「修学旅行」は、さまざまな学校行事の中で、学校生活の締めくくりともいえるメインイベントです。
今回は、「奈良」への修学旅行の思い出を題材にした俳句作品を30句紹介していきます。
今、修学旅行で奈良に来てるよ〜😍#修学旅行#奈良#しか pic.twitter.com/CoKDekF2fj
— やすださんちのきょうか(超低浮上) (@eight_kyoka0824) December 17, 2016
奈良について詠んだ学生向け俳句作品集【前編10句】
【NO.1】
『 新緑の 香り漂う 法隆寺 』
季語:新緑(夏)
新緑とは、初々しい若葉の緑のことをいいます。夏のはじめの頃に修学旅行で法隆寺に行ったのでしょう。清々しくさわやかな気候の中で、若葉の香りが心地良く感じたのではないでしょうか。
【NO.2】
『 大仏が 笑顔で見守る 春の旅 』
季語:春(春)
春の暖かな時期の修学旅行なのでしょう。大仏を見に行った作者。大仏が自分たちの旅行を見守ってくれているようなあたたかで優しい穏やかな表情に見えたのでしょう。楽しい修学旅行になりますように、とずっと願ってくれていたかもしれませんね。
【NO.3】
『 夏の日に 歴史感じる 東大寺 』
季語:夏(夏)
夏の時期に東大寺へ修学旅行に行った作者。荘厳な雰囲気に、東大寺の長い歴史を感じたのでしょう。夏の暑さも忘れてしまうくらいに圧倒されたかもしれませんね。
【NO.4】
『 僕と鹿 木陰で座りて 寺見ゆる 』
季語:鹿(秋)
「僕と鹿」ではじまるとても可愛らしい句です。作者と鹿が、お寺をゆっくりと眺めながら、のんびりと木陰に座っている様子が目に浮かびます。穏やかな時間を感じる一句です。
【NO.5】
『 秋風や 大仏さんも ほっとする 』
季語:秋風(秋)
暑い夏の時期を過ぎ、少し秋の気配を感じられるようになってきた頃でしょうか。夏の強い日差しがずっとあたっていた「大仏さん」を心配している作者の優しさを感じます。「ほっとする」は、大仏さんと作者の想いのように感じます。
【NO.6】
『 鹿の子と 日陰で休む 私たち 』
季語:鹿の子(夏)
可愛らしい鹿の赤ちゃんがたくさんいたのでしょう。鹿も厳しい暑さにまいっていたのかもしれませんね。「私たち」という言葉に、作者と友達だけでなく、鹿も含まれているのが可愛らしいです。
【NO.7】
『 蜂たちも 寺の桜を 散策す 』
季語:桜(春)
春の暖かな陽気に誘われて、たくさんの蜂も美しい桜を見に来たのでしょう。春の時期の修学旅行では、美しい満開の桜も鑑賞することができるので良いですね。時折、桜の花びらが舞う中を歩く作者の姿が想像できます。
【NO.8】
『 鹿せんべい 笑顔はじける 鹿の子かな 』
季語:鹿の子(夏)
奈良公園の鹿に「鹿せんべい」をあげたのでしょう。きっとたくさんの修学旅行生から「鹿せんべい」をもらっていると思いますが、それでもやはり鹿の赤ちゃんたちは嬉しくて仕方ないのでしょう。そんな可愛い姿をみて、作者も笑顔いっぱいになったかもしれませんね。
【NO.9】
『 新緑の 森に大仏 鎮座する 』
季語:新緑(夏)
美しい若葉が茂る頃。緑の中に見える「大仏」の姿に圧倒され、厳かな気持ちになったのではないでしょうか。「鎮座する」という言葉から、じっと静かに座る大仏の大きさを感じます。言葉がとても美しい一句です。
【NO.10】
『 春探し 風と旅する 法隆寺 』
季語:春(春)
春の穏やかな風は気持ちが良いです。暖かな風が吹く中、法隆寺へ行った作者。「風と旅する」という言葉がとても美しくきれいです。修学旅行がとても充実したものだったことを感じます。
