世界で最も短い詩といわれている「俳句」。
最近では外国語で詠まれたりすることもあり、世界中の人々から親しまれている芸能です。
日本には、春・夏・秋・冬といった明確な四季があり、それぞれの季節が生み出す風情は昔から俳句のテーマとされることが多く、その感性は現代の私たちにも通ずるものがあります。
今回は、四季の中でも夏・特に「夏の終わり」を感じさせてくれる俳句作品を厳選して紹介していきます。
夏終わり 小虫気になる この季節
自転車、心の俳句
from 荒川サイクリング pic.twitter.com/8amj9QWyo9— rewona (@buzzstyle0815) September 9, 2013
お気に入りの俳句を見つけてね!
夏の終わりのおすすめ俳句【前編10句】
ここからは、「夏の終わり」をテーマに一般の方が詠んだオリジナルの俳句を紹介していきます。
思わずうなってしまうような上手い作品がそろっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
【NO.1】
『 蝉の殻 するりと抜ける 秋の初風 』
季語:秋の初風(秋)
意味:夏が終わり、蝉の抜け殻だけが名残り惜しそうに残っている。そこへ秋の風が吹いてきたよ。
【NO.2】
『 プールあと 体が地球に へばりつく 』
季語:プール(夏)
意味:たくさん泳いでプールから出ると、急に体が重くなり、プールサイドに寝転がる。
【NO.3】
『 夕焼けと 海がつながる 帰り道 』
季語:夕焼け(夏)
意味:帰り道、夕焼けが海に映って、海が夕焼け色に染まっている。空と海がつながっているようだよ。
【NO.4】
『 夕空に 舞うすててこ 今日も生きのびる 』
季語:すててこ(夏)
意味:夕空にふわりと舞う白いすててこ。あぁ、今日も一日生き延びたなぁ。
【NO.5】
『 夏深し 白球追う汗 響く声 』
季語:夏深し(夏)
意味:もう夏も終わりに近づいてきている。グラウンドでは、白球追う球児たちが汗を流し、その声が響いているよ。
【NO.6】
『 弟が 地図見て探す 天の川 』
季語:天の川(秋)
意味:弟が地図を見ながら「天の川」を懸命に探しているよ。
【NO.7】
『 きんぎょすくい わたしも金魚も ひっしです 』
季語:金魚(夏)
意味:金魚すくいを行なったら、捕まえる側のわたし・逃げる側の金魚で必死だった
【NO.8】
『 兜虫 おまえもひどい 日焼けだな 』
季語:兜虫(夏)
意味:カブトムシよ、僕もお前も、随分と日焼けしたものだなぁ。
【NO.9】
『 海月がね バケツの中を およいでる 』
季語:海月(夏)
意味:海月(くらげ)が、バケツの中を泳いでいるよ。
【NO.10】
『 ツクボウシ 百年変わらぬ 恋の歌 』
季語:ツクボウシ(秋)
意味:つくつくぼうしの鳴き声は今も昔も変わらない。
夏の終わりのおすすめ俳句【中編10句】
【NO.11】
『 ひぐらしや 千段昇る 立石寺 』
季語:ひぐらし(秋)
意味:立石寺まで千段続く階段にひぐらしの声が鳴り響く。
【NO.12】
『 ポンポンと 西瓜の頭 撫でてやり 』
季語:西瓜(秋)
意味:ポンポンと西瓜を叩いて食べ頃を確かめる。
【NO.13】
『 人生と 秋刀魚のわたの 苦さかな 』
季語:秋刀魚(秋)
意味:人生も秋刀魚のわたも苦いなぁ。でも、この苦さがなんとも言えず美味いんだなぁ。
【NO.14】
『 審判の アウトが聞こえ 終わる夏 』
季語:終わる夏(夏)
意味:審判の「アウト」という声で、あぁ、これですべて(夏)が終わったんだなぁ。
