【短歌と俳句の違い】簡単にわかりやすく解説!ルールや特徴・歴史など

 

「短歌」や「俳句」は、昔から日本人には親しみのある領域で、根強い人気があります。

 

学校の授業での勉強や、最近ではテレビなどでも俳句の番組があります。

 

では、この「短歌と俳句の違い」について理解している方はどこのくらいいるでしょうか?

 

短歌と俳句の二つにはそれぞれルールや特徴・歴史があります。

 

 

今回は、短歌と俳句の違いについて簡単にわかりやすく解説していきます。

 

リス先生
ぜひ参考にしてみてね!

 

短歌と俳句の違い

リス先生
さっそく、短歌と俳句の違いについて見ていこう!

 

短歌と俳句はどちらも、もともとは和歌から派生した文学です。

 

和歌とは「五音と七音を基調とした歌」のことで、和歌は五七、五七と繰り返して歌が続き、終わりは七七で終了します。

 

短歌と俳句の大きな違いは、その文字数」と「季語の有無」です。

※季語とは、春夏秋冬の季節を表す特定の言葉のこと。なお、季節の分類は二十四節気に基づいて節切りになります。

 

  • 短歌・・・「五七五七七」の31音が基本の定型詩・季語は必要なし

→【花のいろは(5) うつりにけりな(7) いたづらに(5) わが身世にふる(7) ながめせしまに(7)】
→季語:なし

  • 俳句・・・「五七五」の17音が基本の定型詩・季語は必要

→【夏草や(5) 兵(つわども)どもが(7) 夢の中(5)】
→季語:夏草

 

その他の違いは、短歌は恋の歌が多いのに対して、俳句は恋の歌のほかに、花鳥風月を詠んだものが多くを占めるのが特徴です。

 

意外と知らない!短歌と俳句の誕生の歴史

リス先生
では、短歌と俳句の誕生の歴史を見ていこう!

 

上でも触れましたように短歌の原点は「和歌」になります。

 

和歌が五七を基調とした長めの歌から、より身近な表現しやすい短歌が好まれていったことが伺えます。

 

短歌は平安時代でも貴族たちの上流社会では、気になる相手に「恋文」として31音に想いをしたためている様は、何とも風流で雅なことでしょう。

 

一方、連歌(れんが)・俳諧(はいかい)から生まれたのが俳句です。

 

連歌は、五七五の発句と七七の脇句を、交互に複数人で連ねて歌う遊びです。奈良時代にはすでに連歌の原型が出来ていたと言われています。

 

平安時代には短連歌が流行し、さらには長連歌になり、鎌倉時代には最大120句と連ねたと言われています。100前後の句が主流になり南北朝時代から室町時代にかけて大成されましたが、戦国時代末に衰えました。

 

江戸時代になり連歌から俳諧と呼ばれるものが誕生しました。俳諧は連歌の形式はそのままに、滑稽な言葉や俗語を盛り込んだ文学です。

 

さらに、明治になると正岡子規らによって俳句が誕生しました。俳諧の五七五の最初の部分のみを定型詩としたもので、季語を取り入れ喜怒哀楽を表現したものです。

 

俳句は現代においても日本人の感情を表す文学として受け継がれています。

 

知っておきたい有名短歌【おすすめ3選】

リス先生
ここでは有名な短歌として百人一首から取り上げて紹介するよ!

【NO.1】小野小町

『 花のいろは うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに 』

意味:何事もせずに、ゆっくり眺めているうちに花が長雨にあってすっかり色あせてしまうように、自分の姿も年を取って衰えてしまった。

俳句仙人

有名な女流歌人の小野小町も、現代人である私たちも、今も昔も自分の容姿については敏感で、年を取ってしまうと衰えが気になってしまうものです。とても共感できる歌で、小野小町に親しみを感じます。

【NO.2】平兼盛

『 忍ぶれど 色に出でにけり わが戀(こい)は 物やおもふと 人のふとまで 』

意味:私の恋は、誰にも知られないようにと秘めているのですが、思う心は自然と顔や様子に現れていて、もの想いですかと人に聞かれてしまうくらいです。

俳句仙人

想いを伝えてしまうと今の関係が崩れてしまうことを怖れています。なぜか想い人には伝わらず、周囲の人がこちらの想いに気づいて聞かれてしまう始末なので、よほど顔や行動に現れているのでしょう。想いを伝えたらどうかと思ってしまう歌です。

【NO.3】紫式部

『 めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲隠れにし 夜半(よは)の月かな 』

意味:久しぶりに会えたのに、あなたかどうかも見分けがつかないうちに急いで帰ってしまって、本当にあなたは雲に隠れてしまった夜の月のようですね。

俳句仙人

手紙もなく急にあなたは急に現れて、急いで帰ってしまうからいつも本当にあなたがどうかと確認する暇もないと少し呆れ気味です。一連の動きが夜であることもあなたと月に見立てていてきれいな印象です。

