秋から冬へと季節が移り変わっていく「11月」。
「11月」の季語は、「もみじ」「どんぐり」「落葉」「七五三」「千歳飴」「木枯らし」「初雪」等、秋から冬へと季節が変わる光景を感じさせる言葉が多くあります。
おはようございます!
今日は11月の季語をひとつご紹介。
『凩』…なんて読むかわかるかな?
正解は『こがらし』だよ!ひえーっ、さむい…! pic.twitter.com/v4UEslIfFl— 無添くら寿司【公式】 (@mutenkurasushi) November 24, 2017
今回は、そんな「11月」の季語を使用したおすすめ俳句作品を36句紹介していきます。
ぜひ俳句作りの参考にしてみてね!
目次
11月の季語を使ったオススメ俳句作品【前編 12句】
【NO.1】
『 せせらぎに 赤のもみじの ふねがいく 』
季語:もみじ(秋)
ゆっくりと小さな水の流れの中を進むもみじのふね。誰かがもみじでふねをつくって流したのでしょう。とても風情がある秋らしい光景ですね。ふねの行先が気になりますね。
【NO.2】
『 落ち葉ふむ いろんな音が 聞こえるよ 』
季語:落ち葉(冬)
地面にたくさん広がっている落ち葉。ついつい踏みたくなってしまいますよね。サクサク・ザクザク・パリパリ、踏むたびにいろいろな音がする。笑顔いっぱいに落ち葉ふみを楽しんでいる作者の様子が目に浮かびます。
【NO.3】
『 昔のかばん 開ければ一つ どんぐりが 』
季語:どんぐり(秋)
久しぶりに使おうとしたかばんの中からどんぐりが一つ。どんぐりをひろって、かばんに入れたのを忘れてしまっていたのでしょう。昔にひろったどんぐりが、懐かしい秋の思い出を運んできてくれたことでしょう。
【NO.4】
『 おでんなべ とろけるほどの 温かさ 』
季語:おでん(冬)
寒い冬の時期のおなべは、心も体もあたたまりますよね。「とろけるほどの」という言葉から、あたたかくて美味しいおでんなべを食べて、笑顔いっぱいで幸せを感じている作者の様子がとてもよく伝わります。
【NO.5】
『 みかん好き すっぱさが好き 色も好き 』
季語:みかん(冬)
みかんが大好きな作者。みかんへの想いが上手に表現されています。とてもテンポが良くリズミカルな言葉が並んでいて、思わず笑顔になるような一句です。最後の「色も好き」がとても可愛らしいですね。
【NO.6】
『 北風で 冷えた指先 隠す袖 』
季語:北風(冬)
痛さも感じるほどの冷たい風。指先が冷たくなってしまっている様子がとてもよく伝わります。指先が冷えないように袖で隠す作者。厳しい冬の寒さを感じます。
【NO.7】
『 ただいまと 部屋に入ると みかんの香 』
季語:みかん(冬)
「ただいま」と家に帰ると、あたたかいお部屋に広がる「みかんの香」。心地良い空間で心が癒されますね。作者の「ただいま」の声に、「おかえり」と笑顔で迎えてくれる家族の姿もみえるような素敵な一句です。
【NO.8】
『 冬の朝 真白き大地 踏みしめる 』
季語:冬の朝(冬)
寒い冬の朝。外に出ると一面真っ白な世界。夜の間に雪が降り積もったのでしょう。まだ誰も踏んでいない大地を「踏みしめる」作者。とてもきれいな言葉が並び、美しい光景がとても上手に表現されています。
【NO.9】
『 温かい 炬燵の中は 足だらけ 』
季語:炬燵(冬)
寒い冬の風物詩ともいえる「炬燵」。この時期ならではの光景ですね。あたたかい炬燵の中に入った瞬間、寒さで冷え固まった体がじわじわととけていきますよね。至福の時なのではないでしょうか。「足だらけ」というのも冬の風物詩かもしれないですね。
【NO.10】
『 放課後の 楽しみとする 冬夕焼 』
季語:冬夕焼(冬)
「冬夕焼」とは、冬の時期の夕焼けのことで、時間はとても短いですが、とても色鮮やかに染まり、とても美しい光景です。冬の時期は暗くなるのが早いので、放課後なかなかゆっくりと過ごすことはできないですが、「冬夕焼」を見ることができるのはとても幸せな時間ですよね。
【NO.11】
『 冬の朝 真っ先に見る 窓の外 』
季語:冬の朝(冬)
