【7月の有名俳句 30選】すごく上手い!!季語を含んだおすすめ俳句作品集を紹介!   

 

梅雨から夏へと移り変わるという日本の季節らしさがある「7月」。

 

夏休みが始まる月でもあり、旅行に出かける方も多いことと思います。

 

そして、空も海も山も美しい7月は、俳句を作るのにはぴったりの季節です。身近な生活のひとコマやほっこりした出会いなど、今年の夏を俳句に残してみませんか?

 

 

今回は、俳句作りの見本となる7月の季語を含んだ俳句集(有名俳句20句+一般俳句10句)を紹介していきます。

 

リス先生
ぜひ俳句作りの参考にしてみてね!それではさっそく見ていこう!

 

俳句に7月らしさを出す!7月の季語を知ろう

 

俳句には、「十七音で作る」「季語を入れる」という2つのルールがあります。

 

四季の彩り豊かな日本では季節にまつわる言葉がたくさんあり、俳句の世界は季節の言葉をとても大事にしてきました。

 

「季節を入れないといけないなんてむずかしい…」と最初は思われがちですが、季語を使うことで作者の表現したいことが鑑賞者にはより伝わりやすくなります。

 

季語を使うことは俳句の持つ面白さのひとつでもあります。まずは実感がもてる好きな言葉をみつけてみましょう。

 

リス先生
ここでは、そんな7月の季語を紹介していくよ!

 

7月の季語【一覧】

 

【季節や気候・自然】

秋近し 秋を待つ 炎暑 炎昼 極暑 三伏 七月 小暑 盛夏 大暑 土用 夏の果 夏深し 熱帯夜 炎ゆ 灼く 夜の秋 冷夏 朝曇 朝凪 朝焼 雲海 炎天 梅雨明 送り梅雨 風死す 喜雨 御来迎 涼風 土用東風 西日 熱風  旱星 夕凪 夕焼青田  土用波 熱砂 日焼田

 

【生活】

梅酒 泳ぎ 水着 海水浴 汐浴び 夏期講習 夏期手当 川開き 帰省 キャンプ 草取 昆虫採集 サングラス サンドレス 夜濯ぎ 暑気払 除草機 夏休み 暑中見舞 西瓜割り 納涼 ダイビング 滝浴び 登山 土用鰻 ナイター 日射病 花氷 避暑 氷室 冷し西瓜 プール 虫干 野外演奏 山開き 誘蛾灯 冷房 海の日 海開き 祗園会 茅の輪 薄翅蜉蝣 空蝉 天牛 蝉 玉虫 夏茜

 

【植物

青瓜 青柿 青胡桃 青山椒 青芒 青唐辛子 青葡萄 青鬼灯 青林檎 麻 瓜 亜麻の花 芋の花 含羞草 蒲の穂 胡瓜 烏瓜の花 草いきれ 孔雀草 グラジオラス 月下美人 午時花 胡蝶蘭 胡麻の花 ささげ 沙羅の花 紫蘇 睡蓮 新生姜 千日草 ダリア 千鳥草 月見草 蔓手毬 芭蕉の花 玉蜀黍の花 トマト 茄子 韮の花 合歓の花 はまなす 浜木綿の花 瓢の花 棉の花 向日葵 百日草 糸瓜の花 烏瓜の花 蛍草 甜瓜 茗荷の子 紫草 夕顔 松葉牡丹

 

 

7月の季語を使った有名俳句集【10選】

 

ここからは、7月の季語を使った有名俳句(俳人が詠んだ句)を紹介していきます。

 

リス先生
もしかしたら教科書などで目にしたものもあるかもしれないよ!お気に入りの一句を見つけてみてね!

 

【NO.1】松尾芭蕉

『 閑かさや 岩にしみいる 蝉の声 』

季語:蝉(夏)

意味:岩にしみいるように蝉の声が響いています。今わたしの心はこの目の前にひろがる風景に非常に深い静けさを感じています。

俳句仙人
このとき芭蕉は山寺の山上に立ち、眼下にひろがる大地と梅雨明けの果てしなく続く大空を見ていたとのことです。蝉の声を聞いているうちに芭蕉は広大な天地に満ちる閑さを感じ取ったのだと言われています。

 

【NO.2】山口青邨

『 夕顔の 花咲き女 いそがしく 』

季語:夕顔(夏)

意味:夕顔が咲いてもう気がつけば夕方だ。なるほど女性たちは夕餉の準備で忙しそうです。

俳句仙人
夕顔とは、夕暮れ時に咲いて翌朝にしぼむウリ科の花のことです。夕顔の花が咲いているのを見つけ、ふと周囲をみてみると、女性たちは夕食の支度などで忙しそう。しみじみと夕暮れを感じさせてくれる素敵な一句です。