奈良について詠んだ学生向け俳句作品集【中編10句】
【NO.11】
『 鹿の子の 瞳に映る 笑顔かな 』
季語:鹿の子(夏)
奈良公園にたくさんいる鹿。その鹿の「瞳に映る」のは、作者たちの姿です。きっと、楽しくて嬉しくて笑顔があふれていたのではないでしょうか。そのような姿を見た鹿の赤ちゃんたちも幸せな気持ちになり笑顔になったかもしれませんね。
【NO.12】
『 大仏の 足元に吹く 桜風 』
季語:桜(春)
春の時期の修学旅行でしょうか。春の穏やかな風が吹き、その風にのって、大仏の周りに桜が舞っているような、とても美しい光景が目に浮かびます。大仏の顔も、表情が和らぎ穏やかになったのではないでしょうか。
【NO.13】
『 薬師寺の 塔にたたずむ 赤とんぼ 』
季語:赤とんぼ(秋)
薬師寺の塔にたたずむ赤とんぼ。夏から秋へと季節が変わり、木々や葉が美しく色づき始めているような美しい光景が目に浮かびます。絵葉書になりそうな素敵な光景です。
【NO.14】
『 奈良の町 風がそよそよ 青葉舞う 』
季語:青葉(夏)
修学旅行中は、自由時間もとても楽しい時間ですよね。奈良の町を散策する作者。とても清々しい気持ちの良い気候であることを感じます。「風がそよそよ」という言葉が良いアクセントになっているように思います。
【NO.15】
『 奈良公園 炎昼の中 鹿を見る 』
季語:鹿(秋)
炎昼とは、真夏の昼間のことをいいます。とても厳しい暑さの中での修学旅行だったことがとてもよく伝わります。暑さで少々お疲れ気味の作者の姿が想像できます。奈良公園の鹿たちも暑かったかもしれませんね。
【NO.16】
『 五月雨の しぶきにけむる 法隆寺 』
季語:五月雨(夏)
五月雨とは、五月頃に降る長く続く雨のことをいいます。強く降ったり弱く降ったりする中で見に行った法隆寺。雨のしぶきでけむっているようにみえたのでしょう。言葉の選び方や表現が美しくとても素晴らしいです。
【NO.17】
『 触れそうで 触れられぬなり 鹿の子よ 』
季語:鹿の子(夏)
奈良公園の鹿は人に慣れていると言われていますが、やはり野生動物ですので怖いものです。鹿の赤ちゃんならもしかして触れるかな…と、作者は思ったのかもしれませんね。鹿の赤ちゃんの前でそっと手を伸ばしながら葛藤している作者の姿が想像できます。
【NO.18】
『 大仏殿を 仰ぐ人並み 春の風 』
季語:春の風(春)
東大寺大仏殿は、世界に誇る木造巨大建築といわれています。世界最大の大仏殿を見る人の多さがとても上手に表現されています。春の穏やかな風に吹かれながら見上げる大仏殿の大きさを感じる一句です。
【NO.19】
『 奈良のまち 二月堂から 秋探し 』
季語:秋深し(秋)
東大寺二月堂には、大きなバルコニーのような形で外側に建物がせり出している「舞台」があります。奈良の町を一望できるこの場所で、作者は美しい風景を楽しんでいるのでしょう。「秋探し」という言葉から、季節が移ろう中で、さまざまな風景の色合いが変わり始めている様子を感じます。
【NO.20】
『 春風に 奈良の大仏 ほほえんだ 』
季語:春風(春)
春の時期の修学旅行は、穏やかな気候で、天候に左右されることも少ないので良いです。暖かく柔らかで心地良い春の風に、大仏の顔も和らいだのかもしれませんね。きっと作者たちの旅が楽しいものになるよう見守ってくれていることでしょう。
奈良について詠んだ学生向け俳句作品集【後編10句】
【NO.21】
『 五月雨が 子規の句碑洗ふ 法隆寺 』
季語:五月雨(夏)
