日光は栃木県にある観光地で、日光東照宮や二荒山神社などが世界遺産に指定されています。
関東近郊では小学生の修学旅行先として有名なため、著名人だけでなく多くのオリジナル俳句も詠まれています。
ここで一句。上野東照宮の牡丹園にて。 pic.twitter.com/6NBOQYHgsB
— きしめん (@kishimen414) January 2, 2014
馴染みある 日光山に 別れ告げ
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— 悠汰 (@moomin19820707) December 2, 2016
今回は、日光を題材にしたおすすめ俳句を20句ご紹介します。
日光を題材にした有名俳句【10選】
【NO.1】松尾芭蕉
『 あらたふと 青葉若葉の 日の光 』
季語:青葉若葉(夏)
意味:ああなんと尊いことだ。初夏の青葉や若葉が茂る日の光があたる日光よ。
「日の光」には太陽の光と日光という地名が掛けられています。この句は『おくのほそ道』の旅で日光に訪れた際に詠まれました。
【NO.2】松尾芭蕉
『 しばらくは 滝にこもるや 夏の初 』
季語:夏の初(夏)
意味:しばらくはこの裏見の滝にこもろうか、夏の初めの勤行として。
ここで詠まれている滝は現在有名な華厳の滝ではなく、「裏見の滝」という滝です。僧侶は夏の初めに修行としてこもることがあり、ここでしばらく涼もうかというユーモアも交えた句になっています。
【NO.3】河合曽良
『 剃り捨てて 黒髪山に 衣更 』
季語:衣更(夏)
意味:この旅のために髪を剃り捨てたが、黒髪山と呼ばれる男体山に衣替えの日に到着したことだ。
この句の作者は、松尾芭蕉の『おくのほそ道』の旅に同行する際に剃髪しています。そんな作者がちょうど衣替えの頃に、黒髪山とも呼ばれる男体山に訪れたことに面白さを感じている句です。
【NO.4】与謝蕪村
『 二荒や 紅葉が中の 朱の橋 』
季語:紅葉(秋)
意味:なんと美しい二荒山だろう。紅葉の中の赤い神橋よ。
二荒山の紅葉の美しさと、その紅葉にも負けない真っ赤な橋を称えた句です。二荒山神社に向かうための神橋は現在でも赤い色であり、江戸時代から変わっていません。
【NO.5】正岡子規
『 灯のともる 東照宮や 杉の雪 』
季語:雪(冬)
意味:杉に雪が降り積もる中で、灯がともっている東照宮よ。
灯がともっていることから辺りは暗く、白い雪と黒く見える杉並木が浮かんできます。そんな中でぼんやりと照らし出される東照宮はさぞ美しかったことでしょう。
【NO.6】正岡子規
『 夏山や 万象青く 橋赤し 』
季語:夏山(夏)
意味: 夏の山だなぁ。全てが青く感じる中で、この神橋は真っ赤に塗られている。
ここで読まれている橋とは、二荒山神社に向かう途中に掛けられている「神橋」という橋です。この橋は真っ赤に塗られていて、多くの著名人が訪れています。
【NO.7】川端茅舎
『 牡丹雪 陽明門を かくし得ず 』
季語:牡丹雪(春)
意味:牡丹雪が降ってきた。大きい雪の塊でもこの美しい陽明門を隠すことはできない。
「牡丹雪」とはふわふわとした大きい塊で降ってくる雪のことです。大きな雪の塊が降っても陽明門の絢爛さは隠せないという感嘆の句になっています。
【NO.8】山口青邨
『 日光は 紅葉を葺いて 祭かな 』
季語:紅葉(秋)
意味:日光のこの地は、紅葉を屋根のように葺いて祭りを行っているよ。
日光の山々が屋根に紅葉を葺いているように美しく染まった中で、祭りが行われています。「祭」は夏の季語ですが、ここでは紅葉していることが強調されているため季語は「紅葉」の方になります。
【NO.9】野村喜舟
『 六月や 日光はよき 杉並木 』
季語:六月(夏)
意味:六月だなぁ。日光はよい杉並木が並んでいる。
初夏から梅雨にうつる六月は、杉並木の杉の香りを良く感じられたことでしょう。美しい杉並木と良い香りに、いい時期に訪れたと喜んでいるような句です。
【NO.10】中村草田男
『 日光の 梅雨をぐっすり 眠り猫 』