 

【NO.3】森川暁水

『 夜濯ぎに ありあふものを まとひけり 』

季語:夜濯ぎ(よすすぎ)(夏)

意味:夜中にありあわせの衣服をひっかけて洗濯をやっています。

俳句仙人
まだたらいに水をいれて手洗いでの洗濯していた頃、夏なので寒くもなく、涼しい夜だとなおさら気楽に洗濯ができたのでしょう。ありあわせの衣類をまとって、ササッと洗濯してしまおうという作者の気持ちが表現されています。ちなみに、作者は高浜虚子から「昭和の一茶」と呼ばれた俳人です。

 

【NO.4】星野立子

『 旅なれば この炎天も 歩くなり 』

季語:炎天(夏)

意味:せっかく旅に出てきたのですから、この暑い天気のなかでも歩いていきます。

俳句仙人
炎天とは、夏の燃えるような暑い天気のことを言います。どこを旅していたのでしょうか?またとない地にきているのですから、少々暑くても歩いて行きますという、旅の意気込みを感じます。ちなみに、作者は高浜虚子の次女で昭和の俳人として活躍しました。ブラジルやインドなど海外経験が豊富だったようです。

 

【NO.5】山口誓子

『 一点の 偽りもなく 青田あり 』

季語:青田(夏)

意味:この見渡す限り青々とした水田の美しさは、まったくもって美しく、私はとても感動しています。

俳句仙人
これぞまさに青田だ!という作者の感嘆と感動を詠んだ一句です。美しい水田を称える気持ちが表れています。

 

【NO.6】山口青邨

『 梅酒を かもすと妻は 梅おとす 』

季語:梅酒(夏)

意味:梅酒をつけるのだと言って、妻が梅の実を枝から落としています。

俳句仙人
今年は梅酒をつけますといって、頑張って梅の実を落としている奥さんを微笑ましく見ている作者。一句詠んだあと、手伝ってあげたのでしょうか?

 

【NO.7】波多野爽波

『 西日さし そこ動かせぬ ものばかり 』

季語:西日(夏)

意味:西日が部屋にさしている。大切なものに日が当たらないようにと思うものの、そこは動かせないものばかりだ。

俳句仙人
夏の西日は暑いばかりではなく、大事な家具や本などを日焼けさせてしまいます。日が当らないようにしたいと思っても、よくよく見ると動かせないものばかりと判明。ガッカリしたあとに、ちょっと苦笑いしているような一句です。

 

【NO.8】ふけとしこ

『 おとうとを トマト畑に 忘れきし 』

季語:トマト(夏)

意味:トマト畑に行ったとき、弟を置いてきぼりにしてしまった。

俳句仙人
作者の幼い日の思い出でしょうか?トマトをもぎにいくお姉ちゃんについてきた弟。まだ小さくてお姉ちゃんのいうことをよくきかない。トマトをもぎ終えたお姉ちゃんは、弟が後からついてきているものと思っていたら、実は置いてきぼりに…というところでしょうか。ほのぼのとしたなかに郷愁のある絵本を見るような一句です。

 

【NO.9】中村草田男

『 松葉牡丹 玄関勉強 腹這いに 』

季語:松葉牡丹(夏)

意味:松葉牡丹が咲くある夏の暑い日、玄関の板張りで腹這いになって子どもが勉強をしている。

俳句仙人
クーラーのない時代、風の通るひんやりした玄関の板張りで、腹這いになって勉強する子供の傍らに咲いているのは松葉牡丹。松葉牡丹は美しい花ですが、あまり涼しげではないのかもしれんね。

 

【NO.10】水原秋桜子

『 跳躍台 人なしプール 真青なり 』

季語:プール(夏)

意味:飛び込み競技が始まる前の飛び込み台はまだ人の姿がなく、プールの水も波ひとつなく真っ青に澄みきっています。

俳句仙人
やがて始まる競技の前の緊張した静けさ。競技が始まれば騒然となっていきますが、競技開始直前の静かな瞬間を詠んでいます。すばらしい一句です。

 

こんな俳句もある!オリジナル俳句集【10選】

花, 自然, 庭, 植物, 夏, 7月, 韓国, 野生の花, Flower

 

ここからは、一般の方が詠んだオリジナルの俳句集をご紹介していきます。

 

リス先生
上手な俳句がたくさんそろっているのでぜひ参考にしてみてね!

