「俳句」は日常のちょっとした出来事や風景、季節の移り変わりなどをテーマに詠んだ短い詩です。
そんな俳句で詠まれる情景の一つに、秋を代表する「赤とんぼ」があります。
秋になるとどこからともなく出てくる「秋とんぼ」は、昔から人々になじみのある生き物で、童話や童謡の中にも登場します。
今回は、そんな「赤とんぼ」をテーマに詠まれたオススメ俳句集(有名俳人名句+一般俳句作品)を厳選してご紹介いたします。
赤とんぼ筑波に雲もなかりけり(正岡子規) #俳句 #秋 pic.twitter.com/laV8jx1Orm
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小春日や石をかみ入る赤とんぼ(村上鬼城) #俳句 #冬 pic.twitter.com/Tr9oWphz6p
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「赤とんぼ」に関する有名おすすめ俳句集【15選】
まずは、「赤とんぼ」をテーマに詠まれた有名俳句(過去に有名俳人が詠んだ句)をご紹介します。
【NO.1】与謝蕪村
『 染めあへぬ 尾のゆかしさよ 赤蜻蛉 』
季語:赤とんぼ(秋)
現代語訳:赤に染まりきっていないその尾は愛おしいよ、赤とんぼよ。
【NO.2】小林一茶
『 町中や 列を正して 赤蜻蛉 』
季語:赤蜻蛉(秋)
現代語訳:赤とんぼが飛ぶ季節になった。赤とんぼが、一列に並んで町の中を行進しているようだ。
【NO.3】正岡子規
『 赤とんぼ 筑波に雲も なかりけり 』
季語:赤とんぼ(秋)
現代語訳:赤とんぼが筑波山の秋空に飛んでいる、見上げると空には雲一つない。
【NO.4】正岡子規
『 赤蜻蛉 飛ぶや平家の ちりぢりに 』
季語:赤蜻蛉(秋)
現代語訳:目の前を赤とんぼがそこ、ここに飛んでいる様子が、かつてちりぢりになった平家のように思えてならない。
【NO.5】夏目漱石
『 肩に来て 人懐かしや 赤蜻蛉 』
季語:赤蜻蛉(秋)
現代語訳:肩に赤とんぼが止まったよ。横目で見てみると、なんだか懐かしい人に会った感じで懐いています。
【NO.6】夏目漱石
『 生きて仰ぐ 空の高さよ 赤蜻蛉 』
季語:赤蜻蛉(秋)
現代語訳:あぁ、自分はまだ生きている。天高く広がる清々しい秋の空に、赤とんぼが飛んでいるよ。
【NO.7】種田山頭火
『 いつも一人で赤とんぼ 』
季語:赤とんぼ(秋)
現代語訳:赤とんぼが1匹、皆とはぐれたのか、自分に近づいてきたよ。
【NO.8】種田山頭火
『 霧島は 霧にかくれて 赤蜻蛉 』
季語:赤蜻蛉(秋)
現代語訳: 霧島は霧にかくれて見えない。赤とんぼが目の前を舞っているよ。
【NO.9】岡本眸
『 身を振つて 都電楽しや 赤とんぼ 』
季語:赤とんぼ(秋)
現代語訳:都電に揺られるがままに乗っていると、なんだか楽しくなってきた。外を見ると、赤とんぼが同じように身を振って舞っているよ。
【NO.10】川崎益次郎
『 赤とんぼ 戻らぬ一機 二機三機 』
季語:赤とんぼ(秋)
現代語訳:まるで赤とんぼのように見えるゼロ戦。一機、二機、三機…もう戻ってはこないんだろうなぁ。
【NO.11】河東碧梧桐
『 から松は 淋しき木なり 赤蜻蛉 』
季語:赤蜻蛉(秋)
現代語訳:唐松は落葉してしまうので淋しい木だなぁ。赤とんぼが飛んでいる。
【NO.12】三木露風
『 赤とんぼ とまつてゐるよ 竿の先 』
季語:赤とんぼ(秋)
現代語訳:赤とんぼが竿の先にとまっているよ。
【NO.13】野村喜舟
『 わが町へ 流れ来にけり 赤蜻蛉 』
季語:赤蜻蛉(秋)
現代語訳:私の住んでいる町へ流れて来た赤とんぼだ。
【NO.14】星野立子
『 赤とんぼ 葉末にすがり 前のめり 』
季語:赤とんぼ(秋)
現代語訳:赤とんぼが葉の端にすがるように止まって前のめりになっている。
【NO.15】中村汀女
『 一夜明け 山新しく 赤とんぼ 』
季語:赤とんぼ(秋)
現代語訳:一夜明けると、山には新しく赤とんぼが飛んでいる。
「赤とんぼ」に関する一般おすすめ俳句作品集【15選】
ここからは、一般の方が詠んだ俳句作品をご紹介していきます。
【NO.1】
