【俳句の句割れとは】簡単にわかりやすく解説!!意味や効果・俳句例など

 

俳句では、文節を分ける『切れ目』のことを「区切り」と呼び、その使い方によって枝分かれしていきます。

 

区切りの使い方などによって様々な呼び方がありますが、そのうちの一つとなるものが「句割れ」になります。

 

今回は、この「句割れ」の意味や効果などについて簡単にわかりやすく解説していきます。

 

リス先生
ぜひ参考にしてみてね!

 

俳句の句割れとは?簡単にわかりやすく解説

 

「句割れ」とは、文節の途中(上の句の途中、中の句の途中、下の句の途中のいずれか)で意味が分かれるように区切った切れ目のことを言います。

 

実際に句を見て句割れの位置を確認してみましょう。

【例】中村草田男(なかむら-くさたお)

『 万緑の(5音) 中や吾子の(7音) 歯生え初むる(5音) 』

句割れの位置:万緑の中や(8音)/ 吾子の歯生え初むる(9音)

季語:万緑(夏の季語)

意味:辺り一面に青葉が生い茂る緑が眩しい夏の真っ盛り。すくすくと成長している我が子の歯が生えそろってきました。

 

リズムを変調させながら文節に切れ目を作る「句割れ」には、一拍置くことでアクセントをつけるという効果があります。そのアクセントによって、伝えたい情景や情緒に読み手を誘導し、じんわりとイメージが浸透していくように印象づけることができるでしょう。

 

句割れについて、もう少し詳しく解説

句割れを詳しく学ぼうとすると、まずはどうしても「句の構成」と「句切れ」について知っておく必要があるでしょう。

【基本的な句の構成】

俳句は、17音(5音7音5音)で構成されており、最初の5音を「上の句(初句)」、次の7音を「中の句(二句)」、最後の5音を「下の句(三句または結句)」と呼びます。

【例】古池や(初句:5) 蛙飛び込む(二句:7) 水の音(結句:5)

【句切れの種類】

句切れとは、切れ目のことです。

リズム感や意味合いに切れ目を作ることで一拍置くための役割を担っています。型式には、「初句切れ」「二句切れ」「中間切れ」「句切れなし」の4種類があります。

  • 初句切れ:上の句の最後に切れ目があります
  • 二句切れ:中の句の最後に切れ目があります
  • 中間切れ:中の句の途中に切れ目があり、その前後で意味が分断されています
  • 句切れなし:下の句の最後に切れ目があります(切れ目が全くないものも句切れなしです)

 

上記の型式のうち、「中間切れ」が「句割れ」の手法の一つです。

※本来の「句割れ」における文節の切れ目は、中の句のみに限定されるわけではありません。上の句でも中の句でも下の句でも、どこで区切っても大丈夫です。

※中の句に文節の切れ目があり、前後の意味が分断されている句のことを限定して、「中間切れ」と呼んでいます。

 

知っておきたい!句割れの見つけ方

 

上の句の途中、中の句の途中、下の句の途中、いずれかの途中で文節が区切られていて、切れ目の前後で意図する意味が違うものが「句割れ」です。

 

文章を区切るときに用いられる句読点は、皆様もご存知ですよね。俳句においても、「句点」がどこにあるかを意識すると「句割れ」を見つけやすいでしょう。

 

※文節の切れ目となる箇所に「句点(。)」をつけて違和感がなければ、それが「句割れ」です。

 

句割れと句またがりと中間切れの違い

 

俳句には、「句割れ」「句またがり」「中間切れ」など、たくさんの手法があります。

 

まず、単刀直入に一言で説明すると、「句割れ」「句またがり」「中間切れ」のいずれも『文節の切れ目』のことです。

 

  • 句割れ:文節の途中で区切り、その切れ目の前後で、それぞれの意味が終結しています。句を分断した切れ目の位置をボーダーラインのようにして、意味を分けています。
  • 句またがり:文節の途中で区切り、その切れ目の前後で、一通りの意味が連結しています。上の句から中の句の途中にまたがって意味をつなげていたり、中の句の途中から下の句にまたがって意味がつながっています。
  • 中間切れ:文節の切れ目が中の句の7音に限定されます。上の句や下の句に文節の切れ目がある句は、中間切れとは呼びません。

    句割れを使った有名俳句【3選】

    【NO.1】西東三鬼(さいとう-さんき)

    『 算術の少年しのび泣けり夏 』

    季語:夏(夏の季語)

    意味:夏の終わりを迎える頃。算術の問題が解けず、いっこうに夏休みの宿題を終わることができないことが悔しくて、少年は声を押し殺しながら、しのび泣いています。

    ※しのび泣くとは、「声を抑えて泣く」「人に知られないように泣く」という意味です。

    俳句仙人

    句割れの位置は、【算術の少年しのび泣けり(15音)夏(2音)】です。

    【NO.2】中村草田男(なかむら-くさたお)

    『 万緑の中や吾子の歯生え初むる 』

    季語:万緑(夏の季語)

    意味:辺り一面に青葉が生い茂る緑が眩しい夏の真っ盛り。すくすくと成長している我が子の歯が生えそろってきました。

    俳句仙人

    句割れの位置は、【万緑の中や(8音)/吾子の歯生え初むる(9音)】です

    【NO.3】小林一茶(こばやし-いっさ)

    『 我と来て遊べや親のない雀 』

    季語:親のない雀(春)

    意味:こちらに来て私と一緒に遊びましょう。巣から落ちて親とはぐれてしまって寂しそうにしている可哀想な小雀さん。

    俳句仙人

    句割れの位置は、【我と来て遊べや(9音)/親のない雀(8音)】です

     

    さいごに

     

    では、さいごに今回のテーマを簡潔にまとめましょう。

    【句割れとは】

    • 文節の途中に区切りが入る
    • 切れ目の前後で、それぞれの意味が終結している
    • 切れ目となる位置をボーダーラインのようにして、意味が分断されている
    • 上の句でも中の句でも下の句でも、どこで区切っても問題ない
    • 切れ目がアクセントになり、伝えたいことが浸透していくような効果がある

    俳句とは、じつに奥が深いですね。

     

    基本の575のリズムで詠むだけでなく、リズムを外してアクセントをつけて詠んでみたり、一つの意味を17音で表現したり、途中で区切れを入れることによって二つの意味を組み込んでみたり。

     

    言葉遊びの一つとして、美しい情景を称え心情を伝える俳句には、型どおりの一辺倒な決まりごとはないとも言えるでしょう。

     

    俳句仙人

    自由に伸び伸びと表現して、俳句を気楽に親しんでみてはいかがでしょうか。