12月になると外はめっきり冷え込んできて、カレンダーのページもいよいよ最後に差し掛かってきます。
なかなか家から出たくなくなる季節ですが、冬だからこその情景も綺麗なものです。
そこで今回は、「12月」の季語を含んだオススメ俳句集を紹介していきます。
いそがしく時計の動く師走哉 by正岡子規 ❄️💙 師走 12月 december もよろしくです⛄️ #師走 #December #正岡子規 #俳句 #写真好きな人と繋がりたい #sapporo pic.twitter.com/XlOGDRXkGm
— T.sakurai (@xsakurat) November 30, 2016
ぜひ俳句作りの参考にしてみてね!
目次
俳句に12月らしさを出す!12月の季語を知ろう
俳句において冬は「11月から2月の初めまで」とされており、【初冬・仲冬・晩冬】の3つに分かれています。
つまり、12月は大まかに言うと「冬の真ん中(仲冬)」に当たります。
【時候】
- 十二月
- 大雪:「おおゆき」ではなく「たいせつ」と読み、二十四節気のひとつ。雪の多い12月7日ごろに当たります。
- 冬至/一陽来復:12月22日ごろ、一年間で最も日が短い日です。
【天文】
- 冬晴/冬日和:特に太平洋側は晴れわたる日が続きます。寒いなかにも明るさを感じさせる季語です。
【生活】
- 冬休:いわゆる学校の冬休みのこと。お正月も挟むので、親戚で集まることも多いのではないでしょうか。
- 羽子板市:年末に羽子板を売っている市のこと。浅草寺が有名です。
- 柚子湯:冬至の日に柚子の実を入れてお風呂に入ること。無病息災でいられるとか。
【行事】
- クリスマス:イエスキリストの誕生日。日本でも教会がミサをしたり、街をイルミネーションで飾ったりしますね。
- 漱石忌:文豪夏目漱石が亡くなった日。「坊ちゃん」「吾輩は猫である」などは教科書に載ることもあり有名です。
【動植物】
- 冬の蝶/凍蝶:冬に見られる蝶のこと。多くは蛹で冬を越しますが、そのままじっと春を待つものも。
- ポインセチア:クリスマスによく見かける観賞用の花。鮮やかな赤い葉が目を引きます。
12月の季語【一覧】
霜月・寒波・短日・冬の日・冬の朝・冬の空・冬の雲・冬霞・冬霧・冬の雷・冬の虹・冬夕焼・冬の暮・冬の夜・冬の月・冬の星・冬銀河・火事・火の番・冬の鳥・冬の雁・冬の鵙・越冬燕・水鳥・浮寝鳥・鴨・鶴・白鳥・夜神楽・顔見世・杜氏来る・雪催・雪起し・初雪・雪・寒し・冷たし・息白し・冬木・冬木立・枯木・枯木立・枯柳・冬枯・霜枯・冬ざれ・枯芝・枯菊・冬林檎・蜜柑・冬蕨・枇杷の花・冬柏・冬桜・針供養・大根焚・漱石忌・ぼろ市・羽子板市・年の市・風呂吹・雑炊・根深汁・白菜・人参・納豆汁・闇汁・寄鍋・おでん・焼鳥・焼藷・湯豆腐・葛湯・熱燗・鰭酒・玉子酒・冬の山・山眠る・冬野・枯野・冬田・冬眠・熊・狩人・罠・薬喰・猪鍋・狸・兎・笹鳴・都鳥・冬鴎・冬の海・波の花・鮫・鯨・河豚・鮟鱇・鮪・柳葉魚・海鼠・牡蠣・味噌搗・冬の蝶・冬の蜂・冬の蠅・冬の虫・枯蟷螂・屏風・障子・炭焼・湯ざめ・風邪・咳・褞袍・羽織・ねんねこ・毛皮・重ね着・セーター・冬服・冬シャツ・ショール・マスク・手袋・足袋・コート・懐手・毛糸編む・紙漉・北風・空風・冬凪・鎌鼬・霜・霜夜・霜柱・雪囲・雪吊・雁木・藪巻・霧氷・樹氷・水涸る・冬旱・冬の川・狐火・一茶忌・冬至・柚子湯・天皇誕生日・ポインセチア・クリスマス・師走・賀状書く・暦売・古暦・日記買ふ・ボーナス・年用意・春支度・飾売り・注連飾る・煤払・畳替・冬休み・歳暮・年忘・ご用納め・餅搗・餅・年の暮・年の内・数へ日・行く年・大晦日・大年・なまはげ・若布刈神事・年の火・年守る・年の宿・晦日蕎麦・年越・除夜・年惜しむ・年取・除夜詣・除夜の鐘
