【浴衣の俳句 20選】夏に詠みたい!!季語を含むおすすめ有名＆素人俳句を紹介！

この句が作られた時代は、まだ浴衣が季語として認められていません。そのため、この句の当時の季語は「瓜」でした。まだ下着としての浴衣の側面が強いので、「袖があればなぁ」という現在の感覚では不思議な結句になっています。

「きはづく」は「際付く」と書き、汚れが目立つことを言います。この句の時代もまだ浴衣は季語ではないため、当時は「鬼灯」が季語です。浴衣姿で歩き回っていたら、鬼灯の実の汁で汚してしまった、微笑ましい光景を詠んでいます。

こちらも旅行先での一句です。宿に置いてある浴衣ではなく、着慣れた浴衣を持ってきて着ることで、よりくつろいだひと時を過ごせるのでしょう。

新品の浴衣や手入れをきちんとした浴衣は、糊がピシッと効いて着心地が硬いことがあります。文章を書くときはそのような浴衣ではなく、着慣れた古い浴衣こそふさわしいという作者の実感がこもった句です。

倒置法に体言止めと、どこか凄みを感じさせる一句です。藍染めの浴衣で女の意地を張り通そうとした相手はいったい誰なのか、考えてみると面白いでしょう。

掛香とは、汗の匂いなどを防ぐために小さな袋に香料を入れたものです。派手な柄の今風の浴衣と、伝統的な掛香の香りが対になっています。

新品の浴衣や手入れした後の浴衣は糊がきいているため、着心地が固くなります。糊を落とすことも可能ですが、落とさないまま着たら肌に合わない、という現代にも通じる悩みです。

藍染の浴衣は深い青色が美しい浴衣ですが、暗い夜に蛍の光のみの光源で見ると真っ黒に見えてしまいます。照明の多い現代ではあまり遭遇しない状況かもしれません。

初めてのお祭りに来た幼い子でしょうか。まるで金魚のような帯と、口をぱくぱく開けている様子が見えるようです。

新品の糊のきいている状態を、「柔らかい」が「鋳型のよう」と例えているのが面白い一句です。布の柔らかさと糊の鋳型のような硬さの対比が質感を表現しています。

藍染の浴衣の色を宇宙に例え、そこから光年という途方もない距離の単位へ連想をつなげています。すぐそこに見えている藍浴衣と、見ることのできない宇宙の距離というミクロとマクロの対比が見事です。

初めて浴衣を着た子供でしょうか。緋色の浴衣にあわせて結い上げた髪の後れ毛が幼さを強調しています。

旅行先の楽しみとして、朝市を覗くことが挙げられるでしょう。宿の近くで開かれている朝市をぶらついているのか、宿のエントランスまでくる小さな朝市を朝食がてら覗いているのか、どちらにも取れます。

成長期の子供の背はよく伸びます。1年で10cmと伸びてしまう子もいるほどです。去年はぴったりだった浴衣がつんつるてんになるほど成長した、親の喜びも感じ取れる句になっています。

藍染の浴衣は独特の香りがします。その香りがするということは、おろしたばかりの新品の浴衣を着ているなと推測できる、視覚や聴覚ではなく嗅覚をメインにした一句です。

二文字以外は全て漢字、かつ「渋谷交差点」が句またがりになっているとても面白い句です。口に出して読んでみるといそいでいる雰囲気が伝わってきて、文字で見ても音で考えても楽しい俳句になっています。

地下鉄の駅から人がどっと湧き、浴衣姿の人たちがみんな右へ進んでいく、まるで水の流れのような光景を詠んでいます。右にはお祭り会場か花火会場など、人の集まる場所があるのでしょう。

現代ならではの着付けの仕方です。字あまりの破調で、着付け同様に俳句の方も新しさを感じる韻律になっています。

今回は、「浴衣」を題材にした俳句を、有名なもの10選とオリジナルの俳句10選にわけて紹介してきました。
浴衣は夏のお祭りや温泉、盆踊りや夕涼みなど多くの場面で使われ、夏の象徴のような季語です。

浴衣を着る機会があればぜひ一句詠んでみてください。