 

【No.1】

『 波音に まだ寝付かれず 浜キャンプ 』

季語:キャンプ(夏)

意味:海辺でのキャンプ。夜になると思いがけなく波音が耳について、まだ寝付くことができません。

俳句仙人
昼間はそれほど意識することのなかった波の音。皆が寝静まった夜の海は波音だけが響いています。漆黒の夜の波の音が聞こえてきそうな一句です。

 

【No.2】

潮騒や 浜木綿の花 傾きて 』

季語:浜木綿の花(夏)

意味:満ち潮の浜辺。波の音と勢いに押されるように浜木綿の花が傾いています。

俳句仙人
浜木綿とは海岸沿いに咲く、彼岸花によく似た白い花のことです。まるで潮騒に押されたように傾いていたのかもしれませんね。

 

【No.3】

子供らの 好みそれぞれ 花氷 』

季語:花氷(夏)

意味:花氷を子どもたちと見ていると、だんだんみんなそれぞれが好きな花氷のところへいって、見たり触ったりしている。いろいろ好みがあるのだなあ。

俳句仙人
花氷は中に花を入れて凍らせた氷の柱。色とりどりの花が入った花氷を前に、子どもたちがさっと散って好きな花氷のところへ行く様子が目に浮かんできます。花氷よりも子どもたちをあたたかく見守っていた作者の視線が優しいです。

 

【No.4】

クレーン車の 夕焼雲を 眺めをり 』

季語:夕焼(夏)

意味:高くそびえたクレーン車が、今日の仕事を終えて夕焼雲を眺めています。

俳句仙人
街中で夕焼け空を見ようとすると、工事中のクレーン車が視界に入ることがよくあります。工事に使う機械ではなく擬人化してみることで、クレーン車が夕焼け雲をみている恐竜ようにも見えてきます。今日もおつかれさまという、しみじみさとした感覚とユーモアを兼ね備えた一句です。

 

【No.5】

青柿の 短き命 ころげ落ち 』

季語:青柿(夏)

意味:短命の青柿なのに、さらに地面に転げ落ちています。

俳句仙人
青柿は赤くならずにそのまま収穫されるか、自ら青いまま落ちてきます。甘柿のように赤くて甘くなるまで枝でゆっくりすることがない運命を短き命と詠んだのでしょう。転げ落ちていてもそれは立派な命だという作者の視点を感じます。

 

【No.6】

烏瓜 一夜の花の 白く裂け 』

季語:烏瓜の花(夏)

意味:烏瓜の一夜だけの花が咲いた。夜の闇のなかで裂けるように咲いた白い花でした。

俳句仙人
烏瓜は赤い実をつけますが、その花は真っ白なレース編みのような不思議な花なのです。しかも夕方から夜中に咲くため、あまり人の目にとまる機会もありません。そんなひそやかな花に、作者は咲くというよりも裂くという生命力を感じたのでしょう。

 

【No.7】

葉の波に 飛天の如き 合歓の花 』

季語:合歓の花(夏)

意味:葉が波のように広がる上にまるで飛天のように合歓の花が咲いています。

俳句仙人
合歓の花は、とても可憐な花です。波のようにひろがる葉の上に咲いて揺れる合歓の花は、まるで飛天→羽衣をまとった天女のように見えたのでしょう。

 

【No.8】

梅雨明けの それがどうした 風呂掃除 』

季語:梅雨明け(夏)

意味:ニュースでは梅雨明けと言ってるけど「それがどうした」とつぶやきつつ風呂掃除をしています。

俳句仙人
気合いをいれて風呂掃除をしているところに梅雨明けのニュース。今、足元を濡らして風呂掃除をしている瞬間に梅雨明けもなにも関係ありません。また最近の天候不順に対する複雑な思いから出たつぶやきでもあるかもしれません。ユーモラスな一句です。

 

【No.9】

糠床へ 一本刺して 初胡瓜 』

季語:胡瓜(夏)

意味:ぬか床に一本差し入れたのは、今年の初キュウリです。

俳句仙人
初採りのキュウリを自家製のぬか床にいれて、楽しみに翌日漬かるのを待つ。そんな生活の楽しさが伝わってくる一句です。大切にしたい食文化です。

 

【No.10】

不揃ひの 砂場の棚の 青葡萄 』

季語:青葡萄(夏)

意味:子どもが遊ぶ砂場の上の葡萄棚に、不揃いのまだ青い葡萄がなっています。

俳句仙人
日よけで設置された砂場の上の葡萄棚に、気がついたら小さな葡萄がなっている。子どもたちが遊ぶ砂場に日陰を作ることが主な目的だった葡萄棚だったと思われますが、つるや葉だけでなく、かわいらしい実までがついたというささやかな発見と喜びを感じさせる一句です。

 

7月の季語を使った有名俳句集【おまけ10選】

 

「もっと7月の俳句を知りたい!」という方のために、有名俳句(俳人が詠んだ句)をもう10句紹介していきます。

 

【NO.1】松尾芭蕉

『 象潟(きさかた)や 雨に西施(せいし)が ねぶの花 』

季語:ねぶの花(夏)