法隆寺といえば正岡子規の「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」が有名です。その句碑を洗い流すかのように五月雨が降り続いている様子を詠んでいます。季節が違うだけで違う風景を見せる法隆寺を詠んだ一句です。
【NO.22】
『 子規の句を 口ずさみつつ 柿落葉 』
季語:柿落葉(冬)
子規の「柿食えば」の句を口ずさみながら、柿の木の落ち葉を眺めています。こちらは秋ではなく冬の句で、柿の実ではなく柿の落ち葉という対比を意識している一句です。
【NO.23】
『 室生寺や 二十三夜の 月清し 』
季語:二十三夜(秋)
「二十三夜」とは午前0時頃に上り始める下弦の月で、真夜中の月とも呼ばれています。この句は二十三夜の月を眺めているため、深夜の室生寺で空を眺めている様子を詠んだ句です。
【NO.24】
『 東大寺 慈悲の目深し 袋角 』
季語:袋角(夏)
「袋角」とは春に角が生え変わった際にできる小さな角です。角が新しく生えてきた鹿たちを東大寺の大仏が慈悲深く見守っているようだと感じている句になります。
【NO.25】
『 秋気澄む 天平行列 練り歩く 』
季語:秋季澄む(秋)
「天平行列」とは平城宮跡で行われるイベントで、奈良時代の貴族たちの装束を着た行列が練り歩きます。中でも東大寺まで練り歩く行列が秋に行われており、この句はその様子を詠んだ一句です。
【NO.26】
『 慎ましき 奈良の都や 藤の花 』
季語:藤の花(春)
奈良の都に慎ましい藤の花が咲いていると詠んでいます。奈良で春の花と言われて連想するのは吉野の桜でしょうが、ここでは藤の花が詠まれためずらしい句です。藤の花は決して地味な花ではありませんが、吉野の桜と対比して「慎ましき」と表現しているのでしょう。
【NO.27】
『 白味噌の 香る芋粥 奈良しぐれ 』
季語:しぐれ(冬)
この句は春日大社で供される万葉がゆを詠んでいます。万葉がゆは月によって内容が変わっていて、冬の始まり頃は白味噌と長芋の芋粥が楽しめます。この句では時雨の降る肌寒さと芋粥の温かさを対比した一句です。
【NO.28】
『 春鹿に 乞われて渡す ものぞなき 』
季語:春(春)
奈良公園の鹿と言われれば鹿せんべいが思い浮かぶ人が多いでしょう。しかし、この時の作者は鹿せんべいを持っておらず、餌を求めてやってきた春の鹿たちに何もあげられないなぁと残念がっています。
【NO.29】
『 鹿の角 奈良の都の 道に落ち 』
季語:鹿の角/落し角(春)
鹿の角は春になると生え変わります。生え変わって落ちた立派な角が道に落ちているのが風物詩になるほど奈良という土地と鹿が縁深いのだとしみじみと感じている一句です。
【NO.30】
『 人力の 車夫儚げな 古都の夏 』
季語:夏(夏)
奈良は散策の際に人力車を使用できます。しかし、少しシーズンが早かったのか夏とはいえ観光客が少なく、車夫が寂しげに立っている様子を「儚げ」と表現しています。日差しを避けるために日陰にいたのかもしれませんね。
以上、奈良について詠んだおすすめ俳句作品30選でした!
現在は修学旅行の思い出として、「俳句集」をつくる学校も多いです。
奈良で過ごした時間を17文字にのせる…。楽しい思い出がたくさんあり、17文字にまとめるのはなかなか難しいかもしれません。
しかし、皆さんの共通の想いは、やはり「友達と過ごした奈良は最高だった!」なのではないでしょうか。
友達と一緒に過ごした時間は、最高の思い出であり、宝物です。ぜひ心を込めて一句詠んでみてください。