12月の季語を含んだオススメ有名俳句【前編10句】
ここからは、12月の季語を使った有名な俳句を紹介していきます。まずは有名俳人の冬の名句を10句紹介していきます。
【NO.1】長谷川かな女
『 亡き母を 知る人来たり 十二月 』
季語:十二月(冬)
意味:だいぶ昔に亡くなった母を、知っているという人が訪ねてきました。十二月という年末の忙しさのなかに、時の流れと懐かしさを感じました。
【NO.2】岡田史乃
『 冬晴や できばえのよき 雲ひとつ 』
季語:冬晴(冬)
意味:冬の晴れ渡った一日。空に一つだけ浮かんでいる雲は澄んでいて整った形をしていて、まさに「出来栄えのよい」もの。晴れやかな気持ちになりました。
【NO.3】鈴木鷹夫
『 鍵束の ひかりを投げて 冬休 』
季語:冬休(冬)
意味:天に向かって軽く投げたのか、鍵束がひとつの光のように見えました。冬休みというわずかな期間のなかでの、明るい一面を切り取りました。
【NO.4】高浜虚子
『 うつくしき 羽子板市や 買はで過ぐ 』
季語:羽子板市(冬)
意味:絢爛できらびやかな羽子板市に多くの人が見にきています。結局買わずに過ぎてきてしまいましたが、豪華な空気感に包まれています。
【NO.5】富安風生
『 よその子に 買ふ羽子板を 見て歩く 』
季語:羽子板市(冬)
意味:羽子板市に来ているが、見ているのは自分の家用ではなく、他の家のお子さんにプレゼントするもの。何を買ったら喜ばれるのだろう、など考えながらそぞろ歩いています。
【NO.6】川崎展宏
『 柚子風呂に 浸す五体の 蝶番 』
季語:柚子風呂(冬)
意味:寒さで全身の関節はドアの蝶番のように固まっています。しかし柚子風呂に入って、固まった体も解きほぐれていくようです。
【NO.7】秋元不死男
『 へろへろと ワンタンすする クリスマス 』
季語:クリスマス(冬)
意味:クリスマスといえば七面鳥やケーキなどご馳走を食べるもの。しかし自分はワンタンを、しかもへろへろと啜っています。
【NO.8】小笠原和男
『 冬の蝶 日溜まり一つ 増やしけり 』
季語:冬の蝶(冬)
意味:冬の蝶がふっと飛んできました。まるでその蝶のための日溜まりが、一つ増えたようでした。
【NO.9】小林一茶
『 冬の蝿 逃せば猫に 取られけり 』
季語:冬の蝿(冬)
意味:冬の蝿を捕らえようとしたのに逃してしまいました。と思ったら、すかさず家の猫が捕まえてしまいました。
【NO.10】古賀まり子
『 ポインセチア どの窓からも 港の灯 』
季語:ポインセチア(冬)
意味:部屋には真っ赤なポインセチアが飾ってあり、部屋の数あるから窓から外を覗くと、港の灯りが美しく灯っています。
12月の季語を含んだオススメ有名俳句【後編10句】
ここまでの俳句はどうでしたか?冬の雰囲気を感じられたのではないでしょうか?ここからは残り有名俳句10句を紹介していきます。
【NO.1】松本たかし
『 真っ白き 障子の中に 春を待つ 』
季語:春を待つ(冬)
意味:取り替えた真っ白な障子の中で新春を待つ。
【NO.2】山口誓子
『 スケートの 紐結ぶ間も はやりつつ 』
季語:スケート(冬)
