【月見の有名俳句 30選】秋の夜空に輝く風物詩!!秋に詠みたい俳句集を紹介

ぜひ参考にしてみてください。

嵯峨は京都にあるなだらかな丘陵地で、古くから散策地として好まれてきました。この句は多くの季語が重なっていますが、四季折々の楽しみも嵯峨の地ならいっそう楽しいという井原西鶴の風流の好みがよく表れている一句です。

「あさむつ」には「浅水」と「朝六つ」が掛けられています。「あさむつの橋」は枕草子に書かれるほど古くから有名な歌枕で、福井市浅水町の川に掛かる橋です。

「玉江の芦」とは古くから詠まれた歌枕で、現在の福井県福井市に位置していた湿地です。玉江に生える芦は夏に刈られることが多いため、刈られないうちに歌枕の名所で月見をしようと詠んでいます。

仲秋の名月は別名芋名月と呼ばれることがあり、月見団子の代わりに芋をお供えする地域があります。外で芋を煮ているお坊さんがふと空を見上げると、仲秋の名月が昇ってきていた風景を詠んだ句です。

月見船とは、お月見のために川に浮かべる船のことです。お月見の客のために準備していたのに、雨が降って月が見えずにキャンセルされてしまった河岸の様子を詠んでいます。

芋名月の呼び名のとおり、芋をお供えするお寺が近くにあったのでしょう。お月見に供えられる芋は里芋のため、ここでもらった芋も里芋だと考えられます。

仲秋の名月が雨で終わってしまった無念の俳句です。中七で切れ字を入れ、最後に「ただ下る」と言い切りを重ねる表現がいっそうの無念をかき立てます。

馬に乗って帰路に着く途中で、文字通り道草を食わせて馬上から月見をしています。馬に乗っている最中という現在では想像しにくい情景も、車や自転車での帰り道に少し寄り道をして月を眺めているととらえるとわかりやすくなるでしょう。

一緒に月見をする友を主眼に置いた俳句です。新たな環境で新しい友人を得たのか、歳をとっていく中で入れ替わっていったのか、月だけが去年と変わらない世の無常さを簡潔に詠っています。

この句は2つの意味に取れる句で、1つ目は月見の宴をする際に部屋の外に明かりが灯っているとする文字のとおりの意味です。もう1つは、月自体を灯火に例えて障子の外、つまり夜空に輝く月の光が障子越しに輝いているという意味になります。

治水工事の進んだ現在では川岸に広がる芦はあまり見ない光景になりましたが、芦は川や湿地に付きものの植物でした。月見のために川を下る際には欠かせない風物詩だったのでしょう。

お供えものに里芋を使うことのあるお月見ですが、農家以外ではお供え用に里芋を買い求めていました。そんな芋売たちは全て売ってからようやくお月見をするのだろうという、当時も今も変わらない労働環境を彷彿とさせます。

月の光でどんな服でも美しく映えるという月光を称えた一句です。ぼんやりとした月の幻想的な光が服の美しさに託されています。

ススキの穂を飾る理由としては、豊作を願うお祭りが月見の原形であり稲穂の代わりにしているという説があります。急遽月見の宴をしようと弟子たちにススキを持ってこさせる師弟の一句です。

川ではなく湖での月見の風景です。流れの少ない湖では、月夜の湖にポツリと船が浮かんでいる光景が「湖半」という言い切りから見えるような表現になっています。

月見船での宴の様子を詠んだ句です。船頭とも楽しく酒を飲みかわし、肴をつまみながら夜明けをむかえた楽しさの名残が「肴きれ」に込められています。

「相逢う」とはお互いに対面して会うことです。同じ場所にいて同じ月を眺めていても、月を見て何を思うかは各々違うのだろうなという感慨深さを感じさせます。

夜勤か来客の見送りか、夜に玄関の外に出たときにふと目に入った月に見入ってしまったときの句です。今では建物が多く立ち並んで空が狭くなっている地域もありますが、当時は見晴らしもよく、月がきれいに見えたことでしょう。

今回は、月見を季語に含む有名俳句を30句紹介しました。
月見の俳句は宴を詠んだものが多いですが、月を見たときの心境や月光の美しさを写実的に詠んだものなど、多くのバリエーションがあります。
お月見をするときにはぜひ一句詠んでみてください。