう(春)
たくさんある蕗のとう。ついついたくさん摘んでしまいたくなりそうですが、「家族の数だけ」という作者の優しい心遣いが素敵です。少し苦みのある春の味。家族皆でじっくりと味わったことでしょう。
【NO.4】
『 病妻に 初めてつくる 蜆汁 』
季語:蜆(春)
作者はあまり料理をしない方なのかもしれませんね。でも病気の奥様のために、キッチンで試行錯誤しながらも一生懸命、蜆汁を作る作者の姿が想像できます。優しさがあふれ、心がほっこりする一句です。
【NO.5】
『 縁側に 茶を持ち出して 桜餅 』
季語:桜餅(春)
あたたかな春の日差しが差し込む縁側。桜餅とお茶を並べて、のんびりゆっくり味わう作者の姿が想像できます。思わず笑みがこぼれるような穏やかな時間を感じます。
【NO.6】
『 伸ばしても 届かぬおてて さくらんぼ 』
季語:さくらんぼ(夏)
小さな子どもがさくらんぼを取ろうとして、一生懸命背伸びして手を伸ばしている姿が目に浮かびます。届きそうで届かない、微笑ましく可愛らしい姿ですね。さて、さくらんぼを食べることはできたのでしょうか。
【NO.7】
『 部活後の 麦茶いっぱい すき通る 』
季語:麦茶(夏)
厳しい暑さの夏。部活でたくさん体を動かして、汗をたくさんかいたことでしょう。冷たい麦茶は、体にしみわたりますよね。麦茶を一気飲みしている作者の姿が想像できます。
【NO.8】
『 アイスクリーム 二段重ねし 女学生 』
季語:アイスクリーム(夏)
夏の暑い日、アイスクリーム屋さんの前にいる学生さんを見かけた作者。二段重ねの大きなアイスクリームがとても印象的だったのでしょう。このアイスクリームを食べるために今日一日暑い中頑張ったのよ、という学生さんの声が聞こえてきそうですね。
【NO.9】
『 憧れた バナナ一本 丸かじり 』
季語:バナナ(夏)
バナナを一本そのまま丸かじりすることが夢だった作者。きれいな黄色のバナナをそのままパクっと一口。嬉しさと美味しさで感動している作者の様子が想像できます。
【NO.10】
『 誕生日の ケーキ飾りて さくらんぼ 』
季語:さくらんぼ(夏)
お誕生日の主役さんは、さくらんぼが大好きなのでしょう。手作りお誕生日ケーキでしょうか。大好きなものがたくさんのっているケーキは格別の美味しさでしょう。幸せいっぱいの光景に心がほっこりします。
食べ物を題材にしたオススメ俳句ネタ集【中編10句】
【NO.11】
『 ピカピカの 赤いリンゴに かぶりつく 』
季語:リンゴ(秋)
「ピカピカの 赤いリンゴ」。きれいに光るとても高級感あふれるりんごですね。豪快にかぶりつく作者。笑顔いっぱいでりんごをもぐもぐしている姿が目に浮かびます。とても美味しかったことでしょう。
【NO.12】
『 団らんの 輪からはなれて 秋刀魚やく 』
季語:秋刀魚(秋)
秋の味覚といえば「秋刀魚」という方も多いかもしれませんね。作者は家族のために秋刀魚を一生懸命焼いているのでしょう。「輪からはなれて」というのが少々寂しいですが、この後の家族からの「美味しい!」の一言のために頑張って焼いているのでしょうね。
【NO.13】
『 新米の 炊けるにおいで 目が覚める 』
季語:新米(秋)
夜のうちに新米を炊飯器にセットしたのでしょう。「新米の」炊ける香りが目覚まし時計だなんて最高の瞬間ですね。素早く朝の仕度を終え、新米の美味しさをじっくり味わう作者の様子が目に浮かびます。
【NO.14】
『 黄は母の 好きな色なり 南瓜煮 』
季語:南瓜(秋)
お母様のお祝いの日なのかもしれませんね。お母様が大好きな「黄」。作者がお母様のことを想い、コトコトと南瓜を煮る姿が想像できます。きっととても喜んでくれたことでしょう。
【NO.15】
『 栗ご飯 子どもと食べる 祖母の味 』
季語:栗(秋)
作者にとって「栗ご飯」は「祖母の味」なのですね。秋になると、おばあちゃんが大好きな孫である作者のためにたくさんつくってくれたのでしょう。「子どもと」一緒に食べる懐かしい味、感慨深いのではないでしょうか。
【NO.16】
『 鍋焼の 卵くずして から食べる 』
季語:鍋焼(冬)
「鍋焼」とは、土鍋に鶏肉や魚類、野菜等を入れ醤油で味付けしながら食べる料理のことをいいます。最近では鍋焼きうどんを指すことが多いそうです。作者の「鍋焼」は鍋焼きうどんのことでしょうか。卵をくずして食べる派と最後に食べる派がいるそうなのですが作者は前者なのですね。ハフハフして汗をかきながら鍋焼きうどんを美味しそうに食べる姿が想像できます。
【NO.17】
『 おでん鍋 おしくらまんじゅう 鍋の中 』
季語:おでん(冬)