意味:象潟の美しい風景だなぁ。雨に降られて俯いたように咲くねぶの花がまるで美人と名高い西施が俯いている姿のように見える。

俳句仙人
「象潟」はかつて秋田県にあった入江で、風光明媚な景勝地として知られていました。そんな象潟に降る雨に打たれて咲くねぶの花を、古代中国の美人として有名な西施に例えた一句です。

【NO.2】小林一茶

『 涼風の 曲がりくねって きたりけり 』

季語:涼風(夏)

意味:涼しい風が細い路地を曲がりくねってやってきた。

俳句仙人
作者が住んでいた江戸の長屋の様子を詠んだ句です。長屋が多い場所は路地も狭く曲がりくねっていましたが、そんな中でも涼しい風が吹いていることを喜んでいます。

【NO.3】山口誓子

『 ピストルが プールの硬き 面にひびき 』

季語:プール(夏)

意味:スタートの合図であるピストルの音が、プールのどこか硬く思える面に響いた。

俳句仙人
この句は1936年のベルリンオリンピックがあった年に詠まれた一句です。作者は水泳を見に行ったと書いていてオリンピックかどうかはわかりませんが、競技が始まるその一瞬を捉えた句になっています。

【NO.4】山口誓子

『 炎天の 遠き帆やわが こころの帆 』

季語:炎天(夏)

意味:炎天下の遠くの海に浮かぶ船の帆は、私の心の帆のようだ。

俳句仙人
この句は作者が海辺で病気療養をしていたときに詠まれた句です。終戦間もない時期にぼんやりと見えた船の帆に、未来へと進もうとする自分という船の帆を感じ取って詠まれています。

【NO.5】正岡子規

『 茗荷より かしこさうなり 茗荷の子 』

季語:茗荷の子(夏)

意味:茗荷よりも賢そうな茗荷の花穂だなぁ。

俳句仙人
「茗荷を食べると物忘れがひどくなる」という仏教由来の俗信を元にしています。茗荷の子である花穂は親である葉より、物忘れなどしない賢い子に見えるのになぁと面白おかしく詠んでいる句です。

【NO.6】中村草田男

『 はまなすや 今も沖には 未来あり 』

季語:はまなす(夏)

意味:ハマナスの花が咲いているなぁ。昔のように今も海の向こうに未来を感じるのだ。

俳句仙人
「今も」という表現から、昔も同じハマナスの花が咲く風景と海の向こう側を見る経験があったことが伺えます。昔も今も変わらず、海の向こうという遠くても見える場所に未来はあるのだという前向きな姿勢を詠んだ句です。

【NO.7】西東三鬼

『 岩に爪 たてて空蝉 泥まみれ 』

季語:空蝉(夏)

意味:岩に爪を立てて止まっているように見えるセミの抜け殻が泥まみれになっている。

俳句仙人
岩に爪を立てるような姿勢で残されたセミの抜け殻を詠んだ句です。泥まみれになりながらも地に落ちることなく岩にくっついている抜け殻に、生命力の強さを感じています。

【NO.8】黛まどか

『 旅終へて よりB面の 夏休 』

季語:夏休(夏)

意味:A面のような旅が終わり、これからはB面のような残りの夏休みが始まる。

俳句仙人
B面」とはレコードなどで使われた区分で、メインのA面の曲に対してサブの曲を表します。この句では夏休みの主要な目的である旅が終わり、残りの夏休みはサブのようなものだと少し残念がっている様子を詠んだ句です。

【NO.9】黛まどか

『 別な人 見てゐる彼の サングラス 』

季語:サングラス(夏)

意味:彼のサングラスの奥の目は別の人を見ているようだ。

俳句仙人
サングラスは外からでは視線がどこを向いているかわかりません。自分と一緒にいるはずの「彼」が自分ではない誰かを見ていると直感で気がついている様子を詠んでいます。

【NO.10】神野紗希

『 飛び込みの もう真っ白な 泡の中 』

季語:飛び込み(夏)

意味:飛び込み台からプールに飛び込むと、もうそこは真っ白な泡の中だ。

俳句仙人
「もう」という表現が、飛び込み台からジャンプして着水するまでほんのわずかな時間であることをよく表しています。あっという間に周りが白い泡に包まれてしまう飛び込み競技の様子を詠んだ句です。

 

以上、7月の有名俳句とオリジナル俳句を30選でした!

 

俳句仙人
7月にちなんだ色々な俳句はいかがでしたか?俳句はひとりで作るのもいいですが、ゲーム感覚でみんなでわいわい作るのもきっと楽しいことでしょう。

リス先生
7月のひとときにぜひ俳句に親しんでみてね!

 

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