【鳴門見て讃岐麦秋渦をなす】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞・作者など徹底解説!!

 

俳句は十七音を活かすために、様々な工夫を凝らします。言葉の選定や独特な表現を使うことで、読み手が想像を巡らせます。

 

日本には、これまでに多くの俳人によって詠まれた作品が今尚残されています。

 

今回は数ある名句の中から「鳴門見て讃岐麦秋渦をなす」という句をご紹介します。

 


本記事では、「鳴門見て讃岐麦秋渦をなす」の俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞・作者について解説させていただきます。

 

「鳴門見て讃岐麦秋渦をなす」の季語や意味・解釈

(鳴門の渦潮 出典:Wikipedia

 

鳴門見て 讃岐麦秋 渦をなす

(読み方 : なるとみて さぬきばくしゅう うずをなす)

 

こちらの句の作者は、「森澄雄(もり すみお)」です。大正生まれ、昭和・平成に活躍した長崎出身の俳人です。

 

この句は作者が鳴門海峡の渦潮を目の前にした時に、讃岐麦秋の情景を思い出して詠んだ作品です。

 

季語

こちらの俳句の季語は「麦秋」で、季節は「夏」を表しています。

 

「麦秋」は、秋と季節を表現する言葉がついていますが、「麦の穂が実って収穫する時期=初夏」のため「夏」を表す季語となります。

 

意味&解釈

こちらの句を現代語訳すると・・・

 

「鳴門を見て讃岐の秋麦畑が渦をなしている」

 

作者は鳴門海峡の渦潮を見た時に、讃岐の麦秋畑が渦を巻くように風にたなびいている様子を想い出して詠んでいます。

 

つまり、「讃岐麦秋の穂が風により渦巻く様子が、鳴門の渦潮と同じようである」と表現しているのです。

 

鳴門海峡が力強く渦巻く様子、そして讃岐の麦秋畑の今まさに収穫期の黄金色の穂が、風になびきを円を描くように渦巻いている情景を力強く感じる作品です。

 

「鳴門見て讃岐麦秋渦をなす」の表現技法

比喩(暗喩)

暗喩法とは、「〜ようだ」「〜ごとく」などの表現を使用せず「AはBだ」と物事を例える技法です。

 

こちらの作品では「讃岐麦秋」の部分が比喩(暗喩)です。

 

こちらでは「以前訪れた讃岐麦秋畑が風に渦巻く様子が鳴門の渦潮に似ている」と詠んでいます。

 

暗喩を用いることで、作者の見た光景を読み手がイメージしやすいようになっています。

 

「鳴門見て讃岐麦秋渦をなす」の鑑賞

 

多くの人が鳴門海峡の渦潮を見学したことがあっても、讃岐の麦秋畑には足を運ばれた方はそれほどいないのではと思います。

 

そのような方達にとって讃岐麦秋畑の情景は想像しづらいものですが、こちらの作品を知ることで「風に吹かれて麦秋畑がたなびく情景は、まるで鳴門の渦潮のようなのだな」と想像できます。

 

それほどに風の力が強く、穂に実をつけ重い麦秋が今にも倒れんばかりに渦を巻いて風にたなびく様子が伝わってきます。

 

写実的な俳句であり、かつ自然の力強さを感じる作品です。

 

渦潮の壮大な情景、まさに収穫期を迎えた讃岐麦秋畑の風景が目に鮮やかに浮かびます。

 

作者「森澄雄」の生涯を簡単にご紹介!

 

森澄雄(もり すみお)は、1919年2月28日に兵庫県姫路市内で生まれ、幼少期は長崎県長崎市内で暮らしていました。父は歯科医であり、俳人でもありました。

 

澄雄氏は、1942年に九州帝国大学法文学部に進学するものの戦争に招集されます。戦後は佐賀県内の高等学校にて教員として勤め、同僚の女性と結婚しました。その後上京し、都内の高等学校にて教鞭を取っていたと言われています。

 

父の影響により句作をはじめ、学生時代は松瀬青々門の野崎比古に師事する他、「馬酔木」にて活動。1940年に加藤楸邨(かとう しゅうそん)主宰の『寒雷』に参加し、指導を受けます。

 

第1回寒雷暖響賞受賞、1954年に第一句集『雪礫』、1970年『杉』を創刊しました。

 

日本芸術院会員、読売俳壇選者としても37年に渡り活躍。2010年肺炎により91歳で逝去しました。

 

森澄雄のそのほかの俳句

 

  • 雪国に子を生んでこの深まなざし
  • 除夜の妻白鳥のごと湯浴みをり
  • 白をもて一つ年とる浮鷗
  • ぼうたんの百のゆるるは湯のやうに
  • 西国の畦曼珠沙華曼珠沙華
  • 億年のなかの今生実南天
  • 木の実のごとき臍もちき死なしめき
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