
「俳句」は、日常のちょっとした出来事や風景、季節の移り変わりなどをテーマに詠んだ短い詩です。
俳句で詠まれる情景の一つに、秋を代表する「赤とんぼ」があります。
秋になるとどこからともなく出てくる「秋とんぼ」は、昔から人々になじみのある生き物で、童話や童謡の中にも登場します。
今回は、そんな「赤とんぼ」をテーマにした季語を含むおすすめの有名&素人俳句を厳選してご紹介いたします。
赤とんぼの俳句【有名俳句10選】
まずは、「赤とんぼ」をテーマに詠まれた有名俳句をご紹介します。俳人ごとに並べてみましたので、参考にしてみてください。
【NO.1】与謝蕪村
『 染めあへぬ 尾のゆかしさよ 赤蜻蛉 』
現代語訳:赤に染まりきっていないその尾は愛おしいよ、赤とんぼよ。
【NO.2】小林一茶
『 町中や 列を正して 赤蜻蛉 』
現代語訳:赤とんぼが飛ぶ季節になった。赤とんぼが、一列に並んで町の中を行進しているようだ。
【NO.3】正岡子規
『 赤とんぼ 筑波に雲も なかりけり 』
現代語訳:赤とんぼが筑波山の秋空に飛んでいる、見上げると空には雲一つない。
【NO.4】正岡子規
『 赤蜻蛉 飛ぶや平家の ちりぢりに 』
現代語訳:目の前を赤とんぼがそこ、ここに飛んでいる様子が、かつてちりぢりになった平家のように思えてならない。
【NO.5】夏目漱石
『 肩に来て 人懐かしや 赤蜻蛉 』
現代語訳:肩に赤とんぼが止まったよ。横目で見てみると、なんだか懐かしい人に会った感じで懐いています。
【NO.6】与謝蕪村
『 生きて仰ぐ 空の高さよ 赤蜻蛉 』
現代語訳:あぁ、自分はまだ生きている。天高く広がる清々しい秋の空に、赤とんぼが飛んでいるよ。
【NO.7】種田山頭火
『 いつも一人で赤とんぼ 』
現代語訳:赤とんぼが1匹、皆とはぐれたのか、自分に近づいてきたよ。
【NO.8】種田山頭火
『 霧島は 霧にかくれて 赤蜻蛉 』
現代語訳: 霧島は霧にかくれて見えない。赤とんぼが目の前を舞っているよ。
【NO.9】岡本眸
『 身を振つて 都電楽しや 赤とんぼ 』
現代語訳:都電に揺られるがままに乗っていると、なんだか楽しくなってきた。外を見ると、赤とんぼが同じように身を振って舞っているよ。
【NO.10】川崎益次郎の俳句
『 赤とんぼ 戻らぬ一機 二機三機 』
現代語訳:まるで赤とんぼのように見えるゼロ戦。一機、二機、三機…もう戻ってはこないんだろうなぁ。
赤とんぼの俳句【素人俳句10選】
ここからは、一般の方が詠んだオリジナルの俳句をご紹介していきます。
【NO.1】『 赤とんぼ じっとしたまま 明日どうする 』
現代語訳:赤とんぼは自分の居場所を見つけ、「さぁて、明日はどうなるのだろうか」なんてことを考えている。
【NO.2】『 一筋の 道はいづこへ 赤とんぼ 』
現代語訳:向こうの方まで続く一本道。そんな一本道を無視して赤とんぼは自由気ままに飛んでいるよ。
【NO.3】『 徒競走 追ひかけて行く 赤とんぼ 』
現代語訳:徒競走で、赤とんぼが追いかけてくるよ。
【NO.4】『 赤とんぼ 夕日のおふろに とびこんだ 』
現代語訳:赤とんぼが、真っ赤な夕焼けが広がる空に、飛び込んでいったよ。
【NO.5】『 晩年や コーヒーにうつる 赤とんぼ 』
現代語訳:コーヒーにうつる赤とんぼの姿。あぁ、年を取ったものだなぁ。
【NO.6】『 赤とんぼ 自由な空は 広すぎる 』
現代語訳:赤とんぼにとって、自由に飛べるこの空は、なんと大きいことか。
【NO.7】『 指先の うへのあをぞら 赤とんぼ 』
現代語訳:指の先を青空に向け、赤とんぼが止まるかな。
【NO.8】『 稲刈りの 村見回るか 赤とんぼ 』
現代語訳:稲刈りをする村の上を、赤とんぼがまるで見回りをしているかのように、飛んでいるよ。
【NO.9】『 赤とんぼ 群れて青空 あかね色 』
現代語訳:赤とんぼの群れで、青空があかね色に染まっているようだよ。
【NO.10】『 赤とんぼ なかよく夕空 とんでいく 』
現代語訳:赤とんぼが2匹、まるで手をつないでいるかのように仲良く飛んでいるよ。
以上、赤とんぼの俳句でした!
童話や童謡の中にも登場する秋の風物詩「赤とんぼ」。その美しさは今も昔も多くの俳句に詠み込まれてきました。
美しい秋の光景が目に浮かぶような句や「なるほど!たしかに…」と思う素人俳句など、赤とんぼにまつわる俳句は意外とたくさんあります。