【NO.15】
『 遠い夏 祖父と鳴らした ラムネ瓶 』
季語:ラムネ(夏)
意味:自分がまだ小さかった頃、祖父と一緒に飲んだラムネをふと思い出したよ。
【NO.16】
『 せみとんぼ ばつたにてふと なつの雲 』
季語:なつの雲(夏)
意味:せみ、とんぼ、ばった、ふと向こうの方を見ると、夏のような青空と白い雲が出ている。
【NO.17】
『 絵日記の ページ尽きたり 夏の果て 』
季語:夏の果て(夏)
意味:絵日記のページが丁度なくなった。そろそろ夏休みが終わるな…。
【NO.18】
『 昼下がり 羽根休めたり 秋の蝶 』
季語:秋の蝶(秋)
意味:昼下がりのちょうど眠くなる時間帯、蝶がやってきて羽を休めているよ。
【NO.19】
『 早咲きの コスモスぽつんと 道の端 』
季語:コスモス(秋)
意味:早咲きのコスモスがぽつんと道の端っこに咲いている。あぁ、もう秋がそこまで来ているのだなぁ。
【NO.20】
『 夏の恋 花火と共に 飛び散った 』
季語:夏(夏)
意味:君に恋した私の恋心は、花火のように舞い上がり…そして、花火のように一瞬にして散った。あぁ、夏が終わった。
夏の終わりのおすすめ俳句【後編10句】
【NO.21】
『 どの影も 深き色して 夏の果て 』
季語:夏の果て(夏)
意味:どの影も深い色をしている夏の終わりだ。
【NO.22】
『 夏の果て 北と南の 土産積み 』
季語:夏の果て(夏)
意味:夏の終わりだ。北の地域と南の地域のお土産が積まれている。
【NO.23】
『 脈々と ビルの谷間の 盆踊り 』
季語:盆踊り(秋)
意味:脈々と連なるビルの谷間で盆踊りをしている。
【NO.24】
『 ひんやりと 日短くなり 秋彼岸 』
季語:秋彼岸(秋)
意味:ひんやりとし始めて、日が短くなってきた秋のお彼岸だ。
【NO.25】
『 炎天の 影引き連れて 猫一匹 』
季語:炎天(夏)
意味:炎天下の影を引き連れて猫が一匹歩いている。
【NO.26】
『 西日中 サイクリストは 家路急ぐ 』
季語:西日(夏)
意味:西日が照らす中で、サイクリストが家路を急いでいる。
【NO.27】
『 米を砥ぎ すすいでは砥ぎ 帰省待ち 』
季語:帰省(夏)
意味:お米を研ぎ、すすいでは研いで帰省する家族を待っている。
【NO.28】
『 納涼の 屋形船かな 隅田川 』
季語:納涼(夏)
意味:納涼のための屋形船が隅田川に浮かんでいるなぁ。
【NO.29】
『 夕景に 海水浴の 跡もなし 』
季語:海水浴(夏)
意味:夕方の浜辺には海水浴の跡も残っていない。
【NO.30】
『 朝ぐもり 青空連れて さらり風 』
季語:朝ぐもり(夏)
意味:朝は曇っていたが、サラリとした風が青空を連れてきた。
以上、夏の終わりを感じる俳句作品30選でした!
さいごに
今回は、「夏の終わり」に焦点をあてて、一般の方が詠んだ作品をご紹介してきました。
夏という一つの季節が終わることに郷愁を感じしみじみと詠む人、季節が次第に変わっていく様子を趣深く詠んだ作品など、「夏の終わり」といっても、その捉え方は今も昔も人それぞれです。
様々な角度から切り込んだ「夏の終わり」。自然と夏の終わりが目に浮かぶような句がたくさんありましたね。
「俳句を詠んでみたくなった!」と思った人は、この機会にぜひ俳句作りに挑戦してみてください。
夏肥えて
詩合わせつまみ
夕涼みマルチミネラル 夏の終わりの句 pic.twitter.com/UUF4GewqVb
— ケロっぴ@2児母になる (@kerorin25) August 28, 2014