『 赤とんぼ じっとしたまま 明日どうする 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:赤とんぼは自分の居場所を見つけ、「さぁて、明日はどうなるのだろうか」なんてことを考えている。
【NO.2】
『 一筋の 道はいづこへ 赤とんぼ 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:向こうの方まで続く一本道。そんな一本道を無視して赤とんぼは自由気ままに飛んでいるよ。
【NO.3】
『 徒競走 追ひかけて行く 赤とんぼ 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:徒競走で、赤とんぼが追いかけてくるよ。
【NO.4】
『 赤とんぼ 夕日のおふろに とびこんだ 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:赤とんぼが、真っ赤な夕焼けが広がる空に、飛び込んでいったよ。
【NO.5】
『 晩年や コーヒーにうつる 赤とんぼ 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:コーヒーにうつる赤とんぼの姿。あぁ、年を取ったものだなぁ。
【NO.6】
『 赤とんぼ 自由な空は 広すぎる 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:赤とんぼにとって、自由に飛べるこの空は、なんと大きいことか。
【NO.7】
『 指先の うへのあをぞら 赤とんぼ 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:指の先を青空に向け、赤とんぼが止まるかな。
【NO.8】
『 稲刈りの 村見回るか 赤とんぼ 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:稲刈りをする村の上を、赤とんぼがまるで見回りをしているかのように、飛んでいるよ。
【NO.9】
『 赤とんぼ 群れて青空 あかね色 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:赤とんぼの群れで、青空があかね色に染まっているようだよ。
【NO.10】
『 赤とんぼ なかよく夕空 とんでいく 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:赤とんぼが2匹、まるで手をつないでいるかのように仲良く飛んでいるよ。
【NO.11】
『 赤とんぼ 君の頭に とまったね 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:赤とんぼが君の頭の上に止まったね。
【NO.12】
『 赤とんぼ 飛び上がっては またとまり 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:赤とんぼが飛び上がってはまた止まっている。
【NO.13】
『 すいと来て またすいすいと 赤とんぼ 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:すいと飛んできて、またすいすいと飛んでくる赤とんぼだ。
【NO.14】
『 風来れば 風に向かひて 赤蜻蛉 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:風が吹いてくれば、風に向かって飛んでいく赤とんぼだ。
【NO.15】
『 路地裏の 陰の暗さや 赤蜻蛉 』
季語:赤蜻蛉(秋)
意味:路地裏の陰はとても暗いなぁ。そんなところに鮮やかな赤とんぼが飛んでいる。
以上、「赤とんぼ」に関するおすすめ俳句集でした!
童話や童謡の中にも登場する秋の風物詩「赤とんぼ」。その美しさは今も昔も多くの俳句に詠み込まれてきました。
美しい秋の光景が目に浮かぶような句や、「なるほど!たしかに…」と思うような句など、赤とんぼにまつわる俳句は意外とたくさんあります。
この機会にぜひあなたも一句詠んでみてはいかがでしょうか?