意味:スケートの紐を結ぶ間も早く遊びたいと気が逸る。
【NO.3】篠原鳳作
『 手づくりの 蝋燭たてや クリスマス 』
季語:クリスマス(冬)
意味:これは手作りのロウソク立てだなぁ。今日はクリスマスだ。
【NO.4】杉田久女
『 冬晴の 雲井はるかに 田鶴まへり 』
季語:冬晴(冬)
意味:冬晴れのはるか空には雲がたなびいていて、鶴が舞っている。
【NO.5】富安風生
『 あたたかき 今年の冬よ 冬至梅 』
季語:冬至梅(冬)
意味:暖かい今年の冬だなぁ。冬至梅が咲いている。
【NO.6】草間時彦
『 立ちどまり 顔を上げたる 冬至かな 』
季語:冬至(冬)
意味:立ち止まって、ふと顔を上げるともう冬至であることだ。
【NO.7】飯田蛇笏
『 山国の 虚空日わたる 冬至かな 』
季語:冬至(冬)
意味:山国の虚空を日が渡る冬至だなぁ。
【NO.8】星野立子
『 わがままを せぬ子となりぬ 冬休 』
季語:冬休(冬)
意味:わがままをしない子になる冬休みだ。
【NO.9】服部嵐雪
『 梅一輪 一輪ほどの 暖かさ 』
季語:梅/寒梅(冬)
意味:梅が一輪咲いている。一輪の梅だけ暖かさを感じることだ。
【NO.10】山口誓子
『 学問の さびしさに堪へ 炭をつぐ 』
季語:炭(冬)
意味:学問のさびしさに堪えながら炭をついで暖を取る。
12月の季語を含んだ一般オススメ俳句作品【全10句】
ここからは、一般の方が作った12月の俳句作品を紹介していきます。
【No.1】
『 パレットに バラ色足して 年惜しむ 』
季語:年惜しむ(暮)
意味:絵を描いていて、パレットにバラの色を足しました。今年も終わっていくのだなという感慨があります。
【No.2】
『 着ぶくれて 四肢の在り処の 定まらず 』
季語:着ぶくれ(冬)
意味:寒いのでたくさん着込んで着ぶくれてしました。手も足も動かしにくくなっています。
【No.3】
『 年惜しむ 付箋の多き 旅行本 』
季語:年惜しむ(暮)
意味:旅行本を見て、いきたいところに付箋をつけていくとこんなにも増えていました。年末のほっとする一コマです。
【No.4】
『 束の間の 色でありけり 冬夕焼 』
季語:冬夕焼(冬)
意味:鮮烈な赤をした夕焼。それを束の間のものでしかないように感じました。
【No.5】
『 水鳥の 目に外つ国の 湖の色 』
季語:水鳥(冬)
意味:冬になると北の国からやってくる水鳥。その目には外国の地の冷ややかな湖の色が映っているようです。
【No.6】
『 色放つ 銀のさざなみ 冬の湖 』
季語:冬の湖(冬)
意味:冬の湖はとても寒々しいですが、それが銀のさざなみに見えました。
【No.7】
『 人生は 片道切符 冬銀河 』
季語:冬銀河(冬)
意味:人生も片道切符と同じで一方向にしか進まない。冬銀河のなかで命の流れを感じました。
【No.8】
『 その中に いない猫なり 漱石忌 』
季語:漱石忌(冬)
意味:いつもいる場所に猫がいないということでしょうか。猫を愛した漱石を偲んでいます。
【No.9】
『 絶滅の 鳥の剥製 冬の星 』
季語:冬の星(冬)
意味:絶滅してしまった鳥の剥製が飾ってありました。窓からは冬の星が見えてそれを照らしています。
【No.10】
『 空っ風 地球の軸に 自分置く 』
季語:空っ風(冬)
意味:強い空っ風が吹きました。それに負けないように、しっかりと立ってています。
以上、12月のおすすめ俳句集でした!