【NO.4】紀貫之

『 ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ 』

意味:こんなも日の光がのどかにさしこんでいる春の日に、なぜ桜の花は落ち着くことなく散っているのだろうか。

俳句仙人

「ひさたかの」は「光」に掛かる枕詞です。のどかな春の日差しと、はらはらと散っていく桜の花びらを対比しています。こんなにものどかな日なのに、桜が散りやまないのを見て、疑問の形を呈することで花が散っていく悲しみを上手く表現している歌です。

【NO.5】山辺赤人

『 田子の浦に うちいでてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ 』

意味:田子の浦から船を漕ぎ出して仰いで見ると、白い布をかぶったように真っ白い富士の高い嶺に雪が降り積もっている。

俳句仙人

この歌は『万葉集』に富士山を称える長歌があり、その反歌として収録されている歌です。「田子の浦」とは静岡県静岡市に位置していたと思われる海岸で、現在でも富士山を間近に見られます。旅の途中で出会った富士山の威容を称え、どれほど美しく印象に残ったかよくわかる歌です。

 

知っておきたい有名俳句の3選【おすすめ3選】

リス先生
ここでは有名な俳句を取り上げて紹介するよ!

【NO.1】松尾芭蕉

『 古池や 蛙飛びこむ 水の音 』

季語 蛙(春)

意味 古池に蛙が飛び込む水の音が聞こえてきた。

俳句仙人

春になりまだ静かな古寺の庭はシーンとしている情景が思い浮かべられます。そこで「バシャーン」と空間を切るような静から動の動きが見事に表現されています。明るい陽射しと新緑が目に浮かぶようです。

 

【NO.2】小林一茶

『 やせ蛙 負けるな一茶 これにあり 』

季語 蛙(春)

意味 やせた蛙が負けそうに見えるが頑張れ! 私(一茶)もここで応援しているよ。

俳句仙人

この詩が詠まれたときは、オスの蛙二匹がメスの蛙をめぐって争っていたそうです。それを目撃した一茶も思わず応援したくなってしまうほどやせた蛙だったのでしょう。

【NO.3】正岡子規

『 柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺 』

季語 柿(秋)

意味 柿を食べていたら、ちょうど法隆寺の鐘の音も聞こえてきたよ。

俳句仙人

柿を食べている場所は、法隆寺の鐘が聞こえてくる範囲内です。きっと良く晴れた秋の一日なのでしょう。柿の橙色と空の青さのコントラストが目に浮かぶようです。

 

【NO.4】与謝蕪村

『 菜の花や 月は東に 日は西に 』

季語:菜の花(春)

意味:菜の花が咲いているなぁ。月は東から昇り、日は西に沈んでいく。

俳句仙人

与謝蕪村の代表的な一句です。菜の花畑という広大な大地と、月と太陽が同時に見える広い空を想像させるダイナミックな表現で、絵画のような印象を持たせる一句になっています。

【NO.5】中村草田男

『 降る雪や 明治は遠く なりにけり 』

季語:雪(冬)

意味:雪が降っているなぁ。明治はもう遠くなってしまった。

俳句仙人

「や」と「けり」という切れ字が重複しているめずらしい俳句です。この句が詠まれたのは昭和になってからで、既に明治、大正と時代がすぎ、自分の過ごした明治という時代が遠くなってしまったと小学生たちを見て実感しています。

 

【予備知識】川柳と俳句の違い

 

川柳は、俳諧や俳句と同じように連歌から派生した文学です。

 

俳句と同じく五七五の十七音で構成されますが、季語や切れ字を必要とせず、口語を使用するといった明確な違いがあります。

 

また、俳諧や俳句が連歌の最初の五七五である発句から派生したのとは異なり、川柳はその後に付ける七七の「付け句」から派生しました。先に「付け句」を提示し、後から前にある五七五の部分を付け足す「前句付け」が江戸時代に柄井川柳によって提示されます。「川柳」という呼び方は創始者である柄井川柳から来ています。

 

川柳には俳句ほどの厳格なルールがないため、現在でも「サラリーマン川柳」などで多くの句が詠まれています。

 

一例を挙げると、以下のようなものがあります。

「スポーツジム 車で行って チャリをこぐ」

(引用:第一生命サラッと一句!わたしの川柳第31回一位の作品)

 

俳句仙人

川柳は面白さ風刺を込めた作風が多い印象です。

 

さいごに

 

今回は、短歌と俳句の違いを説明させて頂きました。

 

有名な短歌や俳句などは、一回はどこかで耳にしたことがあるかと思います。

 

短歌も俳句も五七調は基本であり、日本人にとって受け入れやすく心にも残りやすいテンポです。

 

この機会に短歌や俳句に目を向けられて見ると、何かの発見につながるかもしれません。ぜひ短歌や俳句作りにも挑戦してみてください。

 

リス先生
最後まで読んでくれてありがとう!

こちらの記事もおすすめ!