朝、起きてすぐにカーテンを開けて見えた外の景色はどのようなものだったのでしょうか。きっと美しい真っ白な世界が広がっていたのではないでしょうか。窓の外の景色を楽しみにしていた作者の想いが伝わります。
【NO.12】
『 マフラーの ぬくもりの中 待ちぼうけ 』
季語:マフラー(冬)
冷たい風が吹き、とても寒い中、誰かを待っている作者。もこもこのあたたかいマフラーに包まれ、寒さをしのぐ姿が目に浮かびます。マフラーのぬくもりだけが頼りの中、「はやくきて」という作者の心の声が聞こえてきます。
11月の季語を使ったオススメ俳句作品【中編 12句】
【NO.1】
『 七五三 小さな唇 紅をひく 』
季語:七五三(冬)
七五三のお祝いの様子ですね。可愛らしい着物をきて、お化粧をして…微笑ましい光景が目に浮かびます。「小さな唇」に初めての「紅」。どのような感想をもったのか、聞いてみたいですね。
【NO.2】
『 北風が 真っ赤なほほに つきささる 』
季語:北風(冬)
寒さで真っ赤になっている作者の頬。そこに、さらに「北風」がやってきて寒さに包まれてしまった様子が上手に表現されています。「つきささる」という言葉から、気温が低く、冷たい風でとても寒いことがとてもよく伝わります。
【NO.3】
『 本を読む しおりがわりの もみじかな 』
季語:もみじ(秋)
読書を楽しんでいる作者。しおりがわりにもみじを使っているのでしょうか。もしかしたら、読書中にひらひらともみじが本の間に落ちたのかもしれませんね。もみじのしおり、素敵ですね。
【NO.4】
『 下校中 風で飛んでく 落ち葉かな 』
季語:落ち葉(冬)
学校からの帰り道、風に吹かれて飛んでいく落ち葉。今まさに木から落ちたのか、それともすでに落ちている葉が舞っているのか。たくさんの落ち葉が風にのって飛んでいく光景はこの時期ならではですよね。落ち葉はどこに行こうとしているのでしょうか。
【NO.5】
『 どんぐりが 森の坂道 かけおりる 』
季語:どんぐり(秋)
森の中でどんぐりがころんと木から落ちる。すると、そのままころころ森の中を転がっていく、そのような光景を「かけおりる」と表現しています。絵本の世界のような可愛らしい句ですね。
【NO.6】
『 霜柱 わざわざ戻る 踏みたくて 』
季語:霜柱(冬)
「霜柱」を見つけると思わず踏みたくなってしまう…皆、きっと想いは同じなのではないでしょうか。「わざわざ戻る」というのがとても微笑ましいですね。あ!霜柱だ!と嬉しそうに笑顔いっぱいで、来た道を戻る作者の可愛らしい姿が想像できます。
【NO.7】
『 冬の朝 ノートの文字が ふるえてる 』
季語:冬の朝(冬)
朝、登校してすぐの時間の授業なのでしょうか。「ノートの文字が」ふるえてしまうほど、外が寒かったのでしょう。とても上手な表現で、寒い冬の朝の光景がよく伝わります。
【NO.8】
『 ストーブを 求め図書室 集ひけり 』
季語:ストーブ(冬)
図書室にストーブがあるのでしょう。あたたかいストーブを求めて図書室へ行ってみたら皆も来ていた、そのような微笑ましい光景が想像できます。心がほっこりする一句です。
【NO.9】
『 おかえりの 声でマフラー そっと解く 』
季語:マフラー(冬)
冷たくて寒い帰り道。やっと家に着き、「おかえり」の言葉に迎えられる作者。優しくてあたたかい「おかえり」に、心も体もふわっとあたたかくなりますね。「そっと解く」という言葉がとても美しいです。
【NO.10】
『 足もとに 霜柱なる 楽器あり 』
季語:霜柱(冬)
サクサク・ザクザク…霜柱の音は楽しいですよね。踏むのも楽しい、音も楽しい。この時期にしか味わうことができない楽しみなのではないでしょう。霜柱を「楽器」と表現している作者のセンスが素晴らしいです。。
【NO.11】
『 大根が おいしくできた ゆうごはん 』
季語:大根(冬)
冬の大根は甘くてとろとろで美味しいですよね。作者が「ゆうごはん」を準備したのでしょうか。「おいしくできた」の一言がとても可愛らしいですね。きっと皆が、美味しい!と喜んで食べてくれたのではないでしょうか。
【NO.12】
『 生徒たち 朝の登校 息白し 』
季語:息白し(冬)