季語:梅雨(夏)
意味:日光の東照宮に梅雨が降り注いでいる。そんな中でぐっすりと眠っている眠り猫よ。
眠り猫は日光東照宮にある彫り物の一つで、その名の通り眠っている猫です。どんなに梅雨の雨音が響こうとも、ぐっすりと眠っている姿に平穏を感じています。
日光を題材にした一般俳句ネタ【10選】
【NO.1】
『 春の今 華厳の滝は 虹の滝 』
季語:春(春)
意味:春になった今、華厳の滝には虹がかかっている。
春の華厳の滝を詠んだ一句です。春の日差しを浴びて、滝つぼに落ちる水しぶきが虹をかけている様子が浮かんできます。
【NO.2】
『 秋晴れの 戦場ヶ原 かも三羽 』
季語:秋晴れ(秋)
意味:秋晴れの戦場ヶ原の湿原にカモが三羽歩いている。
「戦場ヶ原」とは日光にある標高の高い湿原です。散策路が通っていて、散策しているとカモが三羽同じように歩いているのを見かけた句になっています。
【NO.3】
『 五月雨や 霧にまみれる いろは坂 』
季語:五月雨(夏)
意味:五月雨が降っているなぁ。いろは坂の木々も霧にまみれるようにおぼろげだ。
修学旅行中に運悪く雨が降ってきたときの一コマです。いろは坂はバスで通りますが、まるで真っ白なガスの中を曲がりくねって進んでいたことでしょう。
【NO.4】
『 眠り猫 五月雨の中 見つけたよ 』
季語:五月雨(夏)
意味:東照宮にいる眠り猫を、五月雨が降って見えにくい中で見つけたよ。
「眠り猫」は有名ですが、よく見ないと見つけることができません。雨が降っていようとお構い無しに眠る姿を見つけて喜んでいる気持ちを感じます。
【NO.5】
『 きりの中 若葉を見ると 男体山 』
季語:若葉(夏)
意味:霧の中で若葉が出ているなぁと見やると、そこにあったのは男体山だった。
男体山は2000mをこえるとても高い山のため、霧の中でもよく目立ったことでしょう。霧の中に大きな山があると気がついたときの衝撃が伺えます。
【NO.6】
『 バスの窓 紅葉映る 東照宮 』
季語:紅葉(秋)
意味:バスの窓に紅葉が映る東照宮への道だ。
秋の修学旅行でバス移動しているときの様子です。反射で映りこんだ紅葉と、窓の外に広がっている紅葉で、色とりどりの窓の色になっていたことでしょう。
【NO.7】
『 新そばや 日光に続く 杉並木 』
季語:新そば(秋)
意味:新そばの香りがするなぁ。日光に続くこの杉並木よ。
秋といえば新そばを連想する人も多いでしょう。日光にはそば街道と呼ばれる地域もあるほど名産地のため、杉並木を進んでいけばおそばが食べられる、という期待を感じる句です。
【NO.8】
『 花見ざるとは 言わざるべきか 東照宮 』
季語:花(春)
意味:花を「見ざる」とは「言わざる」べきなのだろうか、東照宮の見事な花よ。
「見ざる」「言わざる」「聞かざる」の三猿になぞらえている一句です。見事な花を見ないわけにはいかないだろうというユーモアを感じます。
【NO.9】
『 思い出の 絶景もみじ 滝の声 』
季語:もみじ(秋)
意味:修学旅行の思い出の、絶景のもみじとごうごうと音を立てる滝の音だ。
紅葉の絶景と滝の音という視覚と聴覚の思い出を詠んだ句です。ふだん一面の紅葉や大きな滝がない場所に住んでいるため、より強い印象を抱いている様子が伺えます。
【NO.10】
『 五月雨や 湯の湖にひびく 雨の音 』
季語:五月雨(夏)
意味:五月雨が降っているなぁ。湯の湖に雨が打ち付ける音が響いている。
「湯の湖」とは戦場ヶ原へのハイキングの起点であり、湯滝などの見どころもある観光名所です。その名の通り温泉の源泉も流れ込んでいて、湯という漢字と冷たい雨が降っている様子を面白がっています。
以上、日光を題材にしたオススメ俳句でした!
今回は、日光を題材にした有名な俳句とオリジナル俳句を10選ずつ紹介してきました。
修学旅行シーズンが夏が多く、全体的に夏の俳句が多かった印象です。
日光は東照宮だけでなく男体山や二荒山神社など多くの見所がありますので、訪れた際に一句詠んでみてはいかがでしょうか。