冬の時期のおでんは体がとても温まりますよね。お鍋の中に「おしくらまんじゅう」の具材。表現がとても上手で、たくさんのおでんの具材がお鍋の中でぐつぐつ煮込まれている様子がとてもよく伝わります。
【NO.18】
『 金色に 光るみかんは すっぱそう 』
季語:みかん(冬)
金色に光っているみかんは甘みが少ないのでしょうか。「すっぱそう」と言いながら、もうすでに顔がすっぱい顔になっている作者の表情が目に浮かびます。すっぱいみかんも美味しいですよね。
【NO.19】
『 沢庵を 噛んでひたすら 白き飯 』
季語:沢庵(冬)
沢庵とほかほか美味しいご飯があれば、もうこれだけで幸せですね。最高のコンビかもしれませんね。じっくり味わいながら食事をすることはとても大切なことですね。沢庵とご飯を食べたくなる一句です。
【NO.20】
『 しあわせは ホットココアの なかにある 』
季語:ホットココア(冬)
あたたかくて甘いホットココア。ゆっくりゆっくり飲みながら、甘い香りと味を楽しむ。心が穏やかになる飲み物です。言葉のリズムが心地良く、表現がとても上手です。ホットココアは「しあわせ」の味ですね。
食べ物を題材にしたオススメ俳句ネタ集【後編10句】
【NO.21】
『 ほんのりと 指に移り香 さくら餅 』
季語:さくら餅(春)
桜餅を食べていると、桜の香りが指先にほんのりと移っていると詠んだ句です。桜餅は香りが強く、手でつまんで食べれば香りが移ってしまうことが想像できます。
【NO.22】
『 わらび餅 半透明の 安らかさ 』
季語:わらび餅(春)
わらび餅の半透明さに安らぎを感じています。完全に透明のものもありますが、全てが透けて見えないところに安らぎを感じる出来事があったのでしょうか。ぷるぷるとした食感がたまらない春の味覚です。
【NO.23】
『 石段で アイスクリーム 食いにけり 』
季語:アイスクリーム(夏)
どこかの石段座ってアイスクリームを食べている様子を詠んだ句です。アイスクリームが溶けていないことから、屋台やお店で買ってすぐ座って食べている夏の醍醐味のような一句になっています。
【NO.24】
『 渋きお茶 白玉添えて 至福時 』
季語:白玉(夏)
渋いお茶に甘い白玉を添えて至福の時を過ごしている様子を詠んでいます。甘さと渋さがちょうどよく合う絶妙な味わいが浮かんでくる一句です。夏の暑い時期にはぴったりの甘味です。
【NO.25】
『 意地張らず 匙で食うべし 冷奴 』
季語:冷奴(夏)
冷奴は崩れやすく、箸で食べようとしてもポロポロと落としてしまいます。意地を張らないで匙ですくって食べようと観念した様子がよくわかる表現です。
【NO.26】
『 新生姜 やはり定番 甘酢漬 』
季語:生姜(秋)
新生姜はやはり定番の甘酢漬けが美味しいという、生姜の食べ方へのこだわりを詠んだ一句です。薬味として色々と使用できますが、「やはり」と詠んでいることから作者の好物なのでしょう。
【NO.27】
『 朝の卓 玉蜀黍(とうもろこし)の 湯気淡し 』
季語:玉蜀黍(秋)
朝食に蒸したトウモロコシが出てきた時の湯気を詠んでいます。「淡し」とあるため、蒸したてのものではなく食べやすい温度に下がっているのがわかる表現です。急いで食べることの多い朝食ではありがたい気遣いでしょう。
【NO.28】
『 冬野菜 もらい寄せ鍋 肉さかな 』
季語:寄せ鍋(冬)
冬野菜を貰ったので、肉や魚を足して寄せ鍋をしようと考えている一句です。名詞の連続が多く、どこか心が弾んだ心境を表現しています。
【NO.29】
『 店先の 赤い宝石 冬苺 』
季語:冬苺(冬)
この句はクリスマスケーキが売られる時期に詠まれています。「赤い宝石」とはケーキに乗せられたイチゴのことで、艶々と美味しそうに光っていたのでしょう。店先に輝く赤に目移りしている様子が伺えます。
【NO.30】
『 母の味 見様見真似の 節料理 』
季語:節料理(新年)
母が作ってくれたお節料理を見よう見まねで再現しようとしている一句です。現在ではお節料理は買うことが多くなりましたが、懐かしの味を食べたくなって再現しようと頑張っています。
以上、食べ物を題材にしたオススメ俳句作品集でした!
俳句をつくろうと思っても「季語って難しいな…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、皆さんが毎日口にしているたくさんの「食べ物」の多くは季語になっています。
今、自分の目の前にある食べ物や自分が大好きな食べ物、旬の食べ物などなど…。まずは、「これは季語かな?」と調べてみるところからはじめてみるのはいかがでしょうか。
食べることが大好きな人は、美味しそうな俳句がたくさんできるかもしれませんよ!