朝の登校時間の様子を詠んでいます。寒い冬の時期ならではの光景ですね。生徒たちの吐く息が白くなるほどの寒さであることがとてもよく伝わります。
11月の季語を使ったオススメ俳句作品【後編 12句】
【NO.1】
『 手ぶくろに ゆびの家族が すんでいる 』
季語:手ぶくろ(冬)
おとうさんゆび・おかあさんゆび・お姉さんゆび・お兄さんゆび・あかちゃんゆび。5人家族が一緒に仲良く暖まりながら住んでいる。絵本の世界のような、とても夢のある可愛らしい一句です。作者の想像力が素晴らしいです。
【NO.2】
『 焼き芋を 家族皆で はふはふと 』
季語:焼き芋(冬)
寒い時期の「焼き芋」は格別ですよね。甘くてほくほくの美味しい焼き芋。家族皆で買いに行ったのでしょうか。それともお家でつくったのでしょうか。「はふはふと」という言葉から、家族のあたたかいつながりを感じ、こちらも幸せな気持ちになります。
【NO.3】
『 家までは 待てぬコロッケ 小春空 』
季語:小春(冬)
家まで食べるのが待てないなぁとホカホカのコロッケを頬張っている様子を詠んでいます。小春という暖かさも食べ歩きにはちょうど良かったのでしょう。
【NO.4】
『 立冬の 朝に茶粥を 食うてをり 』
季語:立冬(冬)
立冬の寒い朝にお茶がゆを食べているという、寒い朝と暖かい茶粥の対比です。夏では暑くてなかなか食べられませんが、朝がヒンヤリしてくる頃にはご馳走のような温かさでしょう。
【NO.5】
『 陽だまりを 探しあぐねて 立冬に 』
季語:立冬(冬)
立冬という冬の始まりの日が曇っていたのか、暖かい陽だまりを探しあぐねている様子を詠んでいます。探しているのは作者なのか、実はお昼寝の場所を探している猫のような小動物なのか、想像が広がる句です。
【NO.6】
『 パンと紅茶 浅漬けつまみ 出かける娘 』
季語:浅漬け(冬)
パンと紅茶という洋食に、浅漬けをつまんで学校へ慌ただしく出かけていく様子を詠んでいます。娘の朝食は洋風なので、つままれた浅漬けは両親のものかもしれません。
【NO.7】
『 木枯しで 二人の髪が 笑えるかたち 』
季語:木枯し(冬)
木枯らしが吹いたことで髪が乱れ、笑える形になってしまったと面白がっています。木枯らしが吹く度に子供たちがはしゃいでいる様子が浮かんでくるようです。
【NO.8】
『 ざくりと 初霜を踏み 笑う子ら 』
季語:初霜(冬)
霜柱は見かけるとどうしても踏んでザクザクと音を立てたくなります。今年初の霜柱をザクリと潰して嬉しそうに子供たちが遊んでいる様子です。
【NO.9】
『 参道を 飴をぶら下げ 七五三 』
季語:七五三(冬)
七五三といえば千歳飴の思い出がある人も多いでしょう。時期になると普通に神社でも売っているので、懐かしくて買っている人もいます。そんな飴をぶら下げて歩く人達を、七五三のお祝いに来たご家族かなと観察している一句です。
【NO.10】
『 たましひは かくも軽やか 綿虫舞ふ 』
季語:綿虫(冬)
綿虫は雪虫とも呼ばれる小さな綿のような虫です。フワフワと舞うような綿虫の軽やかさを魂に例え、こんなにも軽いものなのかと幻想的な風景を見守っています。
【NO.11】
『 山茶花の 花びら肩に 連れ歩く 』
季語:山茶花(冬)
山茶花の花びらが肩に乗ったままだったのでしょう。椿と山茶花はよく間違えられますが、山茶花は花びらが一枚ずつ散り、椿は花ごと落ちます。
【NO.12】
『 帰り花 うっかりミスは 誰にでも 』
季語:帰り花(冬)
帰り花とはまだ春では無いのに暖かさに釣られて咲いてしまった花のことです。うっかりミスと例えて誰にでもあるよねと慰めるようなユーモラスな句になっています。
以上、11月に関するオススメ俳句作品集でした!
今回は、11月のおすすめ俳句作品を36句紹介しました。
秋が深まり、紅葉シーズンとなる11月初旬…。北の方からは初雪の便りも届き始める時期です。
「11月の季語」というと難しく感じるかもしれませんが、普段の生活の中で感じるものや周りの風景等から見つけることもできます。
「11月」の季語はどのようなものがあるのか、是非見つけてみてください。