【桃の俳句 40選】秋の季語!!桃の実•白桃•水蜜桃などの有名句＆一般俳句作品を紹介

【NO.1】西東三鬼

『 中年や　遠くみのれる　夜の桃 』

季語：桃（秋）

現代語訳：私も中年と言われる年になってしまった。夜の闇の中、遠くのほうに桃が実っている。

【NO.2】百合山羽公

『 桃冷やす　水しろがねに　うごきけり 』

季語：桃（秋）

現代語訳：桃を冷やすために冷たい水の中へ浸すと、その水が白銀のように動いたことよ。

【NO.3】津田清子

『 指ふれし　ところ見えねど　桃腐る 』

季語：桃（秋）

現代語訳：指が当たったところは見えないけれど、桃は腐ってしまっている。

【NO.4】友岡子郷

『 海の夕陽　にも似て桃の　浮かびをり 』

季語：桃（秋）

現代語訳：海に浮かぶ夕陽に似た様子で桃が浮かんでいる。

【NO.5】大木あまり

『 まだ誰の　ものでもあらぬ　箱の桃 』

季語：桃（秋）

現代語訳：まだ誰のものでもない、箱に入った桃がある。

【NO.6】正岡子規

『 病間や　桃食ひながら　李画く 』

季語：桃（秋）

現代語訳：病気になっている時に桃を食べる。しかし食べながら描いているのは李の絵だ。

【NO.7】飯田蛇笏

『 くちふれて　肉ゆたかなる　桃果かな 』

季語：桃（秋）

現代語訳：桃をかじろうとすると、やわらかな果肉が口に当たった。豊かな桃の実だなあ。

【NO.8】夏目漱石

『 姉様に　参らす桃の　押絵かな 』

季語：桃（秋）

現代語訳：姉様に差し上げる桃の押絵の美しいことよ。

【NO.9】鈴木鷹夫

『 後朝(きぬぎぬ)の　ごとく離るる　桃と種 』

季語：桃（秋）

現代語訳：桃を切ると、後朝のように名残惜しげに実と種が離れた。

【NO.10】松尾芭蕉

『 我が衣に　伏見の桃の　雫せよ 』

季語：桃（秋）

現代語訳：私の衣を伏見の桃の雫で染め上げてください。

【NO.11】福田甲子雄

『 川底に　盆供の桃の　とどまれり 』

季語：桃（秋）

現代語訳：川の底にお供え物の桃がとどまっている。

【NO.12】富安風生

『 白桃を　よよとすゝれば　山青き 』

季語：桃（秋）

現代語訳：白桃をずずっとすする。果汁をこぼさないように顔を上向きにすると、山が青々としている。

【NO.13】橋本多佳子

『 白桃に　入れし刃先の　種を割る 』

季語：桃（秋）

現代語訳：白桃に包丁の刃を入れると、刃先が種を割った。

【NO.14】角川源義

『 白桃を　剝くねむごろに　今日終る 』

季語：桃（秋）

現代語訳：白桃を丁寧に剥くと今日が終わった。

【NO.15】森澄雄

『 磧(かわら)にて　白桃むけば　水過ぎゆく 』

季語：桃（秋）

現代語訳：川原で白桃を剥くと川の水が流れ過ぎていく。

【NO.16】福永鳴風

『 白桃の　荷を解くまでも　なく匂ふ 』

季語：桃（秋）

現代語訳：荷解きをするまでもなく桃の香が匂う。

【NO.17】川崎展宏

『 白桃の　皮引く指に　やゝちから 』

季語：桃（秋）

現代語訳：白桃の皮を引っ張って剥く。その指には少し力が入る。

【NO.18】伊藤通明

『 白桃の　思ひの色と　なりにけり 』

季語：桃（秋）

現代語訳：白桃は思いを表す色になったのだなあ。

【NO.19】山口誓子

『 やはらかき　白桃積んで　ペダル踏む 』

季語：桃（秋）

現代語訳：やわらかい白桃を籠に積み、自転車のペダルを踏んで漕ぎだした。

【NO.20】清崎敏郎

『 寄港して　水蜜桃売が　船に来る 』

季語：水蜜桃（秋）

現代語訳：船が港に立ち寄ると、水蜜桃売りが船内にやってきた。

【NO.21】山口誓子

『 水蜜桃を　徒弟が顎に　したたらす 』

季語：水蜜桃（秋）

現代語訳：水蜜桃を徒弟が食べているが、果汁を顎に滴らせている。

【NO.22】加藤楸邨

『 水を出て　白桃はその　重さ持つ 』

季語：白桃（秋）

現代語訳：冷やしていた水の中を出て、白桃はその重さを持った。

【NO.23】高野素十

『 桃青し　赤きところの　少しあり 』

季語：桃（秋）

現代語訳：桃がまだ青い。赤いところも少しだけある。

【NO.24】池田澄子

『 缶詰の　桃冷ゆるまで　待てぬとは 』

季語：桃（秋）

現代語訳：缶詰の桃が冷えるまで待てないうちに亡くなってしまうとは。

【NO.25】星野立子

『 桃食うて　煙草を喫うて　一人旅 』

季語：桃（秋）

現代語訳：桃を食べて、タバコを吸って一人旅をしよう。